長かった梅雨が開けて夏本番が始まる頃、グループ旅行で北海道へ行った。初日のメインとなる観光は当初の計画を組み替えてニッカウヰスキー余市蒸溜所。朝ドラ「マッサン」のモデルになった地だ。
ウイスキーの国内二大メーカーであるサントリーとニッカが一般に見学開放している4つの蒸溜所のうち、山崎・白州・宮城峡へは行ったことがあった。なのでここ余市の見学をもって4蒸留所コンプリートとなる。
記念にちょっと奮発して有料試飲をしてみちゃったりなんかもしちゃった。もちろん無料試飲もさせてもらい、宿へ着く前にすっかり酔っ払ってしまった。
しかし我々は違った。初日はもともと羊蹄山やニセコのあたりを周遊する計画だったから、空港を出発して一路西へ。支笏湖の南側を走り、美笛峠・喜茂別を経由して羊蹄山麓の「ふきだし公園」までやって来た。
早い段階でとっくにわかっていたけど、羊蹄山は雲にすっぽり覆われてまったく見えない。裾の部分がちょっと見えるかどうか程度。これじゃあなあ。しかも雨。傘を差しても辛いくらいの強い降りが時おりあるから始末が悪い。
今日は屋外型の観光は無理ですぜ。ニセコ付近も、岩内あたりの海沿いへ出ても、どうせ一緒でしょう。と、メンバーと相談して行き先を変えた。翌日に予定されていた余市蒸溜所を前倒しで見学することになった。ここなら屋内型だから何とかなるだろう。
てなわけで倶知安から北上して余市を目指した。結果論だが休みなしで順調に走っても空港から3時間近いルートを取ったことになる。実際は途中で休憩したりお昼を食べたりして、約4時間かけて余市蒸溜所へ到着した。
本来の正門や見学受付窓口は駐車場と反対の端にあるから、いったん正門の方へ、順路と逆行するように歩いていった。窓口でガイド付きツアーの見学申し込みをするつもりだったけど、次の回までの待ち時間が長めだったため、スケジュールを考慮して断念。ガイドなしの自由見学に切り替えた。
自由見学なら構内を自由に見て回ればいい(一部にガイド付きツアー客のみ立ち入り可能な区域あり)。概ね、現在も操業が行われている施設ではなく、現役を退いた歴史的建造物を公開している。その意味では工場見学というより文化財めぐりに近い。
中に麦とピート(泥炭)が置いてあった。ピートは麦をいぶすのに使う。ウイスキー特有の煙くさい匂いの元はこいつか。
その先には粉砕・糖化棟。麦芽を発酵させて麦汁を作るタンクをガラス越しに見る。なお入口はガイド付きツアー用と一般用に分かれていて、見られる範囲が違う。
粉砕・糖化棟の手前には旧事務所の建物。意外と小さい。大正ロマン風な感じもする。
麦汁に酵母を加えてもろみを作る発酵棟は見学不可。このへんの工程まではビールと同じなのか、どうなのかね。
少し先へ進むと現れるのがリタハウス。リタ=創業者・竹鶴政孝の奥さん。マッサンでいうところのエリー。夫妻の家かと思ったら旧研究室だった。現在は内部非公開。
旧竹鶴邸はさらにその先にあった(移築復元)。洋風テイストが強い。こんな家で自分が作ったウイスキーを飲んだらさぞかしうまいだろう。
竹鶴邸を出たら雨が強くなってきたので、近くで目についた貯蔵庫へあわてて逃げ込んだ。…うわ、ウイスキーくせえ。強いお酒の刺激臭があたりを漂う。それだけで人によってはクラクラしてくるかもしれない。
たとえば10年物と言った場合、蒸留した結果を樽に詰めて貯蔵庫で10年(以上)寝かせるわけだから、商品として出荷できるようになるまで10年(以上)待つという非常に気の長い話。別な意味でクラクラしてくるな。
内部はウイスキーに関する各種展示の他、マッサンで使われていた衣装や小道具の展示もあった。
そして奥には有料試飲コーナーがある。せっかく来たんだし、今回は車を運転する役ではないし、飲むしかないでしょう。余市蒸溜所限定品の謳い文句が付いた「シングルモルト余市2000's」を注文。自分の知識と五感ではどうせ真の価値はわからないんだが、細けえことはいいんだよ。
備え付けのカードに必要事項を記入して2階の無料試飲コーナーへ。カードと引き換えにカウンターで3種類のお酒=シングルモルト余市・スーパーニッカ・アップルワインを受け取った。
チェイサーは水の代わりに炭酸水にしてみた。ハイボールを作りたいわけではなく素で炭酸水を飲みたかっただけ。用意されたウイスキーはストレートのままクイッと喉へ流し込んだ。きくぅー。気分はダンディー。
べろんべろんとは言わないまでも有料試飲の分とあわせて結構酔いが回った。しかし久しぶりに本格的なウイスキーを飲んだな。マッサン以降のブーム過熱と原酒不足のために店頭価格がやたらつり上がっちゃったからな。ウイスキーは手の届かない世界へ行ってしまったからな。
すっかり縁遠くなってしまったウイスキーが今日この時だけは身近な世界へ戻ってきてくれたようだった。
【この旅行に関する他の記事】
ウイスキーの国内二大メーカーであるサントリーとニッカが一般に見学開放している4つの蒸溜所のうち、山崎・白州・宮城峡へは行ったことがあった。なのでここ余市の見学をもって4蒸留所コンプリートとなる。
記念にちょっと奮発して有料試飲をしてみちゃったりなんかもしちゃった。もちろん無料試飲もさせてもらい、宿へ着く前にすっかり酔っ払ってしまった。
予定を変更してニッカ余市蒸溜所へ
道外からの旅行者が空路で新千歳空港へやって来る前提だと、空港付近でレンタカーを借りるとして、余市蒸溜所まで道央自動車道と札樽自動車道を利用して札幌・小樽経由で1時間半くらいで着く。まあこれが妥当なルートだろう。しかし我々は違った。初日はもともと羊蹄山やニセコのあたりを周遊する計画だったから、空港を出発して一路西へ。支笏湖の南側を走り、美笛峠・喜茂別を経由して羊蹄山麓の「ふきだし公園」までやって来た。
早い段階でとっくにわかっていたけど、羊蹄山は雲にすっぽり覆われてまったく見えない。裾の部分がちょっと見えるかどうか程度。これじゃあなあ。しかも雨。傘を差しても辛いくらいの強い降りが時おりあるから始末が悪い。
今日は屋外型の観光は無理ですぜ。ニセコ付近も、岩内あたりの海沿いへ出ても、どうせ一緒でしょう。と、メンバーと相談して行き先を変えた。翌日に予定されていた余市蒸溜所を前倒しで見学することになった。ここなら屋内型だから何とかなるだろう。
てなわけで倶知安から北上して余市を目指した。結果論だが休みなしで順調に走っても空港から3時間近いルートを取ったことになる。実際は途中で休憩したりお昼を食べたりして、約4時間かけて余市蒸溜所へ到着した。
製造工程に沿った施設見学
工場見学というよりは文化財めぐり
平日だったおかげか、入場制限や駐車待ちの列はなく、さくっと入ることができた。無料試飲会場のあるニッカ会館や売店「ノースランド」の建物のあるあたりが駐車場になっている。本来の正門や見学受付窓口は駐車場と反対の端にあるから、いったん正門の方へ、順路と逆行するように歩いていった。窓口でガイド付きツアーの見学申し込みをするつもりだったけど、次の回までの待ち時間が長めだったため、スケジュールを考慮して断念。ガイドなしの自由見学に切り替えた。
自由見学なら構内を自由に見て回ればいい(一部にガイド付きツアー客のみ立ち入り可能な区域あり)。概ね、現在も操業が行われている施設ではなく、現役を退いた歴史的建造物を公開している。その意味では工場見学というより文化財めぐりに近い。
麦芽~麦汁~もろみへ至る各施設
正門のすぐそばにあるのが乾燥棟(キルン塔)。原料の大麦を乾燥させて麦芽を作るところ。たしかに塔みたいなのがある。中に麦とピート(泥炭)が置いてあった。ピートは麦をいぶすのに使う。ウイスキー特有の煙くさい匂いの元はこいつか。
その先には粉砕・糖化棟。麦芽を発酵させて麦汁を作るタンクをガラス越しに見る。なお入口はガイド付きツアー用と一般用に分かれていて、見られる範囲が違う。
粉砕・糖化棟の手前には旧事務所の建物。意外と小さい。大正ロマン風な感じもする。
麦汁に酵母を加えてもろみを作る発酵棟は見学不可。このへんの工程まではビールと同じなのか、どうなのかね。
ウイスキーの誕生…蒸留棟と貯蔵庫
で、お次はいよいよ蒸留棟。ウイスキーを象徴する大きな蒸留釜装置=ポットスチルが数基設置されていた。上部の管の形状や曲がり具合で風味が違ってくるらしいね。首のところに見える注連縄はマッサンでも描写されてた気がする。少し先へ進むと現れるのがリタハウス。リタ=創業者・竹鶴政孝の奥さん。マッサンでいうところのエリー。夫妻の家かと思ったら旧研究室だった。現在は内部非公開。
旧竹鶴邸はさらにその先にあった(移築復元)。洋風テイストが強い。こんな家で自分が作ったウイスキーを飲んだらさぞかしうまいだろう。
竹鶴邸を出たら雨が強くなってきたので、近くで目についた貯蔵庫へあわてて逃げ込んだ。…うわ、ウイスキーくせえ。強いお酒の刺激臭があたりを漂う。それだけで人によってはクラクラしてくるかもしれない。
たとえば10年物と言った場合、蒸留した結果を樽に詰めて貯蔵庫で10年(以上)寝かせるわけだから、商品として出荷できるようになるまで10年(以上)待つという非常に気の長い話。別な意味でクラクラしてくるな。
お待ちかねの試飲タイム
ウイスキー博物館の有料試飲コーナー
貯蔵庫の向かいにあるのがウイスキー博物館。内部はウイスキーに関する各種展示の他、マッサンで使われていた衣装や小道具の展示もあった。
そして奥には有料試飲コーナーがある。せっかく来たんだし、今回は車を運転する役ではないし、飲むしかないでしょう。余市蒸溜所限定品の謳い文句が付いた「シングルモルト余市2000's」を注文。自分の知識と五感ではどうせ真の価値はわからないんだが、細けえことはいいんだよ。
当然のごとく無料試飲も堪能
ほろ酔い気分で博物館を出て最後に訪れたのがニッカ会館。備え付けのカードに必要事項を記入して2階の無料試飲コーナーへ。カードと引き換えにカウンターで3種類のお酒=シングルモルト余市・スーパーニッカ・アップルワインを受け取った。
チェイサーは水の代わりに炭酸水にしてみた。ハイボールを作りたいわけではなく素で炭酸水を飲みたかっただけ。用意されたウイスキーはストレートのままクイッと喉へ流し込んだ。きくぅー。気分はダンディー。
べろんべろんとは言わないまでも有料試飲の分とあわせて結構酔いが回った。しかし久しぶりに本格的なウイスキーを飲んだな。マッサン以降のブーム過熱と原酒不足のために店頭価格がやたらつり上がっちゃったからな。ウイスキーは手の届かない世界へ行ってしまったからな。
すっかり縁遠くなってしまったウイスキーが今日この時だけは身近な世界へ戻ってきてくれたようだった。
【この旅行に関する他の記事】
- 超ド級! リアルを超越した海鮮づくし - いわない温泉 高島旅館
- 奇岩断崖の絶景が続く積丹半島 - 明暗分けた積丹岬と神威岬
- 歴史とロマンの街にあった鉄分補給基地 - 小樽市総合博物館
- 良泉と100年の歴史を誇る支笏湖畔の秘湯 - 丸駒温泉旅館
- 室蘭の名勝ピリカノカ:地球岬を含む絵鞆半島外海岸めぐり
- 温泉の裏の顔はデンジャラス - 登別の地獄谷と大湯沼
- 度肝を抜かれた、広大な温泉パラダイス - 登別温泉 第一滝本館