ゴールデンウィークと言えなくもない時期に、我ながらよくわからない計画を立てた。3泊4日で北関東3県を移動するという内容だ。一人泊がNGになりがちで相場も高騰しやすい時期だけに、なんとか予約できたところをつないでいったら結果的にそうなった。人混みや渋滞を避けるため、基本的に観光なし。昼間の湯めぐりも最小限に。旅館内でゆっくりするのと車での移動がほぼすべてというスタイルになった。
初日は群馬県の鳩の湯温泉・三鳩楼に宿泊。以前日帰り入浴のために訪れたら、もう日帰りはやってませんとのことでフラれ、今回泊まってみることにしたのだ。木の蓋を外して入る内湯がとてもユニークで、灰白色のお湯がとても効きめありそう。
鳩の湯温泉 三鳩楼へのアクセス
鉄道+バスで行くなら慎重に準備を
三鳩楼に鉄道+バスで行こうとする場合の方法についてはあまり自信がない。一応の調べによると、JR吾妻線の群馬原町駅から水仙ちゃんバス大戸線で「さかうえ」まで行く。ここだとまだ現地まで遠い。さかうえで水仙ちゃんバス須賀尾線に乗り換えて、鳩の湯温泉で下車すれば当宿の敷地内だ。水仙ちゃんバスは事前電話予約(日曜祝日除く)だから注意。
ちなみにチェックアウト時にワンボックスカーがやって来るところを見た。帰りのお客さんを乗せて、さかうえまで行く須賀尾線だろう。よく見たらバス停があったわ。
もうひとつちなみに、以前当宿の日帰り入浴に失敗した時は、かわりに近くの薬師温泉に入浴した。その薬師温泉は今回のタイミングだと一時休館だったみたいで、「2026年に再始動!」のような看板を見かけた記憶がある。
大河ドラマの舞台を通って
さて、GWと言えなくもない時期なら高速道路のひどい渋滞は避けられない。それもあって例年のGWは家でおとなしくしていたのだ(今回は気まぐれ)。しかしそこはうまく日程を工夫したおかげで関越道の渋滞なし。あっさりと前橋ICを出た。
あとは主に高崎市倉渕地区を走る国道406号を行く。沿道にはご当地ゆかりの歴史的人物・小栗上野介の看板やのぼりが目についた。2027年大河ドラマの主人公に選ばれたことが影響しているだろう。見学スポットはあちこちにありそうで、来年には観光客がたくさん訪れているかもしれないな。
しかし今日は非情にもスルー。日帰り温泉への立ち寄りもなし。三鳩楼には、一定以上のシニア向け「13時からチェックイン可能なプラン」で予約しており、早めに着いてだらだらするのが最優先だったのだ。
重ねてちなみに、初日は雨で翌日はすっきり晴れた。去り際に花菖蒲展望台から見た景色がなかなか良かったので記念撮影。6月下旬頃に花菖蒲の見頃を迎えるとか。
愛着を湧かせる古民家風
レトロだけど古くない
ではチェックイン。こちらが帳場と小物土産コーナーでございます。
今度は逆のアングルからロビー的な一角を。
見ての通りの古民家風、というか現地の雰囲気は古民家そのものじゃないかという気がしてくる。歩くと床はミシミシと音を立て、戸の開け閉めが若干堅いところもある。でも木材はツヤツヤに磨き上げられているし、電気の点灯・消灯なんかは自動化されている。
本館1階の廊下の様子はこんな感じ。矢印型の案内標識が妙に愛着を湧かせる。廊下は何度か直角に曲がったり、途中に味のあるゆるい下り階段があったりして、意外と奥まで続いてる。
離れの部屋からこんにちは
今回は離れの部屋を予約してみた。一瞬だけ(1メートルくらい?)外に出てすぐ離れの建物につながっている。建物内には2部屋あるみたい。泊まったのは一方の8畳和室。※居室部は実質6畳。
反対からも撮ってみましたよ。
布団は夕食中に敷いてくれて朝食中に片付けてくれる方式。トイレは離れ共用のシャワートイレ個室が1つ。洗面所も離れで共用。金庫あり、冷蔵庫なし(本館に共用あり)、WiFiなし。
レトロ風モダンではなくてそのまんまレトロなつくりである。こういうのは嫌いじゃない。2面ある窓の一方は玄関を向いていて、人の出入りがあるたびに「こんにちは」になりそうだったので、戸を閉め切っておいた。
もう1面の窓からの景色は、少し右上に視線をずらして駐車場~奥の小山を写してみた。
ユニークな入浴法と効能を実感したお風呂
露天風呂には入れず
三鳩楼の構造をちゃんと理解していない。実は本館/離れじゃなくて明治館/昭和館/離れの3部構成のようだし、フロアの区別もよくわかってないのだが、とにかくお風呂は前に触れた廊下(下り階段含む)をずーっと進んだ一番奥にある。最後はこのような白樺の柱が印象的な区画を通る。
男女別の露天風呂は標識に「冬季閉鎖」の紙が貼られていたし、出入口のドアには「工事中」と書いてあって、残念ながら利用できず。
内湯の脱衣所へ行くと、そんなにレトロという感じでもない。比較的コンパクトな中に5~6名分の脱衣かごが置かれた棚がある。分析書をチェックすると「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉、低張性、中性、高温泉」だった。泉温44.4℃、PH6.8。
板の向こうにロマンスグレーのお湯
浴室にカランは3台。ただしシャワー付きは1台のみ。温度ダイヤルを調整してもお湯が出てくるまで時間がかかる。まあ、あるあるですね。夕食前に2回・夜1回・翌朝1回利用してほぼ独泉、たまたま一緒になった他客はせいぜい1名だったから、洗い場待ちが発生する可能性は低そうだ。
内湯は横長な四角形の浴槽で、いくつもの細長い板で蓋をされている。これが当湯の昔からのスタイルなんだって。なので入る際には自分で板を3枚ほど外して、最低限のスペースを確保してから浸かることになる。もっとたくさんの板を外してもいいけど、それなりに分厚くて中身が詰まった板だから、1枚1枚が結構重い。動かすのは見た目以上に大変だ。
そうしてお湯をのぞき込むと灰白色に濁って見える。火山性の温泉によくある白濁硫黄泉とはまた違う、銀髪をイメージさせる色だ。この泉質名では見たことないパターンだなあ。板を外してできた隙間に収まる感じで浸かってみると適温だった。
毛ヅヤもガラっと良くなって、だいぶ調子が戻ってきました
お湯の中は板から出たと思われる木くずのような粒が少々と、白っぽい色の元になっていると思われる細かい粒がたくさん舞っている。泡付きはないようだ。匂いについては硫黄臭がするわけではなく、別の温泉臭もしなくて、無臭に近い。※この時期はいつもスギ後の花粉か黄砂か何かで鼻がまともじゃなくなるので、この感想はあまりあてにならないかも。
熱すぎないマイルドな適温で長めに入っていられるのはよかった。外からピリピリくる熱の刺激や、体の内部から熱気がこもってのぼせてくる感じが全然ない。おかげでじっくりと温泉を楽しめる。窓から外を見れば新緑が目に入ってくる。癒されますな。種類的に秋はきれいに紅葉してくれるのではないだろうか。
入浴後は肌のスベスベ感もさることながら、鼻水・鼻詰まりのせいで頭がボーッとして不調気味…しかも日々下降する一方…だった体調が、この温泉に入って寝て起きたら、調子が底を打って上向き始めたことを自覚できた。おかげで残りの日程は元気を回復しながら上り調子で遂行できたのである。この点だけでも泊まりに来た意味があった。
宿の雰囲気に合ってるお食事
夕食は自家製こんにゃくとともに
三鳩楼の食事は朝夕とも帳場からちょっと先の広間にて。数組ずつ別の部屋に分かれる。夕食は18時固定。準備ができると部屋まで呼びに来てくれる。夕食のスターティングメンバーがこちら。
派手さはないけど宿の雰囲気に合っているし、地元の食材を使っている様子も感じられてよい。特に山菜はそうだと説明していたし、こんにゃくは自家製で今年最後の分だと聞いた。へー。ありがたくいただこう。お酒はノーブランドの日本酒を常温で。不調気味といいながらもお酒はしっかり飲む。
山菜もこんにゃくもおいしかったし、そのほかの料理も自分の口によく合った。お酒とともにどんどん進んでしまい、30分で完食する勢いだったが、終わってみれば締めのご飯込みで1時間近くかかったから、ボリューム的にも十分といえる。
むしろ十分すぎて、ご飯は思ったほど入らなかった。お櫃の中身を結構残してしまった。これには別の理由もあって、味噌汁だと思って汁物の蓋を取ったら…太い麺がしっかりと詰め込まれたうどんだった。うどんとは、まあたしかに、群馬だからな。
気分よくスタートした朝食
朝食は8時固定。概ね早めに、準備ができると部屋まで知らせに来てくれる。部屋と着席する卓は前夜と同じ。
定番的な内容で結構にございます。酢豚(酢鶏?)で魚以外の肉も摂取できるし。夕食ではご飯に思い切り行けなかったので、かわりと言っちゃあ何だが、朝を少し多めにして補完した。とはいっても一般成人男性の標準からみれば少ないだろうけど。
布団の中で目が覚めたら体調が上向き始めたという確信があり、朝風呂でますます確信を深めた。雨があがって晴れた朝、明るい見通しを持っていただく朝ごはんは大変に気分がいい。いいスタートを切ったんじゃないか。
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レトロなハード面をどう感じるかは人によりけりだけど、手入れはしっかりされていたし、自動点灯などモダンに改造された部分もあり、見た目の印象よりは不都合なくすごせる。
温泉面は、内湯より冷める分だけぬるいと期待した露天風呂を利用できなかったのが、ぬる湯派としては残念だが、内湯だけでも十分だ。自分が体調良化のタイミングにうまく当たったから言うわけじゃないけど、もろもろの効能は期待できそう。それを抜きにしても、あの板をどかして入るスタイルや、気持ちよく浸かれる灰白色のお湯はきっと思い出に残るだろう。













