あけみ降臨「男はつらいよ」第31~37作の感想

柴又帝釈天
超スローペースで見続けている映画「男はつらいよ」がシリーズ30番台に突入した。こういうのは全作一気に見た方が全体の流れをつかみやすいし記憶にも残りやすい。でもなかなか時間がなくて1年がかりのプロジェクトと化している。

もう初期の作品はだいぶ記憶が薄れてしまっている。それでも昔のキャラが出てきたり古い伏線に関するシーンがあると「ああ、あのときの…」と頭の回路がつながるくらいには保っているようだ。

寅さんも次第に派手な立ち回りが減ってきて、かわりに見守り系・アシスト系の役回りが増えてきた。寄る年波には勝てずか。

新作映画の製作が決定

1ヶ月ほど前に重大ニュースが飛び込んできた。寅さんの新作を撮るんだとか。主演は渥美清。ん? どういうことだ?

満男を軸とした諏訪一家の現代編と過去の映像を組み合わせたものになるっぽい。単なる回想シーンというのでなく、今は技術が進んでいるからもっと突っ込んだものになっているかもしれない。

満男が過去にタイムスリップして(夢オチでもいいや)、寅さんと一緒に旅をするかのように合成・編集した話、とかね。2019年公開だそうなので楽しみにしておこう。速攻で定額動画配信サービスに登場してくれるとありがたい。


31~37作目までの特徴

新レギュラー・あけみ登場

ある作品でタコ社長にあけみという娘がいることが判明。満男よりもずっと年上の立派な成人である。なぜなら、あけみが嫁ぐシーンがいきなり出てきたからだ。しかも、とらやにちょくちょく顔を出したり、寅さんとも頻繁に交流があったという設定を引っさげての登場。

1回限りのワンポイントキャラかと思えば、以後ずっと出演中である。ときには準マドンナ級の扱いを受けることもあった。

登場直後から人妻であるし背景のキャラ設定からしてマドンナにはなり得ない。それが逆に寅さんとの自由奔放な絡みを可能にしている。寅さんの面倒をみるだの旦那と別れて一緒になってあげるだの、言葉の本気度はともかく寅さんに相当なついている。

あけみに老後の面倒を見てもらえそうで寅さんも安心?!

冒頭シーンの変化

これまで、夢のシーンの後の本編冒頭は寅さんが柴又へ帰ってくる、そして周囲と喧嘩して出ていく、というのが定番だった。しかしそのパターンが崩れて最初に帰って来なくなった。あわせてオープニングの主題歌で流れる映像も、江戸川でなく旅先の各地となっている。

そろそろ平成とバブル景気の足音が聞こえてきそうな昭和末期の頃のはずだが、映像にはALWAYSの時代かもっと前か、と思われるほどのノスタルジックな町並みや人の営みがよく出てくる。あの頃ってまだあんなだったっけ。

近代化する諏訪家周辺

一方でさくら一家の周辺には近代化の波が。博が相続した遺産を投資(?)したおかげで、タコ社長の印刷工場にオフセット印刷機が導入された。以来、工場のシーンには「オフセット室」なる札を掲げたドアがちらちら見えるようになった。

この近代化によりタコ社長の会社は効率化が進み、余剰人員を抱えるほどになっている。秘書も抱えているけどな。

さらに、オフセット印刷機を買ったおまけでもらったんだと思うが、諏訪家にパソコンがやって来た。博や満男がプログラミングしちゃってるんですけど。先見の明があるなあ。この道を突き進めばWindows95の頃やインターネット普及期に一山当てたかもしれないね。

寅次郎と温泉

今回出てくる温泉は、北海道の養老牛温泉。寅さんがヒグマに襲われてた。それから鹿児島へ人探しに行った時に枕崎や霧島ほかあちこち回ってたけど、はっきり名前が出たのは、鰻温泉というところ。あとは式根島の野湯。どこだろう。あけみが島の若者に案内されて入った。

いいなあ、行きたい、と言いたいところだが、道東に薩摩半島南端に離島か。いずれもちと遠いな。


各作品を軽くご紹介

簡単なコメントとともに。

No.31:男はつらいよ 旅と女と寅次郎
マドンナは演歌歌手・京はるみ。演じるのは…まあ実質同名のご本人です。精神的に追い詰められたはるみが仕事をほっぽり出して逃避行。新潟の港で寅さんと出会うのはいいとして、そこから小さな漁船をヒッチハイクして佐渡島へ渡るという豪快さ。本作品ははるみの歌唱シーンがたっぷりと挿入され、SKDを前面に押し出した回と同様にタイアップ企画の匂いが強い。

No.32:男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎
マドンナは寺の住職の娘。ひょんなことからしばらく寺のやっかいになる寅さん。お坊さんになりすまして各所の法事を見事こなしてしまうのだった。しかも檀家からは好評価。なおかつ娘からも好評価。本作は寅さんの数少ない大チャンス回だったのにねー。流れに身を任せていればうまくまとまったであろう。でも寺を継ぐことが条件になるから、本当のお坊さんになるための修行をクリアしなきゃいけないのか。やっぱ無理だわ。

No.33:男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎
マドンナはちょっと風来坊の気がある理容師。釧路で寅さんと出会い意気投合。根室まで一緒に旅することに。そこへ駆け落ちした妻を追ってやって来たサラリーマンが合流。凸凹トリオの旅路はリリー登場2度目の秀作「相合い傘」を思わせる。その後マドンナはサーカス一座のバイク乗りとくっついて上京するも、東京ららばい的な苦境に陥り、ねんねんころり寝込んでしまうのであった…。超久しぶりの登との再会シーンあり。

No.34:男はつらいよ 寅次郎真実一路
マドンナは証券マンの妻。たぶん専業主婦。飲み屋で知り合った男が仕事の辛さから行方をくらましてしまい、悲嘆に暮れる妻を励ましつつ人探しに奔走する寅さん。鹿児島にある男の実家のボケ始めたおじいさんがヤバイ。いきなり刀だか薙刀だかを振り回し始めるのだ。驚いて逃げると追いかけるという、自動追尾機能付きのリーサルウェポン。証券会社・牛久沼の新興住宅地といった設定にバブル前夜の時代感がにじむ。

No.35:男はつらいよ 寅次郎恋愛塾
マドンナは写植オペレータ。でもタコ社長の工場の従業員ではない。同じアパートに住むマドンナと司法試験に挑む青年との恋愛模様が主軸。寅さんは自分のことはからきしダメなのに、他人の恋愛は介入してうまく導いてしまうという才能があり、本作でもその能力をいかんなく発揮した。一度へまをやらかして落ち込んだ青年は、実家の鹿角へ戻って山中をさまようのだが…あそこ熊がたくさん出るぜ。

No.36:男はつらいよ 柴又より愛を込めて
マドンナは離島務めの教師。二十四の瞳に感銘を受けて就いた職であり、島民や卒業生たちには慕われ感謝されているものの、自分はこのままでいいのかと悩む。そこへ寅さんが現れ…。女優さんが初期作のマドンナに近い雰囲気を持っている。と思ったら第4作に続いて2度目の出演だった。本作で注目すべきは、前半に大活躍を見せるあけみ。ほとんどマドンナ級の扱い。あけみの話を最後まで引っ張っても良かったと思うくらい。

No.37:男はつらいよ 幸福の青い鳥
マドンナは旅芸人の座長の娘。大空小百合の芸名で舞台に上っていた。えっ? あの大空小百合だと? 中期作までは旅先で寅さんとばったり出会うことがよくあった、あの一座か。なんという伏線回収。できれば娘には「寅さん」でなく昔のまま「車先生」と呼ばせてほしかったところ。あと小道具としてはポンシュウのコンピュータ占い。よく当たるよ~、と客引きしておいて、寅さんが試そうとすると「それ当たんないよ」だって。

お時間あれば見ておくんなせえ。

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