ジャイアンの心の友はのび太。おじさんの心の友は栃尾又温泉。というわけでn回目の(数えるのがめんどくさい)栃尾又温泉宝巌堂へやって来たのであった。ここは3軒の旅館で共有する浴場がぬる湯の名湯として知られており、自分にとっては温泉に強い興味を抱き、ぬる湯派に染まるきっかけとなった最初の旅行で訪れた場所だ。
あの頃からいろんな点が少しずつ変わってきたけれど、根底の大事なところは変わっていない。楽しかった思い出通りの栃尾又温泉・期待通りの宝巌堂で安堵した。いつも連泊プランを利用して2泊する間にぬる湯三昧を堪能するのだが、慣れてくると2泊でも足りないね。いつかn連泊チャンレンジをやってみたいもんだ。
栃尾又温泉宝巌堂へのアクセス 2025年版
交通手段に注意点あれど、我が方はしっかり対策ずみ
調べたら過去に当湯を6回訪れていたらしい。ブログには2回目以降の体験記を公開している。
基本的なところは上のリンク先を参照のこと。ここでは以前から変わった点や余談的な話、何度でも強調したいことを中心に書くことにする。
まず交通手段について。かつてはJR上越線小出駅から栃尾又温泉行きの路線バスがあった。現在も走っているけど、スクールバスの性格が強まり、朝夕しか運行されない。旅行者にとって夕方の到着便は時間が遅いし、翌朝の出発便は早すぎて朝食もままならない。
そこで湯之谷地域乗合タクシーの利用が推奨されている。乗車の1週間前~1時間前まで予約を受け付けている。当宿に目いっぱい滞在したければ、行きは2便(栃尾又温泉12:20着)、帰りも2便(栃尾又温泉10:10発)がちょうどいい。
自分は2023年から諸事情あってマイカーを持つようになったため交通手段の悩みはない。南関東の自宅から当湯までなら心理的・技量的に問題なく運転できるくらいには慣れてきた。ちょうどバスの問題が出てくる時期にペーパードライバーからリアルドライバーにジョブチェンジしたのは神の采配というほかない。もっともっと栃尾又温泉に行ってええんやで、っていう思し召しだな。
こちらも恒例的な米どころ訪問イベント
今回の時系列としては、まず関越道を魚沼ICまで行かずに塩沢石打ICで出て、南魚沼市雲洞の古民家風食事処・鹿小屋さんへ。いつもよくやるパターンで、秋になったら鹿小屋の米を食べないと落ち着かないのである。もう稲刈りはすんだかな~。
少なくとも当時、米は金(ゴールド)と並んで上げ相場のスターだった。1540の乖離っていうレベルじゃねーぞ。ましてやここの米は定評ある南魚沼塩沢産のコシヒカリ。ありがたくいただこう。せっかくだから米+そば+天ぷら+魚=フルスペックの鹿小屋定食を。絶対に完食できなさそうなのでそばを半分の量にしてもらった。
あー、うまかった。これで自分にもようやく秋が来た。ちなみに近所には幼少時の直江兼続とゆかりの深い雲洞庵があるから見学をおすすめしたい。
“くう・ねる・はいる”でまったりしよう
いつものお宿に「ただいま」
栃尾又温泉のバス停がこちら。旅情をかき立てるローカル風情。
この背後に坂があり、坂を上ると宝巌堂。
ではチェックイン。桐材の床は裸足で歩いても心地よい。浴場へ通じる裏口から正面玄関方向を眺めると下のようになっている。細やかな女性の琴線に触れそうな小物類やかわいいお菓子のお土産が並ぶ。がさつなおじさんは何も買わずにすいません。
案内された部屋は3階の角部屋。8畳+広縁的なスペースにソファ設置。布団は最初から敷いてあった。
レトロ調でありながらモダンでおしゃれなセンスも感じさせる内装や調度品が心憎い。こういうので居心地がアゲアゲ相場になってしまうのである。シャワートイレ・洗面台あり、金庫なし(貴重品が心配なら袋に入れて帳場へ預ける方式)、冷蔵庫なし、WiFiあり。WiFiはFreeSpotサービス経由に変わってつながりやすくなった。
ウェルカムお菓子は豪華2点。いつも2日目の昼食にしている。揚げせんべいが妙に後を引くうまさだった。本体だけでなく油がいいのかな。
一方の窓から見える景色がこちら。他の2軒=自在館と神風館がちらっと。紅葉はまだまだ先のようですね。
もう一方の窓はこちら。足場を組んで改修工事中?
大したことじゃないけど、新たなチャレンジ
なお2階には休憩&読書室があり、これまではずっと部屋にこもって利用しなかったが今回初めて、1時間ほどここでマンガを読んでみた。いいねー。連泊したりで滞在が長くなるほど気分転換にちょうどいい場所。
ここには伝票申告制で別途精算するお酒などを入れた冷蔵ケースが設置され、たいがいは風呂あがりに新潟限定ビール「風味爽快ニシテ」を飲んでしまう。
当初は「昼から飲んだくれてやる、日常から解放されて大いにだらけてやるんだ」と意気込んだものの、2泊して食事中以外に飲んだお酒は結局缶ビール1本だけだった。いかんなあ、ハジけきれないなあ…。
栃尾又の霊泉へようこそ
絶妙にぬるいラジウム泉
お風呂について。3軒の旅館が共有する3つの内湯浴場「したの湯」「うえの湯」「おくの湯」からなり、したは自在館の地下、うえとおくはすぐ近くの建物内にある。「した+おく」と「うえ」の一方が男湯で他方が女湯というパターンを日ごとに男女入れ替えて運用。朝5時から夜は23時まで。
共通の特徴は源泉槽のお湯がぬるいことだ。ただし以前は浸かっているうちにゾクッと寒気がくる若干ひんやり系だったのが、今回は人肌に近いぬくぬく系になっていた。おかげで入りやすくなったと思う。併設の加温槽に頼らなくても連続1時間級の長湯が可能だ。
分析書に書いてある泉質は「単純弱放射能温泉、弱アルカリ性、低張性、温泉」だ。ラジウム泉ですな。PH8.4、源泉温度35.7℃。源泉槽は加水・加温・循環・消毒なし。お湯は無色透明で湯の花目立たず細かい泡付きあり。匂いは単純温泉によくあるやつとも違い、ここだけの独特なアロマを感じる。
たいがいの客は源泉槽の中で30分でも1時間でもじっとしている。たまに読書を試みる人がいる以外は目を閉じて瞑想態勢になるパターンが多い。そうやってお湯の中で精神統一するうち、だんだん無我の境地みたいな気分になってくる。ぬる湯に浸かっているだけで炭治郎の透き通る世界に到達できてしまうのだ。
した・うえ・おく…3つの浴場
したの湯…80段ほどの階段を下った先にあり、源泉湧出部の真上に作られているとか。秘湯らしい幽玄な雰囲気もあって人気は高い。源泉槽は余裕を持つなら6名サイズだけど詰めればもっといける。中央のミニタワーから源泉が投入されている。以前は飲泉コップが置いてあった気がするけど今はない。すぐ隣には2名サイズの加温槽。なお洗い場はない。
栃尾又温泉を代表する位置付けのお風呂だから、足腰に問題がなければ下り階段を面倒くさがらずに1回はトライしてもらいたい。
したの湯に限らず各浴場前に男湯女湯の区別を示す表示板が設置されるようになった。しかもAI搭載だ(A.I=明るい.インジケーター)。したの湯バージョンは近くを通ると「本日は男湯です」などとしゃべるボイス付き。
うえの湯…宝巌堂の裏口からこのような階段を下りて、
自在館の超レトロな建物=大正棟の脇を抜けていく。大正棟はリニューアルしたみたいですね。
すると、うえ&おくの湯の建物がある。
洗い場は3名分。適当にばらけると5名だけど、向かい合わせを許容してきれいに並べば倍以上いけるサイズの源泉槽と、2~3名サイズの源泉寝湯槽と、3名サイズの加温槽がある。以前の男女割り当てが「した+うえ」と「おく」の組み合わせだったのが「した+おく」と「うえ」に変わったのは、単独の収容能力はうえが最も大きいからかもしれない。
おくの湯…うえと同じ建物内にある。洗い場は3名分。向かい合わせはちょっと厳しい横一列6名サイズの源泉槽と、2~3名サイズの源泉寝湯槽と、2名サイズの加温槽がある。
源泉槽の中央にミニタワー湯口が設置され(飲泉コップはなくなった)、冬季のみ軽く加温するための塩ビ管が底に通されている。浴槽に張られるお湯は深めだが小さな段差に腰掛ける形になるため、深すぎもせず半身浴ほど浅くもなく肩まで浸かる体勢になれる。ずっと体育座りの姿勢は疲れることを考慮しての段差かな。※左記のつくりは3浴場とも共通している。
一芸を極めた入浴スタイル
おかげさまで2泊する間に1時間浴を9回やった。ただ内湯でじっとしているだけなんですけどね。湯の呼吸 壱ノ型・温湯一刻(ぬるゆいっとき)、それしかできない。なのに不思議な魅力がある。
よそが弐ノ型・露露天天(ろろてんてん)、参ノ型・気泡乱舞(きほうらんぶ)、肆ノ型・打の壺当て(うたせのつぼあて)、伍ノ型・双無無双(さうなむそう)など多彩な入浴スタイルで頑張っていたとしても「壱ノ型しか使えないお前にこの俺が…」と、うらやむであろう存在が栃尾又の霊泉なのだ。
温泉だけじゃない、お食事も楽しみです
1日目の食事から舞い上がる
宝巌堂はメシウマ宿として知られる。本来なら通常プランの食事で真髄を味わうべきかもしれないが、連泊客には食事内容をいくらかシンプルに変えるかわりに料金面でお得になる湯治プランも用意されており、少食気味なのもあっていつも湯治プランにする。
湯治プランは部屋食だったのが1階の食事処へ集合する方式になっていた。1泊目の夕食がこちら。
野菜主体なのがいいですね(年寄の発言)。ピーマン・ゴーヤという大人向けの苦味が並ぶのもよい。お品書きの隣の小瓶に入っているのは食前酒じゃないよ。揚げ物のえちごもち豚ヒレと八色しいたけにかけるソースだ。刺身は味噌あえになっていた。
お酒はこの地域外では入手困難な緑川を飲むのがいつものパターン。仮に利き酒テストをやられても味の違いはどうせわからないんだけど、まあいいでしょう。こういう時は気分の問題も大事なんでね。うまいし料理に合うのは間違いない。年とともに酒量の限界が下がってきているのが明らかゆえ、飲めるうちに飲んでおこう。
米は「馬場さんのコシヒカリ」を少し柔らかめに炊いてある。これがすごくいい。いつもならあり得ないほどの量を食べてしまう。馬場さん有能。
1泊目の朝食がこちら。さすが抜かりなしですな。
納豆が一般のパックに入ったやつじゃない。豆は大粒だし特別な感じがする。赤魚は絶妙の塩加減だし、この時に限らず味噌汁は具だくさん。またしても米を食べすぎた…。
2日目もすばらしすぎて困っちゃう
2泊目の夕食がこちら。よく見たら前夜に続いて手前の小鉢3つは緑色の食材。韻を踏んでいるかのようだ。
緑3兄弟…枝豆・揚げインゲンしょうがあえ・オクラもずく酢に合わせて酒はやっぱり緑川。ただし前夜の純米から今宵はちょっと贅沢に吟醸を。吟醸の方がアルコール度数が1.0高いし吟醸香のこともあって濃厚な感じがする。一方の純米はススっと飲めていろんな料理に合わせやすいかも。個人の感想です。
たんぱく質も鯖と肉団子で抜かりなし。全体量はお櫃のご飯で調整できるし、たいがいの人にとって湯治プランで足りないってことはないと思う。逆に胃がはち切れんばかりの豪華絢爛を連日は厳しいから、むしろちょうどいいのでは。目指すべきは最大ではなく最適である(P・F・ドラッカー)。
2泊目の朝食がこちら。この頃になると「もう終わりか…早いな…」とサザエさん症候群になりかけている。
ご飯は最初少なめに盛っておいて、胃の様子を見ながら少しずつ足していく作戦を取った結果、やっぱりトータルでは多めにいただいてしまった。ちなみにお茶は普通の緑茶と玄米入り緑茶がある。後者を飲んでみたら、永谷園お茶漬けに入ってるあられみたいな風味があっておいしかった。
そういえば栃尾又温泉は今日も雨だった。前日も雨だった。チェックイン時点とチェックアウト時点以外はほぼ雨だったんじゃないか。山の天気だからなのか、自分の運の問題なのか、毎度雨の確率が高い。どのみちお風呂に入ってるだけだからいいんですけどね。
* * *
n=7回目の栃尾又温泉宝巌堂は相変わらずよかった。訪日客が詰めかけてワイガヤ状態に陥いることもないし、日本人でも温泉場を騒がしいテーマパークにしてしまう系の客層がいないから、本当に静かでゆっくりできる。好きなだけぬる湯三昧したうえに、ご飯と酒はうまい。最高ですな。
もう湯の呼吸 壱ノ型しか使えなくていいや。それでも極めれば上弦を倒す=心身を癒やして活力を取り戻すことはできるのである。この先も人生は長いし無限城は広い。おれたちの戦いはこれからだ…おじさんの次回作にご期待ください。




















