雪解けの春に訪れてみた、今年もまた栃尾又温泉 宝巌堂

栃尾又温泉 宝巌堂
もう何回目だか、自分もすぐにはパッと出てこない栃尾又温泉へまた行ってきた。過去の訪問は秋ばっかりだったのが今回初めて春の季節に実行した。桜が咲いて、もう雪は降らないよねっていうくらいの頃(しかし結果的に雪国を甘く見ていた)。

相変わらず、湯治を気取ってのんびり骨休みするのに最適な温泉地であった。だから何度も来たくなってしまうわけだな。お世話になった宝巌堂さんも相変わらずで何より。メシウマという特徴も健在で何より。

お風呂や宿の描写は過去記事と重なるところが多いので、ここでは簡潔にすませます。

また行きたくなってしまった栃尾又温泉

春よ来い

正月だったかなあ。正確な時期は忘れたけど、真冬にテレビを観ていたら温泉紹介番組をやっていた。戸倉上山田野沢が登場したのは覚えてる。そして栃尾又温泉も紹介されていたのだ(取り上げられていた旅館は自在館)。したの湯の映像なんかが流れてきて…うぉーい、そんなの見せられたら、おじさん行きたくなっちゃうよ。

しかし雪深い季節に突撃するだけの装備と経験と根性が足りなかった。ぐっとこらえて春の訪れを待ったのである。もうはまだなり、まだはもうなり。

そしてスプリング・ハズ・カム。よっしゃ突撃じゃあ~!! 飛信隊のごとき勢いで関越道を北上するおじさん。そう、今回はマイカーを活用してみました。運転技量を要する過酷な道は通らないので、距離の問題だけなら休み休み走れば大丈夫。大半は高速道路だし。

桜の季節にコシヒカリ

通常は小出ICで高速を出るところ、あえて手前の塩沢石打ICを出て、向かった先は南魚沼市雲洞の郷土料理「鹿小屋」さん。湯沢・魚沼あたりへ来るとつい寄ってしまうお店。ここの米を味わいたくてね。
鹿小屋のコシヒカリ定食
写真はコシヒカリ定食だ。季節的に山菜とか雪下にんじんが付いてきて結構なり。気持ち的にはご飯をおかわりするとか、お蕎麦とセットになった鹿小屋定食を頼むとか、気持ちはあっても年々縮んでる気がする胃袋がそれを許さない。残念なり。

すっかり満腹になった後は下道で栃尾又へ向かう。途中、六日町エリアの銭淵公園付近と思われる、魚野川沿いの桜並木があまりに見事であった。写真を撮っておけばよかったな。ちょうどいい時に来たわ。

人里離れるとまだ雪たっぷりな感じ

ところで栃尾又温泉は、奥只見を通って奥会津へ抜ける国道352号沿いの新潟県側最奥部の温泉といえるが、実はさらに奥に駒の湯山荘というのもある(冬季休業)。ぬる湯ドバドバ系らしい。せっかく車で来たので現地を見るだけ見ておこうかと思ったら、道路が雪で通せんぼされてました。
雪で塞がれた国道352号
小出の町から栃尾又までの区間は路線バスが走っており、除雪の努力により交通を維持しているのだろう。自分が訪れたような桜の時期であれば運転に全く支障はない。一方、山の斜面には一部に雪が残っていた。遠くに見える越後駒ヶ岳の頭はまだ真っ白。
越後駒ヶ岳

いつもの栃尾又温泉、それがいい

山側の静かな部屋

はい到着。当温泉には宝巌堂・神風館・自在館と3軒の旅館がある中で、宝巌堂は冒頭写真の坂を上がっていたところにある。もう慣れたもので、勝手知ったる何とやらでスムーズにチェックインを終え、3階へ移動して部屋に入る。むむ、このレイアウトは記憶にあるぞ。5年前に泊まった部屋じゃないか。
宝巌堂 3階山側の部屋
こたつがまだ出てますな(実際に大活躍した)。当館は一見するとレトロ調に見えつつ、単に昔ながらではない、現代的なセンスもかなり含まれているように感じられる。内装やシャワートイレ・洗面台なんかの設備はしっかり新しいしね。

山側の部屋なので静かで…どの部屋も静かですけど…おこもり感が強めで落ち着く。窓の外はこんな感じ。
窓の外の景色

お風呂場の運用が変わっていた

部屋に作務衣が備え付けてあるのがいいやね。浴衣よりも身体を動かしやすい。作務衣に着替えてさっそくお風呂へ。

お風呂は「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」の3箇所があり、3軒の旅館が共同で使っている。ここで注意。前回までは「うえ+した」と「おく」を日ごとに男女入れ替えで供用していたと記憶している。しかし今回は「おく+した」と「うえ」に分ける運用になっていた。

たまたま最初おくの湯へ行ったら男湯だったから、今日は男=おくの日なんだなと思い込んで、おくの湯オンリーで通した。翌朝、今日は男=うえ+したの日だからと、栃尾又温泉を代表するしたの湯へ満を持して行ってみたら女湯だった…「?? あれっ??」…混乱して説明をちゃんと読んだら運用が変わってたという顛末。2日目はうえの湯オンリーとなり、したの湯へ行けたのは最終日の朝になってからだった。思い込みはいかんよ。

雰囲気にそれぞれの特徴がある3つのお風呂

まあお湯じたいは基本どこも一緒ですけどね。したの湯は階段をずーっと下りてく分だけ最も泉源に近くて(たしか泉源の真上に風呂を作ったはず)、湯小屋の作りに独特の趣があって、ゆえに人気があって、みんな入りたがる。ただし洗い場はない。

うえの湯とおくの湯には各3名分の洗い場あり。両者は同じ建物に共存していて、うえは町の銭湯に近い雰囲気。自分は結構好きですけどね。おくはしたの湯を現代風にアレンジした感じ。自分は結構好きですよ。

洗い場について補足すると、たしか以前はリンスインシャンプーを置いてたような気がするが、今回はシャンプーとコンディショナーが別々になってた。こっちの方が望ましい。来るたびにどこかが進化してるな。

長湯を極めろ

温泉の特徴については過去の体験談をどうぞ。簡単に言うと無色透明のぬるいラジウム泉の源泉かけ流し。みんな1時間は浸かってる。

初日のおくと2日目のうえは微妙にぬくいくらいの感覚で、「俺もすっかりぬる湯慣れしたなあ」と自信を持ったら、3日日のしたで打ち砕かれた。うえやおくと比べて一段ぬるく、少しずつ体温を奪われてブルブルッと震えが来た。そんなときは無理せず加温浴槽へ。最後出る前にも上がり湯として加温浴槽を使うとよい。

たいがいの人は1泊する間に1時間×4~5回は入るだろうし、長い人は2時間浴するだろうし、説明にも「最初のうちは2時間ずつ2回で4時間」なんて書いてあったりする。とにかく長湯が前提だ。


さすが安定のメシウマ宿

やはり日本酒とともにいただきます

2泊以上で可能な湯治プランをいつも利用している。この場合の食事は部屋出しになり、食後はお膳を廊下に出しておくシステム。献立は典型的な旅館飯と全く異なり、たとえば初日の夕食がこちら。
宝巌堂の湯治プラン夕食 1泊目
野菜多めの手作り料理。これがまたうまいのよ。メシウマ宿としての口コミ多数は伊達じゃない。新じゃが甘辛煮がやたらうまかったな。春に来た特典としては山菜のこごみが出ました。越後もち豚や八色しいたけのフライ、刺身みそあえもあって酒が進むわあ。ちなみにお酒は地元以外にあまり出回らないという緑川の純米。

魚沼とくればお米がうまいので、自分はたいがい酒を飲みつつおかずを全部いただいてから、最後にご飯だけを単独で味わうようにしている。今年も馬場さんのコシヒカリを堪能した。

2日目の朝食がこちら。朝にデザートが付いてくる。
宝巌堂の湯治プラン朝食 1泊目
朝はさすがにおかずと米を完全分離することはない。ご飯を4分の1くらい残しておいてラストに単独でいただく程度かな。朝食をしっかり取ればお昼抜きでも十分だ。

連泊でも飽きが来ないクオリティ

2日目の夕食はブリがあったのでご飯のお供にしたくなったが、いつもの路線を貫いた。お酒は自分へのご褒美チックに緑川の純米吟醸を選んでみた。うん、吟醸香がありますね(小並感)。
宝巌堂の湯治プラン夕食 2泊目
甘辛煮に使う芋がじゃがいもからさつまいもにチェンジ。こっちもうまいよ。あと前夜の八色しいたけに続いて今宵は八色菜のおひだしだった。八色なんとかっていうブランドをいくつか見聞きするのは、農業に適した土地柄なのか。

いつも2泊なので、だいたい2日目の夕食中に「あー、もう明日で終わりかー、早いなー」と惜しむ気持ちになっている。

そして3日目の朝食。いい意味で安定のクオリティ。
宝巌堂の湯治プラン朝食 2泊目
補足すると、食事向けにお茶とかコーヒーが一緒に付いてくるわけではない。そのかわり部屋に電気ポットと緑茶・コーヒーが置いてあるから、食事中といわず好きなタイミングで作って飲めばいい。ちゃんと確認していないが、もしかすると紅茶もあるかも。

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短文でまとめるつもりが書いてたら長くなった。それだけ描写したくなる要素があるってことだろう。当宿には何度も来ているけど、しばらくするとまた行きたくなってしまう。とくに今回は季節を変えてみたことにより、なんていうか新鮮だった。

交通手段を車にした際の時間・距離感覚や春に訪れる場合の雪の心配についても実際に行動してみて感触はつかんだ。しかし雪国を甘く見ていたところがあり、なんと滞在中に雪が降ってきて、しかもうっすら積もったのには驚いた。

まあ雪が降って冷え込んでこようが関係ない。栃尾又のぬる湯に浸かり続けるのみだ。