冷泉あり・滝見露天風呂ありの上質秘湯 - 赤川温泉 赤川荘

赤川温泉 赤川荘
春の九州遠征の2日目は昼の間に3湯へ立ち寄ろうという、自分としては精力的な計画。湯あたりしないように、入浴間隔を1時間程度は空けようとするなら、移動と途中の観光をうまく組み合わせていくスケジューリングの工夫が必要となる。

この日最後の立ち寄り先は久住高原にある赤川温泉赤川荘。一般的な旅館のほかに車中泊対応のRVパークも運営しているようだ。白濁の硫黄泉という情報だけで詳細を確認せず、そういう泉質を1箇所くらい入れてみるかと考えて計画に加えた。

事前イメージとしては熱いと予想し、スケジュールも押していたので短めの滞在と割り切ってたら、冷泉も備えた上質のお湯だった。短時間ですませていい場所じゃなかった。

赤川温泉赤川荘へのアクセス

車がないとつらそう

最初に注意しておくと赤川温泉の日帰り営業は金土日月と祝日のみ。そしてアクセスには車必須。JR豊肥本線竹田駅から久住支所前までバスで行くことはできても、そこからまだ10kmもある。タクシーといってもね、いまどきは簡単につかまらないでしょう。

というわけでレンタカーで向かった。朝から壁湯温泉福元屋筌の口温泉山里の湯へ立ち寄りずみで、いずれも1時間級の長湯を完遂している。両方とも源泉かけ流しの本格温泉だ。赤川温泉の前にクールダウンも兼ねて観光スポットへ寄り道しましょうかね。

見頃にはまだ早かったタデ原湿原

タデ原湿原がちょうどよさそうだった。広い駐車場やビジターセンター・遊歩道などが整備されている。ただし前2湯で予定以上に長湯してしまってスケジュールが押している。さくっといこう、さくっと。ビジターセンターの1階から始める遊歩道は、絶景コースならアップダウンなしの一周20分の木道だ。
タデ原湿原から見る三俣山
残念ながら湿原らしい風景は見られなかった。一面枯れススキの跡みたいな感じ。正面に見える三俣山はさすがの美景。※さらに左に目を向けると由布岳がかすかに頭をのぞかせていた。

三俣山の右側には硫黄山と星生山が並ぶ。ふーむ、もっと緑の湿原と化して花が咲く頃に訪れると、忘れがたい絶景が広がっていそうな予感がする。
硫黄山と星生山
では出発。やまなみハイウェイで峠を越えて、瀬の本で給油して、国道442号を東南へ。カーナビの指示した場所で左折すると秘境へ向かう一本道の雰囲気になってきて、この道を5分ほどで駐車場が2つ現れる。手前が赤川登山口を利用する登山者用、奥が赤川荘宿泊客用の駐車場だ。日帰り客は登山者用に止めるべしとの情報がある。


赤い川と白い温泉

入館前から圧倒される環境

駐車場から当館まで数分歩く。道沿いに流れる潤島川はまさに赤川。秘湯感が増しますな。
赤い潤島川
建物前に久住山天然水を飲める場所があった。一口飲んでみたら久住のおいしい水(小並感)。
久住山のおいしい水
その隣が強烈。赤川温泉水が湧き出ており、もともと赤っぽかった岩という岩が白くコーティングされている。うへえ。飲用できるから飲んでみたら、はっきりとした硫黄の腐卵臭が口いっぱいに広がった。うへえ。
赤川温泉水を汲める場所
入館して券売機で入浴券を買う。1000円。お土産コーナーでは温泉化粧水・濃縮温泉水・温泉石鹸などを売っている。外観もそうだし館内もモダンできれいな雰囲気だ。秘湯感たっぷりのロケーションであっても施設は鄙びていない。万人向きの安心感あり。

貴重品が気になる方は休憩コーナーの100円ロッカーを利用できる。大浴場は廊下のつきあたり、右が女湯で左が男湯。分析書によれば「含硫黄-カルシウム-硫酸塩冷鉱泉(硫化水素型)、弱酸性、低張性、冷鉱泉」だけど「単純二酸化炭素硫黄冷鉱泉」という別の記述も記憶に残ってる。内湯・露天すべての浴槽が一部加温を除いて源泉かけ流しとのこと。

内湯の温冷交互浴がおすすめ

いざ浴室へ。日帰り客の出入りがわりとあるので、洗い場難民が発生するとは言わないまでも3台のカランは埋まりやすい。内湯浴槽は2つ。手前の小浴槽が非加温の源泉風呂で奥の中浴槽が加温した源泉風呂だ。

白さのこびり着いた石で組まれた小浴槽は3名サイズで亀の像が設置されてる。お湯は白く濁って浴槽の底は見えない。ゆっくり入っていくと…冷てー! さすがは非加温の源泉そのまま。水風呂と変わらない冷たさだ。しかしゆっくり沈んでいけば肩まで浸かれるし、動かずじっとしている限りは大丈夫。

見事に真っ白なお湯ですな。匂いを嗅ぐと硫化水素臭が強め。濃厚だなあ。予習不足もあって「こういう泉質はたいがい熱い、場合によっては激熱」の予断を持って来たから意外性を感じた。お客さんのうち8割は小浴槽を冷たいといって敬遠するから、わりと独占できるし長湯もできる。ただし残り2割の「わかってらっしゃる方々」が入りたそうにしてたら譲り合いの精神で。

まずは軽いジャブのつもりですぐに出て5名サイズの中浴槽へ移動。温度以外のお湯の特徴は小浴槽と同様だ。適温ゆえ多くの人が好んで入るのはこちら。加温した分だけ源泉のパワーが云々は自分には正直判断できず。好きに入ればいいんじゃない。

おすすめするならやはり小⇔中の温冷交互浴。温から冷は体感の冷たさと修行度が増すだけだが、冷から温はすべてが報われるかのようなカタルシス感。おかげで何度も繰り返したくなってしまう。スケジュールの都合で短めにまとめるつもりで来ているのに、これじゃ時間がいくらあっても足りないぞ。

滝を眺める絶景露天風呂

おう、そうだった、露天風呂も行かなきゃ。露天風呂も見事な白濁。長屋のように奥に伸びたつくりで2区画(3区画)に分かれている。手前の第1区画は4名サイズでやや熱め。熱いのが好きな方はどうぞ。

仕切りの向こうが第2の区画。仕切りを越えて多少のお湯の行き来はあるが、ちょっとずつ流入する分だけ第2区画の方がぬるい。体温と同じか少し下くらいまで温度が下がっている。「うわっ、こりゃぬるいよ」とすぐ戻ってしまう人がいる一方、ぬる湯好きには狙いめなのではないか。

一番奥の第3区画と第2の仕切りはあまり明確でない。温度も同程度だし、同じ区画とみなしてもいいくらいだ。滝をより近くで見られるのが第3区画のメリット。露天風呂は滝見風呂になっているのだ。赤い川の滝。
露天風呂から見える滝
この写真は帰りに道路上からズーム撮影した。こんな感じの滝を露天風呂から拝めてしまう。絶景露天風呂ですな。本格派のお湯は濃ゆいし温度は好みのぬるめ。言うことなし。

時間をかけてゆっくりすべき温泉だった

だが滞在できる時間は限られていた。宿泊先への到着をあまり遅らせたくない。宿で温泉に入ってから部屋でのんびりするのも温泉旅の醍醐味だからね。悩んだ末に温冷交互浴の快感を優先して内湯へ戻った。さらば絶景露天風呂。

こうして内湯を中心に40分ほど滞在してタイムアップ。あー、ちくしょー、もっと入っていたかったぜ。きっと熱いから40分あればまあ十分だろうと決めつけて、それまでの時間管理を甘くしていた自分がいけない…反省すれども後悔せず。前を向いていこう。

帰り際に受付の方から「外で温泉水を汲んでってください。そこのペットボトルを使ってください」とおすすめされた。しかし旅の途中だし、帰りの機内に持ち込めるのかなあ、とハードルを感じて遠慮してしまった。せっかくのご厚意を申し訳ない、決して温泉水が欲しくなかったわけではありませんので。