名物の黒湯と炭酸の湯を持つ個性派 - 東鳴子温泉 高友旅館

東鳴子温泉 高友旅館
冬だからといって過度に自重せず、内陸や北の温泉に目を向けようという「ウインターチャレンジ2026」シリーズも第5弾。伊豆では河津桜が見頃を迎える頃とはいえまだ油断できない。なにせ今回は東北宮城なのだ。しかも初日は鳴子。寒さと雪の具合は想像以上かもしれない。

幸い旅行期間に寒波は来ず、むしろ暖波のおかげで鳴子は寒くなかった。雪もほとんどなかった。なので現地を自由に歩き回るだけの余裕があり、東鳴子温泉の高友旅館を訪れることができた。※現在は宿泊をやめて日帰り営業のみ。

かの有名な黒湯は熱めで、なんともいえない複雑な匂いがする。もうひとつのひょうたん風呂は熱さが軽減された微炭酸の湯。どちらも個性派だ。

東鳴子温泉 高友旅館へのアクセス

冬なので計画は慎重に

雪リスクを考えたらこの時期の鳴子遠征にレンタカーを使った計画を立てるわけにはいかない。東北新幹線→古川で陸羽東線に乗り換え、の行き方が自然に選択される。かつては仙台から鳴子温泉まで行ってくれる高速バスがあったような気がしたんだが、今はないようだ。

ということで、まず新幹線に乗って古川へ。日程的にもともと多くの人出が予想されたとはいえ、駅も車内も大勢の客で大変混雑しており、新幹線は前の便の発着遅れが次に連鎖してどんどん遅れが蓄積していく。古川での乗り継ぎが心配になったが、なんとか間に合ってよかった。

陸羽東線の車窓の景色に雪の存在感はほとんどない。山の上が白いくらいで、平地の雪は田畑の一部にちょこっと、あるいは雪かきで寄せたらしき塊が建物の隅っこに残る程度。これは勝ったな…安心感とともに高友旅館の最寄り駅である鳴子御殿湯に着いた。
鳴子御殿湯駅に到着

穏やかな気象条件なら駅徒歩3分で近い

駅前の公民館がこんな感じ。気温は地元の南関東と変わらないくらいで予想以上にマイルド。勝ったな。
鳴子公民館
駅から当湯までは駅前通り(国道47号でない温泉街通り)を古川方面へ徒歩3分。仮に積雪があっても特別な装備なしでたどり着けるとは思うけど、そのへんの勘所は雪国育ちじゃないからわからない。とにかくこの時は春や秋と変わらない普通の感覚で歩いていけた。

しかし道路際に立つポールの足元何割かまで雪に埋まることもあり得るわけだよね。ウインターチャレンジ第2・3・4弾が3連続で食らったみたいに最強寒波が来るタイミングに当たらなくてよかったな。
高友旅館付近の道路
この写真中央の建物が高友旅館の一部ではないかと思われる。写真右端のワンちゃんのイラスト看板には「地域の夢を創造するTAKATOMO」の文字が書き込まれていた。


以前から気になっていた高友旅館の温泉

男性は2箇所のお風呂に入れる模様

では入館。受付で料金500円をお支払い。館内はとってもレトロな雰囲気満載。いろいろ入り組んでいて初見で全体像をつかむことは難しい。即興で理解したところによると、右に進めばひょうたん風呂(男湯)とラムネ風呂(女湯)、前方に進めば黒湯(混浴)と婦人風呂があるっぽい。その他のもみじ風呂とプール風呂は利用できないとのことだった。違ってたらすんません。

じゃあまず名物の黒湯を体験してみますかね。前方へ進み、自販機のある一角で左へ折れて、そして階段を下るんだったかな、どんどん奥へ進むと黒湯&婦人風呂の入口。

黒湯の脱衣所はだいぶ年季が入った様子で、扉の開閉が重かったりする。分析書をチェックすると「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩泉、低張性、中性、高温泉」だった。泉温59.0℃、PH6.8。加水・加温・循環・消毒なしの源泉かけ流しと思っていいでしょう。

評判の黒湯は複雑な匂いの熱い湯

浴室に入るなり独特の温泉臭に包まれた。なんじゃこりゃあ…まあ落ち着いていこうじゃないか。洗い場は1名分。太いウインナーのような形をした浴槽は6名サイズ(その気になればもっといける)。黒湯といっても地元の南関東で見かける黒湯とは違う。コーヒーや烏龍茶のような色ではなく、渋くて暗いモスグリーンと呼びたくなる色だった。濁っていて浴槽の底は見えない。

浸かってみたら熱かったが、すぐに逃げ出すレベルではないから大丈夫。強い濁りのため湯の花とか泡付きのことはわからなかった。そして匂いを嗅いでみたら、なんともいえない複雑な特徴であった。第一印象が石油→まもなくして腐卵臭→やがてゴム臭→以後は金気臭といった具合にどんどん印象が変化するのだ。こんなの初めてだなあ。

さすがは評判の黒湯。湯口からじゃんじゃん入ってくるお湯は濃ゆさが半端ないし、どうみても強烈に効いてきそう。「せっかくだから」と張り切って長湯を頑張ると逆にひどいことになるんじゃないか。張り紙で説明されてるように温まり方がすごいんですわ。

同じ浴室内にお湯を張ってない四角い空の浴槽があった。これがプール風呂ではないかと思われる。また、滞在中は独泉タイムがほんのちょっとだけあって、あとは他客の出入りが1~2名あった。もちろん男性ですよ。

炭酸アワアワを楽しめるひょうたん風呂(男湯)とラムネ風呂(女湯)

お次はひょうたん風呂に行ってみましょう。受付に戻って右手側へ進む。別棟なのか、やや雰囲気が変わって(レトロ感は変わらない)、客室が並ぶ感じの廊下がジグザグに続く。女性専用のラムネ風呂の前を通過して一番奥まで行き切るとひょうたん風呂の入口が現れる。

脱衣所は細くて狭め。ちょうど先客が出るところで独泉が始まるタイミングだった。やったぜ。分析書は含硫黄がない「ナトリウム-炭酸水素塩泉、低張性、中性、高温泉」の泉温48.3℃、PH6.5。こちらも源泉かけ流しのはず。ラムネ風呂の説明に「微炭酸」の文字が見えたのと「ひょうたん風呂も同じです」というような記述があったから、きっとアワアワしてるんだろうと期待。

浴室に洗い場は1名分。そんなに本格的なものではない。浴槽はカシューナッツ的な形で3名サイズ、詰めれば5名くらいはいける。お湯は先の黒湯よりも緑色が強くなって濁りがやや弱まったような見た目。温度もいくらか入りやすい適温ゾーンになっていた。

匂いは金気臭が終始前面に出ている感じ。湯の花は意識されずでアワアワは予想通り。細かい泡粒が全身にビシッと付着する。ぬるくもないこの温度で泡が飛ばずに残っているのは大したもんだ。黒湯に負けない結構なお湯ですな。

2箇所のお風呂に入って、どちらも個性的でいいお湯だった。べつにぬる湯じゃないし、長く粘ろうと意識したわけじゃないのに、退出した時点で1時間が経過していたのがその証拠。ウインターチャレンジした甲斐があったというものだ。