朗報! かねてより念願の雲見温泉・高見家再訪を果たす

雲見温泉 高見家
仲間内ですっかり伝説級の扱いになっていたのが西伊豆の雲見温泉・高見家だ。民宿でありながらワンランク上の設備とサービス。温泉に加えて「このお値段で本当にいいんですか」な、たっぷりの海鮮料理を体験できる。2020年に初めて訪れて、その1年後にはもう再訪計画をぶち上げていたが、コロちゃんのせいで延び延びになっていた。

そうしてこのたび2年ぶりに再訪を果たすことができた。前回のメンバーに加えてもうひとり引き込んだのは西伊豆派を、高見家ファンを増やそうという下心。

温泉でまったりしてふだん縁薄い海鮮を食べまくるという目論見は完璧に達成された。あー、やっぱりいいですなー。

すっかりおなじみの雲見温泉・高見家への道

伊豆で食べる明太子おにぎり

個人的にこの温泉旅行に期待している効能があった。冬の間ちょっと温泉活動をお休みしている隙に手荒れがひどくなって、指先はむくんで赤黒くなるし、勝手に切り傷ができて血は滲んでくるしで、壊滅しかかっていた。前回の茨城遠征で手荒れがだいぶ改善してきたので、今回の伊豆の温泉で畳み掛けて勝利をいっそう確実なものとしたい。

そんな思惑を胸に首都圏某所でメンバーと合流。車で伊豆へ向かう。すでにおなじみすぎる行程で、もう途中で立ち寄りする場所も思いつかないということで、遅めに出発してほぼ直行する計画だった。

いつものごとく新東名・長泉沼津ICから伊豆縦貫道に入り、函南塚本ICでいったん終点となる。そしていつものごとく川の駅「伊豆ゲートウェイ函南」で休憩。お隣の「かねふくめんたいパーク伊豆」で軽い昼食をとった。

高見家の夕食ボリュームを考慮しておにぎり1個にしておいたが、購入した「できたて明太子おにぎり」は結構大きめ。魚沼産の米と大量にぶち込まれた明太子の塊には大満足。

毎度立ち寄ってしまう馬ロック

休憩を終えて出発すると、伊豆縦貫道の続きが始まって月ヶ瀬ICでまた終点となる。出たところを直進、トンネルを抜けたら船原を経由して土肥に着くと西伊豆の海が見えてくる。あとは海沿いに国道136号を南下するだけ。いつものごとく黄金崎で馬ロックを見学しましたよ。
馬ロック
何度見ているんだ、この風景。パワースポットらしいからまあいいか。なぜだか和歌山で見た三段壁を連想してしまった。

それから雲見へ直行して高見家に着いた。前回の経験があるからもう迷わない。車は向かいの敷地の適当なところに止めればいいのも承知している。外観は、うむ、思い出そのままだな。


温泉民宿というよりは温泉旅館に近い

自家製カラスミに注目したい

ではチェックイン。なんとなく館内のレイアウトも把握しちゃってるのよね。玄関の外に貸切露天風呂、玄関をあがって左手に内風呂とフロント、正面に食事の広間、客室は2階、と。

フロント前の小さなお土産コーナーで自家製カラスミを売っている。個々の真空パックに1500~2500円くらいの値札が付いている。前回興味がありつつも買いそびれたので今回はしっかり買わせていただきました。自分が食べるんじゃない、お土産として献上するんだ(キリッ)。
自家製カラスミ

今回は二間の広い部屋

案内された部屋はなんと、6畳+6畳の二間であった。えらい大サービスやないか。こいつはうれしいサプライズ。
高見家 6畳+6畳客室
我らの人数からすると十分すぎる広さだぜ。布団は夕食中に敷いてくれて朝食中にあげてくれる方式。
高見家 6畳+6畳客室 その2
金庫なし、冷蔵庫なし、洗面所とトイレは共同。なおトイレは男女別で、男子用については小×2、シャワートイレの個室×1。1階にもトイレがあったけど使ってないから詳細は不明。

WiFiなし。山奥の秘境ではないから携帯は普通につながる。高見家は民宿に分類されるようだが、全般に普通の民家ぽい雰囲気はなくて、風呂場や館内の雰囲気づくりからすると旅館と呼んでも差し支えないように思われる。
2階廊下

純温泉A認定はダテじゃない

貸し切りで使う露天風呂

上に書いた通り、風呂は貸切露天と内湯がある。最初に行ったのは玄関を出てすぐのところにある露天風呂。24時間いつでも予約不要で空いていれば自由に使える。戸の前の札を「使用中」にひっくり返して、中に入ったら鍵をかける。

壁に貼ってある分析書には「カルシウム・ナトリウム-塩化物泉、高張性、中性、高温泉」とあった。前来た時にあった源泉湯宿を守る会の「源泉100%かけ流し認定浴槽」ステッカーがなくなって、純温泉協会の「純温泉A」ステッカーに代わっていた。純温泉Aとは完全放流式・加水なし・加温なし・循環ろ過なし・消毒なし・入浴剤なしを意味する。つまりパーフェクト。

脱衣かごは2つ。洗い場は1名分。浴槽は2~3名サイズだから大人3名ならどうにか。4名になると厳しそうだ。適度に分散しましょう。この日の数組の客がいる状況で、いつ行っても使用中でノーチャンスということはなく、誰もが風呂に入りたいと思うような夕食前とか起床後とかを除けば、それほどキリキリ立ち回らなくても大丈夫だった。

微笑の心にまさる化粧なし

お湯は無色透明。泡付きや湯の花は見られない。泉質相当の温泉的な匂いはしっかり感じられる。チェックイン直後に入った際の温度は熱めだった(カランの脇に湯もみ棒が立てかけてある)。しかしシャワーを突っ込んで加水調整するのを各客がやってくれるおかげか、その後は適温~ややぬるめであった。

浴槽近くに温泉の解説板が掲げてあり、それによると源泉は三浦(さんぽ)1号・3号・5号の混合泉。湧出温度が59.4℃で提供位置で48~51℃だから、そら熱いわ。浴槽に湯口はなくて底から源泉を投入している模様。それらしきところに手をかざすと、はっきりとした熱泉の噴出を感じることができた。

あとは「微笑の 心にまさる 化粧なし」という句が掲げられている。A smile is the best makeup(マリリン・モンロー)ってやつね。脱衣スペースには「まんてん」と読める文字も見える。満点? いや満天かな。雲見で星見と洒落込むのだろうか…夜の露天風呂では空を見上げてしまった。いくつか明るい星は見えた。でも屋外の道路に出てから夜空を見た方がもっとたくさん見えます。

内湯もなかなかのクオリティー

内湯は男女別。男女の入れ替えはない。夜は22時まで・朝は6時~9時まで。浴室にカランは2台。浴槽は3名サイズの岩風呂で、こちらは源泉を投入する湯口あり。湯口のそばに純温泉ステッカーあり。

お湯は安定した適温。慣れればややぬるめにも感じられ、じっくり浸かるには向いている。洗身洗髪したい時や露天が熱すぎる時は内湯を頼るのがいいだろう。熱さでのぼせることがないかわり、温泉が高張性で効きすぎるのか、しばらく浸かって出ようと立ち上がった際にクラっとめまいが…一瞬意識を失いかけた。あぶねー。

純温泉Aはさすがに半端ないわ。入浴後の肌のスベスベぶりはかなりのもの。気になっていた手荒れについては、血がにじむ切り傷はすっかりふさがったし、むくみは消失した。赤黒い斑点は若干残っているもののだいぶ目立たなくなった。ありがてえ。


これぞ期待した高見家の食事だ

豪華海鮮まつりの夕食

高見家の夕食は1階広間で。夕食は個室になるようにうまく仕切ってあった。この食事を楽しみに来たんだからな~と座卓をのぞきこむと、スターティングメンバーに豪華舟盛りが。おおおー。
舟盛り刺身
すりおろした本わさびは過剰な刺激が抑えられていて刺身のうまさを引き立てるぜ。一人あたりの分量が多いからペース配分をケチケチ考える必要もなく豪気にぱくぱくいけちゃう夢の舞台。他にサザエ・そば・海鮮鍋などが並んでいた。
高見家の夕食
ああうまい。最初はビールを飲みながらであったが、途中で日本酒を追加した。銘柄は忘れました。日本酒を頼むと例のカラスミがつまみとして付いてくる。人生で数えるほどしか口にしたことがない高級珍味だ。
日本酒のつまみのカラスミ
なんだかんだで食べ続けて100分は余裕で経過したはず。それでも食べ終わってしまうのがもったいないような、まさしく夢のような時間だった。お腹パンパンで苦しくなるかと思わせて、その手前くらいで完食するボリューム感も絶妙。相変わらずレベル高い。

朝食に原木しいたけが

朝食は広間の仕切りが外されて個室ではなかった。でも各テーブルの距離は十分に離れているから気にならない。伊豆とくればアジの干物。
高見家の朝食
干物はすでに焼き上がっており、金網で焼くのは原木しいたけ。醤油をちょっと垂らして食べると、ああ美味しい。ふだんの生活の朝食はパンをかじってすませているから、こういう和の朝食はありがたいね。

さっぱり風味かんきつ系ゼリーのデザートもあった。さわやかな朝にぴったりですな。食後は9時までにまだ余裕があったからラスト内湯を体験しに行ったのであった。

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温泉宿であれだけの海鮮をいただいてお酒もたくさん飲んで、一人あたり1万円札+コイン何枚か、くらいのお値段だった。これだから西伊豆はやめられない。

チェックアウト後に車で走り出すと素晴らしい景色が見えてきた。前回も見た、澄んだ空・真っ青な駿河湾・雄大な富士山・遠くかすかに南アルプス。海の上には牛着岩なる夫婦の岩。
雲見の海の絶景
いやあ心が洗われますな。この絶景のような清々しさで胸がいっぱいになった。その奥には高見家の良き思い出が続いている。