温泉に強い興味を持つようになってから鳴子温泉郷には2回訪れている。中でも東鳴子温泉はそれぞれの回で1泊ずつしていた。駅から近かったり、素朴系でお高くない宿が多いのは助かる。そして今回が3回目。そしてやっぱり東鳴子温泉に泊まることになった。冬だから積雪が多くなった場合にも対応できるように、駅から十分近い条件で予算感に合う空室を探したら、自然と東鳴子に落ち着いたのだ。
見つけたお宿は勘七湯。駅から徒歩3分なら雪でもたいがい大丈夫でしょう(実際は心配するような天候じゃなかった)。いわゆるモール泉的な重曹泉で、湯の花の量がすごかった。また訪問時は諸事情により不老泉という小浴場がぬる湯と化しており、ぬる湯好きの自分には最高でした。
東鳴子温泉 勘七湯へのアクセス
もし季節が春~秋だったら仙台か古川でレンタカーを借りて、広い範囲にまたがる鳴子温泉郷をあちこち湯めぐりしながら、勘七湯に夕方着くような行動を取っただろう。しかし今は冬。雪の可能性を考えると鉄道一択だ。
勘七湯の最寄り駅はJR陸羽東線の鳴子御殿湯。訪問時点でSuicaは使えないことに注意。たぶんそうなんだろうなと予想して、行きはえきねっとで予約した切符を事前に発券・入手しておき、帰りは駅の窓口で切符を買った(有人窓口は営業中)。
天候次第では駅から徒歩3分の勘七湯へ速攻で逃げ込んでそのまま引きこもるパターンも覚悟していた。しかし幸いにも好天に恵まれて暖かく、雪の影響は皆無。いったん当館と反対方向の高友旅館まで歩いて日帰り入浴することができた。途中で振り返って撮影した鳴子御殿湯の駅がこちら。
高友旅館の後はいよいよ勘七湯へ。全国各地が行楽客で大変にぎわうと予想される日程だったが、ここ東鳴子は車も人も少なくて、のんびりしたムードだ。商売的にはアレかもしれぬが自分だけの都合でいうなら、わちゃわちゃしてて人を避けながら歩くような環境より、これくらいの方が好きだな。
温泉街を貫くメイン通りをまっすぐ行くだけだから迷いようがない。当館はレトロな湯治場風ないさぜん旅館の先、以前泊まったことのある旅館大沼の手前に位置する。下の写真の郵便局の斜向かいだ。
この郵便局は酒屋さんを併設しており、あとでその酒屋さんへお酒を買いに行った。
昭和レトロっぽさが残る温泉旅館
玄関でこけしがお出迎え
道路に面して「別館勘七湯」と書かれた建物があるけど、泊まったのはここじゃない。敷地奥にある冒頭写真の建物だ。
では入館。玄関にこけしがずらっと並ぶ光景はさすが鳴子。
階段横のスペースはキッズコーナーになっていた。
玄関からフロントにかけては昭和レトロな感じ&さまざまな物が散らばってて雑然としている。右に進んで大浴場へ続く空間に出ると整ったロビーが現れて旅館ぽくなる。ビール・ソフトドリンクの自販機はここにある。
自分を含めて複数の宿泊客+日帰り入浴客の到着が重なったらしく、応対にちょっとパニクってる様子だった。その後の観察で客室はほぼ満室に見えたし、この日は全般にオペレーションが多忙を極めていたものと思われる。入湯税や宮城県の宿泊税を含む宿泊代はチェックイン時の精算となり、他に追加の料金(部屋の冷蔵庫のビールを飲むなど)が発生しなければ、チェックアウトは部屋の鍵を所定の箱に置くだけで立ち去ってよいとのこと。
一人泊にちょうどいい具合の客室
案内された部屋は3階の6畳和室。布団は最初から敷いてあった。暖房はファンヒーターで。
シャワートイレあり。洗面所なし。自炊に使えるようなキッチン型水道と洗面所がセットになった共同の水場がある。金庫あり、別途精算の瓶ビールが入った冷蔵庫あり、WiFiあり。最初の説明で「お酒は自由に買ってきていい」と言われたので、先ほどの酒屋さんへ買い出しに出て、最初の湯あがりに一杯用の缶ビールと夕食用の日本酒を購入した。
いくらか古くなってる部分もあるし障子が一部破れてたりするけど自分は気にしない。トイレなんかは更新されて快適に使えたからいいんじゃないでしょうか。窓から見えるのはこういう景色。
もうすぐ春ですね、と断言していいのかな。よくわからん。
大量の湯の花に包まれる重曹系の温泉
大浴場と小浴場(不老泉)からなる
勘七湯の大浴場は1階。先ほど写真を示したロビーのすぐ向こう側だ。不老湯と呼ばれる小浴場と一般の大浴場がある。どちらも男湯女湯にわかれており、時間による男女の入れ替えはない。このところ湯量が減少中であること、ゆえに大浴場は2つの浴槽のうち小さい方にだけお湯を張っていること、小浴場のお湯はぬるめになっていることを最初に説明されていた。
チェックイン直後に行ってみたら小浴場=不老湯が無人だったので、まずこちらからトライすることに。貸し切り風呂ではないが先客がいたら遠慮して避けるような雰囲気だ(自分はそうした)。独泉状態は実現しやすそうですな。そのかわりあんまり長湯してるとひんしゅくを買うだろうね。
脱衣所の分析書には「ナトリウム-炭酸水素塩泉、低張性、中性、高温泉」と書かれていた。泉温49.0℃、PH6.8。加水・加温・循環・消毒なしの源泉かけ流しだと思われる。
浴室にカランは1台。カランの向かいに扉がある。まさかサウナ室とかシャワー室とか隠された壺湯とかじゃないよね…扉を軽く触った程度では固くて動かない。無理に力を込めたら派手にやらかしそうなのでやめておいた。きっと管理設備の一種だろう。
ぬるい不老泉に入れたのは珍しい体験かも
浴槽は3名サイズ。4名になるとちょっときつい。お湯の見た目は茶褐色じゃないかって気はするけど、局所的には無色透明のようでもあり、自信を持って言い切るのは難しい。浴槽の底はそこそこ見えます。で、浸かってみたらぬるかった。予告されてた通りであり、また自分はぬる湯派だから、実に好都合。冷たさを感じない・ぬくぬくしつつもぬるいから、冬としては理想的な温度帯だ。いやーたまらん。
匂いを嗅ぐと、最初のうち鉱物臭かと思わせて次第に草木臭が勝ってくる。見た目との合わせ技でモール泉を強く意識させる印象だ。これだけでも個性的なのに、お湯の中を漂う湯の花の量がすごい。何気なく浸かって座る姿勢を取っただけでブワーッと湯の花が舞い上がってずいぶんとにぎやかになった。数ミリ角くらいの黒っぽい浮遊物がすごい密度で舞っている。やんややんや。
大好物のぬる湯なら30分でも足りない。1時間級の連続入浴もいけまっせ…しかし自分がいまここにいるってことは遠慮して入ってこないお客さんがいるかもしれないってことだ。調子に乗って長湯するのはやめておくか。不老泉にはチェックイン後と夕食後、それぞれ30分程度入った。なお、ぬるいのは湯量の問題からたまたまであり、ネットには熱めとの口コミ情報が多い。
大浴場の湯は適温
夕方第2弾と翌朝は大浴場へ。こちらの分析書は「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、低張性、中性、高温泉」の泉温66.4℃、PH7.4だった。また10%の加水をしているとのこと。
浴室にカランは4台。向かって右側の4名サイズの小浴槽には普通に湯を張っている。左側の大浴槽はその倍くらいのサイズだったが、湯を投入してなくて空っぽ。最初の予告通りだ。昨秋以降、東日本太平洋側では少雨傾向が続いてたので、そのせいで湯量が減ってしまったのだろうか。
湯口は不老泉と同じく、ピラミッドの三角形の斜面を一面だけ切り取って下半分だけにしたみたいな形で、ピラミッドの段々に沿って源泉がだんだん下りてきて湯船に放たれる。その間に冷めてちょうどよくなるのかな。何を言ってるのかわからねーと思うが、現地で確認されたし。
まあとにかく入ってみるか。うん、適温ですね。ぬるくはない。温度以外の特徴は不老泉とよく似ている。10%の加水が~っていうような違いはさっぱりわからない。こちらの浴感もなかなかよろしいですな。入浴後はお肌がツルスベになります。
部屋でだらだらしたいので2食付き
湯治膳的な夕食もボリュームはあなどれず
勘七湯の食事は朝夕とも部屋出し。チェックインの際に、夕食は18時から18時半くらい・もっと遅れるかもしれない・時間を遅くする希望はいいが早くするのは難しい、と説明されていた。やっぱり多忙が極まってるのかしら。大変そうですね。了解しました。
実際に遅れたけれど気にしない。のんびりするために来たので、部屋でだらだらしながら待ってればいいんだからね。そのうち運ばれてきたのがこちら。買ってきた日本酒をドッキングして準備万端。
会席料理風のいわゆる旅館飯ではなくて湯治宿の定食系に近い。主菜をひとつ挙げるなら酢豚風のやつだろうか。全体のボリュームがこれくらいなら自分でもぺろっと食べちゃうぜと思ったら甘かった。お米の摂取量を攻めすぎたせいかもしれんが、夜中に胃が苦しくてしばらく寝付けなくなっちゃったほどだ。
鳴子といえばしそ巻き。やっぱり出ましたね。こいつでまたお米が進んじゃったわけだ。酒のツマミとしても優秀だし、しそ巻きおそるべし。食事が終わったら一式を部屋の外に出しておけばよい。
元気復活の朝ごはん
朝食は8時すぎ・時間を遅くする希望はいいが早くするのは難しい、との由。で運ばれてきたのがこちら。
前夜の胃もたれは解消しており、これくらいならぺろっと食べちゃうぜ(懲りてない)。まあさすがにお米を全部いただくのは無理だとわかっているので、様子を見ながら少しずつ攻略していって、満腹中枢にスイッチが入りそうと感じた時点で無理せず終わりにした。
食後はせっかくだから最後にもう1回入浴を欲張ってもよかったが、時間的に慌ただしくなりそうだからやめておいた。温泉旅にはなるべく行動を詰め込もうとするパフォーマンス重視タイプと、あくせくしないでその場のノリにまかせる成り行きタイプがあって、今回は後者だ。のんびりいきましょうや。
* * *
冬に鳴子へ行くのは自分にとってチャレンジングなことだったので、最初に計画を立てた時は気負うところもあったが、実際は穏やかな天候だったおかげで他の季節と変わらない気分で行動できた。
勘七湯は駅から近くてリーズナブルなお値段で泊まれるという点が推せる。もちろん東鳴子クオリティのお湯に間違いはない。不老泉は今回たまたまぬるかった(それじたいは個人的にとても歓迎すべきことであった)だけで、熱めのパワフルなお湯が本来の真髄なのだろう。それはそれでどんだけすごいのか体験してみたい気もする。
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