アンコ椿と三原山のイメージしか抱いてなかった伊豆大島。かつ離島で行くのが大変という思い込みもあって、旅行先の候補になることはなかった。しかし温泉、しかも好みのぬるい温泉があると本で読んだのがきっかけで意識するようになり、いつものメンバーとの間でトントン拍子に話がまとまって、気づいたら島に来てた。
基本は観光メイン。最大のヤマ場はやっぱり三原山でしょうね。ヤマ場だけに。時間がなくてお鉢巡りはできなかったが山頂までは登った。さらにレンタカーで島内を一周するに近い形で観光スポットを回ったのであった。
最後の締めくくりで日帰り温泉「元町浜の湯」に入浴。海のそばの大きな露天風呂で眺めは最高。お湯ぬるめで最高。
※記事の大半は観光日記。温泉については一番最後に書きました。
伊豆大島といえばやっぱり三原山
これから登る山の姿を展望する
旅の3日目に式根島から大島へ移動した我ら一行。岡田港からレンタカーに乗って三原山を目指す。走り出してわりとすぐに「港の見える丘」へ寄り道した。岡田港とさっきまで乗っていた客船が見える。
ここから大島一周道路で大島公園→あじさいレインボーライン→三原山登山道路と通って「新火口展望台」で一時休憩。おー、あれが三原山か。溶岩と草と低木がずーっと続いてるワイルドな風景だ。
新火口展望台から5分も走らないうちに山頂遊歩道の起点に着いた。時刻は15時過ぎ。山頂まで片道40分と案内されているから、往復すると16時半頃が見込まれる。日暮れ前には戻れそうだ。冒頭写真は起点付近から撮ったもので、山頂から溶岩流が下った跡の黒い筋がはっきりわかる。
遊歩道は舗装されていて道幅も広くて歩きやすい。
山頂まで決して険しい道ではないが、でも疲れる
最初が平坦な分、高度差を詰めるために後半の勾配がきついんだろうなあ。前方に山が迫ってくるにつれて懸念は確信へと変わった。だんだんペースが落ちてきて、きつい・つらい・疲れたという感想しかない。さっさか歩いたつもりでも山頂に着くまで35分かかった。甘くはないね。
山頂には三原神社の鳥居が立っていた。
ここで道はいくつかに分岐する。お鉢巡り[時計回り]、お鉢巡り[反時計回り]、火口西展望所への一本道。とりあえず目についた展望台のような建物(トイレあり)を屋上まで登ってみたら360度のパノラマビューが。遊歩道起点の方角はこんな感じ。
霞んでてわかりにくいが海と伊豆半島らしき陸の影が見える。反対の方角は火口および火口西展望所への道がある。
これが三原山の火口か!
さて、ハイライトともいえる火口を見てみましょうか。10分くらい歩いて火口西展望所へ。見たぞ、これが三原山の火口だ!
向こう側の壁が一部べりっと剥がされたみたくなってんな。肉眼だともっとスケール感があって迫力十分。お鉢巡りをすれば火口から白煙が上がるところが見えるらしいけど、この時点で16時。一周40~50分のお鉢巡りをやるとホテルへ着くのが遅くなってしまう。日が暮れたら厄介だし。残念ながらパス。
そのまま下山した帰り道でなんと、キョンが道を横切るのに出くわした。付近に何頭か見つけたうちの1頭の撮影に成功。
おじさんはキョンといえば八丈島なんですがね(古い)。大島で見ることになるとは。
島を一周しながらの観光
大地が生んだバウムクーヘン
その日は大島温泉ホテルに泊まり、翌朝出発。天気はいまいち。御神火スカイライン経由で元町の方へ下りていく途中に一瞬立ち寄ったメモリアル公園については割愛します。海沿いに出て大島一周道路を反時計回りに走っていると、やがてとんでもない地形が現れた。なんじゃこりゃあ。
地層大切断面。絵に描いたような見事な紋様だ。道路を通すために山を削ったら出てきたとのこと。巨大なバウムクーヘンを連想してしまった。
続いては差木地みなとまち広場。計画外だが偶然目に入ったから見学していった。海の向こうに三角形の利島が見える。手前の施設はバーベキュー場。地元向けの広場で観光施設ではなかったようだね。
アンコ椿の波浮港
いよいよ南端付近まで来て波浮港見晴台へ。美しい湾を見下ろしつつ、しばし佇む。ほーう、これが都はるみの曲にも歌われた波浮港か。
かの曲の歌碑があるね。三日遅れの便りをのせて船が行くんだよな…あんこぉーーーだよりぃはぁーーー…塩屋崎の美空ひばりに続く脳内エンドレスが始まっちゃった。
お次は筆島。たしかに浅瀬からにょっきりと筆先のような岩が生えている。なぜこんな1本だけ立っているのか。不思議だな。不思議に思うだけで深くは詮索しない淡白なおじさん。
日本でここにしかない砂漠
ここから島の東側を走って、お次は裏砂漠。日本で唯一の「砂漠」だとか。そういえばぱっと思いつく鳥取砂丘なんかは「砂丘」だもんな。違いはよくわかりません。駐車場から第1展望台まで未舗装道を徒歩15分くらい。途中には「もく星号遭難の地」の慰霊碑がある。第1展望台からの景色がこちら。
一般の砂漠のイメージとは違う。さらさらの明るい色の砂粒ではなくて、黒っぽい溶岩が砕けて砂と小石の中間くらいの大きさになったやつ。ところどころに草が生えてる。
第1展望台から櫛形山山頂にあたる第2展望台までは10分の登り。せっかくだからチャレンジした。景色は第1から大きくは変わらない。
急にガスってきて視界が悪くなった。まだ行くところがあるし、長居は無用。さくっと駐車場へ戻りましょう。
椿の名所と火山博物館
お次は前日にも通った大島公園。無料で見学できる椿園や動物園がある。椿の方は見頃の時期が終わりかけ。多くの花が地面に落ちちゃってた。比較的残ってる木もあるにはあったが。
あんこぉーーーつばきぃはぁーーー…とか唸ってる場合じゃない。広い園内を全部回るほどの時間の余裕はない。さわりだけ歩いてあとは温室を見学したのみ。しかし椿はいろんな名前の品種があるのね。英傑の人名的な命名が多い。
動物園の方もさわりだけ。メインのサル山は寒い時期ということでサルがいなかった。鳥がいっぱいいるはずのフライングケージは鳥インフルエンザ対策のため閉鎖中。一番の見所はラクダであった。
とうとう大島一周道路を一周して元町エリアに戻ってきた。最後は火山博物館へ。内部は撮影禁止。
三原山のこと、過去の噴火のこと、特に1986年の噴火のこと、日本の火山、世界の火山について展示が盛りだくさん。時間の都合で軽く流してしまったが、もっとじっくり取り組む価値のある内容だった。ラストに控える火山地底探検シミュレータってのは何なのか(パスしてしまった)、今でも気になる。
元町浜の湯からの見事なオーシャンビュー
大きな大きな露天風呂
最後の最後に温泉だ。元町港のちょっと北の「元町 浜の湯」へゴー。御神火温泉という日帰り温泉施設のすぐ近くにある。誰も出入りしていないタイミング&アングルに配慮して撮影。利用料300円。
小屋の中に入ると、脱衣所の背後に3人分のシャワーブーズが設けられていた。洗い場がないからまずシャワーを浴びてから入浴してね、とのこと。はい了解。分析書があったか覚えてないしメモを取るのを忘れてた。きっと塩化物泉であろう。利用者は水着の着用が必須。
ここは混浴の巨大な露天風呂がひとつ。かなり大きい。30名サイズは確実だし50名と言われても驚かない。お湯は無色透明で、最初は「ん? べつにぬるくないぞ」と思ったが、端の方へ移動したら少しぬるくなったし、慣れてくると長く浸かり続けることができる。
旅の最後を締めるにふさわしい温泉
セールスポイントはやはり見事なオーシャンビューであろう。水着が前提だから周囲からの目隠しをやたら頑張ることもなく、おかげてこちらから海を眺めるには邪魔するものが少なくて都合がいい。港が近くて船の存在を近くに感じられたりして独特の雰囲気を味わえる。旅の最後に立ち寄ると、ぬる湯&景色が旅の満足感と余韻を倍増させてくれる。
西向きなので晴れた夕暮れに来る人は思い出に残るような夕日を拝めますね。うらやましい。※我々は帰りの船の時刻に合わせてもっと早くに来ていた。
最後が浜の湯締めという理想的な展開で大島の全行程を終了。しっかり温泉めぐりもできて大変満足。いやー、縁がないと思っていた伊豆諸島へ本当に来ちゃったよ。勢いというか腰の軽さも大事ですね。