夏の長野遠征が最終日を迎えた。高速渋滞を避けるため寄り道せずさっさと帰るか、どこかひとつくらい温泉に入って帰るか。一人旅だし渋滞にハマって苦労するのは自分だけだからと割り切って寄り道していくことにした。出発が千曲市なので上信越道に乗るまでの間:坂城~上田~東御~小諸~佐久、ここまでの範囲で何かないか。
しかもテーマが「緑の温泉」だからお湯の色も重要だ。ネットで調べた結果、小諸市の布引温泉こもろに決めた。公式には褐色のお湯とのことだが、写真を見ると黄緑色に見えなくもないからセーフ。実際に体験してみると緑の仲間に入れてもおかしくはなさそうでセーフ。内湯や露天風呂から眺める浅間連峰が見事である。
布引温泉こもろへの道(主な話題はJR姨捨駅)
諸事情あって先に姨捨の絶景を見に行く
まず、近隣の別の温泉と間違えないようにしなければいけない。中棚温泉は明らかに別の名だから大丈夫として、あぐりの湯こもろ・布引観音温泉・布引温泉御牧乃湯、このへんはうっかり混同しかねない。特に今回は緑の温泉じゃないとテーマの一貫性が崩れてしまう。間違えたけどいいお湯だから結果オーライとはいかないのだ。
もう一点、日帰り入浴が昼の12時からである。戸倉上山田温泉のクラブウィンダム千曲館長野をチェックアウトして直行すると営業開始まで時間を持て余してしまう。そこで最初に絶景で知られる姨捨へ行くことにした。有名な棚田は過去すでに見学していたから、別の有名スポット・JR姨捨駅へ行ってみよう。
長楽寺と姨捨公園の脇を通って高台へ登り、踏切を渡る。道がどんどん狭くなるので注意。駅から200m手前が下のような線路終端部を越える場所になっている。
そこの小さな脇道に入ると駐車スペースがある。しかしネットの口コミ通り、車がびっしりと止められており、ほぼ満車だった。運良く最後の1台分の隙間に入れられた感じ。あとは歩きで。
無人駅だ。自由に入れるという情報を信じて中へ。
一種の展望台になっている姨捨駅ホーム
駅ホームを跨線橋の上から見たところ。
対向式ホームに接して線路が2本、さらに左端の一段低い場所にホームをスキップするようにもう1本あるのがわかるだろうか。姨捨駅はスイッチバック構造になっていて、長野方から来た列車はいったん駅を過ぎた地点で止まってからレールを切り替えてバックで当駅へ入線し、発車の際は再び向きを変えて松本方へ進む。
ちょうど長野方から特急しなのが来た。※姨捨駅を通過する列車はスイッチバックしなくていいようになってるから、例として適切ではないが。
それじゃ絶景を堪能しよう。棚田の方角がこちら。
善光寺平の方角はこちら。遠くは霞んでいるけどいい景色じゃのう。
満足して時間も適度に消化できた。では小諸へ向かおう。高速を使わず下道オンリーでも営業開始前に着きそうだったので、布引観音の足元まで行くなどして調整。
緑シリーズの最後を飾る布引温泉こもろ
公共の宿のような雰囲気
オープン直後で駐車場はたくさん空いており、館内のお客さんも少ない。まずは券売機で入浴券を購入。800円。夏休みの繁忙期は1000円になるようだ(そういう予告の紙が貼ってあった)。売店コーナーはこちらでございます。
宿泊もやっているからホテル風なロビーもある。
そこに置いてあった周辺案内図。参考までに。
館内の様子については、公共の宿っぽいなと思ってたら、以前は国民年金保養センターだったらしい。現在は民間の指定管理者が引き継いで運営している。
薄緑に見える内湯は2種の温度で提供
1階廊下を奥へ進むと大浴場。脱衣所にはコインいらずのロッカーあり。分析書によれば「ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」とのこと。PH8.1、36.7~38℃の源泉を41~42℃に加温して提供。ぬる湯派の立場でいえば加温前そのままでかまわないんだが…仮に冷めちゃって30℃とかになってもOKですよ…個人の感想です。加水・循環・消毒については不明。
予想通りに中はガラガラ。先客が1名いるのみだった。しばらくしたら出ていって、いわゆる独泉状態となった。15名分の洗い場がちょっと寂しげ。
内湯は「あつめ」と書かれた浴槽と「ぬるめ」と書かれた浴槽がある。どちらも10名サイズ。お湯の見た目は薄緑の印象が強い。本当は褐色で、タイルの色や差し込む光の影響が緑ぽく感じさせるだけなのかもしれないにせよ、脳内審判団が競技した結果、緑と認定して旅のテーマは崩れていないものとする。セーフセーフ。
あつめ側は実際熱めの適温。ぬる湯派として期待したぬるめ側も適温ゾーンだった。とはいえ熱めに比べたら入りやすい、特に夏は。顕著な湯の花や泡付きは見られない。わずかに白い粒が漂っているし、家庭の一番風呂的なあぶくが肌に付着することはある。匂いは無臭に近い一方で塩素臭もしない。
浅間山を眺めるに最適な露天風呂
ぬるめ側の内湯が窓に接しており、中庭で見たような景色をガラス越しに見ることができるものの、できれば屋外でダイレクトに見学したいところだ。岩風呂のある露天エリアへ出ていけばそれが叶う。
目隠しの柵は高さ抑えめで、露天風呂に浸かりながらでも浅間山をしっかり拝める。風呂の大きさは、全員が浅間方向に目を向ける体勢なら4~5名、景色にこだわらず山を背に他客と向かい合わせになってもかまわないよという人が交じるなら7~8名いける。
お湯はやはり緑褐色。直射日光が当たるからなのか、やや黄色みが加わって黄緑ぽくなっている。温度は内湯2つの中間くらい。屋根がないため連日の記録的猛暑をもたらした強烈な日差しが降り注ぎ、そうそう長湯はできなかった。ちょいちょい休憩チェアの置かれた日陰へ逃げて座りながら浅間を見る。
露天にアブがいないのはいいね、と感心してたら終盤でブーンと嫌な感じの音とともになんか飛んできた。もう十分に堪能したし、と内湯へ戻ってぬるめ浴で仕上げて終了。絶好のロケーションを生かした景色はすばらしく、お湯じたいも涼しい季節になってくればさらに真価を発揮しそうな温泉だったな。
湯あがりのレモン水がうまい
去り際にロビー付近でレモン水のサービスを発見。
1杯飲んでみたら…水分に飢えていたせいもあるが…すんごいうまい。すぐに飲み干して2杯目・3杯目とがぶ飲みしてしまった。浅間を眺めて温泉とレモン水ですっかりリフレッシュしたぜえ。帰りの上信越道・関越道に突っ込む心の準備ができたぜえ。じゃあ帰るぜえ。
おまけ:布引観音の足元
営業開始15分前に当館付近に到着したため、どうにかして15分ほど時間を稼がないといけなかった。温泉名の由来になった布引観音に寄ってみるかな。「牛に引かれて善光寺参り」の逸話の舞台だとか。あの山のあたりみたいだな。
カーナビに従ったら千曲川沿いの狭い道路をしばらく走って山の麓へ導かれた。途中に車1台通れる幅しかないトンネルがあるから対向車に注意。千曲川が渓谷みたいな地形になっている。
麓の駐車場に止めて、さあ行くでと思ったら山を登らなければならないらしい。15分登るって。
これは…ちょっとした時間稼ぎの範疇を超えちゃってるな。かなりしんどそうだし熱中症警戒状況下で無理は禁物。やめておこう。布引観音の足元まで行ったというのはこういうことだ。
布引温泉こもろのロビーで見つけた案内図によれば、別の道を進めば観音様まで徒歩3分の山の上まで車で行けることがわかった。途中には風穴もある。しかしグーグルストリートビューで確認すると車1台がやっとの狭い道。対向車が来たら詰んでしまう。悩ましいなあ。
















