鳥の視点で太平洋を眺める海辺の温泉 - わたり温泉 鳥の海

わたり温泉 鳥の海
令和の春は短い。今から思えばこの常磐遠征の頃だけが春で、その後は急速に気温が上がってしまい、もはや夏と呼んでも差し支えないくらいだ。いまや1年の半分が夏と思っていいだろう。おそろしい時代になったもんだぜ。それでも温泉には入るわけだが。

そんな行楽シーズンに福島県浜通りの北端まで来たら、宮城県まで足を踏み入れないと気がすまない。あわせて温泉にも立ち寄って爪痕を残しておこうじゃないか(なんのこっちゃ)。

探してみると「わたり温泉 鳥の海」というホテルで日帰り入浴できるとわかった。野鳥が多く生息する阿武隈川河口の潟湖を鳥の海と呼ぶらしい。お風呂は立地&5階という高さを生かした海の景観がウリなのかな。

わたり温泉 鳥の海への道

宮城に入って山元町震災遺構・中浜小学校へ

最寄り駅はJR常磐線・亘理。駅から当館を通る路線バスが運行されているが、平日のみで土日祝は運休。6kmくらいの距離があるから歩くのは理論上可能でも現実にはそう簡単でない。もし遠方からのアクセス、かつタクシーを使う覚悟があれば、仙台空港から車で20分という位置関係を利用できるかもしれない。

自分の場合はマイカーで福島県相馬市の蒲庭館をチェックアウト→新地町つるしの湯に入浴→わたり温泉鳥の海、というコースを取った。

途中、新地町から山元町に入った時点で宮城県フラグの実績解除。短時間で立て続けに温泉に入るのを避けて間隔をあける意味も込みで山元町震災遺構・中浜小学校を見学しに行った。東日本大震災で津波が直撃した小学校である。
山元町震災遺構・中浜小学校
旧校庭側に回り込んで撮影。
中浜小学校 その2
児童・教員・近所から避難してきた住民は屋上へ逃れたというが、2階の天井近くまで津波が迫ったということで、全員が無事に救助されたのは本当にぎりぎりの間一髪だったのだなあ。
津波の高さを示す標識

内部見学で当時の様子を学ぶ

受付で申し込めば中を見学できる。被災当時の様子がそのまま残されたと思われる場所が多く(特に1階)、いろいろな備品が散乱した状態でかなり生々しい。
破壊された備品が散乱する内部
こちらは図工室の跡。
図工室跡
2階に上がるとスタッフの方がついて説明してくれて、地域のパノラマ模型とかビデオ上映に続いて屋上を見学することになる。
屋上の様子
中庭に張っているネットは「ここまで津波が来たんですよ」という目印だ。平成元年の改築時に2メートルの盛り土をしたそうで、それがなかったらと思うと…。指定避難所の中学校までは徒歩20分かかり、当時は津波の到達まで10分との予測が流れていたため屋上避難を選んだ。実際に津波が来たのは1時間後。何が正解だったのかは自分にも誰にもわからない。

屋上から海を眺める。ずっと平坦な土地が続いていて津波がもろに襲ってきそうな地形ではある。しかしあのレベルは平時には想像もつかないよなあ(震災以前は特に)。今は震災遺構から何かしらの教訓を見出そうと各々が考え続けるしかないのだろう。
屋上から海を見る
中浜小学校の後は亘理町へ北上し、当館に到着。


わたり温泉 鳥の海にて、旅の爪痕を残す

ホテルの5階が日帰り温泉

では入館。1階にはホテルのフロントと思しきカウンターや軽食コーナーがある。日帰り客はそのままエレベーターで5階へ上がってOK。2階は宴会場と会議室、3階は宿泊者用の客室、4階はレストランになっている。

5階では下足ロッカーのところにある券売機で入浴券を購入。亘理町民以外は750円。受付ではなにかを受け取って(忘れちゃった)、大浴場前ゲートにピッてやって入った気もするけど忘れちゃった。男湯女湯は奇数日か偶数日かで入れ替わるとのこと。当時の男湯は太平洋側の東の湯だった。

ホテル全体もそうだが浴場は新しくてきれい。脱衣所の鍵付きロッカーはコイン要らず。分析書によれば「ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、低温泉」だ。泉温39.2℃、PH7.8。加水なし、加温・循環・消毒あり。すべるので注意してくださいというような張り紙があったように記憶している。

黄色系の温泉を投入する内湯が2つ

浴室に洗い場は18名分。混雑とは言わないまでもお客さんの数は多そうに見えたが、これだけキャパがあれば十分に余裕がある。内湯浴槽は2つ。大きな窓に向かって左手にある6~7名サイズの四角い浴槽には「あつ湯」の札が見える。43℃に調整しているみたいね。熱いのは好みでないのでパス。

右手にはやや変則的な形をした大きめの浴槽。15名くらいは入れそうだ。温度表示計の数値は40.7℃だったかと。適温ですな。お湯の見た目はクリアな黄色。先に入った新地町つるしの湯に似てるといえば似てる。

湯の花的なものとしては、時おり白い粒々が漂っている。泡付きはなし。匂いを嗅ぐと若干消毒臭の印象あり。肌触りはちょっとヌメッとしており、この性質だと「すべるので注意してください」というのもわかる。

窓から太平洋を望むことができるはずだけど記憶がないな。そっち系の楽しみは露天風呂に持ち越したからかもしれない。また、内湯浴室内に設置されてる休憩椅子がわりと人気で、埋まっていることが多かったな。

海を見下ろす露天エリア

では露天エリアへ。まず3名サイズの檜風呂に入ってみた。うん、適温ですね。若干熱めかな。基本的には内湯と同じ特徴。消毒臭は弱まっている。じっくり長湯できる温度じゃないから適当なところで出た。

5階ということもあって露天エリアはパネル状の囲いでガードされているため、風呂に入ったまま景色を見るのは難しい。風呂を出て立ち上がれば海を一望できる。高さを生かした景色はいいですね。あとはクールダウン用の休憩椅子が一人分しかなくてだいたい埋まっている。

檜風呂の隣には4名サイズのタイル風呂。こちらは底にゴムマットが敷かれている。加えて数箇所からジェット噴流が出ている。温度は檜風呂と同じくらいか気持ち低め。露天風呂に入る→熱気を強く感じ始めたらいったん出て風に当たりながらクールダウン、を繰り返すといいかもね。その意味で休憩椅子がもう少しあるとよいかも。

鳥の海ふれあい市場もヨロシク

…という感じで気持ち短めで退出。蒲庭館の朝風呂、つるしの湯、ここ鳥の海、この後は高速道路を100km超運転して旅館の風呂にも入らなきゃいけないから、ここでぐったりするわけにはいかないのでね。退出後は近くの「きずなぽーと わたり」(鳥の海ふれあい市場)でお土産を買いましたよ。
鳥の海ふれあい市場が入る「きずなぽーと わたり」
西の方角に目を向けると、まだ冠雪した山々が見えた。
冠雪の山々
もしかして蔵王連峰かな。思えば遠くへ来たもんだ。