ちょいぬるめ、眺望良しの露天風呂 - 折立温泉 ホテルさかえや

折立温泉 ホテルさかえや
ゴールデンウィーク後を狙ったぬる湯好きおっさんグループ旅行の2泊目は、魚沼市(旧湯之谷村)にある折立温泉ホテルさかえや。このエリアでは栃尾又温泉がぬる湯として広く知られており、個人的に何度も訪れている。他のメンバーにも体験してほしいところだったが…残念ながら諸々の折り合いがつかずにいたところ、近くの折立温泉もぬるめだという口コミ情報を多く目にしたことから、当宿をピックアップしたのであった。

2つある大浴場の内湯については、実際のところぬる湯までいかないくらいの適温であり、唯一利用できる露天風呂がぬる湯と呼べる温度だった。この露天風呂はぬるいだけでなく、お湯のあふれ方がすごかったな。

折立温泉 ホテルさかえやへのアクセス

路線バスの運行ダイヤに注意

折立温泉の最寄り駅はJR上越線小出。1日4便ある栃尾又温泉行きのバスで22分、折立温泉下車。行きは15時台か17時台でいいとして、帰りは8時台の次が15時台だから厳しいですね。9時台・10時台の設定がある湯之谷地域乗合タクシーを頼るしかなさそうだ。運行1時間前までの事前予約制。

我々は車だったからアクセスの問題はさほどでもない。問題は天気だった。2日目の朝に群馬・法師温泉長寿館をチェックアウトした時点で強めの降雨に見舞われていた。屋外で観光どころじゃない。県境の長いトンネルを抜けたら晴れでした、なーんて展開がないかと期待するも、変わらず強い雨。あーあ。

時間調整を兼ねて寺宝温泉へ

まともに折立へ直行すると3時間程度持て余してしまう。我々好みのぬるくてゆっくりできる温泉で雨の影響を受けにくい構造のところはないかと相談した結果、長岡までドライブを兼ねてで良ければということで、昨秋の一人旅で体験した寺宝温泉へ向かったのだった。※長岡まで来たら雨は上がりそうな雰囲気になっていた。
寺宝温泉
日帰り利用は800円。日によって男湯・女湯の入れ替えがあり、この日は初回訪問時と同じく左奥側の浴場だった。泉質は「ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」とのこと。

内湯浴槽が2つ・露天風呂が2つで、露天エリアは屋根付きだから雨でも濡れない。もうひとつ、男湯と女湯の両方から出入りできる巨石風呂が存在し、日によって一方のドアを開放/他方のドアを施錠する運用だったはずだが、こちら側のドアは壁で埋められて出入りできないようになっていた。片側からのみ出入り可能としつつ、男女入れ替えでカバーする運用にしたのだろう。

内湯の片方と露天の2つは38℃のぬる湯&泡付き豊富。初回訪問時は体感温度と泡付きの強さに多少の差がみられたが、今回は3つとも同じくらいだった。1時間くらい浸かっちゃいました。


折立では目立っているホテル

一般的になじみのある雰囲気

さあ折立へ向かいましょう。途中で買い出しなどして現地へ着いたら15時近くでちょうどいい頃合いになっていた。小ぢんまりした集落の中でホテルさかえやは大きく見える(奥にあるゆのたに荘も大きい)。駐車場はすぐにわからず、フロントで尋ねたら、斜向かいの一段小高くなった場所だった。

では入館。ロビーはこんな感じ。
ロビー
隣にお土産コーナーもございます。買い物は魚沼IC近くの道の駅「深雪の里」ですませてしまってすいません。
お土産コーナー
反対側の隣は畳の間になっていて、一瞬「食事処にしては小さいな?!」と思ったけど、湯あがり休憩処ですかね。あとカラオケルームもあった。
湯あがり休憩処


越後駒ヶ岳の雄姿が映える部屋

案内された部屋は2階の10畳+広縁和室。全員を詰め込まず、複数の部屋に振り分けてくれたのはゆったりできて好感。布団は最初から敷いてあった。ウェルカムお菓子は魚沼こしひかりまんじゅう「尾瀬三郎物語」、室内にあるのは冷たい水のポットのみで、お茶は後述の浴場前まで取りに行く。
ホテルさかえや 10畳客室
シャワートイレあり、洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり、WiFiあり。建物じたいがそれほど新しいものでなく、各所に古くなってきてる様子も見られるが、気になるところはない。窓からやや左寄りを眺めるとこうなっている。朝からさんざん降ったくせに、宿に入ったとたん晴れてきやがった。
窓から見える越後駒ヶ岳
ゆのたに荘とまぶしい新緑。奥には越後駒ヶ岳がのぞいてる。肉眼だと駒ヶ岳がもっと大きくドーンと迫ってくるようだった。いいじゃない。


さかえやで折立温泉を体験する

一般的な適温だった内湯浴槽

さかえやの大浴場は2階。泊まった部屋と同じフロアで便利だね。夕方の時点で手前が男湯、奥が女湯だった。浴場入口付近に冷たい&熱いお茶のポットと紙コップが置いてある。湯あがりにサッと飲むほか、部屋でお茶が欲しい場合もここへ取りに来る。

脱衣所は一般的な棚+かごの構成。貴重品ロッカーのようなものはなかったかと。壁に貼られた分析書には「単純温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」と書かれている。泉温は41℃。加水なし、加温・循環・消毒あり。

浴室に洗い場は4名分…蛇口と鏡は5組あるけどシャワーが4台だったので。あとは6名サイズの内湯浴槽がひとつ。お湯の見た目は無色透明で、これは予想通り。気になるのは我々が好む体温に近いくらいのぬる湯なのかどうかだ。じゃあ浸かってみますかね。

…適温だ。熱いという声も上がったが、法師→寺宝と湯めぐりしてきたら、そりゃあ相対比較で熱く感じるよね。冷静に考えれば決して熱すぎないとしても、期待したようなぬるい温度でもなかったということだ。まあそういうこともあるさ。

湯の花や泡付きは見られず。最初のうち、ちょっとだけ塩素臭の気配を感じたものの、すぐに気にならなくなった。お湯に引っかかるような感触はなくて、むしろ若干のツルツルを感じなくもない。いずれにせよ長く粘れる温度ではなかったからサクッと切り上げた。

もう一方の大浴場内湯も同様のお湯

19時から男女が入れ替わって奥が男湯になる。そちらには露天風呂がある由。外気でお湯が冷めてぬる湯化しているかもしれないと期待して夕食後に行ってみた。

浴室に洗い場は5名分。こちらもシャワーの数が蛇口よりひとつ少ない。そして5~6名サイズの内湯浴槽。お湯の特徴は先ほどと一緒。強いてあげるなら少しだけぬるめかな。結構勢いよくオーバーフローしていたのが印象に残っている。循環とは思えない勢いだ。それを補うかのように、形状と構造からなんとなく「ちりとり」を連想してしまった湯口からはドバドバと投入されている。

こちらの内湯も各回の入浴において最初と最後にちょこっと入る程度の使い方になった。

露天風呂はぬるい・オーバーフロー大量・眺め良しの三拍子

こちらの浴室は脇のドアから露天風呂へ行ける。このドア、夕方の男湯にも存在して閉め切りになっていたなあ。もともと両方から露天風呂へ出入りできる構造で、今は片方からの出入りに固定しつつ男女入れ替えで対応しているのか。寺宝温泉と同じやね。

で、露天エリアへ足を踏み入れてから浴槽に達するまでの床は、オーバーフローしたお湯が何センチもの深さに達しており、なんじゃこりゃあ。まるで源泉ドバドバかけ流しみたいじゃないか。この印象が当湯で一番強かったかも。

肝心の露天風呂は4~5名サイズ。半身浴レベルの浅いつくりも手伝って、お湯は期待通りにぬるかった。やっと求めていた温度に出会ったぜ。折立まで来た甲斐があった。

露天風呂は屋根というか2階フロアの天井部分に覆われており、外向きの壁を抜いてあるようなつくり。部屋の窓から眺めたような景色を見ることができる。翌朝来た際には明るくなっていたので越後駒ヶ岳も見えた…と言いたいところだけど、曇天のせいで山は雲に隠されてしまった。終盤に少し晴れてくれて見えたのが救い。姿を現した越後駒ヶ岳はやっぱり格好良かった。


魚沼の季節の味覚を楽しみましょう

山菜がたくさん並んだ夕食にご満悦

ホテルさかえやの食事は朝夕とも5階の食事処で。おそらく巨大な大広間をいくつかに仕切って使ってる。この日は団体さんの宴会用とその他のお客さん用に二分割していた模様。夕食のテーブル席に用意されたスターティングメンバーがこちら。
ホテルさかえやの夕食
わあい、山菜がいっぱいだー。小鉢軍団には、しおで・こごみ・わらび・きのめ。きのめはうずらの卵とともにいただく。煮物にはぜんまい・うどが入ってます。しゃぶしゃぶする肉は越後もち豚。

もちろんこれだけじゃ終わらず、茶碗蒸しや鮎の塩焼きもある。少し遅れて刺身と天ぷらも出てきた。結構なボリュームになりましたね。天ぷらにも山菜が使われていた。
ホテルさかえやの夕食その2
刺身には魚沼地域でよく出されるブランドの深雪ますが含まれている(ブランド名は美雪ますだがお品書きには深雪ますと書かれていた)。え? ますじゃないよ、マグロの赤身でしょと思ったら、エサにこだわって赤身になっているとのこと。へー、すごいじゃん。お味はたしかに上質なますの風味。

締めのご飯は魚沼産こしひかりで間違いない。よく味わいながらモリモリ食べたいところだったが、やっぱりおかずでお腹いっぱいになってしまい、軽く一膳がせいぜいだった。ぐぬぬ。

普通ならご飯おかわり必至な朝食

朝食も同じ広間の同じテーブル席で。ちなみに夕食も朝食もいくつかの選択肢から希望の時間を選べる。今回は朝7時半とした。さあ何が出るかな。
ホテルさかえやの朝食
オーソドックスな和定食といったところ。温泉場で定番の温泉玉子や湯豆腐もあるし。ぱっと見たところ、魚の甘露煮と辛子明太子と梅干しの3点セットだけでもご飯のおかわり必至だなと予想した。しかしそこまで胃に余裕があるだろうか…。

案の定、3点セットのおかげでご飯の減りが早い。ほかのメンバーが次々とおかわりしていくのを横目に、慎重に腹具合と相談した結果、おかわりをあきらめた。途中からおかずをご飯と組み合わせることなく、単体で口へ運ぶ始末。悲しいけどこれ体質なのよね。

まあいい。うまい米と日常生活では絶対あり得ないバラエティに富んだ品々。それでもう十分だ。

 * * *

いつももっと奥地の栃尾又温泉まで行ってたので、おなじみの景色の中を走ってきながらも途中の折立で逗留したのは、ちょっと不思議な感覚だった。もし当館にぬる湯を求めるならば露天風呂が狙い目となる。屋根ありだから天気問わずとはいえ、越後駒ヶ岳の展望込みで考えると、やっぱり晴天だとうれしい。

個人的に山菜マニアではないが、夕食が山菜づくしだったのは訪れた時期がうまくはまってラッキーだったかもしれない。ほかに狙うとしたら秋の新米が出回り始める頃かな。