緑の温泉にこだわった真夏の長野遠征もいよいよ後半戦となり、場所を千曲市へと移してきた。そう、緑といえばなんといっても戸倉上山田温泉でしょう。お湯の美しさでは個人的に最上位ランクだし、たいがいの施設で源泉かけ流しかそれに近いクオリティを期待できるという、稀有な存在。
ご当地には七福神になぞらえた7つの共同浴場があって良質美麗な湯を気軽に楽しめてしまう。いきなり全制覇とかは話が大きすぎるにしても、せっかくだから1箇所くらい体験しておきたいなあと。
そこでいろいろ調べて選んだのが戸倉観世温泉。お湯はまさに期待通りのビューティフルな緑で浴感も上々。見て良し・入って良しな「一浴で二度美味しい」温泉だ。
戸倉観世温泉へのアクセス
駅からバスはあてにできず
戸倉上山田温泉を構成する各施設は千曲川を挟んで東西にわかれる。当館は東側になり、最寄りのしなの鉄道戸倉駅から1.5km・徒歩20分といった距離感。千曲市循環バスの更級戸倉線を利用すれば近くまで行けるみたいだけど、JR篠ノ井線姨捨駅経由でかなり大回りになるし、朝夕便だけだし、土日祝が運休だから旅行者向けではない。
という事情に関係なく自分はマイカーで行った。旅の2日目に志賀高原の硯川ホテルを出た後は小布施の穴観音の湯へ立ち寄り、次に目指したのがこの日第2の立ち寄りとなる戸倉観世温泉であった。
今宵の宿へのチェックインをあまり夕方遅くにしたくなかったので、ケチらず小布施スマートICから上信越道を利用。過去に松代から高山村への移動に節約気分で下道を走ったらひどい渋滞にはまって(国道18号で長野市街へ突っ込むルートを取ったせいだが)宿への到着が遅れた苦い思い出もあったし。
住宅街に現れた毘沙門天
目論見通りスムーズに走れたけど、カーナビが更埴ICで出ろというわりには手前の更埴JCTでしきりに左へ曲がれと指示してくる。しかし現実の標識はJCTをまっすぐ長野道方面へ進むとすぐ更埴ICがあるような表示だ。しばし混乱した後、現実の標識を信じて直進。ほら~まっすぐで正解じゃん。カーナビも生成AIと同じで嘘が混じるからな。頼りきりは危ない。
あとは国道18号を走って戸倉駅入口を過ぎて少ししたら、今度こそカーナビの指示したところで右折。そこは信号のない交差点だったかもしれない。すると住宅街の狭い路地…対向車との離合に苦労するほどではないが…の先に当館が現れた。駐車場は結構埋まっている。人気ありますな。
ちなみに外湯七福神の中では過去にちくま白鳥園(福禄寿)を訪れており、戸倉観世温泉(毘沙門天)が2番目となる。
これほどの湯を銭湯気分で利用できてしまうワンダフル
観音様のお導きで湧き出した温泉
では入りやす。下足箱は100円リターン式ロッカー。続いて券売機で入浴券を…なぬ?! 300円だと?! 温泉関係ない一般銭湯並み、いやもっと安いんじゃないの。これなら常用できそうだなー。ご当地の皆さんがうらやましい。
ちょっと奥まったところに休憩コーナーがあった。八ヶ岳牛乳を置いてたと思う。
そこには当館の由来が掲げられていた。昭和17年に観世音菩薩様のお導きにより湧出した温泉だとか。だから観世温泉ね、なるほど。昭和17年と簡単に書いてしまったが、考えてみたら80年以上も営業を続けてるってことか。すげーな。
男女別のドアを通り抜けると番台があるから入浴券を提出する。その先がすぐ脱衣所になってるのは普通の町の銭湯と同様。通常の脱衣かごとコインいらずのロッカー。天井に近い壁のところに泉質説明板が付けられてて「単純硫黄温泉、低張性、アルカリ性、温泉」と書いてあった。46℃と44℃の源泉を使用しているような記述だったかと。明記した文を見つけられなかったものの、加水・加温・循環・消毒なしの完全源泉かけ流しだと思ってよさそうだ。
メロンソーダのような色のお湯
では浴室へ。中間に仕切りの壁などはなく、窮屈さを感じさせない空間が広がっていた。四方の壁に25組のシャワー+蛇口が生えている。シャンプー・石鹸の類は置いてないので持参するか、番台で購入しよう。入ってすぐにかけ湯コーナー。いや、上がり湯って書いてあったから出る際に使うのかな…念のため最初にも使った。
浴槽は中央にデーンと大きい主浴槽がひとつと、右奥に小さい浴槽がひとつ。主浴槽を満たすお湯の色は戸倉上山田らしい美麗な澄んだ緑であった。人工的に着色したわけじゃないのにこんな色が出るの?って不思議に思うようなメロンソーダ色だ。
実は無色透明で浴槽タイルの色を反映して緑に見えてる可能性も考えたけれど、観察すればするほど、やっぱりそうじゃなくてお湯じたいの色だよなあ。で、主浴槽に浸かってみると適温。冬はよくても夏場にはちょっと熱い。湯の花や泡付きに強い印象なし。
主浴層は余裕で10名以上入れそうなサイズで、2名分に相当する一部が浅く作られており、残りに10余名が収まりそうな感じ。湯口からの投入は十分多い。お湯の色だけ見たらジュースみたいで飲んでみたくなるが、匂いを嗅ぐと硫黄のタマゴ臭をしっかり感知したので、実はエグい味の可能性もあるな。飲んでないから知らんけど。
人気の小浴槽は特徴をつかみきれずに終わる
もうひとつの小さい方は木の浴槽で実質1名サイズ。詰めれば2名いけるにしても知らない者同士だと変な空気が流れるかも。人気があるとの事前情報通り、たしかに空いてもすぐに後釜が入る。もしかしてぬる湯だったりして?! うーん気になる。
うまくチャンスを見つけて小浴槽をゲットした。温度は適温だった。主浴槽よりぬるめな気がしなくもないけど、正直なところはっきりとした違いはわからない。浴槽が暗い木の色であるためにお湯の鮮やかな緑色を視認できない。というか色を特定できなくなっている。
木の材質と泉質によりすべりやすくなっているから注意。おじさんは湯船に足を踏み入れた直後にスッテンコロリンして腰をしたたかに打ってしまった。温泉に来て負傷して温泉で治すというマッチポンプ。
何回でも来たくなる温泉
長湯はせず適当な頃合いであがった。それにしてもしっとりしたお湯で浴感は上々、湯あがり後はスベスベ肌になる。タマゴ臭に特別感があるし美麗な緑色は印象的だ。さすが観世温泉、さすが戸倉上山田。
この遠征を終えた時点でご当地の旅館に通算3泊、共同浴場は通算2箇所を体験した。しかし「もういいや」とはならず、そのうちまたあの緑色&タマゴ臭を求めてしまうんだろうなあ。七福神はあと5箇所残っているし。
今遠征のテーマ「緑の温泉めぐり」を思いつくきっかけになった緑のおじさん=機動戦士ガンダムジークアクスのシャリア・ブルならこう言うだろう…まだ行き続けねばなりませんか。



