東京で珍しい硫黄泉は本日も大盛況 - 秋川渓谷 瀬音の湯

秋川渓谷 瀬音の湯
東京都あきる野市にある日帰り温泉施設「瀬音の湯」が以前から気になっていた。東京の温泉には珍しく硫黄泉なのだという。しかも秋川渓谷というロケーションもいい感じだ。

行くのはそんなに大変じゃないが、人気があって休日は混雑しているという情報が多いので二の足を踏んでいた。混雑絶対避けるマンなのでね。かといって都内のスポットへ行くのにわざわざ平日休みを取る気にもなれない。

埒が明かないから腹をくくって週末に行くことに決めた。ただし本格的に混みだす前の朝一番を狙う。他の訪問先と組み合わせた旅行プランを練り、ある真冬の週末、いよいよ実行に移したのであった。

秋川渓谷 瀬音の湯へのアクセス

五日市線の終点からバス

瀬音の湯の最寄り駅はJR五日市線の終点・武蔵五日市。休日には新宿からホリデー快速が出ているが、一部の車両は拝島から切り離されて青梅線に行ってしまうので注意。

今回の旅は擬似的な2泊3日である。1泊目の「自宅」という名の妄想内ホテルを朝早くにチェックアウトして、武蔵五日市へやって来た。

それから駅前ロータリーでバスに乗る。うまく時間が合えば「瀬音の湯経由上養沢」行きで現地まで直行できる。さもなくば瀬音の湯を経由しない「上養沢」「払沢の滝入口」「藤倉」「数馬」行きのいずれかに乗って、十里木停留所で下車して徒歩7~8分。

十里木バス停から歩く場合の行き方

行きは直行便に乗ったのだが、帰りは十里木バス停まで歩いた。歩いたコースを逆順にして、十里木から瀬音の湯までの道のりを紹介しよう。バス停に案内図が書いてあるけど。

十里木で降りたら道路の向かい側へ渡り、道なりに先へ進む。このとき信号のあるY字路を右折して坂を下ってはいけない。道なりに左だ。するとすぐ道が二股に分かれるところに出るけどどっちでも同じ(右の方が歩きやすい)。

分かれた道が再び合流するところで右手に赤い橋が見える。石舟橋という吊り橋だ。
石舟橋
散策路の階段を下っていって石舟橋を渡る。吊り橋といっても揺れはしない。橋の途中が秋川渓谷のビューポイントになっている。
石舟橋から見た秋川渓谷
橋を渡りきると未舗装の土の道になる。右ルートと左ルートがあって、どちらでもかまわない。ちょっと上り坂。最終的には瀬音の湯の休憩所・レストラン棟の脇に出てくる。お疲れ様でした。
瀬音の湯 レストラン脇

瀬音の湯の目を見張る人気ぶり

いきなりすごい人出

オープン前に着いたのに、すでに駐車場は車だらけ。あちこち人がいっぱいうろうろしてる。朝一番でこれかよ、えらいところに来ちゃったなあ。エントランス前にある無料の足湯コーナーも大勢の客でにぎわっていた。

建物の写真を撮ろうとしたが、見事な逆光でどうしようもない。本館じゃなくて隣の物産店が主役のように映るアングルが精一杯だった。本館の建物は全面ガラス張りに木が組み合わさった現代アートチックなデザイン。お洒落ですな。

オープン前だけど下足箱に靴をしまうところまでは行けた。100円入れて後で返ってくるやつ。貴重品ロッカーもあり。そして券売機の前には早くも20~30人ほどが行列を作って待っていた。自分も最後尾に加わる。

開店直後から混雑するとは…

列に並んだ数分後にオープン。3時間900円の券を買い、受付で下足箱の鍵と引き換えにロッカーの鍵付きの腕輪を受け取り、脱衣所では腕輪の番号に対応するロッカーを使用する。掲示された分析書には「アルカリ性単純硫黄泉、低張性、アルカリ性、低温泉」とあった。

脱衣所はすでに大勢の人でごった返しており、みな次々と浴室に吸い込まれていった。朝一番組の男性客は40人は下らないんじゃないかな。これ、ピークの時間帯はロッカーが埋まって入場制限かかるやつだぞ。

浴室内は結構広くて洗い場にはカランがたくさん。でも人も多いからそこそこ埋まってる。難民になるほどではないが。カランのお湯は細かい泡が立つように出てくるのか、洗面器で受けるとしばし白濁する。

主役の内湯で硫黄泉を楽しむ

内湯の浴槽はひとつだけ。ガラス窓寄り(奥側)とその反対(手前側)とで2名ずつ向かい合わせに入れる、それが10組並んで計20名くらいいけるサイズの細長い形をしている。一部が浅く作られており、寝湯ぽく使いたい人や小さいお子様の居場所になっていた。

初見でぎょっとしたのが、手前側が大混雑で窓寄りの奥側がガラガラという極端な偏り。みな手前側の縁に腰掛けて足だけ、あるいは腰から下だけ浸かるようにしている。奥側でお湯にどっぷり浸かる人はほとんどいない。手前側に足湯状態の客が鈴なりとは…ちょっと異様な光景だった。

自分は奥側で肩まで浸かってみた。お湯は無色透明でアルカリ特有のヌルヌル感がある。手ですくって鼻を近づけると、おお、硫黄のタマゴ臭がする。加温ありの源泉かけ流し方式だそうだからな、やってくれるぜ。

東京でこんな硫黄泉に出会えるなら文句なしだ…しかし…熱い。とにかく熱い。激熱とは言わないまでも長湯向きではない。殺到する客に回転率よく入れ替わってもらうためだとしても、いかにも熱い。

みんなが足湯状態で留まっている理由がわかった。最初は「ガラス張りの窓の向こうに見える渓谷の緑を楽しみたいのかな」と思ってたけど、そんな優雅な話じゃない。熱いから足だけを浸からせて粘っていたのだ。

渓谷の緑が近い露天風呂

露天風呂なら外気で冷めているんじゃないかと期待して露天エリアへ出てみた。8名規模の岩風呂が一つと水風呂とサウナ室。あと休憩しながら緑を眺められる椅子がいくつか置いてあった。

岩風呂に入ってみると適温だった。うん、これならいいか。でも明らかな塩素臭が鼻を突いたし、どうにも温泉感がなくて沸かし湯じゃないかと思ったほど。循環式で温泉を入れているとのことだが。

自然を楽しめる環境なのは良いけど、一応は温泉らしさを感じたかったので、いったん内湯へ戻り、浅いところへ行ったり休憩を入れたりしつつ粘って、結局50分くらいで出た。

攻略しがいのある温泉施設

その後、館内の「和食だいにんぐ川霧」で朝兼昼食をと思って行ってみたら、11時半オープンだった。30分早い。残念。仕方なく近くの自販機のポテト&フライドチキンと無料の給茶で代用した。

もし泉質重視の温泉好きが瀬音の湯へ行くなら、内湯にロックオン、それしかない。朝一番狙いでもなかなかの混雑だったのと、お湯の熱さは気になったが、硫黄のタマゴ臭にはニンマリした。ある意味で攻略しがいのある温泉施設といえる。

本記事では日帰り施設に分類させてもらったけど、実は宿泊コテージも併設されているから、なんかうまい活用方法もありそう。興味があればどうぞ。


おまけ:冬の凍結が有名な払沢の滝

瀬音の湯を出た後は歩いて十里木バス停まで戻り、藤倉行きのバスでさらに奥地の檜原村へ向かった。下車したのは「払沢(ほっさわ)の滝入口」。ここから徒歩15分のところにある払沢の滝が目的地。冬には凍ることもあるという、日本の滝百選に入っている滝だ。

沢沿いの遊歩道は未舗装だけど足元はフカフカした感触で歩きやすい。急ではないものの上り基調が続く。前半はカフェや木工房なんかもあって後半はずっと山道。途中には「忠助淵」という小さな滝があったので、のぞき込んでみた。ただすけ~。
忠相淵
その先へ進むと…なんか凍ってる! これが払沢の滝か…いや違った、人工的な氷のオブジェだって。
氷のオブジェ
気を取り直してもう少しだけ先へ進むと、本当にキターーー!
払沢の滝
残念ながら滝は凍ってはいなかった。まあもう昼だしね。でも枝葉的な脇のあたりの細い流れは一部が凍っているように見えるし、滝つぼ付近の水面には氷が張っていたから、よしとしよう。

それにしても東京とは思えない景色だったなあ。