人々を引き寄せる新鮮な出で湯 - 出湯温泉 華報寺共同浴場

五頭温泉郷 出湯温泉 華報寺共同浴場
新潟県阿賀野市に五頭温泉郷がある。近くの五頭山から付いた名だろう。五頭温泉郷は出湯・今板・村杉という3つの温泉地からなり、天然ラジウム温泉で知られている。前から気になってはいたのだけど、一人泊で探すと結構ハードルが高く、ふらっと行ける距離でもないし、なかなか機会を得られずにいた。

そうこうするうちに華報寺(けほうじ)共同浴場の存在を知った。なんでも38℃くらいのぬる湯だとか。自分の好みにばっちりあてはまるじゃん。五頭温泉郷に関しては泊まりにこだわらず、華報寺共同浴場に立ち寄ることでいったんの解決を図ろう。と決めたらどんどん物事が進みだした。

予想してたより熱く感じる、タマゴ臭と泡付きが強い良質の湯だった。飲泉も可。

華報寺共同浴場へのアクセス

鉄道の町・新津へ寄り道

JR羽越本線水原駅前から五頭温泉郷を通る阿賀野市営バスが出ているようだ。1日5~6便。当館のある出湯温泉まで30分前後。公共交通機関で行くなら左記の通りになる。

今回はレンタカーを頼った。朝、三川温泉湯元館をチェックアウトして、まず向かったのは新津鉄道資料館。前日に「新津=石油の町」を印象付ける石油の世界館を見学していたから、「新津=鉄道の町」の側面も見ておかないとフェアじゃない。

はい、着きました。機関車と新幹線が仲良く並ぶ展示が目を引く。
新津鉄道資料館の車両展示
本館建物がこちら。なんだか学校みたいな雰囲気だなあ。かつては新潟鉄道学園という鉄道職員研修所だったところらしい。
新津鉄道資料館
入場料は390円。内部は思った以上にボリューミー。新津が鉄道の拠点として発展していった歴史についての説明や各種の展示あり。撮影可かどうかわからないので写真はありません。人気を集めていたのが鉄道運転シミュレータ(別途100円)。実写映像による電車でGoみたいなやつだ。並んで待つ余裕がないためパス。

現地では共通の無料駐車場を使おう

鉄道資料館を出発していよいよ出湯温泉へ車でGo。途中で瓢湖の前を通った。白鳥で有名な湖だよね? おじさん世代は小学校の教科書で名前を知った人も多いはず。立ち寄りはしなかったが、横目で湖畔をチラ見したら、春に北へ帰らなかったと思われる白鳥が見えたような…はい、「瓢湖で白鳥を見る」の実績解除。

到着した出湯温泉は小さな温泉街だった。メイン通りのつきあたりに華報寺があるけど駐車場はない。ちょっと手前で左に折れると無料駐車場があるからそちらへどうぞ。


さまざまなお客でにぎわう華報寺共同浴場

リニューアル目前の姿

無料駐車場から華報寺は歩いてもすぐだ。途中には出湯温泉共同浴場がある。気になりつつもパス。
出湯温泉共同浴場
数軒の旅館もあり、ひときわ目を引くのが清廣館だ。なんという威厳と重厚感。
清廣館
お寺としての華報寺は806年に創建された由。やっぱり時間の都合で正面から軽く拝むのみ。
華報寺
この華報寺の脇に目的の共同浴場があった。冒頭写真に示される鄙びたローカル風情の小さな建物だ。ただしすぐ隣では新浴場が着々と完成しつつあった。
完成間近の新浴場
2025年秋にリニューアルオープンするかのような口コミ情報を目にしたことがあるから、昔ながらの浴場を体験できるのもあと少しというタイミングだったと思われる。ってことは、この体験記が公開される頃には今後の参考にならなくなってる可能性が高いな →昔話として以下どうぞ。

上がり湯はかけ湯ではありません

男湯女湯の入口前に100円の貴重品ロッカーと入浴券売機が設置されている。入浴料は250円。番台が無人だったので券をカウンターに置いて中へ。脱衣所には銭湯風の鍵なしロッカーが並ぶ。掲示されてる分析書には「単純温泉、低張性、アルカリ性、低温泉」とあった。PH8.4、泉温39.0℃。具体的な記述箇所を見落としたものの、加水・加温・循環・消毒なしであろう。※冬季は加温するかも。

浴室内に一般的な洗い場はない。湯船から直接お湯をすくい出して使う方式じゃないかしら。石鹸なんかも置いてない。左手前にかけ湯槽があると思って近づくと、「これは上がり湯としてお使いください。かけ湯ではありません」みたいな注意書きが見つかった。ほーん。

そこで湯船のお湯で丁寧にかけ湯をして入った。6名サイズの浴槽にはすでに4名ほどが浸かっており、みなさん地元の方と見え、数名は熱心に話し込んでいた。自分は邪魔にならぬよう隅っこにちょこんと場所を得て以後フリーズ状態。

タマゴ臭と豊富な泡付き、体感は意外に熱い

お湯は無色透明。湯の花は意識されず。匂いにはふんわりとタマゴ臭を感知する。いいじゃない。最も印象的だったのが泡付きで、肌にバンバン泡が付いてくる。お湯が新鮮じゃないとこうはならないからなあ。こりゃすごい。

湯口は浴槽の一角に設けられた背高く積み上がった岩の間からドボドボと落ちてくるような雰囲気になっていて、岩の表面の大部分は緑色の苔だか析出物だかに覆われていた。浴槽の縁から常時ダラーっとお湯があふれ出している様子はまさに源泉かけ流し。鮮度抜群だから泡付き豊富なんでしょう。

予想外だったのが温度の感覚。ぬる湯という評判だったし、数字面からもぬるそうに思えたので「ようし、おじさん1時間浴しちゃうぞー」と張り切って浸かったら、意外に熱く感じられた。10分なら平気だけど30分はきついね。典型的なぬる湯の「お湯の感覚がない」あるいは「ひんやりクール」ではなくて、じわーっと確実に全身が温まってくる。それじたいは良い効果なんだけどね。長湯で粘る目論見は外れた。

飲泉もできちゃいます

20分くらいでいったんお湯から出て浴室の端で休憩。開け放した窓から気持ちのいい風が入ってくる。屋外で日に当たると暑いが日陰で受ける風は秋の気配。地元の南関東もいい加減こうなってくれないと困るんだけど。まだまだモワーっとした熱風で嫌になっちゃうよ。

湯口にはコップが置いてある。つまりは飲泉可能。ではいただこうか…やっぱりタマゴ風味ですね。見てるとペットボトルを持ち込んで汲んでる客もいた。

再びお湯の中へ。出ていく客がいてもすぐに新しい客が入ってくるため、浴室内はつねに4~6名いる感じだったし、次第に旅行者ぽい人も交じるようになってきた。自分が興味を持って訪れるくらいだから、もともと温泉好きには定番的な存在で、地元民に限らず県内外から大勢やって来るところなのだろう。

さて小一時間経ったからあがろうかな。連続1時間級の長湯は難しかったが、お湯のクオリティに間違いはない。鄙びた風情が好きなら確実にハマるでしょう。新浴場がオープンするとこちらは取り壊されるそうだけど…。新しくなってどう変わるのか、興味深く見守りたい。