極上ぬる湯露天との短くも濃密な邂逅 - 越後長野温泉 嵐渓荘

越後長野温泉 嵐渓荘
秋になったはずなのにまだ全然暑い頃、主に新潟下越を湯めぐりする計画を立てた。起点は新幹線の燕三条駅になる。寺泊までなら自宅から自分の車で行ったことはあるが、燕三条がようやく本番の起点となるようなロングドライブだと、まだ自信がない。

なので無理せず新幹線+レンタカーの旅にしたのであった(鉄道+バスだと周遊効率の面に問題があったので)。1湯目はいきなり下越じゃないぞというツッコミを受けそうだけど三条市の嵐渓荘。日本秘湯を守る会の宿であり、雰囲気がいいと評判だ。

たしかにその通りだったが、最も感銘を受けたのは石湯という露天風呂がアワアワぬる湯だったこと。本当は長湯したかった…。

越後長野温泉 嵐渓荘へのアクセス

まず、鉄道+バスで行くならJR信越本線東三条駅から八木ヶ鼻温泉行きのバスで終点下車。しかし遠方から来ることを想定すると燕三条→東三条への移動を考えなければならない。加えて終点から嵐渓荘までの2kmあまりは徒歩になる。そのへんを考慮の上でどうぞ。オンデマンドタクシーとかは各自調べてみてください。宿泊者は燕三条・東三条まで1日1便の無料送迎を利用できるかもしれない(事前予約)。

今回は燕三条からレンタカーなので上記のような悩みはない。国道289号をひたすら山側へと走るのみ。40分ほどで着く八木ヶ鼻には「いい湯らてい」という日帰り温泉がある。背後に写っている岩壁が八木ヶ鼻でしょう。
いい湯らてい
もうちょっと八木ヶ鼻がよく見えるところはないか…近くに吊り橋があって、そこから全景を目にすることができた。いい湯らていは時間の都合で入らず。すんません。
八木ヶ鼻
嵐渓荘は八木ヶ鼻付近から国道を外れて県道183号に入って2kmちょっと。看板が出てきたら左折して、さらにV字型に左折して県道の下をくぐると駐車場が現れる。最初わからなくてV字左折前の踊り場的スペースに駐車しようとしてしまった。

ちなみにR289は八木ヶ鼻から先も続いていて、やがて走りにくい道となり、福島との県境区間の実態は車の通れない登山道となる。いわゆる酷道だ。しかし八十里越工事プロジェクトが進んでいるみたいで、近いうちにトンネルや橋を駆使して全通する見通しだ。そうすると嵐渓荘と奥会津の温泉をセットにした湯めぐりプランも可能になるのか。ロマンだなあ。


いきなり「大当たり〜」だった山の湯

秘湯宿は化粧直し中

冒頭写真は駐車場からすぐ見える景色を撮ったもので、本館の正面顔ではない。本館は工事中だったのだ。まず次のような小径をゆく。
嵐渓荘の駐車場から本館へ向かう
するとこういう雰囲気よさげな場所に出る。左手に見えるのが後で入ることになる石湯を備えた山の湯浴場棟。
嵐渓荘の庭園エリア
真木の清水ってのが湧いてます。
真木の清水
そして振り返ると本館入口。残念ながら工事中で素顔は隠れている。
嵐渓荘の本館入口
では入館。フロントからロビーにかけてはこんな感じ。
嵐渓荘のフロントとロビー

石湯と深湯からなる山の湯浴場

フロントで入浴料1000円をお支払いするとタオルが付いてきた。ただしデザインから判断して持ち帰り不可だと思う(ので最後に脱衣所のタオル回収箱へ戻した)。お風呂場に鍵付きロッカーはなく貴重品はフロントへ預ける。

初めてということで説明を聞くと、お風呂は2箇所=山の湯と大浴場があるとのこと。また山の湯は岩風呂の石湯と、立って入るような深湯からなり、11時から12時は石湯=男性/深湯=女性、小休止をはさんで13時から15時半は男女逆になる。

現在11時半、そこで12時までの30分で石湯を体験することにした。2階から渡り廊下で向かいの棟へ移り、どんどん進むと奥に石湯があった。分析書によれば「ナトリウム-塩化物冷鉱泉、高張性、弱アルカリ性、冷鉱泉」のPH7.7、源泉温度13.8℃。当然加温しているだろう。加水・循環・消毒の有無はわからず。

浴室は最初にカラン2台のみの小さな洗い場部屋がある。そこを通り抜けると4名サイズの四角い内湯浴槽のみの部屋に続く。お湯は無色透明。浸かってみたら適温だった。湯の花・泡はとくに見られず。若干ぬめっとした感触あり。匂いには微妙に塩素臭を感じなくもない。

極上ぬる湯になっていた石湯露天風呂

ふむ、なるほど、で終わってはいけない。真価は外に見える露天風呂にあったのだ。こちらも4名サイズで、きっちりしたデザインの内湯と異なり、自然環境に溶け込む岩風呂になっている。屋根はあったような気がする。

内湯と同様だろうとの先入観を持って入ったらびっくりした。お湯がぬるい。悪いことではなくてむしろポイント倍増だ(ぬる湯派なので)。ジャスト体温前後のぬる湯は、残暑厳しい折でもあったし、大変に気持ち良くいくらでも入っていられる。与えられた時間が12時までの30分しかないのはもったいなかったなー。

しかも肌にみるみる泡が付着してきた。まるで炭酸泉だ。すぐに全身が泡だらけになった。ポイントさらに倍増(泡付き重視派なので)。しかも塩素臭をまったく感じない。いかにもな天然の温泉臭である。源泉の個性がかなり残っているんじゃないだろうか。

お湯良しに加えて周囲は緑の多い環境で気分良し。ほかに誰もおらず完全独泉。限られた30分間を思い切り楽しもう。と思ってたら来やがったんですよ、アブが。ウシアブっていうの? でかいやつ。咬まれたらとんでもなく痛そうだ。湯船中央を陣取って注意を払っていれば簡単にはやられないが、懲りずに何度もアタックしてくるのがうざい。

いったん内湯へ退散して時間をおいてまた露天へ、そしてまた退散。理想的なスペックの露天風呂には結局トータルで15分滞在しなかったと思われる。石湯じたいも服を着て出るのが12時ギリギリにならないよう、余裕を持って5分前行動で出た。ああ極上の石湯露天風呂よ、さらば。


一般大浴場は使い勝手が良い

石湯から渡り廊下で本館2階へ戻り、エレベーターで1階→男女別大浴場へ。こちらは全体にキャパがあって洗い場も8名分設けられているから使い勝手は良さそう。内湯浴槽は右奥に木の枕がひとつ設置されてて1名が寝湯体勢で入れるようになっている。寝湯以外で6~7名入れそうなサイズ。先ほどの石湯の内湯ほどは熱くない適温湯。無臭。

外には露天風呂が見える。アブに注意しつつ出てみた。3名サイズの岩風呂でお湯はややぬるめ(ぬる湯ではない)。お湯の中を小さなものが漂っているが、泡粒なのか湯の花なのかはわからない。ちょっと温泉臭あるかなくらいで無臭に近い。あと若干のぬめり感あり。

無色透明無味無臭かと思えば、無味ではないようだ。口元に跳ねてきてからじんわり口内に侵入してくるお湯がやけにしょっぱかったのだ。まあ食塩泉ですから。脱衣所に掲示されてる温泉評論記事によれば「こぶ茶のような味」だそうだが、自分はこぶ茶を連想しなかった。個人の感想です。

そのうちやっぱりアブ登場。ハエたたきで1匹撃墜したものの、再びブーンと羽音がしてきたから退散。内湯で仕上げてあがった。個人の感想でいえば嵐渓荘の真価は石湯露天だな。もし深湯側にもアワアワぬる湯があるなら同等に評価したい。

※石湯露天はたまたま加温を進めてる最中だっただけなのか、宿泊客が入る頃には普通の温度になるのかどうかがわからないから、あくまで当時の印象で。

嵐渓荘を出発してしばらくすると、肌が薄い皮膜でコーティングされたみたいなすごい状態になっていることに気づいた。うぉぉ。こいつは本物だぜ。