あんこうといえば冬の味覚。仲間内で冬の温泉企画を検討していた際に出てきたのが、あんこう鍋を食べに行きたいという希望。あんこうと聞いて関東民がまず思いつくのは常磐エリアだ。意外と積雪しない地域だから冬でも大丈夫じゃないか。
個人的には常磐あんこうツアーを過去2回遂行ずみで温泉にもあてがある。メンバー各位が満足しそうなぬる湯ではないけどね。
1泊目はいわき湯本温泉うお昭さんのお世話になった。ただし連日あんこう鍋はちょっとやり過ぎかと思って、あんこうを2泊目にまわし、こちらは普通のプランを予約したが、常磐もの魚介類たっぷりで大変満足。お風呂は短時間勝負のあつ湯ながら効き目ばっちり。
いわき湯本温泉 うお昭へのアクセス
社寺見学なら白水阿弥陀堂へどうぞ
いわき湯本温泉街じたいがJR常磐線湯本駅に近接している中で、うお昭はとくに駅から近い。100mくらいしか離れてない。しかも駅を出たら正面の道をまっすぐ進むだけ。便利だ~。
と書いておいてなんだが、我ら一行はメンバーの愛車に同乗して常磐道を北上したのであった。水戸偕楽園の観梅客が集中して渋滞が発生するかと思えば全然そんなことはなく、ほぼ終始スムーズだったのはうれしい誤算。
いわき湯本ICを出るまでがあまりにもスムーズ&あっさりだったため時間に超余裕があった。そこで過去の思い出からネタを探し出して国宝・白水阿弥陀堂がありますよと提案し、行ってみることにしたのだった。拝観料500円。
1160年建立。5体の仏像が安置された内部は撮影禁止。中に説明員の方が常駐していていろいろと解説を聞くことができる。阿弥陀堂の横は浄土式庭園の池になっている。また阿弥陀堂を所有する願成寺の本堂は徒歩5分くらい離れた場所にある。
近くには白水常磐神社もあり、神社なのに鉄製懸仏が見どころ。恋愛成就・夫婦円満・慈愛の社ということでピンクののぼりが目立っている。
崖の上の塩屋埼灯台
まだ時間があるな。塩屋埼灯台まで足をのばしてみるか。2年前の訪問時よりも天気が良いので映える写真が撮れそうだ。しかし灯台の中には入らず、見るだけよ。
雲多めでも2年前と違って海と空がちゃんと青い。よしOK。
あとは途中のスーパーで軽く買い出しをしつつ、うお昭へ直行。駐車場は第1から第3まである。大通り沿いが第3、裏の細い道沿いが第1、よくわからないのが第2…建物直下のガレージみたいなところかな?…我々は第3に止めた。正面玄関の近くには温泉モニュメントがあった。
気軽な温泉+グルメ旅行には十分な宿
温泉むすめとカレー
では入館。ドライバーが第3駐車場に車を置いて戻って来るまでの間、フロント付近を軽く偵察。談話コーナー+コミック+ドリンク&駄菓子屋の一角がこちら。写ってない手前側に朝食時のコーヒーサービスもある。
温泉むすめ・いわきあろはちゃんのパネルもあったぞ。全国の温泉むすめを紹介するシートをチェックしたら、5〜6割の温泉をクリアしてる感触だった。結構行ってると思うべきか、まだまだと思うべきか。
お土産コーナーでは「フラ女将カレー」を発見。8年前に美笹という宿に泊まった際にも発見して、買おうかと思ってうっかり買い逃したのを思い出した。ここで再会したのもなにかの縁、今度こそと思ってたらまた買い逃しちゃった。こういうのは「あとで」と考えたら負け。チャンスの女神は前髪しかないってやつね。
ひと通りの装備は整ってます
案内された部屋は5階の12畳+広縁和室。布団は最初から敷いてあった。
シャワートイレあり。金庫あり。障子の向こう側の広縁部分に空の冷蔵庫と洗面台がある。そしてフリーWiFiあり。
相応に築年数の経過した建物という感じでピカピカに新しいわけではないが、適切に管理されており、滞在中とくに不都合はなかった。北向きの部屋だったようで窓から見える景色はこんな感じ。
右手がJRと湯本駅のある方、左手の高台は御幸山公園でしょう。
いわき湯本の本格温泉を提供
思った以上に独占チャンスを狙える
うお昭の大浴場は5階にある。我々の泊まった部屋からとても近い。最初はエレベーターに近い側が男湯で奥まった側が女湯、20時から15分のインターバルを経て男女が入れ替わる。
脱衣所で脱いだスリッパを他客に横取りされるのが嫌なら、各部屋に用意された番号付きクリップを持参していくべし。しかしチェックイン直後に行った男湯は誰もいなくて独占可能状態だった。掲示された分析書によれば「含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」とのこと。源泉温度58℃。湯使いは不明ながら、少なくとも加水・加温・循環はしてないと思われる。
浴室にカランは6台。6~7名サイズの内湯浴槽があり、湯口はライオンさん。浴槽の縁からしっかりとオーバーフローしている様子が実に頼もしい。
最初に入った浴場は予想通りの熱い湯
お湯はうっすらと緑を帯びた濁りのないクリアな見た目。湯の花は通常見られず、たまに何かの拍子で発生するのか、糸くず状のものがふわふわ漂っていることがある。泡付きは確認できず。硫黄泉らしくほんのり香るタマゴ臭がいいね。いくらかニュルっとした感触もあるので温泉の特別感を盛り上げてくれるはず。
いわき湯本はあつ湯だとわかっちゃいたけど、かけ湯の段階でひるんじゃうくらい、やっぱり熱かった。壁から生えた蛇口をひねって加水することも一応可能とはいえ、他の客のことも考えると気軽に手を付けられない。我らぬる湯派一同、しばしあつ湯に耐えることとなったのである。
その間に窓の向こうを観察すると、浴室と同じような高さで床が続いているようだった。露天風呂でもあるのかと目を凝らしたら単なる屋上だった。まあさすがに露天はないか。
うーん、それにしても熱い。そろそろ限界か…そもそもがひたすら長湯するタイプのお湯ではない。みんな適当なところで切り上げて部屋に戻っていった。もしたっぷり入浴してやるぞという気概に満ちてたとしても短時間×回数多くのスタイルがいいでしょう。
後に入ったもう一方の浴場はやや小規模
夕食後、男女入れ替わってから行ってみた男湯は、基本的な作りや雰囲気は上記と一緒で規模がやや小さめ。カランは3台か4台だったはず。浴槽は3~4名サイズだ。複数のグループがかち合うとちょっときついかもね。でも実際にかち合うことはなく、窮屈な思いをする場面は全然なかった。
お湯の特徴は最初の浴場と同様。熱さも同じくらいだった。一気にカーッと温まり、出た後は急速にクールダウンする、そんな印象のお湯だったな。
自由に使える貸切風呂もあります
実は4階に貸切風呂もありんす。追加料金や予約は不要で、空いていれば自由に使える方式。夕食の直前と朝食後チェックアウト前に利用しました。脱衣所に入ったらドアを閉めて鍵をかける。脱衣棚の状況を見るに1~3名向けってところですな。
浴室もコンパクト。カランは1台、浴槽は3名でいっぱいになるサイズ。小さい子2名を含む親子4名だったらなんとか全員収まれるかもしれない。お湯はやっぱり熱い。
チェックアウト直前に入った際は、我々が最後の利用者だろうということで、壁の蛇口から加水させてもらいました。温泉成分は薄まってしまうし邪道と言われるかもしれないが、短期決戦で挑む必要がなく落ち着いて入れるのはうれしい。
この時を除けば短期決戦の入浴タイムばかりだったにもかかわらず、血行促進感とすべすべ肌への変化は明白だった。あっという間に効いてくるもんだね。
うお昭の名前通りに魚がうまい
常磐もの魚介類たっぷりの夕食
うお昭の食事は朝夕とも2階の大広間で。少し離れた2箇所の部屋に客を分散していたようだ。我々が案内された方は我々を含めて2組。互いのテーブル席は十分に離されており気にならない。
夕食はいくつかの選択肢から18時を希望。スターティングメンバーがこちら。見事なまでに海産物のオンパレード。
お造りはアジ・鯛・つぶ貝・赤海老・本マグロ。中央に鎮座するのはかさごの煮付け(これだけでお腹いっぱいになりそうなんですけど…)。右の海老が乗った皿は赤魚の香味焼きだって。さらに洋皿と称してカラスガレイまである。なんというお魚づくし。
どれもいわゆる常磐ものなんでしょう、うまいに決まっている。完食できるかどうかだけが唯一の悩みだ。なんて思ってたらメヒカリの唐揚げ&ホタテの編み上げまで追加された。うひゃーーー。メヒカリはぱりぱりの食感と若干の苦みがたまらん。ビールがすすむぜ。
あと鍋物はフグ鍋だった。フグなんて人生で何回口にしたっけ?レベルの食材だよ。あんこうの前夜祭とは思えぬ豪華キャストだった。大満足。
朝のご飯を珍しくおかわりしちゃった
朝食も同じ場所にて。いくつかの選択肢から7時半を希望。明らかに食べ過ぎだった前夜の分は寝てる間にどうにか消化できたようで胃袋の準備は万端。さあ来い。
朝からイカ刺し。これはご飯おかわり必至のパターン。途中で焼き鮭も追加されてはやむを得ないでしょう。自分にしては珍しくおかわりしましたよ。ちなみに固形燃料で温める、蓋をされてるやつはベーコンもやしだったような。
大広間に用意されている飲み物は水とお茶で、1階にはセルフサービスのコーヒーが提供されている。食後に1階で入手した紙コップコーヒーを部屋に持ち帰って飲んだ。
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お湯のぬるい・熱いは個人の好みだから各位で判断してもらうとして、硫黄泉としてのクオリティはしっかりしている。今回は海鮮グルメをテーマにした企画だったから、食事面の期待のハードルは高かったが、その期待を超えてくる内容であった。もし初日にあんこうプランを持ってきたとしても十二分に期待に応えてくれたに違いない。うお昭の名前はダテじゃない。