北海道遠征の終わりに新千歳空港付近まで時間に余裕をもって戻ってきたが、それゆえにレンタカーを返して空港入りするにはまだかなり早かった。さてどうする?…ゴールデンシックスティに会いにノーザンホースパークへ行くか…あまり滞在時間を取れなそうだけどエスコンフィールドを偵察してみるとか?…うーん。
温泉一人旅なのだから、やはり最後も温泉で締めるべきでしょう。空港近辺で探してみると、根志越温泉くるみの湯という日帰り施設が気になった。主に地元の一部の方に利用が限られていたのが近年になって一般公開されたらしい。よし、行ってみるか。
モール系の黒湯で適温浴槽と高温浴槽があり、結構なヌルヌル感があってよく温まった。
根志越温泉くるみの湯へのアクセス
千歳市街とはいえ車は必要
当館へは車がないと厳しいと思う。JR千歳駅から4kmも離れているし、千歳駅からの路線バスで弥生3丁目というバス停まで行ったとして、そこから1.5km・20分歩かなければならない。内地からの個人旅行者であればたいがいレンタカーを借りているだろうから、まあ大丈夫か。
個人的な状況に即していうと、長万部の二股らぢうむ温泉をチェックアウトしてから蘭越町のニセコ黄金温泉に立ち寄り湯して、あとは支笏湖経由で千歳まで戻るだけだった。ゆっくり走っても15時には着いてるだろう。帰りの飛行機は夜の便なのでかなり時間が余る。というわけでくるみの湯案が生まれた。
どんより曇ってしまって景色を期待できる日じゃなかった。車で走りつつあちこち見回しても、かの羊蹄山は影も形もわからない。いつ雨が降り出してもおかしくない様子だから、どこかの観光スポットで遊歩道を散策するような動きも取りづらい。やっぱり温泉に入るくらいしかないな。
絶妙な立地に立ち寄り不可避「きのこ王国」
ひたすら運転し続けて、そろそろ休憩したくなってきた頃に「きのこ王国大滝本店」が現れた。おお、ちょうどいい。二股らぢうむ温泉の食事に出てきたきのこ入り味噌汁をきっかけに、きのこへの欲求が高まっていたから、迷わずきのこ汁を注文。しかもプレミアムきのこ汁。お時間5分ほどいただきます。
うわー、きのこだらけ。汁の中にきのこが埋まっているのか、きのこの隙間を汁が埋めているのか、わからなくなるくらいの量だ。きのこ欲は大いに満たされた。
元気をチャージして出発。美笛峠を越え、丸駒温泉旅館という秘湯宿で知られる支笏湖を過ぎ、千歳市街に入ったらカーナビに誘導されるがままに現地へ。最後ちょっとだけ狭い道を走るけど短い距離だから問題ない。
旅の終わりにさくっと、くるみの湯
小ぢんまりとしたローカル温泉
建物の正面顔から判断するにそれほど規模は大きくない。プロフィール通りに地元民向けローカル色の強い温泉銭湯といった雰囲気だった。まあとにかく入ってみましょう。
券売機で入浴券を買うんだったような。たしか500円だったような…あいまいですいません。内部もコンパクトなつくりで、受付と休憩室と浴場は互いに近い。休憩室までに分析書が貼ってあって「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、低温泉」だった。源泉温度は25℃台、PH9.8。
休憩室に大きな魚の剥製(?)が飾ってあった。姿形で種類を言い当てるような知識はない。文字情報から判断しようにも、魚へんに鬼…なんと読むのかわからない、後日調べたらイトウでした。
確証はないものの男湯と女湯の日替わり交換はやってないだろう。脱衣所には無料のロッカーあり。浴室に入るとまず3列からなる洗い場コーナーが合計で13名分。シャワー付きのカランはあってもシャンプー・石鹸の類は置かれていない。各自持参方式のようですね。必要なら買いましょう。
ヌルヌル感の強い黒湯
洗い場コーナーを通過した奥に内湯浴槽が2つある。手前が5名サイズのメイン浴槽。温度設定は41℃とのこと。南関東でも時おり見かける黒湯で、透明度はかなり低い。浴槽の底がぎりぎり見える程度だ。イメージ的には木材系や鉱物系の匂いがしてもおかしくなかったが、実際には強く主張してくる匂いはない。でもモール系と呼んでいいでしょう。
よく見ると細かい白い粒状の湯の花が漂っているのがわかる。泡付きは見られず。最も印象に残ったのはヌルヌルの感触で、なかなかの潤滑油状態を見せつけてくれる。かのロングセラー商品「スベラーズ」の対極といえばわかりやすいか(わかりにくい)。
41℃という数字にしては熱さがきつくない。もちろんずーっと長湯し続けることはできないにしても、思ったよりはじっくり浸かれる。泉質面からのフォローのおかげだろうか。肌がツルツルになりそうな予感のするお湯なんでね、ゆっくり入ってしっかり浸透してもらいたいね。
キリッと熱めが好きならサブ浴槽へどうぞ
メイン浴槽に接してサブ浴槽もある。2~3名サイズで温度設定は43℃。こちらはキリッと熱い。積極的に攻めてくるような熱さだ。1分・2分も浸かれば、いったん出てクールダウンしたくなる。自分は熱いのが苦手だから軽く体験して終わった。あつ湯が好きな方はどうぞ。
サブとメインの体感温度差が数字以上に感じられるので、両者を行き来する温冷交互浴がひとつの楽しみ方として考えられる。ただしメインでさえ普通の適温だから、調子に乗っているとぐったりのぼせてしまうかもしれない、そこらへんは要注意。
源泉が25℃台なのを生かして加温を抑えた36℃前後、あるいは思い切って30℃程度の低温風呂があると、ぬる湯派としては幸福度MAXだったが、あくまで個人の感想です。湯あがり後、妙にぽかぽかしてきた身体で給油~レンタカー返却までのラストスリーマイルに臨んだのであった。
おまけ:一人打ち上げでハジけたい
レンタカーを返して新千歳空港へ戻った。帰りの便まで3時間ある。充実した飲食街を活用して一人打ち上げでもするか。前回の山口遠征の打ち上げはいまいち弾けきれなかったから、ちょっと贅沢しちゃおうかな。やっぱり北海道らしく豪華海鮮丼でしょう。
しかし各店舗のショーケースを覗いて実際の値札を見ると気後れしてしまう。インフレ極まれり。実質賃金が、実質賃金がへ゛っ゛て゛る゛ん゛た゛よ゛お゛お゛お゛お゛(絶叫する藤原竜也)。
一生に一度だからと自己暗示をかけて、きくよ食堂へ一歩を踏み出した。ここまでくるとスッと冷静になり、初めからそのつもりだったかのような平然とした顔で、うに・いくら・ほたてが入った巴丼を注文。生ビールもください。
やっぱり弾けきれなかった。ミニサイズを頼んでしまったのである。ここはもう食べ切れないというくらいのてんこ盛りで一生の思い出にする勢いじゃないとだめでしょ。せめて並盛りでしょ。こいつTACOだ、TACO(旅先で Always Chickens Out)。…悲しいかな、おじさんの器は目の前の丼と同じくミニサイズなのだ。弾けるのはまだ今度。
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