レトロ感とジビエ料理が気に入った湯宿 - 梅ヶ島温泉 泉屋旅館

梅ヶ島温泉 泉屋旅館
よく一緒に温泉旅行するメンバーが今の顔ぶれになってから、伊豆にはよく行くが、静岡の他の場所にはほとんど行ったことがない。今回の計画の2泊目に静岡を検討したとき、また伊豆ってのもなあ、という空気感もあった。そこでオクシズに位置する梅ヶ島温泉を提案してみた。安倍川源流域の秘湯の雰囲気もあるところで、個人的には過去2回訪れたことがある。

お世話になったのは泉屋旅館さん。レトロな雰囲気を色濃く残す宿で、秘湯的な環境にマッチしている。お風呂は適温であって好みのぬる湯ではないが、熱すぎなくて入りやすい。湯口に近い浴槽のお湯のクオリティが高く、タマゴ臭とトロトロ感が印象強い。ジビエプランの夕食もよかった。

梅ヶ島温泉 泉屋旅館へのアクセス

三保の松原で見る、富士の絶景

静岡の中心市街から梅ヶ島温泉までとなると、安倍川を河口から源流部まで遡るようなもので、静岡駅から1日2便のバスに乗って100分以上かかる。

我ら一行は下部温泉・下部ホテルをチェックアウトして車で南下。天気も良いので、個人的には2度目となる三保の松原へ向かう。現地には無料駐車場あり。ただし混んでいて満車に近かった。

松林を抜けると浜に出た。遠くに富士山がくっきりと。絶景かな。
三保の松原で見る富士山
桜散る頃の季節なくせに夏みたいに暑い日で、あんまり歩きたくないから、さくっと松林の日陰に逃げて、天女の伝説で有名な羽衣の松(三代目)を見学する。
羽衣の松(三代目)

日本平で見る、富士の絶景

その後は日本平へ。無料駐車場あり。探せば空きはあるが油断できないくらいには埋まってた。日本平夢テラスという施設から富士の絶景を拝むことができる。
日本平で見る富士山
当施設の展望所はぐるっと一周するつくりになっていて、いろんな方角の景色を一望できる。南西の焼津方向には懐かしの大崩海岸がなんとなーく見えます。
日本平から焼津方向
ほどよく時間も稼げた。あとは梅ヶ島温泉に直行すれば、チェックインするのにちょうどいい時間だ。では行きますか。

安倍川に沿って続く県道は、静岡の市街地を抜けて新東名を越えたあたりから急速に秘境感が増してくる。道はくねくねと曲がり、車1台分の狭い区間がいきなり現れたりする。地元の方が使うような小さな吊り橋が時おり見えたりもする。改良工事で走りやすくなった区間もあるのだろうが、概ね思い出通りの道であった。

しかしさすが我らの熟練ドライバー。なんなくクリアしていって、はい、梅ヶ島温泉に着きました。ここに来るとつい撮影してしまう「あの広くて大きな安倍川がここではこんなの」を示す写真をどうぞ。
梅ヶ島温泉地区を流れる安倍川

どこか懐かしさの漂う旅館

レトロムードな館内

ではチェックイン。こちらがロビー。鹿さんがこんにちは。
ロビー
木造の館内はレトロなムード満載。こちらは2階の廊下部分。こういうのは嫌いじゃない。
2階廊下
古き良き昭和の時代は社員旅行の団体さんが宴会しに来たりもしたのかなあ。あと、かつてはコーヒー販売もしていたと思しき形跡が。飲んでみたかったぜ。
張り紙の跡
ちなみに張り紙の湯元屋さんは、始めて梅ヶ島温泉を訪れた際に立ち寄った。虹の湯という日帰り温泉に入って、静岡おでんと鹿刺しを食べたんだっけな。

居住空間としては十分なスペック

案内された部屋は2階の8畳+6.5畳。もともと2部屋だったのをくっつけてひとつにした感じがする。布団は夕食中に敷いてくれる。
泉屋旅館 8+6.5畳客室
トイレと洗面所は共同。2階トイレは女性用個室×2と(個室ごとに廊下に面しているから数がわかる)、男性用は小×2・洋式個室×2(1室は故障中)。金庫あり、冷蔵庫あり、WiFiあり。コンセントの数や自由度はそれほど多くない。タオルハンガーは数に余裕があって使いやすい。

レトロといっても味わいのあるタイプであって、基本的な管理状態はしっかりしているので、滞在中とくに不都合はなかった。ネットも普通に使えたし。夏のような日で空調がどうかなと思ったけど、この土地で夕方ともなれば暑さはだいぶ和らぎ、夜には若干冷えを感じるくらいにまでなった。

窓の外に見えるのは、2度目の梅ヶ島で泊まった旅館いちかわの建物だ。なので右を向いて安倍川寄りを撮影。
窓の外の景色

トロトロの梅ヶ島温泉を体験せよ

露天風呂は休止中

泉屋旅館のお風呂は1階。夜は22時まで、朝は6時から。男湯/女湯は固定されていて入れ替えなし。女湯の入口横に分析書が貼ってあるのを、明らかに誰もいなくて不審な動機を疑われない時に近づいて読んでみた。「アルカリ性単純硫黄温泉、低張性、アルカリ性、温泉」だった。泉温38.2℃、PH9.6。加温しすぎてないといいな ←ぬる湯派の願望。

脱衣所もやはりレトロな感じだ。かごのない木の棚に衣服をしまう。あとは梅ヶ島温泉について書いた紙が貼ってあったような。

浴室は極端に古びているわけでもなく、手入れはされているので、安心感をもって不自由なく利用できるだろう。洗い場は4名分。シャワーから出るお湯の温度が安定するまで時間がかかるけど、それはたいがいの旅館あるあるだから気にするな。

まず露天風呂について。浴室奥のドア(内湯浴槽の中を通っていく)から外へ出るようになっており、内湯の窓から覗くと岩の壁で遮られてて見えない。露天風呂はよくある岩風呂ではなく、どうやら洞窟風呂になっている模様。しかし当時は利用休止中だった。たまたまというよりは今後ずっとそうなのではないかと思われた。※確定情報ではない。

源泉の個性が強く出ている小浴槽

内湯は2つある。浴室に入ってまっすぐ奥へ進むと到達する岩風呂っぽい小浴槽と、その左に並んでいるタイルの中浴槽だ。小浴槽は2~3名サイズ。チェックイン直後は熱めに感じたのでほとんど入らなかったが、以後は熱いのが表面だけで、お湯をかき回せば若干ぬるめにまでなってくれるため、主としてこちらを利用。

小浴槽をメインに据えたのは温度だけではない。お湯の個性が中浴槽よりはっきり出ていたこともある。無色透明・泡付きなしは一緒なものの、匂いを嗅いだ時、明らかに小浴槽の方がタマゴ臭が強い。もう染之助・染太郎かと思った…いつもより余計に香っております。

加えてトロトロ感も強い。美肌の湯といわれれば、ああなるほどねと納得してしまうくらい。湯口から直接投入されるのが小浴槽の方だから、それだけ個性が強く出ているのだろう。ふわふわ漂うグレーの湯の花も多く確認できた。いつもより余計に漂っております。いいお湯じゃないですか。

優等生的な安定感の中浴槽

中浴槽は4名サイズ。隣の小浴槽からちょっとずつ流れ込んでくるようになってはいるけど、別の投入口もあると思われる。少なくとも1箇所、か細いジェットバス風に、小さいあぶくがぷくぷくと噴き出しているところがある。

こちらは癖のない優等生って感じで、タマゴ臭・トロトロ・湯の花は少なめ。チェックイン直後は小浴槽よりぬるかったからこちらを専門にし、その後はむしろ小浴槽より熱く感じたからサブの扱いになった。

こうして夕方2回・夜1回・起床後1回とチェックアウト前に1回入った。それぞれは長湯じゃなくて20~30分程度だけどね。でも十分でしょう。帰る頃には肌がすっかりすべすべになり、いつもより余計に(以下略)。さすがは環境省から国民保養温泉地に指定されただけのことはある。


食事面についてもいい思い出になった

とてもよかったジビエプランの夕食

泉屋旅館の食事は朝夕とも2階奥の広間にて。我々が広間を独占したのは、個室的な運用だったのか、食事付きプランで泊まったのがたまたま我々だけだったのかはわからない。夕食は準備が整い次第で目安は17時半と言われ、だいたいその時間に客室に内線で知らせが来た。

テーブル席にはすでにたくさんの料理が並んでいた。天ぷらなんかもすぐに追加されてこうなった。
泉屋旅館のジビエプラン夕食 その1
せっかくだからとジビエプランを予約しており、手前の肉は鹿肉のロースト。臭みはない。左の鍋は猪肉の陶板焼きか何かだったはず。その右の木の蓋をしたやつは…忘れた。天ぷらは温かいままいただけて、山菜が含まれていて大変結構なり。

メインは猪鍋である。濃厚な旨みがたまらない。具だくさんで肉もたっぷり入ってる。最後は肉が余りそうになって互いに「どうぞ、どうぞ」状態となるほどだった。
泉屋旅館のジビエプラン夕食 その2
さらには鮎や刺身。こりゃもう完食できるか自信がなくなるほどの大サービスではないか。いつもより余計に(以下略)。猪鍋は、頼めば最後に雑炊やうどんもできるらしいが、悪魔的な魅力のオファーにもかかわらず、そこまで胃袋の余裕がなかった。

ちょっとずついろいろの朝ごはん

朝食は7時半から8時を目安に、準備ができると内線で知らせが来る。前夜あれだけ腹いっぱいだったのに、朝になったらしっかり胃の準備ができてるのは、我ながらどういうカラクリなんだろう。
泉屋旅館の朝食
ご飯はセルフでお願いします。主なおかずは花のような形にくっついたデザインの小鉢にちょっとずついろいろ。こういうのでいいんです。真ん中のごま風味れんこんみたいなやつがおそろしくうまかったな。お櫃のご飯は大量にあるから遠慮なくどうぞ、どうぞ。

食後のコーヒーは残念ながらなし。廊下に貼ってあったあのレトロなポスターの「おいしいホットコーヒー 24時間販売中」が今もまだ残っていれば、確実に飲んでいたことだろう。

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梅ヶ島温泉の静かな山里ムードによくなじむレトロ風情の泉屋旅館。場所が場所だけに、アクティブに動き回ったり派手に騒ぐノリで行くよりは、ゆっくりのんびりするつもりで行くのが似合っている。

お風呂は内湯のみだったとしても、梅ヶ島温泉らしいお湯を楽しめる。特に岩風呂的な小浴槽の個性はなかなかのものであった。そして次に機会があれば、またジビエプランにしたいと思うくらい、あの食事内容はよかった。