伊豆には何度も訪れていたが、沼津市戸田は帰り道で通過したことが一度あったのみ。独特の地形と風景が印象に残っている。あらためて調べると温泉が湧いていて温泉宿もあった。じゃあ泊まりに行ってみるか。
タイミングよく「ときわや」に一人泊OKの空室が出ていた。しかも某サイトのクーポンが劇的に効いて非常にお得なオファーになっていた。それがなければ自分のお財布事情の上をいく高級宿であり、縁がないまま一生を終えていたに違いない。2025年最後の自分へのご褒美と思って一生に一度(?)のチャンスをつかむことにした。
設備面・運営面は「いい宿」として手堅く間違いがない。お風呂は最上階に大浴場と2つの貸切風呂を擁し、戸田の展望を楽しめる。
戸田温泉ときわやへのアクセス
今回は土肥から北上する
戸田は西を海に、南/北/東を山に囲まれている。修善寺経由で行くには達磨山を越えなければならないし、沼津中心部から南下するにも土肥から北上するにも、アップダウンとカーブの多い、幅の狭い道路を走らずには到達できない。この道をバスが走れるのかなと思ったら修善寺との間にバス便があるようだ。
今回はマイカーで。前泊地の今井浜温泉から西伊豆へ出て堂ヶ島温泉ホテルに立ち寄り入浴し、そのまま北上して土肥経由でアプローチした。朝からいまいちな天気だったのが、いよいよ本降りの雨になってきた。これじゃ毎度立ち寄る景勝地・黄金崎馬ロックは夕日を受けて金色に輝いてるはずがない。今日はパスしよう。
土肥の町もそのまま通過。土肥金山は昨冬に見学ずみだし。町の中心部を離れる前に旅人岬に寄ってみたけど、やっぱり雨だと景色があと一歩な感じ。
戸田の独特な地形
その先は道路の登坂度・くねくね度・狭隘度がアップする。頑張って運転して着いた絶景スポット:碧の丘から見える海もいまいち青くなかった。今日はしょうがないな。
そこから坂を下って戸田の町に到着。下の写真は翌朝の帰り、戸田を離れるあたりの丘の上から撮影したもの。山と湾に囲まれた小さな平地に町が形成されている。ときわやの建物も見えてますね。
湾の出口には特徴的な形をした砂嘴(御浜岬)が伸びている。
まあこういうところです。当宿はメイン通り沿いにあるからすぐわかる。ただ初見だと駐車場がわかりにくいかもしれない。脇道(車1台分の幅の狭い道)を入った先にあるのだ。荷物や同行者を先に下ろすためだとしても宿の玄関前に長く駐停車しておくことは難しいからうまく立ち回りましょう。
自分へのご褒美にふさわしい宿
聖地コラボがあった
ではチェックイン。こちらがお土産コーナーでございます。青い絨毯がまぶしいね。近くには缶ビールの自販機もある。
豪華な椅子とシャンデリアと絵画からなる、まるでVIP席のような空間。座っていいのかどうか迷ってやめておいた。
普通のノリで気軽に利用できるロビーもある。その入口には温泉むすめ…じゃなくてラブライブとコラボした一角が。沼津が作品の聖地だっていうからね、よく知らないけど。
ロビーの本体がこちら。ピアノの自動演奏が流れる。戸田が舞台と思われる家政婦ロボットのマンガが置いてあったので1巻を読んでみたりするなど。コーヒー・緑茶・紅茶のセルフサービスもあるよ。
展望風呂付きの贅沢な部屋
案内された部屋はたぶん客室の中では最上階にあたる5階の10畳+広縁和室。一人泊だからと訳あり部屋に押し込むようなことをしない、慈愛に満ちたときわやさん。ありがた山にございます。布団は最初から敷いてあった。
シャワートイレ・洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり、WiFiあり。浴衣は1階にサイズ別に積んである中から選んで持って行く。客室にも展望風呂が付いていたのにはびっくり。やってくれますな。浴室はWC・洗面のところから出入りするほか、広縁にも直接つながっているみたい。
湯船がこちら。カランは1台。残念ながら温泉ではないので使うことはなかった。
外は雨が降る重苦しい雰囲気で視界も良くなかったので、翌朝いくらかましな空模様になってきたタイミングで撮影。対岸の清水の町やその背後に山脈が見える状況だと最高なんだろうね。なお富士山は右側に隠れて見えないらしい。
自分にはもったいないスペックだが、一人忘年会を兼ねて1年を総括する旅なら贅沢も許されるでしょう。
最上階を生かしたお風呂へゴー
大人気が予想される2つの展望貸切露天風呂
ときわやの大浴場は真に最上階の6階。エレベーターが5階までなので5→6階への移動は階段を使う。大半の客がしたがう行き方でいうと、手前から次の通り。
・鶴亀の湯(貸切展望露天風呂)
・橘の湯(貸切展望露天風呂)
・夕凪(夕方~夜は男湯、朝は女湯)
・朝凪(夕方~夜は女湯、朝は男湯)
貸切風呂は追加料金や予約が不要で、回数制限もなく空いていれば自由に利用できる。夕方は遅い時間になるほど競争率が高まると予感したので、チェックイン直後に貸切風呂へトライした。幸い2つとも空いていた。
まず鶴亀の湯を一瞬だけ覗かせてもらって「亀の甲羅のような形をした2名程度の浴槽」「北向き、海を展望できる方角」を確認したらすぐに退出。続いて橘の湯へ。中に入って内鍵をかけると外のランプが点灯して使用中であることが示される。
うまくいけば夕日の絶景を見られるかも
脱衣所の広さ的に3人組の利用までが想定されている感じ。分析書をチェックすると「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」だった。泉温は59.9℃。湯使いは明記されてないが加水・加温・循環・消毒ありではないかと思われる。
洗い場は1名分。浴槽は四角形で3名程度のサイズ。途中まで屋根がかかっており、風が強くなければ多少の雨は防いでくれる。お湯は無色透明無味無臭。若干の塩素臭はあっても気にはならない。温度はやや熱めの適温。ぬる湯派としてはもっとぬるくてもいいが、自由な貸し切り運用体制下でぬる湯特有の長時間入浴をされても正直困るだろうから、適度な回転を促す温度でいいでしょう。
目の前の窓というか透明パネルというか、そいつのおかげで外からの視線を気にせず、こちらから外を展望できるようになっている。鶴亀と同じく北&海側の方角で晴れていれば夕日を拝めそうだ。
客観的に考えて、普通の大浴場よりも貸切展望風呂を選びたくなるのが人情ってもんで、チェックイン直後のチャンス以降は「さあ風呂に入るか」と思って6階へ行くと朝夕夜を問わずいつも、鶴亀・橘ともに使用中であった。のんびり構えてたらあやうくノーチャンスよ。入れる時に入っときましょうね。
大浴場夕凪にも展望露天風呂あります
橘の湯の帰りしなと夕食後に大浴場夕凪へ行った。こちらは宿の規模相応の人数に対応できる広さ。洗い場は8名分。内湯浴槽はL字形で、一方の端では2名ほど寝湯体勢になれて、プラス5~6名が入れるサイズ。温度は熱めではない適温。
それだけじゃない、露天風呂もあるじゃないか(当初は気づかずに内湯だけ利用して部屋に戻っちゃった)。3名サイズの展望露天風呂は貸切2箇所に比べて海の見え方はやや窮屈になるものの夕日は見られそう。だから夕凪なんだろう。もし貸切にチャンスがなければこちらで十分かと。温度は適温。
なお、こちらの露天風呂に屋根はあってないようなものだから雨には打たれる。
若干ぬるめでよかった大浴場朝凪
翌朝は男女入れ替わった大浴場朝凪へ。こちらは山側=東寄りのアングルが主になってくる。だから朝凪なんだろう。全体に夕凪をひと回り小さくした規模で、洗い場は6名分、内湯はL字でなく四角で寝湯体勢2名+残り3~4名なサイズ、露天風呂は2名サイズ。
朝凪で良かったのは内湯の温度が若干ぬるめだったこと。朝凪特有の調整なのか、たまたま当時がそうだっただけなのかは不明だが、ぬるいのが好きなので喜ばしい。ゆっくり浸かることができてラッキーハッピー。
年忘れのグルメを堪能しちゃった
伊豆・駿河湾の味覚がいっぱいの夕食
ときわやの食事は朝夕とも1階食事処で。大広間を衝立で仕切っていたほか、一人客は目立たない隅っこのテーブル席になるよう配慮されていた。
夕食は18時を希望。食事の進行にあわせて少数ずつ運んでくるスタイルで、最初の前菜とお造りがこちら。お上品な感じですね。
地魚4種盛りで酒が進む。ちなみに日本酒の銘柄は…忘れた。とにかくおすすめされたやつを常温でぐいっと。あーー、この1年俺はよくやったよ、よく頑張った、と心の中でセルフ慰労しながら贅沢な味覚を堪能する。
刺身の後は牛豚出汁しゃぶ鍋だ。さらに献上料理という名目で戸田特産本海老網焼きが出てきた。これを塩でいただく。戸田は塩も特産品なのだ。うめえうめえ。
続いては金目鯛戸田潮蒸しなる魚料理。伊豆とくればやっぱり金目鯛でしょう。前日の宿でキンメ煮付けを食べたので、別の料理法で出てきたのはちょうどよかった。
当時のプランだとこれらに加えて伊勢海老グラタンが供される。もう十分すぎるほどだ。締めのご飯に出された伊豆の新米がこれまたうまかった。釜揚げしらす付きだったし。そして椀物は桜海老のすまし汁。という具合に伊豆・駿河湾の味覚がずらっと出てきて大満足。もう思い残すことはありません。
朝は自分で焼くアジの干物とともに
朝は7時半を希望。夕食と同じテーブル席に並べられた品々がこちら。
わあい、サラダは和風ドレッシングが別添えだ。一番困るのは…マヨラーの皆さんには悪いが…最初からマヨネーズをべっちょり絡ませてあるやつなので。ドレッシングは自分で調整させてほしかったりする。記憶が曖昧で間違ってたらソーリーだが、豆腐は戸田の塩で云々というような説明を聞いた気がする。
そしてやっぱり伊豆の朝はアジの干物ですかね。自分で焼いてどうぞ。時々ひっくり返しながら焼きすぎない程度に食べ頃を狙う。大きめなアジの干物だったことと、米がうまかったため、珍しくおかわりしちゃいました。で、ごちそうさま。食後のコーヒーが欲しければ前述のロビーへ寄ればいい。
* * *
戸田は1回泊まりで来てみたかったのでちょうどいい機会だった。しかもときわやは1年最後の締めくくりにふさわしい「ちょっとリッチな気分」を与えてくれる。ことに最上階の展望露天風呂は満足な体験となるだろう。食事面は言うに及ばず。
しかし天気とスケジュールの関係で戸田随一の景勝地ともいえる御浜岬に行っていないなど、実際はそんなに深堀りできたわけじゃない。晴天でいかにもな絶景が見られる時にまた来てみたいけどね~。一生に一発級の弾を今回撃っちゃったからなあ。奇跡の二発目を夢見てまたチャンスを狙うとしよう。
おまけ:あえて海沿いを北上して帰る
ダイビングの聖地? 大瀬崎
チェックアウト後は道の駅くるら戸田でお土産を物色。ここには壱の湯という日帰り温泉もある(入らなかったけど)。その後はあえて海沿いのくねくね狭い道路を進み、伊豆の北西端・大瀬崎へ。車は海辺に出る手前の大瀬駐車場に止めた。1時間300円。この先は車で行かない方が無難だと思う。
ダイビングの聖地みたいになっていた海水浴場沿いを10分ほど歩いて岬の先端を目指すと大瀬神社がある。
無事帰れますように。
神池という池もあります。
もっと奥には御神木。
大瀬埼灯台もあるけど中には立ち入れない。天気が良ければ対岸に富士山が見えたはず。
寅さんゆかりの西浦足保
大瀬崎を出て、お次は西浦足保の天神社へ。映画「男はつらいよ 葛飾立志篇」(第16作)と「男はつらいよ 寅次郎春の夢」(第24作)のラストに使われたロケ地だからだ。こんなアングルのシーンがあったらしい。
では登ってみましょうか。
上には小さな社があるだけでひっそりとしていた。
2025年の温泉旅、これにて終了。


























