開放感ある露天風呂のお湯は鮮度抜群 - 黒部温泉 元湯 四季の湯

黒部温泉 元湯 四季の湯
現在は日光市に合併している旧栗山村には秘境・秘湯をイメージさせる温泉地がいくつか存在する。有名どころでは湯西川温泉、奥鬼怒温泉郷など。良好なクオリティの温泉が多いから栃木の湯めぐりでは検討候補に入りやすい。同じ日光でも社寺エリアのようなオーバーツーリズム級の混雑がなくてのんびりできるし。

そんな栗山で今回訪れたのは日帰り温泉「四季の湯」だ。実を言うと最初は別の場所を目指していたのだが、フラレてしまってこちらになった。とはいえ事前検討で目を付けていた中のひとつなので、単なる代替ではなく期待を込めての訪問だった。ふわっとタマゴ臭のする源泉かけ流しのお湯と開放感のある景色が自慢の露天風呂に入れます。

黒部温泉 四季の湯への道

秘境への30kmドライブが空振りに…

運行ダイヤに注意すれば電車・バスで四季の湯へ行くことは可能だ。東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅から女夫渕行きバスで1時間弱、栗山行政センター前下車徒歩3分。1つ手前の観光ドライブイン前というバス停なら目の前だが、Googleマップで閉業扱いなのは気になる。

自分はマイカーで旅の2日目に訪れた。朝、塩原の明賀屋本店をチェックアウトし、国道400号→上三依から国道121号へ。上三依では水生植物園を見学して、あとは南下しつつ五十里ダムの手前で県道23号に入って川俣方面へ西進。

当初は川俣温泉の国民宿舎渓山荘へ立ち寄るつもりだった。離合に気を使う狭いくねくね道を頑張って運転していった結果…本日は風呂清掃のため日帰り入浴をお休みしますだとお?! オーマイガー!!
国民宿舎渓山荘
鬼怒川源流部の秘境ムード漂う県道を30km近くもドライブしてきて、このザマ。いったいおいらは何をやっているんだ?…まあ事前にちゃんと確認しなかったのが悪い。こういうリスクも込みでの温泉めぐりなのだと気を取り直す。

ちなみに奥鬼怒温泉郷(たとえば八丁の湯)は、この道路を最奥まで行き切った女夫渕駐車場に車を置いて、登山道を歩くか、旅館宿泊者なら指定時刻に集合してマイクロバスで送迎してもらう山中にある。

川俣観光してから向かう(ということにする)

成果ゼロで戻るのもシャクだから川俣間欠泉を見学しよう。しかし間欠泉はこのところ元気がなくなって活動が衰えているらしく観察台から弱々しい煙がちょっと見えるだけ。我が敗北感は癒えず。
川俣間欠泉
まだだ、まだ終わらんよ。まだ川俣ダムがある。今回で6年ぶり3回目。
川俣ダム
過去2回の見学は大掛かりな工事中であり、人を寄せ付けぬ地形と現代土木技術のぶつかり合い的な迫力を感じさせたが、今回は工事が終わってシンプルに峡谷の絶景を見せつけていた。
瀬戸合峡の絶景
ダムに来ると、つい下の方を覗き込んで高さのスリルを強調した写真を撮ろうとしちゃうのは、なぜなんだぜ。
川俣ダムの堤体
我が敗北感はすでに消え去っていた。最終計画では渓山荘を候補にしたものの、事前検討の対象にしていた四季の湯のことが頭にあったからである。こうなる運命なら四季の湯へ行けばいいじゃない。それだけのことよ。最初から当湯を候補にしておけば鬼怒川源流部を30kmも走らず10kmですんだ、ってのは言わない約束。


広い露天風呂でのんびりリフレッシュ

鮮度の良さを予感させるスペック

建物の前に数台分の駐車スペースあり。裏手には第2駐車場もある。入館したら受付で700円をお支払い。下足箱に隣接して100円コインロッカーが設置されている。脱衣所にはロッカーがないから貴重品や荷物をしまいたいならそこへどうぞ、とのこと。受付のすぐ奥が湯あがり休憩コーナー。
休憩コーナー
なんか、ビール自販機の上に鹿の角+刀を飾ってないか? そういえば駐車スペースにも鹿の角を突っ込んだドラム缶が置いてあったな。
鹿の角を入れたらしきドラム缶
ひとまず鹿のことはスルーして通路を奥へ進むと、女湯に続いて男湯があった。脱衣所はシンプルに棚+かごのみで洗面台やマッサージ機器などはない。分析書は脱衣所のほか休憩コーナーにもあり、若干記載に違いはあるが総合すると「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」でPH9.8、泉温は50℃のやや下。

おそらく加水・加温・循環・消毒なしの源泉かけ流しだと思われる。源泉湧出地の隣にお風呂を作ったので鮮度抜群です、みたいなことが書かれていたし。

タマゴ臭とヌメリ感のある源泉を勢いよくかけ流し

脱衣所を出るといきなり露天風呂だった。洗い場は3名分。正面に15名サイズの屋根付き岩風呂と、左手に20名サイズの屋根なし岩風呂が並んでいる。先客は1名。その後も出入りがありつつ他客は1~2名で、岩風呂の数と大きさを考えると独泉に近い状態だった。

最初は正面の屋根付きへゴー。お湯は無色透明で印象に残るような湯の花は見られない。泡付きも基本的にはないが、鮮度が良いためか家庭の一番風呂的な泡が若干付くことはある。わかりやすい特徴は匂いだろう。硫黄を連想するタマゴ臭がはっきりと感じられるのだ。こいつが温泉の特別感を盛り上げてくれる。

加えてアルカリ性によるものと思われる、ヌルっとした感触もある。温度はぬるくも熱すぎもしない適温。ぬる湯のように長時間粘るのは難しいが、あっという間にのぼせることもない。

やや高い位置で壁から突き出したパイプが湯口となっていて、わりと豪勢にドボドボと源泉を投入していたから、たしかにお湯の鮮度は良さそう。湯尻から排出されるお湯がなかなかにすさまじい勢いであることからもわかる。

屋根なし露天風呂は眺望良く開放感あり

続いて屋根なしの大きい岩風呂へゴー。こちらも同様のお湯で似たような適温。温度差があれば交互浴みたいなこともできたんだが。湯口から出てくるお湯はやっぱり量・勢いともになかなかのレベルであり、広い岩風呂といえども湯の回転率は高めで鮮度がいいんじゃないか。

広めの敷地で目の前がすぐ塀というわけではないから開放感があり、そう遠くないところに小高い山が見える。下の写真は帰り際に駐車スペースから撮影したものだ。
四季の湯の背後にある山
まあだいたいこんな景色が露天風呂でも見られる。いい陽気の下で気分は上々。GW前の季節ならまだ直射日光がきついとか熱中症を心配するような状況ではない。他客がみんな屋根なしに集中して浸かっていたのも気持ちはわかる。

あー、いいお湯だった。フレッシュな温泉でリフレッシュ。いい季節に来たなと思うけど、四季の湯というくらいだから、それぞれの季節に魅力があるのかもしれない。


おまけ:花とカエルの上三依水生植物園

塩原からの移動途中に見学した上三依水生植物園について。国道沿いの駐車場から入場ゲートまで少し距離がある。またゲートの手前に七滝という滝がある。
上三依水生植物園前の七滝
開園時期は4月中旬から11月末まで。春夏は入場料500円。スタート地点に近い池がこちら。
スタート地点の池
約300種・3万本の草花だそうだが、もちろんすべてがいっせいに開花してるわけじゃない。訪れた時期に応じて旬なやつの花が見られるのだ。
上三依水生植物園で見られる花の一例
見学コース中盤あたりではミズバショウが目立っていた。
ミズバショウ
思ったよりも広いな。短時間の寄り道のつもりが、わりと本格的なウォーキングになってるぞ。
木道コース
カエルの鳴き声がすごいな…ふと見ると山のようにいるじゃねーか!
カエル大集合
実際はこんなもんじゃない。見る間にワラワラと現れて写真の数倍のカエルが集合した。夢に出てきそう。「ヘビに注意」の立て札があったけど、これだけ捕食対象がいればヘビにとっても天国でしょう。