熱いがゆえにすごく効く、これぞ一浴玉の肌 - 沢渡温泉 龍鳴館

沢渡温泉 龍鳴館
群馬県中之条町でよく知られた温泉地といえば四万温泉。そしてもうひとつが沢渡温泉だ。草津の仕上げ湯(なおし湯)といわれ、草津の強力な酸性泉で湯治をした客が沢渡温泉の柔らかい湯で肌を整えることに由来するらしい。その特徴から「一浴玉の肌」とも称される。

温度が熱めだということは知っていたが、ぬる湯派おじさんも興味はあったので訪れてみることにしたのである。スケジュールの都合から多くの人出が見込まれる日程で計画を組むしかなく、一人泊の空室探しは無理かもなと半ばあきらめていたところ、運よく龍鳴館を予約することができた。

見事な湯の花と、まさに文字通り一浴玉の肌を実感するお湯。温度はかなり熱い。宿は親切なもてなしでいろいろ頑張ってます。

沢渡温泉 龍鳴館へのアクセス

ミニバスで行く沢渡温泉

前年12月から2月にかけて続けてきたウインターチャレンジなる企画シリーズに今回の旅を加えなくてもいいだろうという春先の頃であり、雪や凍結の心配はしていない。しかし諸般の事情により車を使わず電車で移動する。しかも経費節減のため各駅列車でカバー。

東京方面から高崎→新前橋→吾妻線で中之条下車。駅前の四万温泉行きバス乗り場には1台に乗り切れないくらいの人数が列を作っていた一方、沢渡温泉行きバス乗り場は無人。大丈夫かよ…。自分が乗り場の前に立ったら急にワラっと集まってきたが8人程度。その人数に合わせるかのようにミニ車両のバスがやって来た。

中之条駅から沢渡温泉街まで約20分。宿によって最寄りの停留所が沢渡温泉/沢渡に分かれるけど、当館の場合はどちらも大差ない。ただし終点の沢渡だとなかなかの傾斜の坂を上らされるので沢渡温泉下車をおすすめしたい。

沢渡温泉街の様子

温泉街の区間だけ道路幅が狭くなっており、昔ながらの旧道そのままな感じ。また温泉街の入口では大きなリハビリテーション病院が目を引く。そして沢渡温泉停留所と当館の間には沢渡神社がある。
沢渡神社
当館は共同浴場の隣だった。下の写真の奥に見える建物が龍鳴館である。
沢渡温泉 共同浴場
あとは翌朝の話。帰りのバスは起点の沢渡から乗ってみることにした。なかなかの傾斜の坂を下っていくと、ちょっと変わった形の山が見えた。有笠山ってやつかもしれない。
沢渡バス停へ下る坂道
写真から、下り坂の傾斜や温泉街の区間だけ道路が狭い様子もうかがえるだろう。バス停のそばには上沢渡川が流れており、川沿いに晩釣せせらぎ公園が整備されている。
晩釣せせらぎ公園
というような沢渡温泉へ1泊2日の遠征を行ったのであった。


かっこいいカフェバーのある旅館

ではチェックイン。本日は満室につき日帰り入浴はご利用になれませんという説明書きが見られた。盛況でなにより。こちらがフロント付近。
フロント付近
奥のドアの向こうがカフェになっていて、セルフサービスのコーヒーが提供されている(200円)だけでなく、ちょっとしたバーにもなっているのだ。カウンターにズラッと並んだお酒のボトルがすごい。ウイスキーにこだわりがあるようですな。
カフェバー
案内された部屋は2階の6畳和室。布団は最初から敷いてあった。昔ながらの旅館の風情だが古びてる感じはしない。
龍鳴館 6畳客室
室内にシャワートイレあり。洗面所は共同。2階の複数箇所にあるようだから近いところを使おう。金庫あり、空の冷蔵庫あり、WiFiあり(動画やゲームには重いかも)。エアコンは普通にあるし、暖房にはファンヒーターを使ってくださいと言われた…昼はもう冬のつもりじゃいけないよっていうくらいに全然寒くなかったけど、なんだかんだで冷え込む朝晩はぎりぎりファンヒーターを使わずに耐えた。勝ったぜ。

全般的な居住性に不都合はない。昔ながらのつくりゆえ、隣室のテレビや話し声が聞こえてくるのはまあどこも同じだろうし、隣客ガチャの問題なので。んで、窓から左を向いて目に入ってくる景色がこちら。お隣の共同浴場が見えますね。
窓の外の様子

一浴玉の肌と呼ばれるお湯は伊達じゃない

飲泉できる新鮮な源泉

龍鳴館のお風呂は1階奥。男女入れ替えのない男湯・女湯と、宿泊者は予約不要で空いていれば無料で利用できる貸切風呂がある。廊下に古めで大きな手書きの泉質説明板および印刷された今風の分析書が掲示されている。分析書によれば「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」だった。泉温55.1℃、PH8.5。

脱衣所から浴室へ移動すると、なんらかの温泉臭が立ち込めており、ざっと観察するとシャワー付きのカランは2台。ちなみにカランのお湯も温泉ですとチェックイン時に説明されていた。それから一方の壁付近には唐突に石が鎮座していて、なにかと思ったら、源頼朝公腰掛石という名前と由来を書いた説明札が立っていた。

浴槽は木製の内湯がひとつのみ。L字型をしていて6名くらいは並んで入れそう。湯口にはひしゃくが2つ置かれ、どうやら飲泉可能らしい。飲んでみたらほのかに硫化水素風味がした。飲めるくらいだから少なくとも湯口からの投入は源泉かけ流しでしょう。

そういえばチェックイン時の説明で「隣の源泉地から引いている」と聞いたな。鮮度の高い源泉をそのまま投入してくれてるみたいね。ありがたや。

湯の花が舞うバリバリのあつ湯

お湯の見た目は無色透明。湯の花あり、ていうか相当の存在感を放っている。まず湯船の底にかき玉汁の玉子を白くしたようなやつが多数沈んでいるのがはっきりと見える。で、お湯に浸かるとぶわーっと湯の花が舞い上がり、綿の断片を固めたような白い塊やもっと細かい繊維っぽいものが大量に漂ってくるのが圧巻ですな。泡付きはなし。

お湯の熱さについても触れておかねばなるまい。かなり熱いです。いきなり入るのは厳禁。湯船からかけ湯をして、まずは半身浴風に浸かり、下半身を慣らしてからゆっくり肩まで浸かるべきだ。一気には大変よ。チェックイン直後と翌朝起床直後の入浴では熱いを通り越して痛覚的な刺激になっていたのだが、その痛覚の種類を脳がうまく判定できず、熱いのか冷たいのかよくわからないほどだった。

残りの入浴機会では痛覚が後退して普通の熱さの感覚に変わっていたが、それはそれでひどく熱い。長く浸かっているのは絶対に無理。長湯よりは短時間×回数で稼ぐ作戦が有効だ。

効き目に間違いはない。さすがは一浴玉の肌、短時間でも確実に肌の様子が違ってくるし、入浴後の脱力感がすごい。だるーん、ってなっちゃう。やばいっす。熱さ+パワフルさ+しっかり効能感でいえば同じ県内の湯宿温泉を思わせる。

コンパクトな貸切風呂も試してみよう

夜寝る前に貸切風呂へ行ってみた。誰もが狙いそうな夕方の時間帯は甘くないが、他はわりと空いてることが多い。脱衣所も浴室も1~2名が利用する前提の規模じゃないかな。

カランは1台。浴槽は2名で満員のサイズ。湯口付近に立てかけてある棒は湯かき棒だろうか。ただのまっすぐな棒に見えるんだけど。湯船からお湯があふれて流れ出ていく様は男湯以上に勢いがあって頼もしい。

こちらのお湯も湯の花の目立ち方が弱まっている以外は同じような特徴で、やっぱり手加減なしの熱さ。貸切風呂を長時間ずっと占有し続けるなんてことは、入浴を目的とする限り(占有そのものを目的としない限り)不可能なので、その点は回転しやすくていいかも。

なお、風呂あがりに飲もうと思ってもビール自販機はない。冷蔵ケースによる販売コーナーもない。フロントに内線電話して瓶ビールを注文することになるんじゃないかな。今回は風呂あがりに飲んでないから詳細は不明。


いろいろ工夫がみられて楽しい夕食

龍鳴館の食事は朝夕とも2階の広間にて。夕食は18時半。準備ができると部屋に内線電話がかかってくる。行くと大広間に部屋の名前札が置かれたテーブル席がある。すでに並んでいたスターティングメンバーがこちら。
龍鳴館の夕食
ん? なんだろう? と推理を誘うような品もあって楽しい。特に前菜。お菓子のように見えるゼリー状の中の球体は栗だった。前菜の中央はホタテとムース状の何かをあわせたやつだし、右は野菜の中に肉と何かを詰めたものだ。情報量ゼロですんません。

鍋の隣は里芋だったと思うんだけど、表面が焼いてあって、いつもの里芋と違うお焦げ味が加わってとてもうまかった。

鍋ができあがる頃には追加で天ぷら・銀だら西京焼きもやって来る。結果的にボリュームたっぷりな布陣となった。しかもお味は文句なしということで、どれひとつ残したくない。炭酸と量で胃を圧迫するビールじゃなくて日本酒にすればよかったかもな…。
龍鳴館の夕食 その2
おかずは残さず全部いただきましたよ。いつものごとく締めのご飯に犠牲になってもらう形となり、お米は2,3口だけいただいて終了。お米とあわせるべき銀だらがミスマッチを起こしてしまい、大半を単独で味わうことになったのが申し訳ない。

ちなみに広間の様子から判断して、自分以外にソロ客が数名いた模様。こうやって一人旅を受け入れてくれるのはありがたいですな。

※今回は夕食のみのプランにしたため朝食のレポートはありません。

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沢渡温泉はあつ湯好きならおすすめできるほか、そうじゃなくてもお湯のクオリティはたしかなので、本物の温泉を求める方にはおすすめ。龍鳴館は源泉地の隣・共同浴場の隣という地の利を活かして飲泉できる状態で源泉を提供しているのが強い。そういえば当館に泊まると隣の共同浴場も利用できるというサービス特典付きだった。自分はスルーしちゃったけど(もったいねー)、いろいろ入って見たい方はどうぞ。