涌蓋山の景色が印象的な青湯露天風呂 - 岳の湯温泉 豊礼の湯

わいた温泉郷 岳の湯温泉 豊礼の湯
長年にわたって構想を抱えながらも実現に至らなかった九州くじゅう連山周辺の温泉めぐりを実行する時がついに来た。ハイクオリティかつ個性的な温泉が多い地域だから感無量。あまりにも多すぎて全部は回れません。タイムアタックみたいな入浴したくないし、ある程度はちゃんと堪能したいから、2泊3日で9湯を目標に計画を組んだ。

1湯目は熊本側にある「わいた温泉郷」、中でも岳の湯温泉・豊礼の湯に決めた。珍しい青湯だというし、景色が素晴らしいとの評判だ。自分好みのぬる湯でないのは承知の上で行ってみた。家族風呂を利用すると贅沢な体験ができるみたいだけど今回は一般の大浴場を利用。露天風呂から望む涌蓋山の景色が印象深い。

岳の湯温泉 豊礼の湯へのアクセス

大分空港から桜を見ながらドライブ

土地勘がないため公共交通機関によるアクセスについてはなんとも言えない。基本は車でしょう。2名以上の宿泊客に限り、福岡・熊本方面からのバスで行ける道の駅小国「ゆうステーション」または「黒川温泉」のバス停までは送迎してくれるみたいだ。

今回は大分空港からレンタカー。いくつかの有料道路・高速道路をまたぎながら(湯布院までは過去に通っていて、なんとなく見覚えのある景色もあった)大分道九重ICを出たら、なんかいろいろ走って国道387号に入ったんだと思う。※完全にカーナビ頼み。

道中は実にたくさんの温泉の看板が立っていた。聞いたことある名前、初めて見る名前、次から次へと現れる。おそるべき密度で温泉地が存在するなあ。また桜の時期にうまくあたったようで、桜並木を通ったり、黄色い菜の花との組み合わせが見られたりと、おいしい思いもできた。

涌蓋山の懐にある温泉郷

熊本県に入ってから少し走ると、わいた温泉郷の看板が出てくるので右折。5分ほど道なりで行ってカーナビの指示通り分岐を右に進むと豊礼の湯が見えてきた。なおネットでは、当湯をわいた温泉郷の「岳の湯」に分類する情報と「はげの湯」に分類する情報が混在していてよくわからないが、とりあえずで岳の湯ということにしておく。

敷地の最も手前に貸切家族風呂の並ぶ一角が。背後に見える山が涌蓋山でしょう。
貸切家族風呂
調べによれば、家族風呂は1回利用するごとにお湯を新しく入れ替える。つまりいつでも新鮮なお湯を楽しめるってわけ。それを貸し切りで独占なわけでしょう。なんという贅沢。わくわくしてきたぜ。


今回は一般大浴場を満喫する

地獄蒸しができる設備あり

しかし、受付で料金の違いを見比べちゃったせいもあるが、たまにやらかす悪い癖=気まぐれの逆張り心が頭をもたげてきた…やっぱり一般大浴場でいいか。トランプ関税ショック相場の直撃で心がひねくれていたのかもしれない。まあ結果的にはまったく後悔してないからいいや。600円お支払いして奥へ進む。

受付や休憩所のある棟のすぐ近くに豊礼の宿という宿泊棟がある。食事なしの自炊プランがベースでお一人様向けのシングルユースも可能。
豊礼の宿
あわせて地獄蒸しの調理場もあった。真っ白な蒸気がもくもく。売店コーナーで食材を売ってるから、泊まりの際の食事はここで地獄蒸しを作ればいいんじゃないか。
地獄蒸し調理場
宿泊棟の裏へ回り込むと源泉施設のようなものがあった。
源泉施設と思われる
目的の大浴場もすぐそこに。向かって左側に男湯、右側に女湯。
大浴場の入口

美しい青湯の露天風呂

脱衣所には100円戻らない式のロッカーと普通のかご+棚の組み合わせが混在している。分析書を探してみたけど見当たらなかったため、後日調べたところによれば「ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」のようだ。

その先の浴室…というより、いきなり景色の良い露天風呂…は、洗い場が3名分。そんなにスペースに余裕があるわけじゃないし、かけ湯の拡張版くらいに考えておくのがよいと思われる。そばには「お湯が熱い場合は湯かき棒を使ってください」と書かれた札と、グラウンド整備に使うトンボのような形をした大きな湯かき棒が立てかけてあった。

10名以上収容できそうな岩風呂のお湯は評判通りに青っぽい。コバルトブルーのような鮮やかさはないけれども、青白系の白濁硫黄泉の透明度を上げていって半透明にしたような印象だ。白ではなくて青と表現できる程度には青みが勝っている。コンディション次第で白っぽかったり透明の日もあるらしい。過去に由布院温泉で青湯を体験しようとしたらほぼ透明だったことがあり、今回が初の青湯となることを思えば、いい時に来たのかな。

白濁硫黄泉の雰囲気もある

では入りやす。うん、適温ですね。熱さに耐えて浸かるほどのあつ湯ではない。あらためてお湯に注目すると、白いふわふわした質感の湯の花が舞っているのがわかる。そして匂いを嗅ぐと若干の硫黄臭を連想させた。いかにもな本格温泉で大変結構ですね。うーん、マンダム(謎)。

隅っこに2本の鉄パイプが突き出ており、それが湯口になっている。投入量はまあまあ多い。反対側の隅っこからオーバーフローして出ていく様子も見て取れ、しっかりと源泉かけ流しであることを示していた。

お湯の濃厚さは浴槽の縁に沿って置かれた石の変色に現れている。一番大きなやつはもともと赤い石だったようだが、浴槽を向いた面は温泉の析出物がこびりついてすっかり白くなっている。他の石も似たようなものだ。

涌蓋山山腹に見える白い煙

期待した景色はさすがの一言。浴槽の中で最も外界に近いかぶりつきの場所がいいかといえば、上記の一番大きいやつをはじめとする石が視界を遮ってしまう。むしろ反対側へ引いて陣取るようにした方が全体の眺望は視界に入ってきやすい。

お風呂を出た後に駐車場へ戻りながら撮影したのが下の写真。大浴場では涌蓋山の右半分がより強調されたアングルになっていて雰囲気もよりワイルドな印象。
豊礼の湯から望む涌蓋山
左手から白い煙が上がっているほか、黄色い花で隠れちゃってるが右手にも同様の白煙もくもくが見える。湯船ではそちらが大きく見えた。なぜだかずっと見ていてしまう景色だな。

こうして小一時間ほどお湯と景色を堪能してあがった。今回は個性派濃厚湯が揃う地域、最初から飛ばしすぎてぐったりしてしまってはまずい。時間と体力を意識しつつ、ご利用は計画的に、ってやつだ。


おまけ:岳の湯大地獄の珍しい光景

豊礼の宿を後にして、近くの岳の湯大地獄を見学しに行った。ゆけむり茶屋というレストラン併設の日帰り温泉のすぐそば。車なら2分の距離なのに、わざわざ遠回りのコース=岳の湯地獄谷温泉裕花のところから離合が辛い狭い道路を5分以上走るコースをカーナビが強硬に指示してきた。泣きが入ったね。

なんとか到着してこちらが大地獄。白煙もくもく。
岳の湯大地獄
煙は途切れることなく、噴気の源を覗こうとしても何も見えない。ほんの一瞬だけ見えやすくなったチャンスに反応してスマホを向けた結果がこれ。
噴気の源
ゆけむり茶屋から坂の小道を下ってプチ散策する客がわりといる。大地獄そのものじゃなくても白煙もくもくの場所があちこち点在しているのだ。
集落内に上がる白煙
登別川原毛地獄などの典型パターンと違い、民家の立ち並ぶ集落と噴気地帯が共存してる光景は別の意味ですごいな。別府地獄めぐりのようなボコンボコンいってる熱湯沼みたいなのが普通に道路脇にあったりするし。かなり珍しい光景なのは間違いない。