長野県の小布施町。有名ですね。栗とか葛飾北斎ゆかりのスポットとか。しかしそれだけじゃない。隣接する「あけびの湯」とともに良質の湯と絶景で名をあげているのが「穴観音の湯」だ。近くに安置されている穴観音様に由来した命名らしい。
午前中を中心にお湯が緑色に見えるということで選んでみた。なぜなら今回の長野遠征のコンセプトが「緑の温泉めぐり」だったからである。機動戦士ガンダム・ジークアクスを視聴した影響→緑のおじさん→緑の温泉、という安易な発想。
実際は内湯が緑白濁で露天風呂が透明だった。高台にあって内湯からも露天風呂からも小布施の町と北信五岳を一望できる。当時は雲がちょっと邪魔だったが。
おぶせ温泉 穴観音の湯への道
志賀高原ゴールデンラインをつまみ食い
遠征2日目、志賀高原の硯川ホテルをチェックアウトして、まず前日に天候の関係で見送った横手山スカイレーターを体験すると、続いて東館山を目指した。蓮池を起点とする志賀高原ゴールデンラインを利用すれば3本のゴンドラを乗り継いで山頂まで行ける。
支出をケチって3本目の東館山ゴンドラだけ乗ることにし(セコい…)、3本目起点の発哺温泉までは車で行った。しかし結果的に料金は劇的に安くならず、ただの甘い考えだった。しかも山頂は完全に雲の中に入っており、遠くの景色がまったく見えない白い世界。可視光域ミノフスキー粒子を大量に散布しやがってえぇぇ~!! 見えないんだよおぉぉ~!!
だが来た意味がすっかり失われたわけじゃない。一周30分の高山植物園を見学することはできるのだ。しばらく高山植物の写真をどうぞ。
植物のことはわからないし名前も知らないからうかつに語れません。
紫のネコジャラシみたいな花にはやたらとヒョウ柄の蝶が止まっていた。花はクガイソウ、蝶はヒョウモンチョウというらしい。
本当にいろいろな種類がある。語れないけど。
これはわかる。アヤメでしょう。ここにはヒオウギアヤメとシガアヤメがあるらしい。どっちかは知らん。
当初予定を変更して小布施へ
復路のゴンドラで下山した後は湯田中・渋温泉郷の方まで下りていき、当初の立ち寄り候補地であった箱山温泉へ向かった。そこも緑色の温泉を標榜していたからだ。ところが現地に着いてみると「温泉ポンプ故障のためしばらく休業」の張り紙。うわー、フラれたー。
…なあに、パニックになることはない。当初の候補から泣く泣く外した穴観音の湯があるさ。小布施までさらに走って当館に到着。こちらは無事に営業中。
なお、電車・バスで行く場合は長野電鉄小布施駅から小布施町の周遊シャトルバス「おぶせロマン号」を利用して10分。運行日や時間には要注意。2km・30分を覚悟すれば小布施駅から徒歩も不可能ではない。
絶好のロケーションに立つ穴観音の湯
観音様のお告げにより掘り当てた温泉
お隣のあけびの湯と間違えないようにね。どちらも高台にあり、駐車場から専用エレベーターで上っていくようになっている。
エレーベーターを出て通路の先の待合室みたいな場所がちょうどいい展望所になっていた。
山の形からすると、右のガラス窓に見えている、山頂に雲がかかっちゃてるような気もするのが飯綱山じゃないかと。だとすると戸隠・黒姫・妙高・斑尾は窓に顔を寄せて首を曲げて一生懸命右方を覗き込まないと見えないのかもしれない。
北アルプスも見えるらしいですよ。今日はたぶん雲と霞で隠れちゃってるでしょう。知らんけど。
たしか券売機で入浴券を買うんだったかな。750円。その奥に穴観音の分身を祀ったスペースがあった。温泉の由来も書いてあり、福島正則公がこの地に流された際に岩窟に観音様を安置→後年、創業者が夢の中に出てきた観音様のお告げに従ったら温泉を掘り当てたのだそうだ。
裏口から外へ出ると穴観音参道に通じている。もしお時間あれば見学どうぞ。自分はスケジュールの都合でパス。
緑白濁湯で好眺望というハイスペックな内湯
ではお風呂へ参ろうか。階段でちょっと下りた先が男湯で、脱衣所には無料の、少なくとも100円戻って来る式のロッカーがあったはず。分析書には「含硫黄-カルシウム・ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」と書かれていた。泉温44.1℃。加水なし、加温あり、循環あり、営業開始前にアンモニア塩による消毒あり。
浴室の洗い場は普通ぽいタイプが4名分と、なかなかユニークな四角柱(浴室の壁に対して45度傾けてあるため、ひし形の印象が強い)の各側面にカランが付いた計4名分のタイプが2柱で、トータル12名分用意されている。全体の規模感からして十分でしょう。
内湯浴槽はひとつ。6~7名いけそうなサイズで右端にはジャグジー泡の噴出口が3つ設けられている。湯口の上には観音様が鎮座しており、そのご利益のおかげか、なかなかの投入量を見せつけていた。
お湯の見た目は硯川ホテルのお湯を連想させる緑白濁。濁りで浴槽の底は見えない。硫黄系の泉質とあわせて、秘湯や山奥というわけでもない場所の日帰り温泉でこうしたタイプのお湯を体験できるのは貴重じゃないかな。
浸かってみると熱かった。真夏にはちと厳しいか。お湯の匂いを嗅ぐとはっきりと硫黄臭を感知した。志賀高原の熊の湯や硯川以上に強く匂うので相当なもの。ちなみに内湯とはいえ窓が大きめで北信五岳を向いているため眺望を楽しむことは可能だ。
透明湯のふしぎ
熱い内湯を短時間で切り上げて露天風呂へ行ってみた。階段を1フロア分下っていくと、休憩用のベンチと8~10名サイズの岩風呂が現れる。不思議なことにお湯は無色透明だった。真湯じゃない、同じ温泉のはずなのに…説明板によれば内湯と同じ源泉だがゆっくり空気に触れさせているため無色透明なんだとか。へー。
こちらにも観音様がおわします。湯船の一部は浅く作られて丸太風の枕が付いており、2名分の寝湯コーナーみたくなっている。頭上の7割程度は屋根に覆われ、当時のような灼熱の日差しが照りつける状況においては、とてもありがたい。雨の日も助かるね。
浸かってみると適温だった。内湯よりはじっくり入りやすい。硫黄臭も内湯と変わらないくらいの強さである。遠征中の立場でいうとにごり湯の方が旅人気分を味わえるものの、温泉の純粋なクオリティでいえば内湯も露天風呂も同等に位置づけられる。
露天風呂から一望する景色がいいね
露天風呂からの眺望はガラス越しでないだけ迫力が増す。ついつい立ち上がって本格的に目に焼きつけようとしてしまう。あまりに抜けの良い景色に、どうせそんなことはないとわかっていても、はるか下界からこちらが見えているような気がして、立つと同時についタオルで下半身を隠してしまうほどだ。
露天風呂を堪能したら内湯へ戻り、そしてまた露天風呂へ…小一時間を過ごしてタイムアップ。湯あがりには無料サービス提供中の棒アイスをいただいてクールダウン。※おひとり様につき1本いただける。
急な都合による代打的な起用だったとはいえ、最後まで立ち寄り湯の計画に入れるかどうかで迷った候補なだけあって、見事な代打逆転ホームラン。あえて欲を言えば北信五岳がくっきりはっきり見える状況で来てみたかった。ってことはベストな状況が叶うまで何度もチャレンジすべきなのかも…つまり、まだ生き続けねばなりませんか(シャリア・ブル)。









