神威岬リローデッド:チャレンカの小道に再チャレンジ

神威岬 チャレンカの小道
今後の宿題だな---1年前に交わされた会話は、北海道積丹半島にある神威岬についてのものだ。積丹観光のハイライトとも言える岬の先端へ続く「チャレンカの小道」が強風により通行止めだったのだ。よりによって先端へ行けないのでは来た意味が半減以下。あまりにも残念無念な結末だった。

しかし我々は執念深かった。1年近くの時を経て、新型コロナ禍も乗り越えて、神威岬にリベンジ戦を挑んだのである。あそこは雨量が多ければだめだろうし、晴れていても風が強ければ通してくれないだろう。周辺地域が好天でも局地的にそこだけ天候が荒れている場合もある(昨年がそうだった)。

なかなか厳しい条件だが、宿題にケリをつけるべく、同じメンバーで再び彼の地へと向かった。

綱渡りの積丹半島再訪問

コロナ第1波をかわして出発

前年の積丹岬通行止め事件にリベンジを誓った我々は、かなり早い段階から今回の旅行計画を進めていたところ、新型コロナによる緊急事態宣言&延長という想定外の事態にヒヤヒヤさせられた。そのせいで断念の憂き目にあう可能性は十分にあった。

どうなることかと思ったが、5月中には宣言解除され、出発日までに県外移動制限も全面解除された。助かったぜ。久しぶりに再開する旅行がこのリベンジ戦。時の運も向いてきたかな。

ただし梅雨が始まっていたので、「北海道には梅雨がない」という俗説を信じるほかない。あとはバックアップ策として、初日が悪天候でも翌日再チャレンジできるような場所に宿を取り、旅程に柔軟性を持たせてあった。自分じゃどうにもならないお天気まかせとはいえ、神威岬挑戦をライフワークとするわけにはいかない。今年でビシッと決めなければ。

高速道路を使えば結構行ける

早朝羽田から飛んで着いた新千歳空港は曇り。長袖+できればもう1枚羽織りたいくらいに肌寒いのはさすが北海道ですな。関東の蒸し暑さにうんざりしてたからちょうどいいや。

で、さっそくレンタカーで積丹半島を目指す。イメージ的にすごく遠いような気がするけど、千歳(道央道)→札幌(札樽道)→小樽(後志道)→余市までは高速道路がつながっているので、結構なんとかなる。

札幌から小樽にかけて雨雲の中に入ってしまった時には心配でヒヤヒヤしたが、余市に近づくと雲は厚いながらも雨は上がってくれたし、積丹半島の方角の空は少し明るくてもっと好転しそうな雰囲気が見られた。助かったぜ。

余市の人気食堂「柿崎商店 海鮮工房」

スムーズに余市に着いた。ここで朝食兼昼食をとる。メンバーの一人が人気店を調べてくれて、向かった先は「柿崎商店 海鮮工房」。スーパーの2階が食堂になっている。曜日や時間帯によっては、そして新型コロナの件がなければ、大行列ができるものと予想される。
柿崎商店 海鮮工房
最初にレジで食券を買う方式。ウニ丼・イクラ丼・海鮮丼・貝類の丼・巨大なホッケなんかがある。丼物は普通の白米にするか、または追加料金で酢飯にするかを選べる。自分は3種の貝が入った磯丼の白米版にしてみた。
柿崎商店の磯丼
うめえ。気の利いた表現はできないが、うまい。量もたっぷりだし、他のメニューも同様だ。人気になるのもわかる気がする。運良く行列待ちなしですぐ入店できたってのも気分が良い。ここまでの展開は申し分ない。ええでええで。

当店は余市駅から近いし、すぐそばには一般見学可能なニッカ余市蒸溜所もある。海鮮を味わった後にウイスキーを嗜んだら幸せに…なれるかな?


手始めに美国の黄金岬

いよいよ積丹半島に入るも、美国の水中展望船は休航だったためスルーして黄金岬へ。観光案内所に駐車して緑の中の遊歩道を歩いていった。往路は基本的に上り基調で、途中に松山千春云々の碑がある。詳しく見てないんですいません。曽祖父がこの地で~とかだったかな。

10分くらいで岬の先端に着いた。ステイホーム中の運動不足がたたって、早くもヘロヘロでやばい。木組みの櫓のような展望台を登ると、すぐそばに小島が見えた。宝島というらしい。
黄金岬 宝島
上空から見た宝島はハート型をしているそうな。この島は名前と形状からして縁起が良さそうだ。開運のご利益とかパワースポットとかを謳っててもおかしくない。欲を言えば、もっと天気が良ければ見事な積丹ブルーの海を堪能できたであろうが、この厚い雲ではしょうがないな。沖の方は雲が切れてるんで、あれがこっちまで来てくれれば…。

ちなみに黄金岬の近くに「お宿かさい」なる旅館がある。ちょうどここの料理をおすすめする読者様からのお便りを受け取っていたのだが、すでに宿泊先がガッチリ決まっていて組み込むことはできなかった。すまんす。積丹のウニは名物だし、料理の充実度はすごそうね。


今年こそは、神威岬の先端へ

いよいよチャレンカの小道へ突入

昨年しっかり見学した積丹岬はスルーして、いよいよ本命の神威岬へとやって来た。雨は降っていないようだ。風もまあまあのレベル。おそるおそる駐車場からチャレンカの小道前の門を望む。どうだ? 封鎖されてないか、開いてるか?
神威岬の門を望む
人も流れているし、どうやら開いているっぽい。やった!

ではチャレンカの小道を通りますよ。岬の先端まで尾根伝いにずーっと道がついていて、ゴール付近には白い灯台が見えた。片道20~30分とのこと。途中まで下って最後また上るという非情な地形。ステイホーム中の運動不足が以下略。
神威岬の先端部

悲劇の地に掘られた念仏トンネル

道は結構狭く、両脇はすぐ崖になっており、観光用に整備されていなければ歩こうなんて思わないはず。そうして途中でこのような景色が現れる。
念仏トンネル
よく見ると崖下に小さなトンネルの穴がある。

念仏トンネルといって、昔はここを通って(それから崖を登って)岬の先端まで行っていたらしい。大正時代に灯台守の家族が海岸線を岩伝いに進もうとして波にさらわれるという悲しい事故がきっかけで掘られたんだとか。

やっと見られた神秘の神威岩

後半にはちょっと変わった紋様の岩がある。どうやってこうなったのかはよくわからん。波の侵食+その後隆起との意見あり。いずれにせよ岩の麓の高さまで登っていくのが大変。ステイホーム中の運動不足が以下略。
変わった紋様の岩
岩の手前までは尾根上を進むため風にあおられるし波のザザーンという音がよく聞こえる。ところがここからしばらくは道の片側が岩に遮られるせいか、風も音もピタッと止んだ。動から静への急変化。なにやら神域へ足を踏み入れるかのような気分になった。

神妙なエリアを抜けて、ふー、やっと灯台に着いた。ここまで来ればもうほとんどゴールと言ってよい。あと少しだけ平坦な道を進むと終点だ。
神威岬灯台
黄金岬における宝島と同様に、先端部から海を隔てたすぐそばに岩が突き出ていた。神威岩だ。義経伝説と関係があるらしい。
神威岩
うおおおー、この神秘的な岩を、1年待ってようやく拝むことができたぜ。1年分の思いを込めてしばし佇む。他の観光客もいるのでベストな撮影スポットにずっと留まるのはだめだが。

リベンジ成功の代償

では戻ろう。これをまた歩いていくのか…もう疲れちゃったよ。下り坂でひざ下にくるダメージがつらい。本当に足腰が衰えてしまったなあ。
チャレンカの小道・復路
チャレンカの小道を終えて、最後に近くの電磁台へ。旧日本軍のレーダー施設跡だ。丘の少し高い位置にあるので、ちょっとした展望所にもなっている。冒頭の写真はこの場所から撮影したものだ。
電磁台
ようしリベンジ完了。天気はいまいちで美しい積丹ブルーも見られなかったけど、神威岬はこれにてクリアってことでいいでしょう。やっと肩の荷が下りた。

しかし予想外に足にダメージが来たので守りの気持ちが強くなってしまった。他のメンバーも同じだったようで、この先「たくさん歩かされる、特にアップダウンが多い場所は回避しよう」ということで意見が一致した。コロナ自粛明けのリハビリ中なんで無理は禁物ってことで。