桜咲く頃、常磐方面へ遠征することにした。さすがにもう自分の車で、ノーマルタイヤで行ってもいいでしょう。常磐といえばだいたい北茨城~いわき湯本が定番だが、今回はちょっとパターンを変える。いわきを突き抜けてもっと先まで行ってみようじゃないか。なんなら宮城県にちょこっとタッチするくらいまでチャレンジしたい。
もちろん一気にそこまで到達しようなんてのは無謀だ。途中で1泊はさみます。というわけで温泉宿を探した結果、相馬市に蒲庭館を見つけた。当時利用できたのは小さめの内湯だったが、温泉臭が感じられて肌触りの良いお湯である。食事はほどよい内容でバランスが取れてる。気軽かつお得に泊まれるし、おひとり様・連泊にも向きそう。
蒲庭温泉 蒲庭館へのアクセス
途中で富岡町に寄る
最寄り駅はJR常磐線相馬。といっても駅から10km以上離れている。相馬駅近くの相馬営業所停留所から磯部経由舘前行き路線バス30分の蒲庭で下車すればすぐのようだが、平日の通学時間帯のみの運行となっており、旅行者向けではない。
自分はマイカーで。常磐道をひたすら北上し、まず最初の立ち寄り地が富岡町の東京電力廃炉資料館だった。福島第一原発事故の反省と廃炉に向けた取り組みを紹介している。
入館無料。予約して解説付きツアー式で見学するパターンと、予約なしで自由見学するパターンがある。この日はツアー式が休みで自由見学のみ。最初に2階のシアターで2本の映像を鑑賞する。あわせて20分くらいか。終わると2階から1階へ戻っていくような順路で展示を見ていく。
説明パネルの文字を読んでいく展示に加えて、ボタンを押すと10分弱の映像が流れるタイプの展示が多い。事故当時なにが起きていたか・1号機~4号機それぞれの経緯・福島第二原発はどうだったのか・事故の要因分析・現場関係者インタビューなど。
映像を順次見ていくと2階だけで1時間かかってしまう。トータル1時間のつもりで計画を立てていたら予想外のボリューム。1階の作業用ロボットや燃料デブリ取り出しに関する展示は駆け足になってしまった。まじめにじっくり見学するなら2時間みておいた方がいいな。
計画を詰め込みすぎてた
廃炉資料館を出て、後述する夜の森桜並木ととみおかアーカイブミュージアムを見学したら、観光のために確保していた時間をすっかり使い果たしていた。そこで浪江町の震災遺構・請戸小学校はやむなくパスしてそのまま蒲庭館に向かった。
補足すると、広野ICを出てからの下道は主に国道6号を走った。R6は福島第一原発近くの区間を含めて全線通行可で、ところどころに立ってる放射線量表示板の数値は、幅で表示するタイプが0.なんとか~1.7μSV/h、ピンポイントの数値を表示するタイプは大半が0.なんとかだった。車で通過するだけならなおさら気にしなくてよい数字。
名のある庭園を擁する旅館
相馬野馬追ポスターがお出迎え
建物の前が未舗装駐車スペースになっている。その隅っこに、いわれのありそうなナニカがあるぞ。
ではチェックイン。こちらがフロント横のロビー空間でございます。相馬野馬追のポスターが見えますな。その時期は観光客がいっぱい来るんでしょう。近くにはソフトドリンクおよびビール含むお酒の自販機あり。
階段の踊り場にはなかなか雰囲気のある展示。おじさんには何がどうってのまではわからないけど、あの壺はいいものだ(マ・クベ)。
蘇峰園を望む部屋
案内された部屋は2階の8畳+広縁和室。畳数の印象以上に広く感じるなあ。一人泊には十分すぎる。布団は最初から敷いてあった。
トイレなし、2階の男女別共同トイレを使う(1階にもある)。男子トイレは小×3+和式個室+洋式個室。洋式はシャワー付きでないがきれいである。洗面台は部屋に付いている。金庫なし、冷蔵庫なし(廊下に共同)、WiFiあり。
窓から見える景色が結構いい。傾斜のある広い庭園みたいな雰囲気なのだ。今調べたら、どうやら徳富蘇峰ゆかりの蘇峰園なる庭園みたい。
当時はそこまで知らなかったし、雨だったから歩き回るまではしなかった。もったいなかったかな。
シンプルながらもしっかり温泉
コンパクトだが独泉チャンス多い
蒲庭館のお風呂は1階の奥。男女入れ替えなしでつきあたりが男湯。脱衣所には棚+かごが並び、当温泉の由来を記す読み物が掲示されているが、分析書は見当たらなかった。なので泉質とか泉温とか湯使いは不明。まあなんとなく加温・循環・消毒はありそうに思う。
浴室は比較的コンパクトながらも洗い場は6名分あって埋まる可能性は小さそう。チェックイン直後に行った時はちょうど複数の他客とタイミングが被ったみたいで、4名同室状態となった。しかしそこが混雑のピークであり、夜や朝は終始独泉だった。
バブル漂う湯船の適温湯
内湯浴槽は3~4名サイズのタイル風呂。湯口寄りのところであぶくがボコボコしていたのはバイブラ装置が付いてるんだろう。ボコボコの中で浸かりたければそのままどうぞ、逆に避けたければ湯口から離れた位置にいればいい。※朝はボコボコが止まっていた。
お湯は無色透明。浸かってみたら適温だった。湯の花はあまりない。たまに白っぽい微粒子が漂ってるかなー程度。泡付きなし。これだけだと個性を感じにくいが、匂いを嗅いだ際にほのかに温泉臭がするのはよかった。甘い微硫黄香がふわっとしてくる。いいぞ。
あとはお湯の肌触りとか、あがった後の肌の具合とかがやっぱり沸かし湯とは違う、温泉ですねっていう感じ。あまり後を引かずにすっきりした印象がある。決してぬるめではないため、長く浸かり続けて効能を得ようとするタイプではない。
露天風呂については不明
窓は大きめで、すぐ外に露天風呂らしき設備が見えた。外へ出る扉もある。しかし施錠されてて外へは出られなかった。内鍵だから手でアンロックして出られそうにも思えたけど、きっと外へ出てほしくないんだろうからなと思い直して、やめておいた。
実際のところお湯を張ってない可能性が高いしね。そもそも露天風呂じゃありませんした、見間違えでした、とう顛末すらあり得る。いずれにしろ張り切りすぎれば何らかのトラブルをやらかしそうだし、思いとどまったのは正解だろう。
入浴時間について。夜は21時30分までとなっている。夕食後だらだらしすぎたり、うっかり一眠りしてしまったりすると終わっている可能性があるから注意しよう。朝は6時から9時くらいまでは入れたと思う。
常磐エリアを意識させるお食事
夕食は一風変わった茶碗蒸しとともに
蒲庭館の夕食は朝夕とも1階個室にて。元は客室だったと思われる部屋を1組につき1部屋ずつ当てているみたいだ。夕食は18時を希望し、行ってみたら座卓に並んでいたスターティングメンバーがこちら。
自分の胃袋容量を考えて標準でなく軽めのプランを予約していた。それでもこれくらいはある。十分でしょう。日本酒はサービスで付いてきた。ありがた山にございます。浪江の地酒・ことぶきというらしい。調べると鈴木酒造店「磐城壽」がヒットしますね。
途中で追加された茶碗蒸しがこれまでに見たこともないようなやつだった…I've never seen chawanmushi like this before…思わず英訳しちゃったよ。
平たい皿状容器に入っており、巨大はまぐり(?)がはめ込まれている。もちろん殻をひっくり返せば貝の身があります。ちょうどできあがった鍋の具も魚の切り身だし、やはり常磐ものの土地柄か、海産物多めですな。かれいの煮つけっぽいやつは最後のご飯のお供にしようと温存していた。
ほどよく飲んで食べて、お櫃のご飯を少し残した以外は完食し、ちょうどいい満腹具合で終了。ばっちりでした。
海のものメインの朝食
朝食も同じ個室にて。希望した7時半に行くとすでに並んでいたおかず類+到着後に運ばれてきたご飯と味噌汁がこちら。
明太子+焼き鮭+しらす。やっぱり海のものメインだ。どれも相応に塩気があり(塩辛すぎることはない)、ご飯がすすんでしまう。ご飯をちょっとずつ足していきながら、結果的にいつもよりたくさんいただいてしまったな。
ちなみに客室そのままな感じなのでテレビをつけることもできたけど、テレビは見なかった。だいたい旅先の宿でテレビは見ない。まあふだん自宅でもほとんど見ないし。BGMのないシーンとした部屋で食事をするシチュエーションも全然気にしないし。昭和のテレビっ子は年を取って令和のテレビ見ない爺になった。
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夕食軽めのプランにしたとはいえ、1万円でお釣りが来るお値段で泊まれたのはお得感ありあり。お風呂は小ぶりな内湯のみで、露天風呂や秘湯感あふれる云々のような要素はないけど、さくっと温泉に入って気楽に過ごすにはちょうどいい宿。工事関係者が泊まっていたようだし、連泊対応もできるのでは。なんとなく、PCを持ち込んで仕事なり趣味なりでおこもり体験してみたいと思ってしまった。
おまけ:夜の森桜並木とアーカイブミュージアム
富岡町・廃炉資料館の後はちょうど桜まつり中の夜の森へ。ろくに調べずアドリブで行動したら運よく会場のそばに駐車できた。しかし雨と時間の制約から、じっくり歩き回る余裕はない。一発記念撮影しただけになっちゃった。
もうあと数日早く&天気の良い時に来ていればなあ…こればっかりはしょうがないね。会場には多くの屋台やキッチンカーが並び、お祭り状態。そこで焼きそばを買って昼飯とした。なみえ焼そばならベストだったが、ノーブランドでもまあいいでしょう。
お次はとみおかアーカイブミュージアムへ。
町の歴史博物館として一般にイメージされるような内容に加えて東日本大震災にまつわる展示もある。紙の記録や写真というのでなく、被災した実際の物件や再現模型が当時の生々しさを今に伝えている。
これは津波にのまれたパトカー。
当館の見学には1時間ほどかけた。雨の日に資料館を2箇所+名物の桜をちょっと見られたということで、あとは無理せず蒲庭館へ。














