戸倉上山田でダンディに湯浴み - クラブウィンダム千曲館長野

戸倉上山田温泉 クラブウィンダム千曲館長野
ガンダムジークアクスに登場する緑のおじさんから思いついちゃった「緑の温泉めぐり」の2泊目は戸倉上山田温泉。やっぱり緑といえばここでしょう。色がきれいで泉質も良いから、ふと思い出すと行きたくなってくる。過去に2回訪れていて今回が3回目。一人泊NGだったり高級すぎて手が届かない宿もあるから、適切な候補をうまく探さないとな。

そしたら見つけたのだ。高級そうなのに自分の予算感にどうにか収まる「クラブウィンダム千曲館長野」を。名前からするとハイソな会員制ホテルが空室を非会員にも提供しているっぽい。身の丈以上な予感はするけどダンディな緑のおじさんを気取って行っちゃいますか。ということで場違いを承知で訪れたのである。

クラブウィンダム千曲館長野へのアクセス

偶然見つけちゃった大人の隠れ家

当館はもともと「遊子千曲館」という和風旅館だった。たぶんそのままだったら一人泊NGか、料金が見合わず自分などお呼びでなかっただろう。それが世界的なタイムシェアブランドであるクラブウィンダムの傘下に入ってリニューアル。縁がなさすぎてタイムシェアの仕組みをちゃんと理解していないが、ヒルトンやマリオットと同業らしい。

いかにもリッチな大人の世界ですな。うーん、マンダム(特定の年代にしか通じないダンディズムのフレーズ)。だったらなおさら縁遠くなりそうなものなのに、なぜかネットの旅行予約サイトに、普通のホテルの体裁で空室が出ていたのだ。しかもやや高めだけど手が届く範囲で一人泊もOK。

こいつは掘り出し物なのか? 客層が世界各国のリッチそうな方々ばかりで、日本人庶民が自分だけだと浮いちゃうかな、とも考えたが、緑のおじさんのダンディズムを心に宿して切り抜けようと決めたのである。うーん、ガンダム&ウィンダム。

裏路地への誘導に気をつけろ

当館へのアクセスの基本は戸倉上山田温泉の一般論と同様だから省略します。注意すべきは車で行く場合、カーナビに住所を入れて案内させると下のような狭い路地へ誘導され、裏の従業員口へ連れてかれてしまう。※かつてはそちらが表玄関だったらしい。
温泉街の狭い裏路地
広くはないにせよ常識的な幅の車道…リバーサイド上田館・笹屋ホテル・畑山ハイヤーのある通り…に面して正面玄関と駐車場があるからそれらを目標にしよう。

自分は志賀高原→小布施・穴観音の湯→千曲市へ移動し戸倉観世温泉を経て従業員口へ誘導された。世界のウィンダムの玄関がここであるはずがないと、車を置いて徒歩で周囲を偵察し、地形を把握してから正解の駐車場までたどり着いた。


初めてウィンダムのホテルに入った

ハード面は正統派の“ちょっといい”和風旅館

鯉の泳ぐ池付き通路の先に玄関があり、入るとすぐに夢想琴・彩華琴なるものがあった。水を流して音を鳴らして雅に楽しむのかな、知らんけど。
夢想琴・彩華琴
ロビーがこちら。必要以上に洋風のアレンジは入っておらず、海外向けにエキゾチック・ジャパンを狙った変なひねりもなく、しっかりとグレード感のある正統派和風旅館の趣きだ。
ロビー
どうやら当時、物珍しげにパシャパシャ撮影するのが我ながら憚られたらしく、あまり写真を残していないことに気づいた。なので館内の紹介はここまで。ひとつ付け加えると、ロビーの隣がお酒の飲めるラウンジになっており、指定の時間帯に行くとフリードリンクを1杯サービスしてくれる。自分は風呂あがりにビールをお願いしました。
ラウンジでサービスされたビール

思わず恐縮する立派な和洋室

案内された部屋は5階の和洋室だった。入ってびっくり。こんないい部屋に泊めてくれるの!? おひとり様には添乗員部屋とか訳あり部屋とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと豪華なものの片鱗を味わったぜ。
クラブウィンダム千曲館の和洋室
思わず反対側からも撮影しちゃったよ。写真に見えるドアは施錠されてて開かない。隣の部屋に通じていていて、2部屋をつなげてスイートルーム的に使う際に開放するのではと思料。隣室にお客さんの入ってくる気配がした時、このドアを開けようと力づくでガチャガチャやり始めたから、怖くて泣いちゃった。
和洋室の様子 その2
当然ながらシャワートイレ・洗面台あり、暗証番号方式のカッコいい金庫あり、空の冷蔵庫あり、WiFiあり。旅館によくあるお茶だけでなくドリップバッグコーヒーも用意されている。自分にとっては十二分にゴージャスな部屋でテンション上がりますな。窓から見える景色がこちら。面倒になってスマホを窓ガラスに押し付けて撮影。
窓から見える景色
なんかもうね、景色のギラギラ猛暑感がすごいわ。千曲川沿いゆえ盆地と同じで熱気がこもりやすい地形。南関東の地元とあまり変わらない暑さだったな。長野県だから涼しいわけじゃない。


多彩な湯船で戸倉上山田温泉を堪能せよ

大きく二手に分かれる大浴場

千曲館の大浴場は1階。途中のT字路で通路が二手に分かれ、(1)男女別・入れ替えなしの露天風呂付き大浴場と、(2)男女入れ替え制の内湯に通じる。(2)については男性タイム・女性タイムのほか、クラブウィンダム会員様向けタイムもあるから、運用をしっかり理解して臨むべし。

チェックイン直後に(1)の男湯へ行ってみた。男湯女湯へ分岐する地点に牛乳&コーヒー牛乳を入れた冷蔵ケースが設置され、説明によると各自1本までは無料サービスぽい。うーん、ウィンダム。でもおじさんはお腹がゴロゴロしだすのを恐れてやめておいた。たぶんアカディじゃないとだめな体質だと思うんだよな。旅行中にキケロガからキケロガが出てくる事態は避けねばならぬ。

同じ場所に分析書あり。脱衣所にもあったかな。それぞれ内容は微妙に違うが、適当にまとめると「単純硫黄温泉、アルカリ性、低張性、高温泉」のPH8.7、源泉温度43.3℃となる。源泉名は千曲1号~4号だったり別の名前だったりいろいろ。湯使いは不明。

エメラルドグリーンのお湯が美しい

浴室には7名分の洗い場。あとは四角い内湯浴槽がひとつ。お湯の見た目はクリアな戸倉上山田グリーンで大変美しい。若干青みが加わったようにも見え、まさにエメラルドグリーンとはこのこと。湯口はミニ噴水のようなデザインで十分な量を投入し続けている。

サイズは横一列に互いに余裕を持つなら6名まで、向い合わせを許容して互助精神を発揮するなら10名いける。浸かってみたら熱めの適温だった。夏にはもっとぬるい方がいいかな。微かにタマゴ臭が匂うお湯で、尖った個性までいかない上品なレベルで温泉らしさを主張している。

露天風呂は…すごく広い!…と思ったら大部分が池でした。実際は4名サイズ。大げさに言えば池との境目があいまいなインフィニティ風呂と考えられなくもない。特に内湯からガラス越しに見ると一体化したものと勘違いしやすい。露天風呂は内湯より若干ぬるい適温だった。屋外で熱気がこもりにくいし、入りやすいでしょう。

のちに聞いたところによれば、池にも低温の別源泉を流していて、そのおかげで鯉が大きく成長しているんだとか。ぬる湯派としてはそっちの低温泉にも入ってみたいものだ。

最も本格的な湯質だと感じた大正ロマンの湯

夕食後に(2)へ行った。男湯は「大正ロマンの湯」と名付けられていた。浴室の一方の壁がステンドグラスになっている。なるほど大正ロマン。7名分の洗い場と、半円的な浴槽を中央で仕切って3~4名サイズ×2区画にした内湯がある。面白いことに左右の区画でお湯の色が違う。右が青っぽいささ濁り、左がいかにもな澄んだエメラルドグリーン。

右はタイルのせいで青く見えるだけでお湯は無色透明かもしれない、匂いも無臭に近いし、もしかしたら真湯じゃないかと訝ったが、後日の調べによると上山田源泉を引いているとのこと。ぬるめの適温で若干ピリッとくる感触があった。当時は真湯の可能性を捨てきれずあまり深入りしなかったのは、いま思えばもったいないことをした。何年も温泉めぐりしてても利き湯のような真似はできないから、こういうことになる。

左は明らかに温泉だ。後日の調べでは千曲源泉。左よりも熱めの適温で、タマゴ臭が結構強めに匂ってくる。浴感もなんだか「効くわ~」って感じで、体験した中では最も濃い温泉だと思った。温度や露天かどうかや広さや雰囲気を抜きにして湯質だけにこだわるなら、ここが一番狙い目でしょう。

マイルドな感じの飛泉の湯

翌朝は再び(2)へ。男女入れ替わった男湯は「飛泉の湯」と名付けられていた。浴室は純和風。全体に大正ロマンよりもひと回り小さく、洗い場は5名分。内湯浴槽は3名サイズ×2区画。

左右どちらか忘れたが、一方が千曲源泉と思われるエメラルドグリーンの適温湯。大正ロマンのそれと異なり、マイルドでおとなしいお湯だと感じた。もう一方は半濁りでややぬるめだから、大正ロマンにもあった上山田源泉に違いない。しかし青っぽさはなくて緑寄り。

男女とも1泊中に計3浴場へトライできるので入り甲斐はある。いずれも戸倉上山田らしいお湯を楽しめるし、湯あがりのスベスベ感は相当なもの。いいと思う。


ウィンダムでダンディーなお食事を

テンよし、中よし、終いよしな夕食

クラブウィンダム千曲館の食事は2階の大広間で。開始時間をいくつかの選択肢から選べる。夕食を18時にしてもらい、行ってみると部屋番号に対応したテーブル席へ案内された。他客と視線が交わらない一番端っこだったのはありがたい。スターティングメンバーがこちら。
クラブウィンダム千曲館の夕食
主役はすき焼き鍋、ご飯は釜飯でございます。おっと、前菜の蓋を外すのを忘れてた、もう1枚どうぞ。
クラブウィンダム千曲館の夕食 その2
まず食前酒をいただく(お品書きは梅酒、受けた説明の記憶はあんず酒、気持ちは後者)。がっつり冷えてて果実の香りと甘みが強くて清涼感で胸が満たされる。アルコールのくどさがないからすいすい飲める。この味わいは今世紀の…千曲の左岸ですか。

というシャリア・ブルごっこをワインでやりたかったけれど、値段を見たら怖くて泣いちゃった。→白いワイン…何だ? この言い知れぬ恐怖は。私はいつかどこかで、あのワインに(経済的に)討たれたことがあるのか?! ということでビールに逃げた。

脱線しすぎた。宿のグレード相応の大変よろしい内容で、下手に語るとボロが出るからやめておくが、多そうに見えても「うまいうまい」と完食してしまったのである。ふだんは絶対口にしないレベルの牛肉をいただいたし、信州=そばのイメージだから凌ぎにそばがあるのも良かった。

旅館飯のお米はお腹いっぱいで残すことが多いのに、釜飯までコンプリートしちゃったからね。うーん、ウィンダム。

ご飯のお供には事欠かない朝食

朝食は7時半を希望した。前夜と同じテーブル席へ案内され、スターティングメンバー+着席してから運ばれたもろもろと火をつけられた湯豆腐鍋がこちら。
クラブウィンダム千曲館の朝食
グラスは食前酒…んなこたぁーなくてリンゴジュースだ。ふむ、今世紀の千曲の左(以下略)。御のりは前泊地の硯川ホテルでも見たぞ。長野ではポピュラーなのだろうか。ほかにもあれこれ、普通の人ならおかわりしたくなるくらいにご飯のお供がいろいろある。おじさんは胃の容量的におかわりが難しかったので、おかずの多くをご飯と絡めず単体で味わうといういつもの作戦に出た。

ちなみに食事会場で見た限り、客層の大半は日本人だった。未成年連れファミリーはほぼいなくて中高年夫婦が主。わずかに若者グループや欧米系・アジア系のお仲間一同ってところ。スタッフの皆さんはグローバル人材が多い。

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縁遠いはずのクラブウィンダムのホテルをひょんなことから利用することになった。ハード面はさすがのグレード感、サービス面も元のクラシカルな和風旅館にウィンダムのノウハウが注入された感じでうまいことやってくれる。温泉は戸倉上山田クオリティのいいお湯だ。同じ条件で一人泊できるチャンスが今後もあるのかはわからない。そう思えば行っておいて良かったといえる。

ちなみに全員じゃないが、一部の客はクラブウィンダムの説明会に誘われることがある。なるほど、会員以外にも泊まれる機会を設けているのは、マーケティングを兼ねてるってことかな。ダンディな世界に興味があればどうぞ。