美麗でシビれる名湯。ぬる湯もあるよ - 紫尾温泉 旅籠しび荘

紫尾温泉 旅籠しび荘
かつて鹿児島の紫尾温泉に立ち寄ったことがある。その時は共同浴場の神の湯で入浴したのだった。熱めながら硫黄香る、エメラルドグリーンに見える結構なお点前のお湯だった。

紫尾温泉には旅籠しび荘という評判のいい湯宿があり、いつか泊まってみたいものだと思っていた。噂ではぬるい浴槽があるらしかったし…おじさんはぬる湯が好物なのである。そんな経緯があって今回の鹿児島遠征では、しび荘をご指名で予約したのだ。

神の湯に近い熱めのメイン浴槽と、期待したぬる湯浴槽があって、さらに貸切露天風呂まである。ハイクオリティな紫尾温泉を心ゆくまで堪能できますな。食事は控えめプランにもかかわらず美味な品がいっぱいで、完食できなかったくらい。

紫尾温泉 旅籠しび荘へのアクセス

出水麓武家屋敷群に寄り道する

紫尾温泉まで通じてるバス便はないっぽい。さつま町中心部の宮之城までバスで行って、そこからタクシーになるみたい。宿の送迎も宮之城との間になる。

だが今回はレンタカー。霧島の湯之谷山荘をチェックアウトして、曽木の滝を見学してから、次に出水麓武家屋敷群を見学した。この武家屋敷群について少しレポートしておく。

見学の拠点は駐車場を完備した出水麓歴史館になる。ここでは観光用牛車を運営しており、車を引く牛さんがのんびり休憩中だった。
休憩中の牛さん
歴史館のチケット(510円)で近所の竹添邸・税所邸も見学できる。まず歴史館の中へ。地域一帯のジオラマ模型とか、武家屋敷の成り立ち・武家の生活などが紹介されている。期間限定の展示コーナーもある。ここで基本知識を仕入れておこう。
マンホール蓋にアッガイ
なぜかアッガイのマンホール蓋があった。

幕末大河ドラマに出てきそうな(出てきた)お屋敷

お次は竹添邸へ。
竹添邸
ああ、武家屋敷ぃーって感じ。大河ドラマのロケが行われたそうで、まさにそういう雰囲気ですな。
竹添邸 その2
中を見学することもできる。展示品として後から持ってきた物もあるだろうが、当時の暮らしぶりがなんとなく、わかったような気がしなくもない。
竹添邸 その3
お次は税所邸。
税所邸
こちらには立派な鎧兜がいっぱい。
税所邸 その2
少しだけお話を聞くことができた。税所という苗字は徴税を担当する一族であるところからついたとか、霧島神宮には税所神社があるとか、その他いろいろ。

このあたり一帯は通りの石垣が印象的だ。
武家屋敷群の通り
また、御仮屋門という歴史的建造物は、小学校の正門になっている。
御仮屋門
では出発。この後に湯川内温泉かじか荘へ立ち寄り入浴し、それから紫尾温泉へ向かった。出水市から向かう場合、国道328号を使うと思うが、途中でショートカットに見える県道に入ってはいけない(すごい難路だと思う)。

紫尾峠を越えてしばらくR328を進み、少し行き過ぎてからコの字型に戻るようなルートにすべきだ。カーナビも後者へ誘導してくれるとは思うが、ねんのため。


温泉ファンにはちょうどいい感じの宿

ロマンチックな名前の川とともに

しび荘は四季の杜紫尾庵という、ちょっといい宿と姉妹館・お隣同士の関係にあり、敷地内の駐車場から紫尾庵の方へ歩いて行けるようになっていた(紫尾庵宿泊客はしび荘の大浴場を利用できるため、行き来がある)。両者の敷地をまたぐ橋から見た川は、夜星川というロマンチックな名前だそうで。
夜星川
ではチェックイン。ロビーはこんな感じ。すぐそばに冷蔵ケースがあり、湯あがり後の缶ビールをそこから調達した。
ロビー
レトロにもモダンにも偏らずといった様子で、静かに落ち着いて過ごせそうな雰囲気はいい。予約した部屋のある2階はこんな感じ。途中の段差に気をつけてね。
2階の様子

おひとり様向けの洋室あります

今回はシングル洋室。つまり一人泊をはじめから想定されているってことだ。ありがたい。エグゼクティブ気分を味わえる椅子が誘ってくるな。
しび荘 シングル洋室
ほしいものはだいたい揃ってます。ベッドの壁際にコンセントあり。寝ながらスマホを充電するのにちょうどいい。ついでに反対側から撮影。
しび荘 シングル洋室 その2
シャワートイレあり、洗面台あり。金庫あり、空の冷蔵庫あり、WiFiあり。機能的・広さ的・管理状態と快適さ的にオールグリーン。温泉に入ってゆっくりさせてもらいますわ。温泉街の石畳通りに面した部屋であり、窓から見える景色はこんな感じ。
窓から見える景色
正面はなんでしょうね。たぶん神の湯の施設の一部かなとも思うけど、よくわからない。


印象に残るハイクオリティな温泉

夜星川を眺めて入る貸し切り露天風呂

しび荘の大浴場は別棟的な建物にある。フロント前から少し下るだけだし、屋根付きの通路を歩くから、移動に難はない。庭の池からカエルの鳴き声がよく聞こえてくる日であった。

別棟に入ると手前が女湯で奥が男湯。男女の入れ替えはない。廊下に分析書が何枚も張り出されていて、ちょっとよくわからなかったんで適当にガッチャンコして書くと、紫尾1号泉と2号泉があり、「アルカリ性単純硫黄温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」の泉温60.4℃/42.5℃、PH9.5/9.1とか、加温のみで加水・循環・消毒なしとか、そんな感じだった。

つきあたりに貸切風呂があり、空いていれば自由に入れるので、チェックイン直後の入浴時に真っ先に利用させてもらった。

大自然の中ではないけど、なんとなくワイルドなつくり。簡易な脱衣かごに服をしまって石段を下りると、3名サイズの岩風呂が待っている。洗い場はなかった気がする。

やや緑がかった無色透明のお湯は、匂いを嗅ぐとタマゴ臭がはっきり出ている。加えてニュルニュル感が強い。こりゃあ美肌の湯ってやつですな。温度は適温。目の前を夜星川が流れ、景色の癒され度はなかなかのもの。一度は体験しておきたい。紫尾庵からも入りに来るんだろうし、希望者は多そうだと思って、占有しすぎないように短時間で切り上げた。

紫尾温泉クオリティを堪能できるメイン浴槽

お次は内湯。棚+かごのシンプルな脱衣所から浴室に入ると「おお~っ」と声が出そうになる。中央に鎮座するメイン浴槽に湛えられたエメラルドグリーンのお湯が、完璧なまでに美しい。着色料じゃないのになんでこんな鮮やかな色が出るんだろう。不思議だなあ。

洗い場は4名分。右奥に小さな空っぽの小さな浴槽跡(?)がある。中央には先ほどのメイン浴槽。小判型の4名サイズで湯口がライオン丸。怪傑か風雲か、どっちだ(どっちでもない)。クリアなエメラルドグリーンが本当にきれいで、思わず飲んでみたい誘惑に駆られるのであった。飲んでないけど。

浸かってみると熱い。まあ過去の神の湯で熱いのはわかっていましたよ。湯の花はたくさん舞っており、色といい、タマゴ臭といい、ニュル感といい、特別な温泉らしさが満載だ。これは満足度高いでしょう。しび荘の評判を支える湯船である。

長く楽しめるぬる湯槽もいいぞ

しかし大半の時間を費やしたのが、左手の壁沿いにある四角い浴槽だった。奥行きが短くて足を伸ばせない場所もあるが、横一列に並んで入れば5人はいける。こちらはだいぶぬるくて、体温と同じか、若干上くらいのゾーン。つまりおじさんの大好物のぬる湯だったのである。

お湯は鮮やかな緑じゃなくて、少し地味な薄緑っぽい色になっている。湯の花やニュル感もメインほどではない。加水というよりは源泉が違うのだろう。温泉として薄いというわけではないようだった。とにかくぬるいは正義、30分でも1時間でも入り続けられそうなお湯におじさんもご満悦。ほぼこの浴槽専門で、最初と最後だけ、そして中間たまに、メイン浴槽に敬意を表して入るというスタイルになった。

観察していると、ほとんどのお客さんはぬる湯槽に入ってこない。メイン浴槽専門だ。やはり紫尾温泉といえばそちらになるのだろう。温度の好みはおいといて、良泉なのはたしかなので気持ちはわかる。こちとら変則的な楽しみ方をしちゃって、すいませんね。

滞在中はたいがい独占、たまに他客がいても1名ってところで、ゆったりリラックスして入浴できたのもポイント高い。


食事面の満足度も高いです

全然控えてない、豪華なラインナップだった夕食

しび荘の食事は1階奥の食事処で。ぼっち客にもちゃんと個室を作ってくれたのはありがたい。他客と顔を合わせることなく、周囲からの視線を感じることもなく(自意識過剰)、食に集中できた。夕食のスターティングメンバーがこちら。
しび荘の夕食
なんだか洒落てますな。前菜にはよもぎ豆腐や鰻ちまきなど。鰻は鹿児島ぽいな。お造りの「天使の海老」は初めて知ったが、高級ブランドのようですね。本体は青みがかってて飾りの頭部は赤くしてあるのがにくい。お酒は地酒を注文したと思うけど銘柄を覚えてなくてすまんす。最近忘れやすくていけません。

その後、ぼたん鍋・鮎塩焼き・蟹足フライ・さつま芋蜜煮が追加された。うひゃー。
しび荘の夕食 その2
予約したのは料理控えめプランだったはずだが、普通にがっつり出てきたぞ。これはすごい。もちろんうれしい悲鳴だ。酒を追加したくなってしまうのをぐっとこらえて、酔いに負けて夜のお風呂をパスしちゃう危険回避を優先した。

もう1枚紹介したい写真がある。さつま町産黒毛和牛のしゃぶしゃぶだ。なんという贅沢だ。
さつま町産黒毛和牛のしゃぶしゃぶ
ここまででかなりお腹が苦しくなってきて、ほかにも料理あったのに残してしまった。罰当たりだけど仕方ない。自家製ひのひかりのご飯とデサートで締めて、腹いっぱいの夢いっぱい。

朝のちょっとした「ひらめき」

朝食も同じ個室にて。定番的といいながら、自分にとっては定番じゃないから、これでいい。ふだんこのような朝ごはんはあり得ないのでね。
しび荘の朝食
さすが鹿児島、やはりさつま揚げが入ってる。また各地へ温泉旅してわかったこととして、西日本だから納豆が出ないわけじゃないのね。かつて西=納豆NGみたいなイメージすらあったのは都市伝説だったのか。

あとは卓上に置かれてて気になった香辛料「ひらめき」をご紹介。さつま町の特産品で、ミカン・タカノツメ・ゴマが入っている。
香辛料「ひらめき」
試しにちょっとふりかけてみたら…うん、ミカンとタカノツメとゴマの味ですね。癖になってハマる人はいそう。

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一人泊OKでお高すぎず、お湯良し・食事良し(控えめプランでも十分すぎた)・環境良しとくれば、評判の湯宿というのも納得だ。個人的には紫尾温泉クオリティをぬる湯で楽しめるというのが大きい。あれは至福の時間だった。紫尾は過去に神の湯に入ったからもういいやで終わらせず、再訪を検討したのは、なにか重要な勘が働いたからに違いない。自分の勘にしたがって正解だった。