気がつけば5回目の畑毛温泉大仙家:おなじみのぬる湯2つ

畑毛温泉 大仙家
冬の伊豆グループ旅行の2泊目は畑毛温泉大仙家。仲間内で定宿化しつつあるというか、すでにもうなっている旅館だ。首都圏からのアクセスの良さと冬でも比較的穏やかな気候、我々の経済力で対応できる料金設定、最大のセールスポイントは絶妙なぬる湯だ。

まさに体温ジャストな不感温度の大仙湯、体温より低くて少しヒヤッとする韮山湯という2種類の源泉を擁しており、何回でも・何分でも入っていられる極上の湯だ。このお風呂を求めて繰り返し来ちゃうよね。

5回目の訪問なので過去に書いた紹介記事と類似の内容になってしまうと思う。それでも記録せずにはいられないから、くどくないよう淡白にまとめてみた。

アクセス便利な畑毛温泉大仙家

伊豆の温泉といえば熱海伊東修善寺あたりが有名で畑毛温泉の名前はあがりにくいと思われるが、昭和中期には国民保養温泉地に指定され、現在も静岡県で同指定を受けているのは畑毛温泉と梅ヶ島温泉の2つだけだ。

大仙家はJR函南駅および伊豆箱根鉄道大場駅への送迎サービスを行っているから車がなくても大丈夫。でも我ら一行はメンバーのニュー愛車でやって来た。初日は土肥温泉の牧水荘土肥館に泊まり、チェックアウト後にいくつか寄り道して時間調整しながら畑毛温泉を目指した。

たとえば韮山反射炉。自分は昨年暮れに行ったばかりなんですがね。
韮山反射炉
ここまで来ると畑毛温泉はもう近い。あとはスーパーで買い出しをして大仙家へ。14時からチェックインできるというので長湯を楽しむために14時ちょうどくらいを狙って到着。


すっかり馴染んじゃってる大仙家

抹茶でくつろぎ、陶芸体験もできる宿

しまった。あまりに慣れ親しんだ旅館ゆえ、すっかり気が緩んじゃって、ここに紹介すべく館内の様子を撮ろうという意識が飛んでいた。数少ない写真のひとつがこれ。ロビーと裏庭と左奥に切れているのがカフェラウンジ。
カフェラウンジに続くロビー
チェックイン時にもらえるサービス券でラウンジの抹茶とお菓子をいただける。我々がよくやるのは、チェックアウト直後に抹茶を飲んでから帰路につくパターンだ。また、当館の敷地内の陶芸工房では陶芸体験もできて、その半額サービス券ももらえる。

全般に落ち着いた雰囲気があって、静かに過ごしたい少人数シニア向けの印象を持つ一方、小さいお子様連れのファミリーをちらほら見かけた。まあ少なくとも大勢でウェイウェイしたい客層向けではないですね。

定番のツイン洋室

案内された部屋は3階のツイン洋室。メンバー全員を収容できる和室もあるけれど、複数のツイン洋室に分かれる方が安かったので。今やすっかり見慣れたレイアウトである。
大仙家 ツイン洋室
窓側に立って見るとこうなる。
大仙家 ツイン洋室 その2
3点ユニット風のシャワートイレ・洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり、フリーWiFiあり。もちろん浴衣・タオル・バスタオルの類もある。初めて大仙家を利用してから10年近くになるし、さすがにピカピカの新しさとはいかないけど、居住性に不都合はない。ちょっとベランダに出てみますかね。
ベランダから見える景色
真正面は木が茂っていたので少し左を向いて撮影してみた。


大仙家のお風呂に待つ2大スター

2種類の源泉を提供

大仙家の大浴場は1階奥。入口付近にマッサージチェアコーナーと缶ビール(スーパードライ)を含む自販機あり。左側が男湯・右側が女湯で男女の入れ替えはない。

暖簾をくぐってすぐのところに分析書が貼ってある。大仙湯と呼ばれる自家源泉は「ナトリウム-硫酸塩泉、低張性、アルカリ性、温泉」で37℃台。もう一方の韮山湯は「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、低温泉」で約30℃だった。湯使いは書いてない。おそらく加水なし・加温は浴槽次第・循環あり・消毒ありだと予想するけどどうだろう。

八角形をした天井の高い浴室もすっかりおなじみ。洗い場は8名分。初めに断っておくと、外にはサウナ・水風呂・露天風呂があるけど今回は一切利用しなかった。だって内湯に2つのすばらしいぬる湯浴槽があるんだもん。ちなみに露天風呂のお湯は熱めと思って間違いない。

内湯の右奥にある5名サイズの加温浴槽は湯あがり前や途中途中でワンポイント的に入るのに向いている。適温で無色透明の湯はいたって普通の印象。この普通さを好む人も多いだろう。

不感温度のすばらしさを存分に味わえる大仙湯

では大仙家の2大スターを紹介しよう。その1は左奥にある大仙湯。向かい合わせを許容することで6名までいけるサイズ。実際に6名の状態に遭遇したところ、さすがにちょっと手狭感はあったね。ぬる湯ゆえみんな我慢比べかのようになかなか出ない。30分は当たり前で1時間連続入浴も珍しくない。

なにせ温度が絶妙。体温ジャストくらいの温度だから、文字通りの不感温度で、お湯の存在を忘れてただふわふわした浮遊感を味わう。陣取る場所によってはジェット流のような強い噴き出しがあり、かつてはこの噴き出しの近くにいると泡付き多めだったが、近年はそうでもない。

大仙湯に浸かっているとリラックスしすぎて眠くなってくる。今回も簡単に睡魔に襲われた。自分だけじゃなくメンバー全員が「眠っちゃうよね」と語っていたから、かなりのラリホー効果だ。湯の花や泡付きは見られず、匂いを嗅いでも温泉臭はそれほど目立たないが、そんなこだわりはどうでもいいと思ってしまうくらいの浴感なのだ。おじさんにとっての夢の国はTDLでなく大仙湯だ。

ヒヤッと系の韮山湯もいいぞ

その2は左手前にある韮山湯。いろいろ頑張って4名までのサイズ。外見上は大仙湯と区別がつかないお湯。湯口も仲良く隣り合っております。はっきりした違いは温度で、こちらはやや冷たい。30℃くらいじゃないかと思う。夏に人気の出る浴槽と思われ、冬は肩まで浸かるのに若干気合が必要。

しかしいったん入ってしまえば長時間いける。水風呂ほど冷たいわけじゃないし。韮山湯は覚醒系みたいで眠気を催すことはなかった。浮遊感のかわりにマインドフルネス効果みたいな?…何を言っているのかわからねーと思うが。

途中でゾクゾクする瞬間が来たら無理せず大仙湯か加温浴槽へ移動しよう。この温度差がまた気持ちいいのである。韮山湯は夕方と夜には入ったものの、翌朝になったら低めの温度に対して妙に弱気になって避けてしまった…なんたる腰抜け野郎、韮山湯さんに謝れ。

1回の入浴時間は長いし、大浴場に行く回数は多いし、滞在中の相当な時間をお湯の中ですごすことになった。おかげでお肌がとんでもなくすべすべに。


万事ちょうど良い塩梅のお食事

今回の夕食は冬の花籠会席

大仙家の朝夕とも食事は1階の食事処で。手前のレストラン風のところと、奥の畳+テーブル席のところがあって、我々は後者だった。人数が多めだと奥になる気がする。夕食のスターティングメンバーがこちら。
大仙家の夕食
冬の花籠会席。定宿ゆえの期待を裏切らないとわかっている安心感。食前酒には柚子酒。お造りはマグロ・イカ・サワラの炙り。冬らしくあん肝もあった。台の物はとこ豚ロースはりはり鍋らしい。うむ、大変結構でござる。

ビールが進むぜ。最初に注文したビール中瓶はじき空となり追加注文。結局は前夜飲んだよりも多い本数を空けてしまったのだった。途中で茶碗蒸しと金目鯛煮おろしが運ばれ、お腹が苦しくならない程度に十分満腹となった。ここのボリュームの塩梅がいつもちょうどいいんだよね。

締めは五目ご飯、デザートは白玉ぜんざいだった。ぜんざいとおしるこの違いについて議論となり、ネットで調べたところ、あんの状態や汁気の多寡で決まるようだったけど、酒の席だったしちゃんと理解してない。

定番的な朝食の安心感

朝も奥の同じテーブル席で。ジュースや牛乳、お茶、コーヒー、白飯、味噌汁はセルフで取ってくる方式(あとヨーグルトもあった?)。その他のおかずは各席に配膳される。
大仙家の朝食
オーソドックスな内容だが、とくに朝はこういうのでいいんですよ。自分にとっては量も十分で、ご飯のおかわりしなくても大丈夫なくらい。食後にコーヒーで締めてパーフェクト。

朝食前にすでに長湯を楽しんでいたにもかかわらず、食後もぬる湯タイムがたんまりと残っているのがうれしい。チェックアウトが11時なのだ。なんなら1時間浴×2回やってやれなくはない。おそるべしだ。

 * * *

はい、今回も安定の良好ぬる湯でした。季節を問わず、アクセスの問題に悩むことなく、各自の財政を圧迫せず、いつも期待通りのクオリティで迎えてくれる。これほど頼りになる温泉宿はそうそうない。そのうち「また行こうぜ」という話が出て訪れることになるんだろう。その時もやっぱり大仙湯で眠たくなるのかな。

(参考) 2023年春・畑毛温泉 大仙家 3回目(同年秋に4回目)