青と緑に輝く、足元湧出の珠玉の湯 - 湯川内温泉 かじか荘

湯川内温泉 かじか荘
鹿児島湯めぐり遠征の2日目は霧島から北薩へ。そのコースなら、昼の間に行ってみたい温泉が出水市にあった。湯川内温泉かじか荘である。貴重な足元湧出泉、しかも大好物のぬる湯だという。過去にも出水市を通ったことはあるが、行きそびれたままになっていたのだ。今度こそきっちり体験しておかなくては。

以前は宿泊もやっていた旅館が閉館し、その後の各方面による活動に支えられて、日帰り営業として復活した。下の湯と上の湯があり、訪問時は上が男湯だった。やや青みがかったきれいな透明湯は、たしかにぬるい。ぬる湯ゾーンの上限くらいかな。泡付きばっちりで足元湧出らしき源泉が湧き上がる気配を身体で感じることができる。珠玉のお湯だ。

湯川内温泉かじか荘へのアクセス

見どころいっぱい曽木の滝

鉄道駅からずいぶん離れており、近くを通るバスもないので、車はほぼ必須となる。自分はレンタカーで周遊していたから問題なし。

霧島湯之谷山荘を朝出発して、伊佐市方面へ向かう。カーナビの指示するままに走っただけでよくわかってないけど、霧島温泉駅付近を通ったのは覚えている。大隅横川で県道53号→途中から黄金ロードっていうルートじゃないかと思う。

で、曽木の滝という観光スポットに立ち寄った。東洋のナイアガラと呼ばれるそうだ。その呼称は関東だと吹割の滝を指すんだけどね。一帯は公園として整備されている。最初は展望台から滝を眺める。
曽木の滝 その1
園内を歩いてもっと近くまで寄ることができる。ほほう、これはこれは。
曽木の滝 その2
落差がどうっていうよりは、非常に幅広い範囲にわたって落水が発生している。
曽木の滝 その3
新曽木大橋との組み合わせもなかなか。
新曽木大橋
豊臣秀吉が島津との和議の帰りに立ち寄って見物したという観音淵がこちら。今年の大河ドラマで描かれるかしら。
観音淵
洞窟きのこ園ってのがあったけど、すでに閉園しちゃってた。
洞窟きのこ園跡
かつては発電所があった関係で、その遺構も残っている。こちらはSNS映えスポットにもなっているヘッドタンク・導水路跡。
ヘッドタンク・導水路跡
あとは清水神社という縁結びの神社がありましたね。
清水神社

道路の狭さにはご用心

そんな感じで見学を終えて出発。次に見学した出水麓武家屋敷群については別記事にて。かじか荘は午前の部が12時まで、午後の部が13時または15時から。この日は13時からで、滝と武家屋敷の見学でうまく時間調整ができた。

武家屋敷から当湯までは車で10分。ただし、最後の1~2kmの道がすごく狭い。待避所をうまく見つけて利用しないと対向車とすれ違えない。運良く離合には遭遇しなかったが、結構ドキドキした。借りた車が軽だったのが心の支えになった。


これはたしかに名湯です

いきなり超ラッキーな体験

ほぼ13時ちょうどに着いたら、すでに何台か駐車されていた。午後の一番乗り狙いかな。まだ止めやすいスペースが残っていてよかった。入口の奥にかなり年季の入った建物が見える。旅館営業時代からの建物でしょう。
旅館時代の建物?
側面に回り込むと、冒頭写真のような感じで受付がある。ここで料金をお支払い。450円。初めての利用を告げると説明があった。38℃の下の湯と39℃の上の湯があり、今日は上が男湯ですと。体を洗うか十分にかけ湯をしてから入ってくださいと。了解です。

受付前の休憩コーナーには飲泉場があった。蛇口をひねり、温かくなるのを待つ(結構長くかかった)。備え付けの紙コップで飲んでみたら、うん、やさしい感じでスッと入ってきますな。
飲泉場
スタッフの方に声をかけられ、ぬるいお湯が好きなので~と話したら、今はまだ女性客が来ていないから、下の湯を見て行きますか?と案内していただいた。おおおーーー、ぜひぜひ! ラッキーーー! 写真撮影もどうぞ、と。ありがた山にございます。

下の湯は緑っぽく、上の湯は青っぽく見えるお湯だそうだ。美麗なり。
かじか荘 下の湯 その1
せっかくだからもう1枚。すのこの下から源泉が…っていうタイプだと思う。
かじか荘 下の湯 その2

深めの浴槽に、美しい青の温泉

いやあ、貴重なものを見ちゃったなあ。受付すぐそばの下の湯に対し、上の湯は石段を上った先にある。もともとは男湯と女湯に分かれていたという話で、入口や脱衣所も左右2箇所ある。どちらから入ってもOKなのに、先客・自分・後続のお客さんを含め、なぜかみんな右側から入っていた。出水の七不思議。

掲示されている分析書によれば「単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」の泉温38℃、PH9.3。浴室は旅館時代からの引き継ぎに見えるレトロな部分もありつつ、新しい建材で更新されたような部分も見られる。洗い場は2名分。石鹸置き場が1箇所。

浴槽は4名サイズ。伝えられていた通り、青っぽく透き通った美しい色を呈している。見てるだけで心が洗われますな。浸かってみたら…ドポーン!…結構深いぞこれ。うっかりすると立ち湯スタイルにもなりかねない。一番底が砂利っぽくなってて、あちこちに丸っこい岩が沈んでる。岩の上に腰掛ければ大丈夫とはいえ、それでも深め。

温度は体温よりは上。ぬる湯と呼ぶゾーンの上限あたりの体感だ。まあでも30分や1時間連続で入り続けることはできる。匂いはしっかりとタマゴ臭を主張しており、温泉好きを喜ばせるポイントをばっちり押さえている。

隣の浴室で始まる至福の時

昔の男湯・女湯を仕切っていたと思われる壁は、湯船までは仕切ってないため、一つの大きな湯船を壁で2区画に分けた格好になっている。その壁は奥のところが空いており、その隙間を通って隣室へ行けるようになっている。隣室はまだ空っぽで、独占気分を味わえるかと思い、移動してみた。左の入口経由でやって来た場合の浴室である。

こちらは壁に時計が設置されている。洗い場は2名分。浴槽は隣よりもやや広くて6名サイズ。岩の上に座っても深くなりすぎない体勢で安定する場所を見つけて、しばらくじっとしていた。するとどうでしょう。全身が細かい泡に包まれ出したのである。もうアワアワよ。こいつはすごい。どこまで喜ばせるのか、このお湯は。

しかも時おりプクプクっとあぶくが浮かんでくるとともに、背中や腕などにくすぐったい気配を感じるのだ。足元の砂利の間から源泉が湧き上ってくる際の感触だろう。生まれたての新鮮な源泉が身体を撫でていくわけだ。すげえすげえ。とんでもない逸材じゃないですか。

貴重な体験に大満足

この至福の時、心地よいぬる湯でウトウトするかと思えば、意外とそうはならなかった。この日の気温だと若干ぬくぬくが強くて不感温度の浮遊感が弱めだったのと、身体と血流が温まったせいか、奥歯の神経過敏スイッチが入ってジンジンと痛んできちゃって、そいつとの戦いが始まってしまった。

1時間ほど極上湯とまどろみに身を任せたかったのに…アワアワと足元湧出の感触を支えにジンジンとの戦いをどうにか制し、小一時間の長湯を完遂。まあこれくらいにしておくかと元の浴室へ戻り、そしてあがった。

それにしても貴重な体験をしてしまったなあ。あのお湯は忘れがたい。今度は下の湯の日に来てみたいなあ。