自分でもなにがしたいのかよくわからないシリーズ3泊4日の旅もいよいよ最終日。三重県津市から名古屋へ出て新幹線で帰京するのみだ。しかしそれだけじゃ面白くないので立ち寄り入浴をはさむことにした。名古屋近辺であれば有名どころを知ってるぞ→尾張温泉東海センター。源泉かけ流しのいいお湯だと評判だ。
熱めとの情報をよく目にしてたので、ぬる湯派としては好みの温度帯から外れるが、いいお湯ならぜひ体験してみたい。温度については割り切って行ってみたところ、メインの浴槽はやや熱めでも水風呂と称する低温泉の浴槽がまさにぬる湯そのもの。メインよりも水風呂(という名のぬる湯)に浸かりまくってしまった。最高じゃん。
尾張温泉東海センターへのアクセス
JRで行くか、近鉄で行くか
尾張温泉東海センターの最寄り駅はJR関西本線の永和。そこから徒歩20分近くかかる。路線バスの設定はない。一方、近鉄蟹江駅からだと徒歩25分のほか、1日6便の蟹江町おさんぽバスを利用できる…一方向の循環路線なので、行きは近鉄蟹江駅→尾張温泉東海センター前、帰りは尾張温泉東海センター前→近鉄富吉駅北口がいいのでは。これは月~土の話であり、日曜は4便となってルートも変わるから注意。
自分の場合は榊原温泉の民宿味楽をチェックアウトして久居→桑名で下車して小1時間の休憩。尾張温泉の開店が13時なのだ。このままだと着くのが早すぎるため時間稼ぎが必要になった。
ちょっとコーヒーでも、と思ったら桑名駅前はクリニックと薬局ばっかりで日本の縮図を見た思い。飲食系は国道のあたりまで出ないといけないみたい。国道の先のショッピングセンターのマック(マクド)にて、12時のランチタイム客が集まる中、鉄の心でコーヒーのみを注文。客単価を下げてすいません。
水が豊かっぽい地域
関西本線の時刻に合わせて駅へ戻り、JRで永和へ。名古屋近郊にしてはローカル色が強い。
季節は春先でも遠くに見える山は雪を頂いていた。伊吹山あたりかな。知らんけど。
駅から県道へ出て東の方へしばらく歩き、愛西市から蟹江町に入ってすぐ日光川の橋を渡って右へ折れると現地は近い。このあたりは川・水路が多いですね。当館手前の運河のような水場にはカワウやサギがたくさん集まっていた。
さあ着いた。13時ちょうどくらいだから一番風呂相当のお湯に入れそうだ。
規模と質が高いレベルで融合した温泉
リニューアル感のある館内
入館して100円リターン式下足ロッカーに靴をしまい券売機で入浴券を買う。平日700円・休日800円。平日昼にもかかわらず多くのお客さんが中へ吸い込まれていく。盛況ですな。まだ利用者のいない休憩コーナーを撮影させてもらおう。
グッズ販売コーナーもあるよ。全国物産フェアその他の企画物らしきセールもやっていた。奥には飲食コーナーあり。昭和レトロとの予想に反して新しめな雰囲気だったのは2020年にリニューアルしたからでしょう。
廊下に分析書が掲示されている。源泉が1~6号泉まであって分析書は4枚。1,2,4号泉が「単純温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」の49.0℃。3号泉が同名の50.0℃。5号泉が「単純温泉、低張性、弱アルカリ性、低温泉」の27.9℃。6号泉が同名の27.5℃。これらを混合して使っている。
詳細まで教えてくれてる。メイン浴槽中央滝が3,5,6号、メイン湯口が1,2,4,5,6号、カランも1,2,4,5,6号、シャワーと打たせ湯・かけ湯が3,5,6号、露天風呂が1,2,4,5,6号、水風呂が5,6号だって。加水・加温・循環なし、消毒あり。
水風呂が5,6号ということは水でなく低温の源泉を使用していることになる。廊下にも「水風呂は低温泉です」という立て札があったし。これを見て「あつ湯を覚悟して来てみたけど、実はぬる湯も楽しめるのでは」と気づいた次第。
広いしお風呂がいっぱいある浴室
当湯は愛知で唯一、日本名湯百選に選ばれている。自分はいくつクリアしたのかな…細かくて数えてらんない。
脱衣所の規模は大きく、多数の100円リターン式ロッカーが並ぶ。服と旅の大荷物を一緒に収めることができてよかった。
脱衣所の規模を見た後でも浴室に入ると驚かされる。ひ、広い…。なんじゃこりゃあ。視界に収まりきらないぞ。端から端まで広がって設置されているカランの数をカウントしてみると(挙動不審)、30台あった。それらから出てくるお湯も温泉だかんね。
内湯の浴槽は4つとカウントすればいいのだろうか。向かって左から、4名サイズの水風呂という名の低温泉。これは後で詳しく述べる。その向こうに8名サイズのあつ湯。ジャグジー泡がボコボコしてた。ここには入らず。通り道をはさんですぐ右に10名サイズの中浴槽。ちょっと入ってみて熱めなのを確認してすぐに出た。
表の主役は鉱物臭の巨大メイン浴槽
また通り道をはさんでメイン浴槽。円形とか四角とかじゃなくてヘビのように長いというか、“Z”のような形で端までのびている。浴室中央寄りに湯口があるほか、奥の方にも滝のような感じで上の方から注ぎ込まれるようになっていた。何人サイズか見当もつかないほどで、100名と言われても信じてしまうだろう。
浸かってみると、目にしていた口コミから予想していた通りで、やや熱め。とはいえ唸るほどのあつ湯ではない。1~2分耐えてすぐに出るようなものではなくて普通に入れる。お湯の見た目は無色透明。木くずのような茶色っぽい湯の花がたくさん漂っていた。泡付きはもしかしたらあったかも…後述の水風呂がすごすぎてメインの泡付きの印象が記憶から飛んでしまった。そして匂いには鉱物臭が含まれている。
なるほど、温度の好みを別にして客観的にいいお湯ですな。たしかに評判になるわ。これだけでかいお風呂ならお客さんが多くても窮屈にならない。自分の居場所を確保しやすいのはGood。浴室全体が大規模だから内湯でさえも開放感があるし。
露天風呂へ行ってみよう。露天エリアの奥行きがあまりなくて細長い形をした岩風呂である。一列に並んで10名くらいのサイズ。お湯の特徴は内湯と同様で温度も熱め。天井はなく塀に囲まれていて眺望はない。という様子がわかったところで内湯へ戻った。
影の主役たる水風呂にハマる
さあ水風呂へトライしましょうかね。源泉ぬる湯槽を持っている施設はたいがい、ぬる湯好きの客がそこに集中して取り合いになる・待ってもなかなか空かないといった課題あるあるなんだが、ここはすべてが源泉かけ流しだし、当湯の本家本元はあつ湯だと認識されているみたいで水風呂は完全に穴場だった。
満員御礼状態がめったになくていつでも参入できる。長く粘る者がいなくてすぐに空く。一般人→完全スルーか、ちょっと触って「うーん…」的な反応で立ち去る、サウナー→「シャキッとした冷たさ」でないことからあまり積極的に使わない、そんな感じ。
おかげでこちらは入り放題。30℃弱とはいえ、いったん浸かって慣れてしまえば長時間可能。最大の特徴は泡付きで、肌がお湯になじんでくると細かい泡がみるみる付着してきて全身泡だらけ。こりゃすごい。ぬる湯の心地よさと豊富な泡付きへの満足感で喜びが止まりません。
30分でも1時間でも長湯しようと思えばできたけど、変に目立ってしまいそうで(弱気)、水風呂10分→メイン5分のセットを繰り返すことにした。この温冷交互浴もなかなか癖になるもので、あと1セット・あと1セット…と粘るうちに予定時間をオーバーしてしまった。1時間のつもりが90分の滞在となったのである。
こうして大満足のうちに尾張温泉を後にした。メイン浴槽をストレートに評価してもらいたい運営側としては、水風呂主体で楽しむなんて変化球は想定外だと思われるが、風変わりな客の嗜好として許してもらおう。もちろん水風呂だけでなくメイン浴槽も含めて高く評価すべき温泉だ。もし地元にあったら絶対に通い詰めちゃうよ。
おまけ:蟹江の町並みと名古屋で一人打ち上げ
帰りは近鉄蟹江駅まで歩いてみた。たしかに永和駅に比べると徒歩で5分あまり余計にかかったな。歩き出してすぐ病院があった。温泉療法なんかをやってそうだし、足湯コーナーもあった。
病院から南へ向かう歩道は「大相撲ストリート」と呼ばれ、力士の足形が路面に埋め込まれている。現役にあわせて更新されてるわけではないし、数も多くないが。
湯元別館という温泉旅館を発見。旅行予約サイトで見かけることがあるね。朝食のみのプランでやっている模様。源泉かけ流しのいいお湯だがやはり熱めらしい。
駅直前の踏切まで来た。尾張温泉の宣伝がでかでかと。55度の霊泉です。
近鉄で名古屋駅へ出て、記念に名古屋グルメで早めの夕食とすることにした。うまいもん通りのそば屋「みやび」で名古屋名物セットとビールを。
名古屋コーチンのつけ麺に手羽先と味噌カツ。一人打ち上げを楽しみつつ、スマホで新幹線をさくっと予約。ICカードと紐付ければ乗車券の受け取り不要。ICカードピッで改札を通れる。便利な時代になったもんだ。