新玉川温泉 日帰り入浴記 - 日本一のピリピリ酸性湯を体験

新玉川温泉
梅雨も間近の時期に決行した一人旅「秋田と岩手の温泉ビッグネーム探訪」。その1湯目が新玉川温泉の日帰り入浴体験である。クマの出没がよく報道されるところであり、クマにいささかビビりつつも行ってみた。

日本一の強酸性で知られる玉川温泉と同じ源泉を引いているだけあって、噂に違わぬピリピリ湯であった。源泉100%は本当にしみますな。

新玉川温泉に行こう

最強の酸性泉

玉川温泉は草津をも超えるPH1.2という、その強い酸性によって全国区の知名度を誇る。また効能についても厚い支持を集めており、難病の方を含む大勢の湯治療養客が訪れるという。

以前から玉川の湯に関心を持っていたものの、ガチ療養客の中に観光気分の者がノコノコ入っていっていいのかしら、という迷いもあった。だが調べていくと、近くの系列施設に「新玉川温泉」というのがあった。

“新”のつく方は観光客をも想定したコンセプトのようで、新玉川温泉のホームページには「レジャーのお客様にも安心してご利用いただくことができます」とはっきり書いてある。しかも源泉は本家玉川と同じ。よし決めた、新玉川温泉にしよう。

新玉川温泉へのアクセス

新玉川温泉は山奥でありながらも公共交通機関で行きやすいといえば行きやすい。

まず秋田新幹線でピューッと田沢湖駅まで行く。駅を出て右手にあるお土産&お食事処の店の前にバス停があるから、そこで新玉川温泉行き(季節に応じて玉川温泉・八幡平頂上・花輪行きも可)のバスに乗ってブーンと70分、新玉川温泉の停留所で下車すれば目の前が玄関だ。

バスの道中、特に後半は、青い湖面が美しいダム湖や山の谷間を流れる川に沿って、集落の一つも見当たらない大自然の中を進んでいく。当施設周辺だけはよく手入れされた緑がきれいに整っているが、その外側はもう深い森。
新玉川温泉 周囲の森

まずは源泉50%槽で小手調べ

ドキドキの入場

玄関を入って受付の奥に日帰り入浴の自動販売機がある。お一人様600円。右手の廊下を進むと、途中に100円ロッカーがある。大きい荷物はそこに入れるしかない。さらに進んだ先に無料の暗証番号式貴重品ロッカーあり。財布など小物だけならここで十分。そのすぐ先が浴場だ。

男湯の脱衣所で分析書をみると「酸性-含二酸化炭素・鉄(II)-塩化物泉」とあった。脱衣所の奥はガラス張りになっていて、向こう側の露天風呂(もちろん男湯の)が透けて見える。露天は最後にまわしてまずは内湯へ。

バラエティ豊かな浴槽群

立派な木造の高天井小屋の中央に大きな「源泉100%浴槽」があった。左手には8名分の洗い場が3ブース。右手には手前から小さい弱酸性浴槽、小さい熱め浴槽、中くらいの源泉50%浴槽、中くらいのぬるめ浴槽。

熱め槽・ぬるめ槽は源泉50%のようだ。弱酸性槽の濃度はよくわからないが、たぶん刺激が少ないよう、かなり薄めに調整されている。

奥には蒸気浴(箱の中に入るやつ)、打たせ湯、歩行浴、飲泉所、サウナ、浸頭湯が揃っており、バラエティ豊か。

意外と入りやすい源泉50%

まず小手試しで源泉50%槽に入った。やや緑っぽいささ濁りの湯で主張してくる匂いはない。微かにヌルっとする感触あり。湯の中で木くずのような湯の花が舞っているのが見えた。それとも単に木くずなのか。

ややぬるめのお湯は、酸の強さ・刺激も特に感じられず、入りやすかった。しばらくつかっていたが湯負けすることはなさそうに思えた。こうして50%槽で自信を深めた後、本丸の源泉100%槽へいざチャレンジ。


本気の源泉100%槽にいざチャレンジ

大丈夫なのは最初だけ

100%槽のお湯も基本的な特徴は同じ。酸の強さに関しては…

入ってすぐ=おお、全然大丈夫じゃん。
1分後=どこもしみてこないぜ、けっこう普通?
2分後=あれ? ところどころジワジワくるぞ。
3分後=きたー。痛ててててて。しみるー。
4分後~=どこまで入っていられるかの勝負。

…だいたい擦り傷・切り傷あとがしみる。切れ痔の気味があるとなお辛いだろう。さすがはPH1.2を誇る強酸性。まあ長く入るべき泉質じゃないし、5分程度で切り上げた。

とにかくしみる、源泉100%

続いて飲泉を試す。軽く口に含むと…うわ酸っぺ! 濃いレモン汁まんまである。うわー、歯が浮くわー。隣には水飲み場もあるので口直しにどうぞ。

続いて弱酸性→熱め→ぬるめ槽を試したが、いずれもやさしいお湯で、違いは感じられなかった。熱め槽もぬるかったし。

それから再び50%槽で「これならいける」と気持ちを立て直して、100%槽へ再突入。さあどうだ…うん?…あ゛ー! 痛てててててて、やっぱりしみるねー。頻繁に休憩を挟みながら、どうにか100%槽に食らいついた。

観光客でも大丈夫な雰囲気

このとき(平日午後イチ)の内湯は常時6~7名がいる感じ。この人数ならゆったり余裕で利用できる。大半は高齢者でアラフォー風が若干名。

事前に下調べしたとはいえ、自分のような温泉巡り・観光気分の者は場違いに浮いてしまうのではないかと若干心配したが、少なくとも新玉川に関しては、そんな雰囲気はなくてまったく大丈夫だった。

なお温泉からあがる際、肌についた有効成分を残すため体を洗い流さない派だとしても、さすがにここのお湯は刺激が強いので、軽く洗い流すべきである。


露天風呂も忘れずチェック

内湯を切り上げて露天風呂へ移動した。そこは規模は小さいけれど誰も行かないおかげで完全な独り占めとなった。まあ玉川温泉らしさは内湯でこそ堪能できるから、たいがいの者は行かないんだろう。

露天といってもわずか外に開けているだけで、それほど開放感があるわけではなく、半露天と思ったほうがよい。個人的にはお湯が熱めだったのも残念だ。一応体験しましたよ、くらいの感じでさっと出た。

ちなみに露天の隣は温熱浴室になっている。本家玉川温泉にある岩盤浴と同様の効果が得られるそうだ。自分は試さなかったけど、チラ見すると1名の方がじっと横になっていた。ものすごい汗をかくんだろうな。

屋外には温熱浴に使うゴザの置き場があった。
新玉川温泉のゴザ置き場

体験したものだけが知る、玉川温泉のパワー

ネットで調べると、(新)玉川温泉は強烈だ・スゴイという話がわんさか出てくるが、それらを読んで知識として知っているのと、実際に100%槽の浴感を体験するのは大違い。うだうだ迷ってないで実際に来てみてよかった。
新玉川温泉
さてさて入浴を終えて館外へ出るとき、玄関前のボードが目についた。「熊にご注意ください」…うわぁ、やっぱり出るんじゃないか! バス停が目の前にあって本当によかったぜよ。