上諏訪に公衆浴場はたくさんあるそうだが、その多くは地元民専用で、旅行者が立ち寄りで利用することはできない。とはいえ利用可能なところも何箇所かある。中でもよく知られているのが大和温泉だろう。ネットで調べると紹介記事や体験談が多く見つかる。
上諏訪の宿を出て次の目的地へ行くまでに大きな時間の余裕があった。冬の長野県ということで雪など厳しい天候による影響を心配して(ちょうど最強寒波が来るとニュースで脅されてもいたし)、かなりゆるゆるのスケジュールを組んであったのだ。
そこで前から興味のあった大和温泉を訪れた。美麗な緑色が印象的な熱めの硫黄泉が効く~。次へ向かう英気をチャージしたのであった。
上諏訪・大和温泉へのアクセス
好天に恵まれて湯めぐり日和
上諏訪駅から大和温泉まで徒歩15~20分。湖畔寄りではなくてJRの線路沿いに茅野方面へ進んだところ。平坦な市街地が続くので極端な天気にさえならなければ歩きやすい。
当時は民宿すわ湖をチェックアウトして向かったのだった。寒波の勢いは懸念したほどでなく、夜中に雪は降ったもののほとんど積もってない。朝にはすっきり晴れて青空が広がっていた。これなら全然大丈夫だ。
では計画通り大和温泉に向かうとして、その前に諏訪湖を拝んでおきましょうかね。御神渡りが見られるかもしれないし。
…御神渡ってませんでした。まあわかっちゃいたけど。
高島城下から湯小路へ
ではあらためて出発。諏訪市文化センターや公民館のあるエリアを抜けて「諏訪ものづくり発祥の里」の碑が立ってるところで川沿いの狭ーい道に入る。ここだけ唯一、日陰に残った雪が凍結&ゆるい下り坂だったため滑って転ばないように気を使った。川には鴨やオオバンがいる。
なんだか古くからの歴史ある町並みって雰囲気になってきたな。どうやら高島城の城下町があった地区みたいですな。へー。高島城は以前行ったことがあるのに、今回近くを通るなんてまったく意識してなかったよ。あと神州一味噌の工場だか蔵だかの裏手を通ったりしたな。※神州一味噌の一般向けのお店もあったが現在は閉鎖。
そうこうするうちにJRの線路が近くなってきて、踏切を渡ったら「湯小路(区)」という地区名を示す標識類が目につくようになってきた。いかにも温泉に関係してそうですな。
実際、民家の前に突き出した細いパイプがお湯を吐き出しており、それを受ける容器には黄色がかった白い析出物がこびりつき、立ち上る湯気からは硫黄臭を感知する、という場面があった。湯小路まで来れば大和温泉はすぐそこ。
個性的かつバッチリ仕上がる大和温泉
隠れ家のようなつくり
当湯の入口は少しわかりにくいかもしれない。気づかず通り過ぎてしまうかもしれない。冒頭写真のような、普通のお宅の中庭へ入っていくような細い通路がそれなのだ。
入口に英語で「ATTENTION: Tourlists are not allowed.」みたいな注意書きがある。当然ながら地元の方のための施設なので、外国人に限らず外から来て場を乱す人=マナーを守らない人・自分本位な人・温泉へのリスペクトがない人はお断りってことでしょう。ちゃんとわきまえて行動できれば大丈夫なはず。
通路を抜けて中庭部分へ出たら受付があった。ご主人が出てきて「お湯は熱い」「湯に入る前に体を洗ってね」といった説明を受けた…旅館の朝風呂で洗ってきましたと答えたら「それならOKです」とのこと。こちらの浴室は石鹸類を置いてないことや当湯のスタンスをあらかじめネットで調べて把握したうえで、宿の朝風呂で洗身洗髪をすませていたのだ。
500円をお支払いして左手の男湯へ(段差に注意)。ローカル色あふれるレトロなつくりがたまりませんな。脱衣所では鍵なしロッカーを使う。壁に張り出された分析書には「アルカリ性単純硫黄温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。泉温68.9℃、PH8.70。加水あり、加温・循環・消毒なし。
熱めのエメラルドグリーン湯
浴室は奥に細長く、カラン付きの洗い場はない。地元民らしき先客が浴槽脇の床にぺたっと座り込んで、浴槽から洗面器でお湯をすくって使いながら体を洗っていたから、そういう共同湯で見かけがちな方式なのだろう。
浴室の手前から順に小さな方形のステンレス槽その1+同じく小さな方形ステンレス槽その2+メイン浴槽と並んでいる。その1に溜まっていたのは水だった。その2は蛇口から出てきた源泉をいったん受けて溜めておくもので、かけ湯に使うのかな。その2からあふれた分がメイン浴槽へ流れ込むようになっている。
メイン浴槽は浴室にあわせて奥に細長い形をしており、横一列に4名ほど入れそうなサイズ。縁と側壁部分がスレンレス製で底面がタイルのつくりだったかと。お湯の見た目はクリアで美麗なエメラルドグリーン。戸倉上山田温泉を連想するなあ。
浸かってみたら熱めだった。うおおー、ジンジン効くぜえ。ふだんの生活でエアコンをケチって使わず、電気ひざ掛けで凌いでばかりいるから、体が芯から冷え切った感じになっていた。民宿すわ湖の温泉でだいぶ復活したけど、ここでダメ押ししておこう。
なんだかんだでたくさん入ってしまいました
浴槽内であれこれ観察すると湯の花状のものはちょっと漂っていた。泡付きはよくわからず。匂いを嗅ぐと硫黄泉らしいタマゴ臭を感知した。いいお湯だ。熱いわりには意外と長く浸かってたな。
さすがにのぼせそうになったところで浴槽の外へ出て一時休憩。体がすっかりぽかぽかだし、手先・足先の冷え性な感じがなくなって血色が戻った気がする。しかしまだ終わる気分にならない。この後の屋外行動を考えてもう1段階温まっておきたいし、タマゴ臭とか美麗な緑とかの日頃体験できない特徴をもっと堪能したい。
クールダウンしてきたら再びお湯の中へ。そしてまた一時休憩。そしてまたお湯の中へ…結果的に3セットもやってしまった。こりゃ完全に仕上がったな。おかげで旅行から帰ってもしばらくは血色の良い状態を保てるだろう。湯小路ばんざい。
おまけ:湯小路の他の温泉と八劔神社
大和温泉を出ると、すぐ近所に平温泉という共同浴場を発見。こちらは地元の会員専用。なかなかにレトロな建物。
その向かいは湯小路いきいき元気館。この中にも温泉施設があって一般の観光客も入浴可。
ほかに上湯というのもすぐ近くにあるようだし、湯小路は温泉施設の密度がすごい。
その後、上諏訪駅へ向かう途中で八劔神社を発見。御渡拝観なる特殊神事で知られる由。二礼二拍手一礼してきました。手水に温泉が使われているのがいかにも諏訪らしい。
駅に着いたら乗りたい電車まで80分も待ち時間があり、駅カフェでコーヒーを注文しつつ、1時間ほどだらだらした。せっかく来たのに観光もせず長い休憩なんて時間の無駄、という意見もあろうが、超余裕持たせの計画でのんびりするのも悪くない。
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