ニュルッとした足元湧出のぬる湯が最高な幕湯 - 真賀温泉館

真賀温泉館
スプリング・ハズ・カム。春が来た。もう南関東や太平洋沿岸に限定しない旅行を始めてもいい頃だ。ちょっと強気に内陸部を攻めてみましょうかね。※実際には真冬がぶり返して雪がちらついたり、結構あぶない旅だったのだが…。

全体を通してみると「自分でもなにがしたいのかよくわからないシリーズ」とでも呼ぶべき旅程となったが、序盤のテーマははっきりしている。現存12天守をコンプリートするための備中松山城見学+2回目の岡山湯めぐり(1回目で取りこぼしたところへ行く)だ。

その1湯目は真庭市の真賀温泉館。貴重な足元湧出泉を体験できる幕湯というお風呂を利用させてもらった。ニュルッとした感触のぬる湯がとても良い。

真賀温泉館へのアクセス

JR姫新線の中国勝山駅から湯原温泉/蒜山高原行きのバスで20分、真賀温泉前で下車。バスの接続を調べたうえで計画するなら比較的アクセスしやすそうだ。

自分は新幹線で岡山まで行って、そこからレンタカー。市街を少し走ったら山陽道・岡山IC→岡山道・賀陽ICまで高速を使う。雨が降り出してきたなと思ったら、途中の吉備高原で小雪がちらつく天気に変わってびびった。聞いてないよ~。もう春じゃないのかよ~。

積もったり路面凍結するレベルじゃないから大丈夫とはいえ焦ったな。賀陽ICを出たら高梁市の中心部へ向かいつつ備中松山城に到着。1回目の岡山で見学しそこねたから今度こそはの意気込み。詳細は後述。

お城の見学を終えた後は下道を1時間半近くかけて米子道・湯原ICのあたりまで走る。このエリアには湯原温泉郷で総称される温泉地がいくつか点在しているのだ。真賀温泉もそのうちのひとつだし、リーダー的存在の湯原温泉は1回目のときに行った。

さて、当初の予定では郷緑温泉へ行くつもりだったが、玄関先で「お願いします」と呼びかけても反応がなく、館内も真っ暗で「臨時休業かな?!」と腰が引けてすごすご退散してしまった。そこで翌日の予定にしていた真賀温泉を急きょ頼ることにしたのである。車で郷緑温泉から15分、湯原ICからだと10分くらいだろうか。


短いひと時でも身体に刻み込まれる極上湯

川のそばのプチ温泉街

駐車場は道路脇に4~5台くらいな感じ。たぶん満車になりやすいと思う。訪問当時は運良くラスト1台のスペースに潜り込めた。近くの河川敷に止めることもできるとの情報もあるから最後はなんとかなるのだとしても、なにも知らずに来たらあきらめて引き返してたかもしれないから、あぶないところだった。

当館は道路脇駐車場から石段を上がっていったところにある。ロケーションのイメージとしては下の写真を参考にどうぞ。日帰り専門である当館を外湯として使うスタイルの旅館があったりして、高低差のあるプチ温泉街の風情。
真賀温泉館近辺のプチ温泉街
当館横にはお堂があった。
真賀温泉館横のお堂

真賀温泉の真髄であろう幕湯に挑戦

では入館。券売機のボタンから判断するに、男湯・女湯とは別に幕湯(混浴)というのがあるな…予習不足ですんません。ネットでマニアがこぞって絶賛しているのがこの幕湯なんだろうから、よし、幕湯にチャレンジだ。400円。40分以内の制限あり。定員制限もある。しかし幸いにも待ち時間なくすんなり通された。

分析書は浴室の外に貼ってあった気がする。「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」で源泉温度は39.2℃。湯使いの記述は見かけなかったけど加水・加温・循環・消毒すべてなしの源泉かけ流しのはず。

脱衣所は男女共用の2名程度のスペースで脱衣棚が4名分。管理上のあれこれの都合だろう、扉は少し開けておくスタイル。自分はおっさんだからいいけど女性陣にはなかなかハードル高そう。

立ち姿勢で入る絶妙なぬる湯

幕湯の浴室に洗い場はない。2本生えている蛇口をひねると水が出てきたため、浴槽内のお湯を使ってかけ湯させてもらった。先客は男性が1名。お互いにこんにちはと声をかける。

では入湯…ふ、深い! 立ち湯になる深さだ。普通の旅館の岩風呂とは違う、天然の岩のくぼみがそのまま湯船になったようなお風呂は、予想以上に深かった。浴槽の端っこから急激に深く落ち込むので、体育座りや半身浴の姿勢を安定して取れる場所はない。基本は立ち湯になるかな。サイズとしては4名級。

室内がぼうっと薄暗いため、はっきり視認できないものの、お湯は無色透明で泡付きはありそう。湯の花はなさそう。くんくんすると明らかな温泉臭あり。そしてニュルッとした感触あり。体温より若干上くらいの温度であることとあわせて、お湯がとてもやわらかい印象だ。するっとなじんでいくらでも入っていられる。40分なんてあっという間だなあ。

足元湧出のスペシャルな源泉

時おり上昇するお湯の流れを感じてくすぐったくなる箇所がある。こいつが足元湧出泉ってやつかな。くぼみの一部から源泉がじわっと湧き出してジュワーッと浮かび上がってくるのだろう。新鮮この上なし。

うん、これは評判になるわな。マニアでなくてもよだれが止まらんぜよ。ふんわりとしたお湯は本当に無限に入れそうな勢い。40分は短いよなあ…なんて惜しんでたら、実際はもっと早くあがることになった。まあ自分が気にしなければいいだけのことなんですがね、やっぱりそわそわと落ち着かない想定外な状況が到来してしまい、さくっと身を引いたのであった。

しかし短時間とはいえ真賀温泉の真髄の一端を垣間見ることはできたかと思う。なるほどこれが幕湯か。たしかにすばらしき足元湧出のぬる湯だった。自分にとってMAGAといえばトランプ大統領のスローガンじゃなくて真賀温泉を指すのだ。


おまけ:備中松山城で現存12天守コンプリート!

なかなかきつい山登り

備中松山城について。車で行ける一番奥はふいご峠駐車場。ただしそこへ至るまでの道が狭隘でつらいし、止められる台数は少なく、週末には閉鎖されてしまう。週末だと手前の城見橋公園駐車場(ここは広い)からシャトルバスでふいご峠駐車場まで行く。往復500円。あとは歩きで。

天守までの道は急な登りで、路面状態がまあまあ良好なことを除けばほとんど登山道だ。足腰や体力に不安が生じたら絶対に無理です。老いで衰える前に来ておいて正解だったわ。

登るにつれて霧雨が小雪に変わる中をひいこら登っていくと、20分ほどで立派な石垣が見えてきた。
備中松山城の石垣

猫城主が見守る天守

そしてついに天守現る!
備中松山城の天守
天守最上層内部はこんな感じ。
天守最上層
天守のある山上では、条件が揃えば雲海を拝めるとのこと。当日は雨霧で霞んだ景色だった。
備中松山城から下界を望む
なお、当城には猫城主・さんじゅーろーさんがおわします。10時と14時に場内見回りで姿を見せるらしい。たまたま受付所の中にいたので撮影させてもらった。
休憩中の猫城主・さんじゅーろー
やった、ついに現存12天守コンプリート。彦根城は天守内部に入ってないとか、弘前城は本来の位置から移動させられた工事中の姿だったとか、ケチの付けどころはあるけど、細けえことはいいんだよ。実績解除ってことでいいんじゃない。