オクシズでまったりプチ湯治はいかが? - 梅ヶ島温泉 民宿力休

梅ヶ島温泉 民宿力休
2017年最後を飾る一人旅で訪れた静岡・梅ヶ島温泉。静岡と聞いて思い浮かべる太平洋のイメージからかけ離れた、南アルプスの懐に位置する。オクシズと呼ばれる中山間地域のひとつ、安倍川源流域に開けた小さな集落である。

その梅ヶ島温泉の「民宿力休」に1泊した。全3室という小規模宿ゆえ、少人数で静かに過ごしたい人にはぴったり。ジビエを含む「ふだんと違う料理」と良質の温泉をリーズナブルなお値段で楽しむことができる。

騒々しくない、寂しげな山奥のひっそり感がむしろ気に入った。ゆったりと1年の疲れをいやすことができた。

梅ヶ島温泉「民宿力休」へのアクセス

安倍川を遡上する

梅ヶ島温泉へはJRの静岡駅から路線バスが出ている(しずてつジャストライン・梅ヶ島温泉行き)。2~3時間に1本しかないのでアドリブは危険。事前に時間を調べておこう。

バスは安倍川に沿ってひたすら北上していく。最初は市街地だったのが、新東名高速を過ぎるあたりから自然豊かな光景になり、やがて川の両岸に山がどーんと立ち上がる狭隘な地形となり、山と川に挟まれた窮屈な空間を縫うように道が走る。

山あいの狭い道が続く

道は一応片側1車線なのだがカーブが多く、ところどころで狭くなり、車1.5台分くらいの幅になったりする。落石注意の標識が目につき、対岸に山崩れの跡が見えたり、砂防工事箇所も多い。「なんだかえらいところへ来ちゃったなあ」感が半端ない(いい意味で)。

そんな道だからスピードは出ない。バスに乗ること約2時間で終点・梅ヶ島温泉に着いた。路線バスで2時間てのは初めてだ。道中のふだん見慣れない光景を見てたら飽きることはなかったけどね。ちなみに民宿力休が目的なら終点ひとつ前の梅ヶ島温泉入口バス停が便利だ。目の前だから。

なお、マイカーで行く場合もこの道しかない。対向車との行き違いには苦労するだろう。特にヤバイのが金山トンネル(行き違い不能な狭いトンネルと直角カーブの組み合わせ)と、数珠窪~入島間の超狭いカーブ続き。ご注意あれ。

オクシズだけに奥が深い

梅ヶ島温泉への道だけでずいぶん長くなってしまった。それだけ強烈な印象だった。ともかく着いたところは安倍川の源流域。静岡市中心部ではかなりの幅広さを誇った安倍川も当地ではこんなの。
梅ヶ島温泉の安倍川
ずいぶんと北上してきたんだなあという印象だが、それもそのはず、地図で調べたら、春に泊まった山梨県南部町の船山温泉から山ひとつ越えた位置関係だった。

静岡市なめたらいかんぜよ(さらに調べると長野県伊那市とも境界を接しているではないか。うーむ、なんという広さ…。)


喧騒を離れてのんびりできる部屋

安倍川の源流を望む一人旅プランの部屋

さあチェックイン。予告した時刻より早く着いてしまったため、まだ部屋の準備が完了していなかったみたいで申し訳ない。でも部屋には通してもらえた。一人旅プランとしてネットに出ていた2階の6畳和室。トイレ・洗面なし。
民宿力休の部屋
新しくてピカピカってわけじゃないけど古くもない。しっかり管理されており清潔感はある。寒さ対策はエアコンとこたつでばっちり。一人まったり過ごすのに何の問題もない。

窓の外は広めのベランダ。その向こうに安倍川が見える。ちょっと記憶があやふやになってしまったが、ザーッという水音が部屋まで届いてたと思う。
力休 部屋からの眺め

おこもりプチ湯治に向きそう

全3室なので館内はそれほど広くない。民宿だしね。2階を軽く探検してみると漫画置き場があった。プチ湯治というか何もしないでダラダラする“おこもり温泉旅”の客が多いのだろうか。
力休 漫画置き場
共同洗面所は数名同時に使える大きさ。共同トイレも一般家庭というより小さな事務所にあるようなやつに近い。仮に3部屋満室だとしても、大規模な団体が詰め込まれることはあり得ないし、使用に困ることはなかろう。

なお部屋の中でWiFiアクセスポイントは1つ出てきた。使えたのかもしれないけど、よくわからなかったので(宿に聞けよ)、まあいいやとスマホ+テザリングを利用した。


バランスの取れた良いお湯を独占

貸切状態で使えたお風呂

最初に応対してくれた大女将によれば、当日の客は自分ひとり。なので女湯の方を使ってくれとのことだった。やった、風呂独占確定じゃん、休前日を外した甲斐があったぜ。

さっそく浴衣に着替えて風呂場へ行く。共同洗面所に隣接する形で男湯・女湯それぞれの扉があった。扉の前に「空き/使用中」の札がかかっていて、札を使用中にして中から鍵をかければ貸し切り状態にできる。複数の客がいる日でも時間を融通しあって貸し切りで利用すればいいわけだ。

洗面所の壁に分析書が貼ってあって「単純硫黄泉、低張性、アルカリ性、温泉」とあった。加温あり、濾過なしの循環あり。

小ぶりながら新しい浴室

女湯の扉の向こう(上述の事情によりまったく適切な行動だ)は小さな脱衣所。その奥の浴室もそれほど大きくはない。親子3人で入ると一杯のサイズ。

洗い場のカランは一つ。そして2~3名規模の浴槽。室数も部屋サイズも小ぢんまりした当宿の客にとっては相応な大きさだろう。もとより露天風呂だの大浴場だのを求めて行くところじゃない。

全般に、どこかの時点でリニューアルしたらしき様子で、新しい感じがする。お湯の特徴を反映してか、床がすべりやすいから気をつけよう。

浴槽からあふれ出る良泉に満足

お湯は無色でハマグリ汁っぽい微濁りあり。入りやすい適温。ヌメヌメ・ぬるぬるした感触がある。お湯をすくって鼻を近づけるとわずかに硫黄臭がした。いかにも女性受けしそうな、美人の湯と名乗って良さそうな印象を受けた。

浴槽側の壁が岩風呂っぽくなっており、そこから突き出た湯口の太いパイプから熱いお湯がトロトロと注がれている。加えて岩を伝ってチョロチョロと流れ込んでいる小さな筋もあった。触ってみると冷たい。加水か、それとも冷めた源泉かな。

浴槽のサイズに比べてお湯の投入量が多めみたいで、浴槽の縁から結構な勢いであふれ出ている。循環といいながら見た目は源泉かけ流しっぽい。大浴場の開放感はないけど、小さいなりに良泉をゆっくり味わう満足感はある。一人旅向きだ。夕方・夜・朝と入って大満足。


山奥の特別感ある料理を部屋食で

夕食に鹿肉キター!

力休の食事は朝夕とも部屋食。全3室だからこそできるサービスだ。若女将が部屋まで運んできてくれた。こたつで食事ってのがたまらんね。

夕食は、最初に並べられた皿を見ると「ん? 少なめかな?」と思わなくもないが、実はそうでなかった。山奥といっても静岡沿岸部直結の地だから刺身は普通に出てくる。
民宿力休の夕食
あんかけのお椀はたしか芋のつみれ風。ものとしては全然違うけど、秋田で食べた山の芋鍋の芋団子を思い出す。サラダの上に乗っているのはローストビーフならぬロースト鹿肉。ジビエキター! くさみもないし、うん、うまい。

しし鍋もキター!

途中で天ぷら一式が出てきた。干し柿の天ぷらってのが珍しい。
力休の夕食 天ぷら
やがて固形燃料で温める鍋が完成。中身は猪肉。しし鍋ってやつだ。これは冬季のみのメニューかもしれない。寒い時期に泊まったのはこれが狙いだったりする。濃い目の味が食欲をそそり、肉のうまみが結構あって味噌とよく合う。
力休の夕食 しし鍋
最後にお櫃のご飯。米もなかなかいける。鍋の汁や漬物とともにガンガンいく。気がつけばお腹パンパンだった。

川魚と雑穀米の朝食

朝は和定食。主菜は川魚の甘露煮(アユだかイワナだかヤマメだか自分にはわからん)。タマゴは温泉玉子だった。
力休の朝食
ご飯には雑穀が炊き込まれており、黄色っぽい小さい粒が混ざっていたし、米もやや黄色っぽくなっていた。こいつは粟なのかな。甘露煮の味が濃いからご飯が進んでしまう。ふだん朝はほとんど食べないのにこの時はガッツリいってしまった。


梅ヶ島温泉はバスで2時間なのがちょっと遠いけど、ほどよい鄙び具合といい、静かな佇まいが気に入った。また来てもいいと思えた。新緑や紅葉の時期なんかはやっぱり混むんだろうから、こういう人の少ない時に来てまったり逗留してみたいものである。

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