定宿化しつつある土肥温泉・牧水荘土肥館は真冬もOK!

土肥温泉 牧水荘土肥館
仲間内で定宿化しつつある旅館のひとつが牧水荘土肥館だ。西伊豆の土肥温泉だから転地効果を得られる程度には距離のある近場で、冬でも雪や凍結を過度に心配しなくてよくて、ぬる湯好き一同にはぴったりのぬるくて広い露天風呂。すばらしい。

牧水ゆかりの老舗宿ゆえ、我らにはいささか身に余るグレード感がありながらも、平日プランを狙うとお得に泊まれるのが気に入って何度か利用してきた。今回ももちろん平日作戦である。

ひとことで言えば「あー、やっぱりいいですねー」という感想になる。過去のレポートと重なるところが多いため短め&薄味にまとめたが、実際の体験は濃かったですよ。

牧水荘土肥館へのアクセスにも慣れた

東京方面から車で土肥温泉へ向かう場合、典型的なルートは新東名・長泉沼津IC→伊豆縦貫道・月ケ瀬IC→国道136号・船原→土肥だと思われる。地図だけを見れば、沼津の市街地から海岸沿いに戸田を通っていくのも面白そうだと考えたくなるけど(自分だけ?)、気楽に走れる道ではない。曲がりくねった山道や港町の細い路地を走るのが好きならって感じ。

あるメンバーの新しい愛車に乗った我ら一行はまあいろいろありまして、典型的ではないルートで函南へ入り、いつもの休憩スポット=かねふくめんたいパーク伊豆に到着。いつものジャンボな明太子おにぎりを昼食とした。
かねふくめんたいパーク伊豆の記念撮影スポット
あとは典型的なルートで土肥まで直行。平日作戦のおかげか渋滞もなく順調に走れた。当日一番乗りの客じゃないかというくらいの勢いでゴールインしたのであった。いったん玄関前に車を付けたらキーを預けて適当な場所へ移動してもらう。


いつもながらのゴージャス感

牧水ギャラリーのすごそうな展示

ではチェックイン。時期的にちょうど土肥桜まつり&夜間ライトアップのポスターが貼ってあったな。真冬なのにもう桜が咲いちゃうとは。フロントのあたりから館内奥の方を眺めるとこうなっている。
フロント付近から奥を眺める
その奥の方へ近づくと、風呂あがりのところてんサービスが健在であることを確認できた。夕方の時間帯だけだから見逃さないように。関西ではないので黒蜜ではなく酢醤油味だ。
ところてんサービス
館内を探検するなら1階の牧水ギャラリーへどうぞ。自分には正直価値がわからないのだけど、なんかすごそうな展示がいっぱいある。
牧水ギャラリー

毎度驚かされる豪華な部屋

さて、案内された部屋は3階の角部屋だった。いつも驚かされるのが、利用人数に比して広い部屋。今回もやってくれました、10畳+6畳+4畳+広縁。特別室とかじゃないよ、平日お得プランに乗っかっただけでこの待遇だからね、自分がVIPだと勘違いしそうになるぜ。
牧水荘土肥館 10畳+6畳+4畳客室
6畳部分がこちら。布団は夕食中に敷いて朝食中に上げてくれる方式。人数分の布団を敷いてもスペースに余裕ありまくりだった。
6畳の間
シャワートイレ・洗面台・内風呂あり。金庫あり、別途精算のお酒などが入った冷蔵庫あり、WiFiあり。風呂あがりの一杯が欲しくなった際、館内にビールの自販機が見当たらず、冷蔵庫の瓶ビール(スーパードライ)をいただいた。

南向きの窓から見える景色がこちら。桜が見えないかなーと勝手に期待したけどそんなに甘くはない。
南側の景色

いつもこのお湯に期待して行ってしまう

やや熱めの内湯にいるのは夫人像?

大浴場は2箇所。どちらも1階相当のフロアにあるが、行き方が違う。それぞれ男湯と女湯に割り当てられていて、翌朝になると男女が入れ替わる。夕方~夜は1階奥へ素直に移動すれば行ける大きい方の浴場が男湯だった。

脱衣所や露天風呂に最新の分析書は見つからなかった。かわりに古い時代のやつが掲げられており、レトロな筆致で「含石膏弱食塩泉」と書いてある。脱衣所から内湯への入口と露天風呂への入口に分かれる。

内湯は9名分の洗い場と円弧状の浴槽からなる。一列横並びで8名は入れそう。向かい合わせにして詰めていけばその倍も可能だが、広い露天風呂もあるのでサブ的にちょっとだけ使う人が多く、そんなに混まない。お湯は無色透明でやや熱め。強烈な個性はなくとも温泉感はしっかりあります。湯船中央付近に女神像が立ってるなと思ったら、牧水の妻・喜志子夫人の像という説明があったような。

狙いは露天風呂の広いぬる湯

我らの最大の目当ては露天風呂…あつ湯・ほどほど湯・ぬる湯と3種類並ぶ中のぬる湯である。広さも最大だ。20名は余裕でいけるし30名だって可能かもしれない。雰囲気のある立派な岩風呂に浸かってみると、体温より少し上くらいのぬるさだった。浴感が良くて、いくらでも長湯できちゃうね。

すべてのお客さんがぬる湯を狙って来るわけではなく、あつ湯やほどほど湯をメインに使う人もいる。ゆえにぬる湯の客はまばらで全然混まない(平日だからってのもあるだろう)。マイペースでゆったりと過ごせるのがいいね。

ぬる湯にばっかり浸かって、あつ湯とほどほど湯はまったく入らずに終わった。再訪・再々訪と数を重ねてくると「あちこちいろいろ試してみよう」というフェーズは過ぎている。もうぬる湯だけでいいんですよ、そのために来たようなもんだし。

もうひとつの浴場の特徴は洞窟風呂

翌朝の男湯は、いったん2階の通路から分岐して下って上ってまた下る、やや入り組んだ場所にある小さい方の浴場だった。こちらは脱衣所に分析書が掲示されていて「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」と書いてあった。加水と加温なし、循環と消毒あり。

浴室に入るとまず7名だか8名分の洗い場と細長い四角形をした5~6名サイズの内湯浴槽がある。お湯は熱め。浴室の奥から外へ出ると10名サイズの岩風呂が待っている。温度別に分かれてない単一の岩風呂なのが先ほどと違うところだ。平均的な好みに合わせているのか、温度は適温。ほどほど湯ですな。

こちらの特徴は露天風呂の脇に設けられた洞窟風呂だ。定員数名程度の小さな洞窟に半身浴程度の深さで適温のお湯が張られ、洞窟内にこもった湯気でミストサウナぽくなるという仕掛け。サウナ志向の人にはいいのかな。個人的にサウナや熱気がこもる感じのは得意じゃないためほとんど利用しなかった。


食事についても安定の満足感

夕食は海鮮中心に冬の味覚を

牧水荘土肥館の食事は朝夕とも1階の食事処で。ちゃんと個室が用意されている。水・お茶・白飯は部屋の片隅に用意されてるのをセルフで自由にどうぞのスタイルだ。夕食のスターティングメンバーがこちら。
牧水荘土肥館の夕食 その1
一人ずつに舟盛りが出てくるのはすごいな。冬だからカニもあるね。料理の全貌が1枚に収まりきらないので分割して撮影しなきゃいけないくらいの豪華メンバー。
牧水荘土肥館の夕食 その2
サラダに入ってる刺身はサワラの炙りで酢の物はコハダって言ってたような気がする。西伊豆海沿いゆえ全般に海鮮主体。これらをビール(アサヒとキリンから選択可)とともに美味しくいただいていると、やがて鍋ができあがった。
牧水荘土肥館の夕食 その3
昭和のおじさん世代はこういった旅館飯にワクワクしてしまう習性を捨てきれないし、捨てなくていいと思っている。今宵もワクワク感にあふれるいい料理であった。調子に乗って締めのご飯をいつもより多めに摂取したらお腹が苦しくなっちゃった。最後にデザートをいただいて終了。

朝食名物のところてん

朝も同じ個室にて。ちょっとずついろいろありんす。
牧水荘土肥館の朝食 その1
特徴的だなと思ったのは、朝からイカ刺しが出てきたことと、ところてん。土肥はところてんの名産地なのだ。そして白飯とは別に最初の1杯としてお粥が配膳された。青のりの風味が食欲をそそる。思わずおかわりしちゃった。
牧水荘土肥館の朝食 その2
その場で温めるアジの干物と味噌汁ができあがったところでお粥から白飯へ移行。イカとアジのせいでいつもより多めにお米を食べております。また調子に乗りすぎちゃったかな。

 * * *

さすがは安定した強さを誇る牧水荘土肥館。仲間内では「伊豆はもうここでいいよ」くらいのノリになっている。我々には十分すぎるくらいのグレード感、そしてなによりも露天風呂のぬる湯という存在が強い。平日お得プランでないと財布事情が許さないという制約はあるが、定期的に訪れたくなる宿だ。


おまけ:土肥の桜と金山

チェックアウト後は土肥桜を見ようと松原公園へ。おー、咲いてる咲いてる。
松原公園の土肥桜
終わりかけなのかまだ早いのか、花の色がくすんでいる木が多いけど、鮮やかな色を保っている木も見られた。
いい感じで見頃の土肥桜
近くの観光兼避難タワー「テラッセオレンジトイ」の展望フロアまで上ってみた。駿河湾や対岸の静岡市などを一望できる。もっと青空が広がる天気だったらな~。
テラッセオレンジトイ展望フロアより
まだ時間に余裕があったため、土肥金山を見学することになった。
土肥金山入口
入場後はまず坑道跡を歩く。自分は過去に見学ずみ。そんなに昔のことじゃないのに、当時よりも内容が充実しているように感じたのは、単に「過去の思い出は美化される」の逆パターンですかね。

坑道跡を出たら資料館へ。歴史的史料よりも巨大な金塊展示の方が印象に残ってしまうのは欲深き人間の悲しい性。
巨大な金塊
お土産コーナーにはご当地の温泉むすめ・土肥間由ちゃんがいた。
温泉むすめ 土肥間由
さあ土肥はここまで。次の目的地へ向かうとしよう。