鮮やかな緑に輝く珍しい硫黄泉 - 熊の湯温泉 熊の湯ホテル

熊の湯温泉 熊の湯ホテル
地獄の猛暑がいよいよ本格化した。避暑地でぬる湯三昧といきたいところだが、暑さのせいでおかしくなったのか、妙な考えに取り憑かれていたのだ。少し前の時期に視聴した機動戦士ガンダムジークアクスの主要キャラ「緑のおじさん」にちなんで緑の温泉にこだわってみようかと。ぬる湯でなくてもいいです。

行き先は長野県。志賀高原なんか涼しそうでいいんじゃない。しかも志賀高原なら緑の温泉に心当たりがあった。その最たる存在が熊の湯ホテルだ。翡翠色・エメラルドグリーンと言われるが、自分の感覚だとライムグリーンが近い。とにかく鮮やかで珍しい色だ。硫黄系のお湯のクオリティもよろしくて、ニュータイプに覚醒しちゃいそう。

熊の湯ホテルへのアクセス

高速を最大限活用した長野経由も可だが、草津経由にチャレンジ

志賀高原は一大リゾート地だからバス便をあてにできる。当ホテルの目の前に熊の湯バス停があり、長野電鉄湯田中駅からの路線バスやJR長野駅からの急行バスが使えるようだ。冬季は道路事情やスノボ・スキー対応で話が変わってくるかもしれないため要確認。

緑のおじさんを気取ったおじさんはキケロガ(マイカー)を駆って行く。徹底して大佐、じゃなくてカーナビに従ったら、関越道の渋滞を避けたかったらしく、東北道~北関東道を走らされてしまった。途中まで完全に那須塩原へ向かう雰囲気で脳が混乱しちゃったよ。これがM.A.V.戦術=まじで?.アドバンテージあるの?.V字ルートで?.

高崎で関越に合流して渋川伊香保ICを出たら草津方面へ。途中で八ッ場ダムを見学したら(通算6回目)、どうも水位が低いような気がする。水不足が心配だな。もっと枯れたらダム底からシャロンの薔薇が出てきそう…水の色を見たまえ、我々が探し求める薔薇の色だ。
八ッ場ダム

天国のように涼しい志賀高原

ついでにダム近くの「そば処やんば」で早めの昼食。舞茸天そばを8割くらい食べたところで急にズシンと胃が重くなって膨満感に襲われた。これが地球の重力ですか…完食したものの夕食までに消化できるのか心配になってきたぞ。
そば処やんば 舞茸天そば
草津は素通りした。草津の湯も緑っちゃあ緑なんだが、未湯である志賀高原の温泉群を優先したかったので、そのまま渋峠へ向かい、国道最高地点にて記念撮影。宇宙(そら)に一番近い国道です。
日本国道最高地点の碑
あとは峠を越えて長野県に入ったら熊の湯まで下って到着。現地の気温は23℃くらいなうえ、山の天気らしく雲多めで…たまにガスってくる…日が差さないおかげで涼しい。ホテルの前は角間川。過去に泊まった角間温泉を思い出しますな。
熊の湯ホテル前の角間川

非常に珍しいライムグリーンの温泉

館内を漂う腐卵臭に期待が高まる

では入館。脱衣所にロッカーないので、必要なら玄関近くの100円ロッカーを利用する。正面のフロントで日帰り入浴料1500円をお支払いしたらタオルが付いてきた。右手にはお土産コーナーがございます。根曲がり竹の瓶詰めにちょっと心動かされたけど買わずにすいません。
お土産コーナー
大浴場は左手に進むべし。
ロビー
熊の湯だけに熊さんがおわしんす。このサイズの熊でもパンチ一発で人間の首をへし折っちゃうんだろうな。パワーとスピードを兼ね備えた熊に対抗できるのはドズル様くらいでしょう。
熊さん
大浴場への通路と脱衣所の前からすでに硫黄を思わせる腐卵臭が匂ってきた。腐卵を通り越して焦げタイヤの印象が混じってきてる。こいつは喜ばしい特徴だ。期待とともに脱衣所で分析書を確認すると「含硫黄-カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉、低張性、中性、高温泉」だった。PH7.3、湧出温度45.1℃を使用位置にて43℃で提供。湯使いは不明なれど、後日の調査によれば温度調整の加水のみで、加温・循環・消毒なし。

熱めで匂いはおとなしめな、濁った緑の内湯

浴室内は素朴な木造の湯小屋の雰囲気が良いですな。浴室で腐乱臭は意外と匂わない。それとも鼻が慣れてしまったのか。洗い場は5名分に加えてシャワーなしの蛇口のみが1名分。8名サイズの内湯浴槽も木製で、見事なまでに鮮やかなライムグリーンのお湯を湛えていた…キラキラだ! 浴槽の底が見えない程度に濁っている。

この色はここ熊の湯と岩手の国見温泉でしか見られないと、どこかで読んだ記憶がある。たしかに国見温泉で見た色によく似ている。ほかに同様の色を見た経験がないから、やっぱり相当珍しいタイプの色なんでしょう。一方で国見温泉ほど強烈に匂わない。

お湯をすくって鼻を近づけるだけで「うぇっ」と胸焼けしてくるような、うっかりすると目まいで卒倒しかねない怖さを感じた、国見温泉のあの強烈な焦げタイヤ臭はしなかった。もうちょっと上品寄りなゆで玉子臭もほとんど意識されない。※とはいえ事故を防ぐために換気を徹底している様子。

お湯は熱めで長く入り続けるのは難しい。もともと長湯するような泉質じゃないけど。しかも現地は涼しいといっても真夏だからね、なおさら短時間勝負になってしまう。そこでクールダウンを挟みながら何度か入り直すことで温泉とのトータル接触時間を稼いだのだった。

露天風呂のお湯は澄んだ緑だった

露天風呂もござりんす。こちらは6名サイズの岩風呂でお湯の色は内湯と同じだけどクリアに澄んでいた。内湯より浅めとはいえ、こんなに濁らなくなるのは不思議だなあ。お湯の中を観察しやすくなっているおかげで細かい湯の花の粒が漂っている様子などを確認できる。そんなに量は多くないが。

温度は内湯よりも入りやすい適温レベル。岩風呂の周囲にあまり空間的な余裕はなく、すぐに目隠しの岩や壁が立っているため眺望はないが、窮屈ではない。あと小さな滝みたいなのが見えたっけ。

夏山の露天風呂ということでアブの襲来を警戒していたら、そっちよりもブヨっぽいのが気になった。近くの岩に取り付いてうろうろするだけで、顔のまわりをしつこく飛び回らないから、ただのハエだったのかな。ともかく、やがてアブっぽい影がチラつき始めたからいったん退散。ビット(アブ)だのファンネル(ブヨ)だので攻撃してくるのは反則だよな。

こうして内湯に戻ったり、アブの様子を窺いつつ再び露天風呂へ行ってみたりを繰り返して小一時間が経過。他客は1~2名、独占タイムもあるような状況でライムグリーンの湯を堪能した。泉質湯質は文句なしで一見の価値あり・一浴の価値ありな温泉というところか。


おまけ:夏の横手山

翌日リベンジした横手山スカイレーター

入浴後は横手山スカイレーターへ行くつもりだったが、山の上の方がすっぽり雲を被っちゃってて、北アルプスや富士山を見渡せるという360度の絶景を拝めそうもない。

まず、絶景とは…何か(ネットリ)。せっかく山頂まで登っても、濃い霧に覆われ、真っ白な世界で何も見えない。これは、いけない。胸が躍るような大パノラマを楽しむことができないというのは、到底、許されない。今日はやめときましょうね。

翌朝になったらいくらかマシな天候だったから思い切って行ってみた。この日は横手山スカイレーター~スカイリフト~山頂~渋峠ロマンスリフト~バスで戻る周遊券のみ販売していた。スカイレーター=山を登る「動く歩道」みたいなやつだ。
横手山スカイレーター
スカイレーターから見えた景色がこちら。まだ雲が多い。
スカイレーターから見えた景色
続いてスカイリフトに乗り継ぐ。
横手山スカイリフト

ニッコウキスゲの咲く山頂

山頂の展望台から見えた景色がこちら。遠くの山は見えず、かといって雲海でもなく、どっちつかず。
横手山頂から見えた景色
雨とか真っ白な世界じゃなかったからまあいいか。あとニッコウキスゲが見られたのは良かった。
ニッコウキスゲなど
続いてロマンスリフトで渋峠へ下る。
渋峠ロマンスリフト
終点付近で見えてきた渋峠ホテルは群馬・長野両県にまたがっているようだね。
渋峠ホテル
リフトの終点で待っていたバスに乗ってスタート地点へ戻って周遊完了。