いつものぬる湯派メンバーによる真夏のグループ旅行。行き先は栃木に決まったが、あつ湯はもちろんのこと、ぬるくない適温もノーサンキュー。さてどこを狙うべきか。
新規開拓にこだわらず再訪でよければアテはあった。中塩原の赤沢温泉旅館である。内湯は普通の温度でも露天風呂がぬるくて気持ちよく入れたことが記憶に残っていた。メンバーの賛同も得られて1泊目は赤沢温泉旅館と決まった。ちょうど鬼滅の刃無限城編の映画が公開された頃である。赤沢再来。※実際の読みは「あかさわ」です。
思い出通りに露天風呂のぬる湯がとてもよかった。むしろ思い出以上だった。長時間かつ何回も入っちゃいました。内湯も思ったほど熱くなくて結構気に入った。
赤沢温泉旅館へ再び
高速バスはもう頼れない
いま新宿~那須・塩原間の高速バスを確認していてびっくりした。2025年4月から当面運休だと?! このまま廃止されちゃうのかなあ。温泉地としての知名度と需要が高そうな那須や塩原でこれだと厳しいですね。
こうなると新幹線が停まる那須塩原駅か在来線の西那須野駅から一般の路線バスに乗るしかない。塩原温泉バスターミナルが終点なので、あとは2km・30分を徒歩でカバー。もしくは旅館の方でバスターミナルまでの送迎サービスを一応やってるみたい。※要事前連絡かつ「可能な限り」であって絶対ではない。
東京方面からだともうひとつ、東武鬼怒川線と野岩鉄道を乗り継いで上三依塩原温泉口で下車すると、ゆーバスという地域バスで木の葉化石園入口まで乗ることで徒歩を600m・8分に抑えることが可能。
おなじみのもみじ谷大吊橋を見学する
我々はメンバーの愛車で東北道を走った。あるメンバーは、途中のSAでいただいたラーメンがお気に召さなかった様子。塩原に直行して現地のそば屋などを探すのがいいかもねとの意見。
といった過程を経つつ、西那須野塩原IC→国道400号の王道ルートで塩原入りした。塩原はもう何度も訪れていて(自分個人は3ヶ月前に来ていたし)、観光スポットへのモチベーションはほとんどない。宿直行でいいやくらいの気持ちで朝遅めに出発したつもりだったが、まだチェックイン可能時刻には早かった。
協議の結果、前にも見たけど「もみじ谷大吊橋」をあらためて見学することになった。300円。ダム湖の上を渡る吊橋だ。
渡った先には塩原ダムがあり、ちょうど放流中だった。写真だとわかりにくいっすね。
以前と比べて貯水量は少なめに見えた。少雨のせいなのか、今後の台風や大雨の可能性に備えて減らしていたのか。
見学後は当宿へ直行。木の葉化石園入口のところを曲がって箒川を渡って対岸へ。あとは看板の指す方へ川沿いに500mくらい。
少し変化がありつつも思い出の趣きが残る旅館
にぎやかなキャストがお出迎え
駐車場担ってる敷地の奥に大きなテントが見える。たしかコロナ禍の頃にグランピングを始めたんじゃなかったっけ(運営はglamparkという事業団体)。
なんか目の前を猫ちゃん達がのそのそ歩いてるし、どこからかワンちゃんの吠える声が聞こえる。動物好きにはうれしいキャストですな。
ではチェックイン。概ね記憶にあった通りの雰囲気だけど、ちょいちょい違ってるような気がする。温泉むすめ塩原八弥ちゃんのパネルとグッズを置いたコーナーは一般的なロビーに生まれ変わっていた。
温泉むすめは別の場所に移動してました。
大浴場へ続く廊下はなんだかエジプト風味。写真手前の撮影ポイント付近には宿泊者無料のコーヒーサービスあり。
窓際の椅子に座れば窓の向こうに人工滝が見える。
ワーケーション対応タイプの部屋があります
前回は2階の部屋だった。今回案内された部屋は1階廊下の奥の10畳+広縁和室。大浴場がめちゃ近い。
セミダブルくらいのベッドが1名分と、残りはセルフで布団を敷く方式。座卓じゃなくて2名で使える長机+椅子が写真の窓際に1組と、写ってない位置にもう1組置かれていた。見るからに「ワーケーション歓迎」なつくり。コンセント多めでUSBの口や延長ケーブルなんかも用意されている。ネットはフリーWiFiで。※部屋ごとにコンセプトを変えてるみたいなので、すべての部屋がワーケーション向きかどうかは要確認。
シャワートイレあり、洗面台あり、金庫あり、空の冷蔵庫あり。のどを潤す系は部屋にティーバッグのお茶があるほか、前述のコーヒーサービスと、大浴場そばにはソフトドリンクやビールの自販機。おかげで不自由は感じませんでしたね。窓の外はこんな感じ。
眺望バァーンでないのは、まあ1階ですから。2階だと箒川や対岸のホテル群がはっきり認識できたと記憶している。
やめられない止まらない、赤沢のぬる湯三昧
内湯は適温なれども、好印象ないいお湯
赤沢温泉旅館の大浴場は1階奥。我々の泊まった部屋からすぐだった。男女の入れ替えはなく、手前が女湯で奥が男湯。浴場の出入口が格子戸的なのじゃなくて金属扉だった。脱衣所には木の棚+かご。貴重品ロッカーがもしかしたらあったかもしれない…記憶に自信なし。
分析書が貼ってあったのでチェックすると「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉、低張性、中性、高温泉」だった。源泉温度43.9℃、PH6.6。高温泉でもぬるめにして提供してくれるのはありがたい。加水なし、時に応じて(真冬とか?)加温あり、循環なし、清掃時のみ消毒あり。
洗い場は6名分。内湯は木の浴槽が1つのみ。3~4名サイズでお湯の見た目は無色透明だ。たしか普通の適温だったよなと思い出しながら入ってみたところ、やっぱり適温だった。しかし予想してたほどの熱さはなく、のぼせにくくて入りやすい温度。リラックスできていいんじゃないですかね。出る直前の上がり湯的な使い方が主だったけど、もっと多用してもかまわないくらいだ。ノーサンキューどころか結構気に入ったぞ。
無色透明な中にも細かい粒の湯の花が見られ、木くずのようなやつもあった。炭酸その他のガス成分由来ぽい泡付きはない。匂いはほんのり温泉臭。いいお湯だ。
露天風呂が絶妙なぬる湯になっている
露天風呂は6名サイズが2つ。まず手前に入り、そこが気に入ればそのまま適当な位置を陣取ればいい。温度はややぬるめ。この浴槽内をじゃばじゃば歩いて、端っこの仕切りを「よいしょ」とまたいで入る奥の浴槽が一番ぬるい。はっきりとぬるい。早朝なんかはヒヤッとする感覚もあったくらいだ。どうやら内湯→露天手前→露天奥へと、お湯が少しずつ流れてるみたい。その間にいい具合に冷めて絶妙なぬる湯と化してくれるわけだ。
温度以外のお湯の特徴は内湯に似ている。露天風呂から温泉街や箒川を眺められるわけではないが、露天エリアは広くて余裕があって庭木が整えられてるから、気分はいい。
塩原全般がそうだったように、たくさんのトンボが飛び交っていた。露天風呂の中では1匹のアメンボがスイスイ泳いでましたよ←こいつは許す。たまに来襲してくるアブ←こいつは許せないけど、季節的にやむを得ないな。群がるほどではなくて散発的だったし、夕方だけで夜と朝はいなかったから、まだいいか。
真夏だからなおさら最高だった
まあとにかく露天奥のぬる湯が良すぎてずっと入り浸っていた。1時間級の入浴を夕方2回・夜1回・早朝1回と、チェックアウト前にも20分級を1回。最高や。ぬる湯に浸かってじっとしていると、いつのまにかコックリコックリ居眠りが始まる。ついにガクッと脱力して顔を湯の中に突っ込みそうになって目が覚める。そしてまたコックリコックリ…最高や。
なお、露天風呂の2浴槽は岩と石とコンクリを組み合わせたような雰囲気で、一見すると貯湯槽や池のように見えなくもない。別のメンバーと「これお風呂だよね。入っていいのかな~?」とお互い確認しあったこともある。結論としてはお風呂だから安心して入ってほしい。
ちなみに露天2浴槽のさらに向こう側にもうひとつ、本当の池がある。2浴槽に接していて雰囲気は似ているものの、鯉がたくさん泳いでるから区別はつく。入らないように。
お湯もいいけど食事もいいぞ
夕食はワンポイントの蒸し餃子に赤沢らしさあり
赤沢温泉旅館の食事は1階の食事処で。大広間のテーブル席が部屋ごとに割り当てられ、朝夕とも同じテーブルだった。開始時間はいくつかの候補から選べる。我々は夕食18時を希望し、行ってみるとこのような品々がセッティングずみだった。
前菜とシャキシャキ野菜サラダ。刺身はヤシオマス、うっすら微かな記憶だとプレミアムヤシオマスと説明されたかもしれない。鍋の肉と野菜は焼き上がってからタレにつけて食べるのではなく、火が通った頃にタレを肉野菜にかけるようにと言われたからそうした。
途中で蒸し餃子とイワナだかヤマメだかの塩焼き(正直区別がつかない)が追加された。ビールが進むぜえ。
お腹いっぱいになってきたぜえ。最後にご飯・味噌汁・デザートと出てきたとき、ご飯のおかわりをする余裕は残されていなかった。総合的にみて味・量とも申し分なし。満足でございます。
さっぱりと1日をスタートする朝ごはん
朝食は8時を希望したおかげでたっぷり朝風呂を堪能できた。ばっちり整って向かったテーブル席に用意されていたのがこちら。
サラダのドレッシングが前夜から変えてあるのはにくいね。しかもさっぱり系だし、別の器に用意して自分の好みでかけられるのが良い。野菜の上に最初から大量のマヨネーズがとぐろを巻いてるのは好きじゃないのだ。
ご飯をおかわりするだけの胃の余裕がないとわかってたから、いきなり生卵を使ってTKGを錬成…なお、納豆は存在しないものとする←関東民にあるまじき行為。本来は明太子・焼魚・梅干しで一膳いった後のおかわり後にTKGをやるべきだろうけど仕方ない。少食には少食の戦い方がある。
食後は例のコーヒーサービスを、と思ったが、すでに朝風呂後に1杯飲んでいたことを思い出し、カフェイン摂りすぎも良くないかと思って控えた。ぬる湯は好き放題に、飲食は自制的に、だ。
* * *
2度目の赤沢温泉旅館は正解だった。過去にいい思い出があったからこその再訪とはいえ、こんなにいいお湯だったのかと、あらためて見直した。真夏という季節にぬる湯がうまくはまった面もあるだろう。
炎暑下の人間に赤沢のお湯が語りかける。お前もぬる湯派にならないか? そうすれば1時間でも2時間でも入浴し続けられる。心地よくなれる。…この誘いは断れません。















