ナイスなお湯&和洋折衷のおもてなし - 戸倉上山田温泉 亀清旅館

戸倉上山田温泉 亀清旅館
サウナのような酷暑も何のそので「温泉に行きたーい」という要望の声にお応えして、車でお連れすることになった。ただし前回の道北旅行でだいぶ休みを使ってしまったから1泊2日ね。場所は良泉で知られる戸倉上山田温泉にした。山岳や高原のように涼しいわけではないだろうし、ぬる湯でもないのは承知の上。

数ある旅館・ホテルの中から選んだのが亀清旅館。正月頃だったか、冬に観ていた温泉番組で紹介されたのを覚えていたのでね。若旦那が米国シアトル出身の方だそうな。

お湯は安定の戸倉上山田温泉クオリティですばらしい。百年風呂なる露天風呂も、客室付きの露天風呂も大変に結構。しかもそんなに熱くなかった。バッチグー。

戸倉上山田温泉・亀清旅館へのアクセス

電車でも車でも、お好きな方で

戸倉上山田温泉は2年前の春に初めて訪れた。当時は新幹線としなの鉄道を乗り継いで、戸倉駅から30分くらい歩いたんだったな。外湯が充実しているから湯めぐりしながら目的地へ向かう作戦もあり。

あれから時代は変わった。おじさんもマイカーを持つ身となり、千曲市までなら特に問題なく運転できるくらいになっていた。お連れするメンバーを乗せていざ出発。東京方面から現地まで、出発地点によって変わってくるだろうけど一般論的には、関越道→上信越道のルートになるだろう。

埼玉県内でひどい渋滞に巻き込まれて想定外に時間を要し、横川SAで朝昼兼用にしようと計画していた峠の釜めしを口にしたのは昼過ぎだった。横川も首都圏と変わらない暑さだったし、次に休憩した東部湯の丸SAも同じ暑さ。だめだ避暑になってない。

ここも灼熱だった、姨捨の棚田

坂城ICを出てから現地へ直行せず、まず向かったのが姨捨の棚田。よく下調べせず適当に付近を走ってたら棚田駐車場というのがあったので車を止めた。そこから坂道を数分上ってみたところ、命に関わりそうなあまりの暑さでやばかったので、あっさり引き返した。
姨捨の棚田
ちゃんと絶景を見るならもっと上まで行って棚田を見下ろさないとだめだと思うし、上には展望所が整備されていたかもしれないが、熱中症の危険がやばすぎて無理っす。離脱しまあす。さらば善光寺平の風景。
善光寺平
日差しが凶器。灼熱地獄のこんな世の中じゃ屋外ぶらつくのは絶対無理だな。戸倉上山田温泉に着いても温泉街を散策する気力はなく、あっさりと亀清旅館入りしたのであった。場所は外湯のひとつ・湯の華銭湯瑞祥の斜向かい。


古き良き和の雰囲気と洋テイストの融合

クッキーでウエルカム

車で来た場合、駐車場のことはこちらで考えなくていい。玄関前に車を付けておいてキーを渡せば適当な場所へ収容してくれる。ではチェックイン。外観・館内とも古き良き和風旅館の雰囲気が残っている。ロビーはこんな感じ。亀がいますね。奥には池付きの立派な中庭がある。
亀清旅館のロビー
さっそく若旦那のタイラーさんが出迎えてくれ、流暢な日本語でいろいろ説明を受けつつ、部屋まで案内された。今回予約したのは1階の露天風呂付き10畳+広縁客室。奮発しましたよ。
亀清旅館 露天風呂付き10畳客室
部屋に入るとタイラーさんがお茶を入れてくれた。ウエルカムお菓子の手作りシアトルクッキーはシナモン風味でうまい。お土産に買っていくこともできる。
シアトルクッキー

露天風呂は後の楽しみに

布団は夕食中に敷いて朝食中に上げてくれる方式。スペース広めのシャワートイレあり、洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり。WiFiあり。部屋は昔ながらの雰囲気を残しつつ、きれいに改装された様子で、いい感じだ。窓の外は奥行きが限られるものの庭が整えられている。
外は小さな庭
客室付き露天風呂は1名サイズの陶器風呂だ。湯口に亀。あとで堪能しましょうかね。
客室付きの露天風呂
ちなみに自販機は見当たらず。大浴場前の廊下の給水所&ドリンク冷蔵ケースに缶ビールが入っている。料金は設置してある料金箱へ入れるか、チェックアウト時に申告精算する。


戸倉上山田クオリティを存分に楽しめるお風呂

エメラルドグリーンに染まる大浴場の内湯

亀清旅館の浴場は1階奥。21時までは手前が女湯、奥が男湯。21時に男女が入れ替わる。夕方の男湯へ行ってみた。こちらの方が大きくてメインとなる浴場のようだ。脱衣所に分析書が貼ってあって「アルカリ性単純硫黄泉」とのこと。加水・加温・循環・消毒なしの100%源泉かけ流しはさすが。◯◯号、◯◯号、…と9種類の号数からなる混合泉のようだ。

浴室内にカランは5台。中央奥に5名サイズの四角い浴槽がある。湯口にはやっぱり亀。お湯の見た目はいかにも戸倉上山田を彷彿とさせる美しいエメラルドグリーンだった。なんでこんなきれいな色が出るのかね、おもしろい。浸かってみると適温。とはいえ熱すぎることもなく、真夏のわりには思ったより長く入っていられた。これならいいんじゃないかな。

お湯はやや腐卵臭寄りの硫黄らしい匂いがする。そしてアルカリ性だからか、ちょっとしたぬめりがあった。ザ・温泉と呼びたいほどの個性がはっきり出ているから、温泉旅行に来たぜという満足感・達成感は十二分に味わえる。

かけ流しされたお湯が浴槽からオーバーフローする様子もよくわかる。床の中であふれたお湯の通り道になっている箇所は析出物ですっかり白くなっていた。こいつは本物だぜ。

若旦那渾身の作り込み・百年風呂

ふと「百年風呂」の張り紙に気づいて外へ出てみると露天風呂が待っていた。3名サイズの岩風呂であり若旦那が作ったものらしい。すげーな。お湯は無色透明に見える。緑色じゃないのか、不思議だなあ。匂いを嗅げばしっかりとタマゴ臭を主張してくる(腐ってないゆで卵に近い)。内湯に比べるとぬめり感がなくてスッキリさっぱり系。

こちらも全然熱いと感じない温度なのでオッケー。周囲は庭園風に整えられ、静かにのんびりできる環境だ。他客の出入りも少なく落ち着いて入れるのがいい。

夕食前に再度入りに来たところ、直前のゲリラ豪雨で大量に天然加水された影響なのか、百年風呂のお湯が少し緑色を呈していた。白い糸くず風の湯の花も目についた。温泉は生き物ですな。

小浴場には2つの露天風呂

翌朝は男女入れ替わった方の浴場へ。こちらは規模が小さめで浴室内にカランは3台。右側にある内湯浴槽は細長い形をしており、各自が体育座りすれば4名まで一列に並んで入れるサイズ。湯口にはやっぱり亀。お湯はお大きい方の内湯と同じと思っていい。美しいエメラルドグリーンで熱すぎない適温。タマゴ臭。

露天エリアには百年風呂のかわりに個人用の露天風呂が2つ設置されている。ひとつは四角いヒバ風呂で普通は1名サイズだけど仲良しこよしのペアなら一緒にどうぞ。

もうひとつの楕円形の陶器風呂は完全に1名サイズ。ヒバ風呂と陶器風呂のお湯は無色透明でぬるい。長湯向きだ。いずれも頭上から雨が落ちてこないようにガードされている。温泉街のど真ん中なので、もちろん塀に囲まれてて眺望はありません。

客室露天風呂は若干熱め

最後に部屋の露天風呂について。洗面所からシャワーブースに続いて外へ出ると1名サイズの陶器風呂がある。これも無色透明の湯。

温度は他と比べて若干熱め。とはいえ熱すぎることはない。匂いや浴感には戸倉上山田の特徴が出ていて申し分なく、印象としては小浴場の露天風呂の温度を熱めにした感じかな。


絶妙にいい線を突いてくる食事が良い

アレンジの妙を感じられた夕食

亀清旅館の食事は朝夕とも1階食事処で。個室ではなく、かといって全員集合でもなく、数組ごとに中規模の広間に集まる方式だと思われた。広間の前にはにぎやかな飾りが。
食事処前の飾り付け
チェックイン時に希望した夕食時間になると部屋に電話がかかってきた。案内されたテーブル席に並んでいたスターティングメンバーがこちら。
亀清旅館の夕食
安定の和風旅館飯のように見えながら、亀清らしいアレンジが随所に施されている。たとえば茶碗蒸しは、本来の黄色い本体の上にバルサミコ酢が乗っかって、外見はまるでプリンのよう。酸味がいいアクセントになっててうまい。この組み合わせは思いもつかなかったな。

あんずの里らしい品々

途中で鮎塩焼き・うなぎのホニャララ・信州サーモンのあんずソースがけもやってきた。ああもう腹いっぱい夢いっぱい。
亀清旅館の夕食その2
ちなみに千曲市はあんずの一大産地。あんず酒を注文して飲んだメンバーはたいそう気に入って、お土産にあんず酒を買っていった。※当館で出される自家製あんず酒は持ち帰り用の販売をしてないため別のお店で買った。

夕食後にちょっと外を散歩してたら、背後の山の上にネオンが灯っていた。右から左へ「戸倉上山田」+温泉マークと並んでいる。隣のお寺は城泉山観音寺(善光寺大本願別院)。
夕刻のネオンサイン

朝食にもあんずの姿

朝食も同じ場所で。やはり時間が来て準備ができると部屋に電話がかかってくる。いつものように写真を撮ったつもりだったが…。
亀清旅館の朝食
チクショー!!! ぼけぼけやんけ。まあオーソドックス系の品々で、魚は鮎の甘露煮だ。この甘露煮はお土産用にも売っている。あんずが添えられているのが結構ですな。

納豆はよくあるパックのやつとは違い、豆が大きめでやや黒ずんでおり、しょうゆをかけずとも濃いめの味付けがすでになされていた。ご飯なしで単体でもいけちゃう。

 * * *

千曲川のそばで山間部じゃないし、長野も昼は首都圏並みの厳しい暑さだったが、それは最初からわかっていたこと。むしろ温泉はいい具合の温度で提供されており、楽な気分で入浴できたのがよかった。源泉のクオリティと湯使いは言うことなし。

古き良き的なところを残しつつハード面サービス面に適度な近代化とアレンジが加わり、若旦那若女将が頑張っているのがよくわかる。いい宿だ。


おまけ:帰りの寄り道コース

翌朝チェックアウト後は「あんずの里」へ。ところが事情をよく理解していなくてちょっと混乱した。観光農園を含む総合レジャー施設を想像してたら、千曲市には「あんずの里 ◯◯」と名の付いた観光地があちこちにあるのね。あちこちさまよった挙げ句、あんずの里物産館に落ち着いた。

ここのあんずジュースがうまい。写真は取り忘れた。

その後は上田の別所温泉へ。お連れしたメンバーは昼に湯めぐりする志向を持ってないから温泉には入りません。北向観音を見学しただけよ…ちなみに自分は4年前に1回来ている
別所温泉 北向観音
今日も晴れて暑い暑い。お参りしたら逃げるようにその場を離れ、参道のカフェでお茶して帰りました。
北向観音の参道
上田に寄ったのは完全に個人的な野望からだ。この機会に距離感・土地勘をつかんでおけば、別所・霊泉寺鹿教湯さらには青木村の田沢・沓掛あたりを車で回るプランが視野に入ってくる。俺、運転に慣れたら上田に遠征するんだ…(フラグ)。


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