忘れ難き衝撃の温泉天国・登別温泉「第一滝本館」を再訪した

登別温泉 第一滝本館
北海道登別に第一滝本館という巨大かつ温泉天国なホテルがある。1年前に日帰り入浴で訪れた時、温泉のあまりの充実ぶりに衝撃を受けたので、同行メンバーともども「今度は泊まりで来よう」と誓ったのだった。あれから1年、本当に泊まりに来てしまった。夢じゃないよな。

おそろしく巨大なホテルなので部屋によっては大浴場までの移動が遠い。しかしそんなことでめげてはいけない。着いた先の大浴場がこれまた巨大。泉質や温度の違う数え切れないくらいの浴槽が待ちかまえている。それらすべてにじっくり浸かってたら、いくら時間があっても足りない。そう、これだよ、これ。

コロナ第1波がいったん落ち着いた後の旅行で衝撃第2波を受けてしまった。

登別温泉「第一滝本館」へのアクセス

車で登別温泉を目指すとしたら道央自動車道で登別東ICまで行けばいい。ICを下りたら山の方へ道なりに進むだけ。迷うようなことはないはずだ。ちなみに海側へ進んで白老町に入ると、映画「男はつらいよ 翔んでる寅次郎」(第23作)のロケ地にもなった虎杖浜温泉てのがある。そして寅さんが本作のマドンナ・ひとみと出会った場所が登別の大湯沼である。豆知識。

我々は別の思惑があって一つ隣の登別室蘭ICで下りたのだが、ともかく登別東ICから10分も走れば登別温泉街に着く。温泉街の一番奥まったところに第一滝本館がある。すぐ目の前が主要な観光スポット・登別地獄谷だ。

泊まった翌朝に小雨の中を地獄谷見学した時の写真を貼っておきますね。前年にはアジア系訪日客を筆頭にかなりの混雑をみせていた地獄谷も、今年は見学者ほぼゼロ。自分は混雑絶対避けるマンだから空いてるのは歓迎だけど、この状況をはたして喜んでいいのかどうか。
登別地獄谷
第一滝本館のすごさのひとつは、後で紹介するように、この地獄谷を借景しちゃってるところなのだ。


とにかく広い第一滝本館

巨大ホテルの大金棒

正面玄関に車を付けると、人間と荷物はいったん降ろされる。ドライバーだけが車とともに近くの駐車場へと誘導されていった。超巨大ホテルだから客数はかなり多いはず。たまたま複数組の客が到着した直後に我々が続いてしまったようで、チェックイン手続きの順番待ちが結構長かった。

ロビーは広いというか、南館・東館・西館・本館をつなぐハブのような場所である。大浴場にはプールが併設されていたりしてファミリー層はそこそこ目立つが、館内はテーマパーク風の浮かれたところがなくて比較的落ち着いた雰囲気。こんなご時世でインバウンドや団体がいないことも影響しているだろう。
ロビーの一部
売店のある吹き抜けの一角には当館名物「大金棒」が鎮座している。
第一滝本館名物・大金棒
おおむね1時間に1回、からくり時計のように金棒の中から人形(桃太郎と鬼)が出てきて、音楽にあわせてさまざまな動きを見せてくれる。大金棒はあの大きさで金箔仕上げだというから大したもんだ。

今風ホテルの客室

我々が泊まったのは東館7階の和室。小さめの畳で10畳+広縁。内装は新しい感じで管理も行き届いている。シャワートイレ・洗面台あり。部屋風呂はなくてシャワー室のみだったような。
第一滝本館 東館客室
電子式の金庫あり。冷蔵庫にはウェルカムお菓子の水まんじゅうと一人一本ずつのミネラルウォーターが冷やしてあった。ネット環境面ではフリーのWiFiスポットあり。今風のホテルとしての設備はひと通り揃っている。

窓の外はこんな景色。東館だと庭園を挟んで佳水館という宴会場棟を見ることになる。
東館から見える庭園と佳水館
客室は他に洋室・和洋室もあり、館を変えればまた趣向の異なる部屋が提供されている。好みに合わせてどうぞ。


目を見張る温泉天国

飲泉処を経て大浴場へ

さあ風呂だ。大浴場はこれまた専用の棟にあって東館からだと移動が結構遠く感じる。位置関係でいうと南館が一番遠いかな。そして日帰り客専用出入口が実は一番近い。その日帰り客出入口の近くに「飲泉処ゆのか」という場所がある。
飲泉処ゆのか
温泉がチョロチョロと流れ出ているのを紙コップで受けて飲む。えぐい癖はなくてまあまあ飲みやすい。近くに分析書が貼ってあり、「ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩泉、中性、低張性、高温泉」とあった。

飲泉処からエスカレーター→エレベーターを経由して大浴場フロアに着いた。受付所に積んであるタオル・バスタオルをつかんで男湯へ。部屋から持参しなくていいのは便利ですね。しかも来るたびに新しいタオルが使えるし。

泉質のバラエティが半端ない

男湯の入口に10枚近くの分析書が並んで掲示されてた。それだけいろんな泉質が提供されてるってことだ。とても把握しきれないので、詳しくは第一滝本館のホームページでどうぞ。おおむね「酸性・含鉄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉」とか「酸性・含硫黄-単純温泉(硫化水素型)」とか飲泉処にあった名称とか。

プログラミングの世界ではおなじみの正規表現で書くとしたら「^(酸性・含(鉄\(II,III\)|硫黄)-)?(ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)?-(硫酸塩・)?塩化物(・炭酸水素塩)?|単純)温泉(\(硫化水素型\))?$」になるのか?…でも“含硫黄”と“(硫化水素型)”は同時に現れるか同時に現れないかのどっちかだし…もうよくわからん。

とにかく2つのフロアに分かれていて、最初のフロア左手に23名分の洗い場がある。シャワーなしの場所を含めればもっと多くの人が利用できる。よほどのことがない限り埋まることはないだろうけど。

大きな浴槽を複数取り揃える

正面すぐのところにある浴槽は芒硝泉。適温かつさっぱりしたお湯だから最後あがる前に一発浸かるという使い方をした。何名規模とかいちいち書く必要がないくらい、どの浴槽もゆったりしているので、サイズについては省略します。

その奥にはややぬるめの硫黄泉。個人的にはもっとぬるくてもいいが。左手には食塩泉と、その先の隠れ家的な区画にも熱めの食塩泉。これらは熱そうだったしパス。

一番奥にある最大規模の食塩泉は、ぬるめで意外と人も少なく、ゆっくりできる。ここの特色は一面ガラス越しに地獄谷の風景がドーンと広がっていることだ。アングルは違うけど、上で貼っておいた地獄谷の写真に近い景色が見られるのだ。こりゃすごいわ。追加で地獄谷側から見た第一滝本館の写真を貼っておきます。
地獄谷から見た第一滝本館
このフロア右手にはぬるめの緑ばん泉。個人的にお気に入りのやつ。前年同様、多くの時間をここに割いた。ふとした時に金気臭がなんとなく感じられる。続いては重曹泉。他のお湯は多かれ少なかれ濁りがあったが、ここだけは清澄な無色透明だった。美肌の湯である。その先に熱めの硫黄泉。熱いのは苦手なのでパス。

下のフロアもあるよ

右手側に下のフロアへの階段があって、下りていくと歩行浴・打たせ湯・気泡湯・サウナ・水風呂が見えてくる。他には前年に体温以下級のぬるさで重宝した硫黄泉。しかし今年はぬるくない、普通の適温になっていた。適温が通常モードで前年がたまたま特殊だったんだろうけど、あのやみつき必至のぬる湯を味わえなくてちょっと残念。

ぬるいのはないか、と探して見つけたのが硫黄泉の寝湯。浅いから冷めるのも早いというだけの話だが、30分近くずっといたりして、連続滞在時間ではここが一番長かった。ちなみに7名分の区画がある。

露天風呂と金蔵の湯

さらに露天エリアもある。塀があって外は見えない。左手には広めの硫黄泉。熱いのでちょっと浸かってすぐに出た。真ん中に食塩泉。内湯にあった食塩泉と違い、お湯が緑がかって見える。タイルの色かな。ここはぬるめなので良い。

右手にはお酒の売店があった。一杯やりながら温泉に入れるという、夢のようなサービスだ。その奥に「金蔵の湯」なる小さな浴槽がある。加水なしの緑ばん泉だ。ラインナップの中では上位にくる熱さで長湯はできないものの、お湯の力強さはさすがの一品。湯質にこだわる人ほど金蔵の湯狙いになるだろう。

ひと通り列挙しただけで力尽きてしまった。とにかくスケールがでかい。泉質と温度がバラエティ豊かだから、自分のお気に入りを見つけるのは難しくないはずで、お好きにどうぞと言うしかない。男女合わせて35もの湯船があるそうだから、おそるべし。

自分は硫黄泉と緑ばん泉を中心にローテーションした。南関東の近場で体験できない泉質に釣られてしまうのは貧乏性ゆえか。


このご時世のために会席コースとなった食事

季節にあわせた献立の夕食

もともと予約したプランの夕食はビュッフェスタイルで、しかし新型コロナ対策のためか、いったんは部屋食へ変更との連絡が入り、チェックインしてみたら半個室食事処での会席コースに切り替わっていた。このご時世の運営は大変そうだなあ。

スターティングメンバーがこちら。結構ボリューミーじゃあないか。いさきの煮付けだけでお腹いっぱいになりそうな気がする。
第一滝本館の夕食
全般に夏の食材・涼しげな調理法が意識されているようだった。夏野菜彩り愛妻鍋なる鍋物は飲泉処の重曹泉を出汁のベースにしているそうだ。身体の内側も美肌になってしまうぞ。で、小さいお釜はほたて釜めし。ほたて好きなので嬉しい。

サッポロクラシックビールを飲みつつ、お腹があんまり膨れちゃいけないからと途中で日本酒を頼んだ。お好みで3種の組み合わせを選べる飲み比べセットを注文。すいません銘柄は忘れました。ひとつは二世古だったはず。この戦略が功を奏して完食できた。

なんだかんだ飲んで食べてデザートのゼリーで終了。部屋へ戻る途中に例の大金棒の定時からくりを見た。

朝食のおかずが多い

朝もなかなかのボリュームだ。おかずの品が多い。夕食と同じ半個室でいただいた。
第一滝本館の朝食
北海道らしく朝からイカ刺しはやばい。他にも米を食べさせよう・食べさせようと虎視眈々と構えてるような品々ばかり。その企みに乗っかりたいのはやまやまなんだが、ステイホーム中の食生活でさらに胃が小さくなってしまったようでね、どか食いどころか一般成人男性並みの量も入らないんですよ。

食後のコーヒーは入口付近にあるコーヒーメーカーへ汲みに行く。雨だけどさわやかな朝を満喫してエネルギー充填120%。今日も元気にまいりましょう。

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4~5月の外出自粛でどうなることかと心配したが、無事に第一滝本館再訪を果たせて良かった。この旅行の後に再びコロナの勢いと自粛圧力がマシマシになってきてるから、もしかしたら早すぎず遅すぎずの「そこしかない」タイミングだったかもしれない。

このご時世の気兼ねを抜きにして、行けるものなら当館はおすすめだ。とくに温泉の観点からいえば、一度は体験しておくべきと言っても差し支えない。ちなみにお隣には第一滝本インというエコノミーなお宿もある。そちらに泊まってもあの大浴場を利用できるので、お好みでどうぞ。