福島県いわき市の温泉といえばいわき湯本。過去に何度か訪れたことがある。しかし今回は少しずらして、小名浜寄りにある神白温泉国元屋へ。アクセス面を考えても車で来ている今回がちょうどいい機会といえる。いわき湯本は、何なら電車でも行けるからね。
国元屋は小名浜寄りといっても海から数km離れており、どちらかといえば山里ぽい雰囲気。しかし食事面は魚介類がメインで、おいしい常磐ものを堪能できる。シンプルなプランにしたけど食べごたえは十分だった。
飲泉可能な源泉を利用したお風呂はとろりとした肌触り。自由に利用できる貸し切り風呂もいいけど、その気になれば源泉を直接感じられる一般風呂もいいですよ。全体的なモダン湯治風情も良し。
神白温泉 国元屋へのアクセス
神白のバス停からも離れている
電車+バスならJR常磐線のいわき駅から江名・泉駅前行きのバスで神白下車。でもそこから3.5kmくらい歩く。神白といっても広うござんす。
ということで現実は車に頼りたい。この日は新地町「つるしの湯」と宮城県亘理町「わたり温泉鳥の海」に入浴した後、常磐道を走っていわき市まで戻ってきた。なんだかんだで130km走るから楽ではない。着いたら温泉に入ってゆっくりしようっと(やっぱり温泉かよ)。
最初に書いた通り、いわき市の小名浜寄りではあっても海の雰囲気はなく、山里の一軒宿だ。正面玄関付近や駐車場のところはまだきれいに咲く桜が残っていた。桃源郷ですな。
いきなり勿来関跡観光について
ここで急に話題を変えて観光について。小名浜の海沿いに出ればアクアマリンふくしまや道の駅いわき・ら・ら・ミュウがある。後者はお土産店のほか、魚市場的な海鮮グルメ店が多数あって楽しそうだ。
しかし翌日チェックアウトしてから向かったのは茨城県境に近い勿来関跡であった。現地は公園になっていて駐車場も整備されている。ひとまず吹風殿というところを見学。
出口付近の桜がいい感じだった。
勿来関文学歴史館も見えたがパス。
いったん車を動かして勿来関跡の前まで来た。吹風殿から歩いても大した距離ではないけど。ここから先ほどの文学歴史館まで遊歩道が続いている。
遊歩道の各所には歌人・文人の歌碑が設置されている。たとえばこちらは源義家の歌碑。歌人というよりは武将だけども。
途中で海がちょろっと見えるところがあったので記念撮影。
全部は歩かずに半分程度で引き返した。長い余談になったが、市内全域まで候補を広げればこういう観光スポットもありますということで。
モダン湯治な風情の一軒宿
休憩コーナーからの桜がきれいだった
ではチェックイン。日帰り入浴客向けか、フロントの脇で焼きたてパンを売っていた。フロント向かいのロビーがこちら。付近にビール自販機あり。
そして神棚がドーンと。
そのあたりから上り階段で2階へ行くと休憩コーナーがありまして。
翌朝チェックアウト前にそこのコーヒーマシンでコーヒーを飲んだ(250円)。窓際に座って眺める桜がきれいでございました。
休憩コーナーにはなぜかドライブシミュレーターも置いてあった。プレイできるのかどうかは知らん。
全般にレトロ感と今風をうまく融合させたモダン湯治の宿っていう雰囲気だった。古びてなく無味乾燥でもなく、老若男女問わず受け入れられやすいスタイルだろう。
なぜだかワーケーションしたくなる部屋
案内された部屋は1階の8畳和室。やはりモダン湯治っぽいな。布団は最初から敷いてあった。
トイレなし。男女共用の1基の個室トイレが近かったのでそっちばかり使ってたけど、男女別トイレも別途あります。洗面台は室内にある。金庫あり、冷蔵庫なし、WiFiあり。管理状態は良好で住環境としては快適だ。「音が響くためまわりに配慮してください」みたいな注意書きが見えるも、特に隣室からの音漏れは感知せず。まあこのへんは隣客ガチャ次第の面もある。
座卓代わりの机が、なぜだかPC作業をしたくなるデザインだ。もろもろ許されるなら、温泉宿のこんな部屋でワーケーションしてみたいな。それはそれとして、窓から見える景色がこちら。
あーもうすっかり春だなあ…しかし旅行の1週間後には早くも春から夏のような陽気に移ってしまうとは、この時は知る由もなかった。温暖化やばい。
人気の貸切風呂と源泉の個性が出ている一般浴場
落ち着きのある貸切風呂
国元屋のお風呂は1階に2箇所。まず試したのが部屋の近くの貸切風呂だ。23時までの予約で押さえられてない時間なら、宿泊者は自由に入ってよい。そこでまだ競争率が低いと思われるチェックイン直後にトライしたところ運よく空いていた。
脱衣所に掲示されてる分析書には「ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩温泉、低張性、アルカリ性、冷鉱泉」と表記されている。泉温13.5℃、PH8.8。加温は当然あるとして、加水・循環・消毒はよくわからん。
浴室は壁の上半分が木目調、下半分が黒のツートンで、渋くて落ち着きのあるモダン秘湯風だ。洗い場は3名分。四角い浴槽は3~4名サイズ。お湯は無色透明。匂いはしっかりとそれっぽい温泉臭だった。いいじゃん、いいじゃん。あとは若干ヌルヌルしますね。
温度は適温の範疇でやや熱めに感じた。ぬる湯派としてはもっとぬるいのを好むが、ぬる湯好きにぬるい温泉を与えると平気で1時間浴とかしちゃうから、貸切風呂には不適だろう。多数派向けにはこれくらいがちょうどいいのだろう。
まずは様子見ということで、ほかに入りたいお客さんがいるだろうし、20分くらいで出た。その後ちょいちょい観察してみると、いつもだいたい利用中だった。あぶねー。最初に行っておいて正解だったわ。
一般浴場前に飲泉所あり
貸切風呂と対極の端っこに一般浴場がある。手前が男湯で奥が女湯。男女の入れ替えはない。ここには飲泉所もあって、備え付けの紙コップに注いで飲んでみたら、ほんのり玉子風味を感じた。苦みエグみはない。胃腸に効くみたいだから何度か飲んだ。
さて、男湯は貸切風呂+α程度の広さで、それほど大規模なわけではない。洗い場は3名分。浴槽は詰めなくても4名入れるサイズ。お湯はやっぱり無色透明だった。浸かってみると適温で貸切風呂の体感と比べるとやや低めで入りやすかった印象。湯の花や泡付きは確認できず。
ヌルヌル感が貸切風呂より強め。うまく表現できなかった温泉臭は、ここでははっきりとタマゴ臭が前面に出ていた。この違いはなんだろう。湯口からの投入が十分多いってのは一緒だしなあ。
蛇口から出てくる源泉がすばらしい
よく見ると、壁沿いの一箇所から蛇口が生えており、わりと強めにジャーッと水(?)が浴槽内に流し込まれていた。温度調整用の加水だろうか。そう思って手ですくい取ってみたら、すんごいヌルッとする。匂いを嗅いだら強いタマゴ臭。…これ源泉じゃないの?
蛇口をひねって冷鉱泉の源泉を入れることができるようになっていたのだ。本当はあがる際に蛇口を閉めなきゃいけないんだけど(注意書きあり)、忘れられてたんだろうか。あんまりやりすぎると、あつ湯好きのお客さんがいた場合にひんしゅくを買う行為となるが、今はとにかくありがたい。
蛇口の近くに寄ると、局所的にそこだけぬるい。これ最高。そしてヌルヌルが局所的に強い。これ最高。そしてタマゴ臭も局所的に強い。これ最高。
以後はこの蛇口から出てくる源泉を目当てに一般浴場へ行くようになってしまった。入った後の肌の感触…なにかのスキンケア用品でコーティングしたかのような感じもすごい。こうして体の外側から、加えて飲泉で内側から、神白温泉をしっかり受け止めたのであった。
食事は身の丈に合わせて楽しませてもらいました
シンプルプランでも十分すぎる夕食
国元屋の食事は朝夕とも1階の食事処で。部屋ごとに割り当てられたテーブル席に並べられたスターティングメンバー+着席後に出てきた煮魚がこちら。
近年は輪をかけて少食になってしまい、完食できる・できないに関してすっかり弱気になっており、最もシンプルな「お母ちゃんの晩ごはん」プランを予約した。それでも十分でしょう。お酒は又兵衛という地酒を注文。
ゴロッとした大きめの鶏肉2つは目を引くし、実際うまかった。とはいえ、赤魚の煮付け・イカ・メヒカリ南蛮漬けを見れば、さすが小名浜ですねという気分になる。又兵衛をちびちび飲みつつ味わったのであった。
これらに締めのご飯でもう十分すぎるほどお腹いっぱいになった。なお、これらに刺身が付くプランや、刺身・キンキ唐揚げ・活あわび・メヒカリが付く最強プランも提供されている。我こそはと思う方はお試しを。
朝食に福島のいかにんじん
朝も同じ場所の同じ席だった。水・お茶・ご飯・味噌汁はセルフでお願いします。
最初は様子見でご飯を少なめに盛っておいたら、結果的におかわりせず。朝からそんなに食べないので。福島といえば「いかにんじん」、というのを最近意識するようになってたら、ここでも出てきましたねー。しっかり栄養補給してごちそうさま。
朝風呂は6:30~8:30まで。思ったより終わりが早い。朝食後は10分だけでもあの源泉を…と勇んでラスト入浴しにいったのは言うまでもない。それから上述の2階休憩コーナーで桜を眺めながらコーヒータイムという流れ。
* * *
特に意識せず入浴するだけでもいいお湯だが、源泉蛇口が加わることで好感度倍増。本当にまじですごいから。混んでるとほかのお客さんとの兼ね合いもあるから、自由に蛇口を開けられる場面かどうかが鍵になる。
旅館としての雰囲気は、先に書いたようにレトロとモダンの融合で居心地良し。食事面もシンプルプランで十分すぎるくらいで文句なし。自分にもっと若さと活力があれば、キンキ付きの最強プランで魚介類を思い切り堪能したことだろう。代わりに誰かチャレンジしてほしい。

















