有名な蝦夷富士・羊蹄山を一度肉眼で見てみたかった。1年前の旅行でその機会が訪れたのだが、あいにくの天気で山が雨雲の中にすっぽり隠れてしまい、まるでまったく見えやしない。羊蹄山南麓の真狩村出身・細川たかしのヒット曲じゃないが、まさに「心のこり」。私バカよね。
時はめぐって再び同じメンバーで同じエリアを旅行することになった。チャーンス。今度こそおバカさんを卒業できるかもしれない。天気予報によれば少なくとも雨は降りそうにない。あとは雲がかかってしまうかどうかの勝負。
結論としては、2日がかりで挑んだ甲斐あって、見事な富士山状の姿を拝むことができた。その過程であちこちの見学スポットにも立ち寄れたし、良かったんじゃないでしょうか。
最初は岩内町と共和町の観光
兵どもが夢の跡・雷電岬
旅の2日目。いわない温泉・高島旅館をチェックアウトした我ら一行は旅館近くの円山展望台に寄り道してから雷電岬へ向かった。現地には雷電温泉郷と称する温泉宿がいくつかあったようなのだが、目につくのは廃墟ばかり。残念なことになってる。
海の方へ目をやると、変わった形をした刀掛岩が見えた。北へ逃れてきた弁慶が休息の際に刀を置いたとのいわれがある。義経伝説がこんなところにまで。すぐ近くには有島武郎文学碑もある。
時間の都合により深入りはせず、すぐに岩内町中心部へと引き返した。
神仙沼の散策は…なしよ
お次は共和町に入ってニセコパノラマラインを登っていった。神仙沼自然休養林のレストハウスに車を止めて、さあ神仙沼を見学するぞ…の前に情報収集だ。実はまったく予習してなくて、駐車場から沼まで近いのか遠いのかも知らなかったのだ。
調べたところ、神仙沼までは遊歩道を片道30分ほどかけて行くようだ。木道が整備されているし、湿原や山の植物を見ながらだし、他にも池や沼があって、いろんなコース設定が可能。
しかし前日の神威岬で足腰にダメージを受けていた我々は「たくさん歩くの回避」という方針になっていた。カジュアル軽装の我々に対して他の客は山歩きっぽい装備なのも気になるし。神仙沼までの往復だけなら恐れることもないんだろうけど、まあやめておこうということになった。遊歩道入口だけを撮影して終了。
ニセコパノラマラインをさらに進んでいくと、路肩に駐車している車がやけに多い。ずらーっと列をなしている場所もあった。たぶん山菜・タケノコ採りじゃないか。でも熊が出たりしないのかね。
雲に隠れた羊蹄山
頼みの綱はニセコ高橋牧場
峠を越えてニセコ町側へ下りてきた。いよいよ羊蹄山目当ての周遊が始まる。スキー場のあたりだと方角の関係で肝心の山が見えなかったため、あてにできるビュースポットとして「ニセコ高橋牧場」を目指した。
高橋牧場は乳製品関連の工房やレストラン、土産店などを併設する観光牧場。ミルク工房ではアイスクリーム・プリン・ラスクなんかを売ってます。自分はまだお腹一杯だったからパスしたが、昼食代わりにシュークリームを食べた一部メンバーによれば、普通のシュークリームと全然違う濃厚な味わいだったそうだ。
広い牧草地の向こうに羊蹄山がそびえる。絶景や~…のはずだったが。
上の方が雲に覆われて裾しか見えない。ちくしょー。だがまだだ、まだ終わらんよ。高橋牧場には翌日も立ち寄ることになる。
名水の地・ふきだし公園
続いて羊蹄山北東麓にある京極町ふきだし公園へと車を走らせた。ここは道の駅も併設されているためか、あるいはコロナ自粛明けで久しぶりにちょっと行ってみようかという気にさせる場所なのか、混雑まではいかないにせよ、そこそこの人出だった。売店やレストランがあるのは名水プラザなる施設。
ふきだし公園内には名水百選にも選ばれた湧水地がある。当然ながら皆そこを目指す。ペットボトルやポリタンクを手に提げた「汲む気マンマン」の人々もちらほら。人の流れに乗って歩いていくと、おっ見えてきたぞ。
この池は湧き水が一時留まる場所だ。池に向かって大量の水がバンバン流れ込んでいる地点で記念撮影をするグループが多い。こんな感じのところ。
結局この日は見えず
池の先に水汲み場があった。水を汲む人・記念撮影する人が次々現れてフリーの時間ができるまで少し待たされたが、なんとか撮影に成功。チョロチョロなんてケチくさいもんじゃない勢いの大盤振る舞い。
試しに手ですくって飲んでみた。冷たくておいしい。しかしよく見ると「飲用の際は煮沸して下さい」的な注意書きがあった。生のまま飲んじゃったよ…エキノコックスという単語が一瞬頭をよぎる。やば。一口だけだったし、後日ネットで検索したら当公園の水はフィルターを通してあるから大丈夫という情報があるから、まあいいか(※公式情報ではありません)。
ふきだし公園から羊蹄山を見てみる、ということをすっかり失念していた。でもどうせ雲に隠れちゃってるに違いないから、もういいや。今日はあきらめて明日に賭けよう。
羊蹄山、ついに姿を現す
今度こそバッチリ…高橋牧場様様
羊蹄山をテーマにしながら、ここまでまともに山を見ていない。話の終盤まで主役が姿を見せないなんて、ルパン三世part2の最終回かよ。
旅の3日目。今日は快晴だ。羊蹄山がきれいに見えること間違いなし、ってことで再び高橋牧場に向かった。前日と同じ場所へ行ってみると…おおバッチリ。本当に富士山みたいな形をしているね。上の方はまだちょっとだけ雪が残っている。
ようやく。ようやく見たよ。べつに登山するわけじゃなく山の写真を集めているわけでもない。「見たから、何?」と言われても返す言葉はないが、気分的にはずいぶんスッキリした。北の方角にはニセコアンヌプリと思われる山もはっきり見えた。
夏の盛りに来れば高橋牧場に隣接する丘一面のヒマワリ畑も楽しめる。ニセコ方面へドライブするならぜひ立ち寄りたいスポットだ。
真狩村のフラワーパーキングもおすすめ
我ら一行はさらに真狩村へと南下して県道66号を走っていると、途中にフラワーパーキングという休憩所があった。ここにちょとした展望台があり、羊蹄山を実に良好な条件で拝める。時期が時期なら人でいっぱいなのかもしれん。この時は我々しかいなくてゆっくりできた。
山頂付近はニセコで見た時と少し形が違いますな。こうして細川たかしの故郷・真狩村にて「心のこり」は完全に解消された。あースッキリした。もう思い残すことはない。今後は生の羊蹄山を見た人間として胸を張って生きられるぜ。
最後に、このあと立ち寄った洞爺湖からも羊蹄山が見えたので写真を貼っておきますね。
人間諦めが肝心だけど、ごくたまには諦めないで追いかけるといいことがある。
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