フラガールのハワイアンで知られる、いわき湯本温泉。最寄りとなる常磐線・湯本駅を降りた目の前からもう温泉街が広がる。
豊富な湯量に支えられて多くの旅館がひしめき合い、大規模ホテルも少なくない中、今回は小ぢんまりした源泉宿「湯の宿 美笹」に一人旅で泊まってみた。
その最後を飾る「湯の宿 美笹」までは湯本駅から徒歩5分かそこらで着いてしまう。メインストリートを外れた路地裏で多少迷ったとしても10分はかからない。
美笹の外観は温泉旅館ぽくない。どの町にもある小さい駅前ホテル風の全8室。美笹のホームページによればいわき湯本で一番小さい宿だそうだが3階建てだ。2階が喫煙可で3階が禁煙。
予約したのは3階の部屋。一人旅にはぜいたくな8畳+ミニ広縁。新しくて明るくてきれいなのが印象的だ。温泉一人旅を始めてから泊まった中では最高に新しくて明るくてきれい。自分のような者が泊まっちゃっていいんでしょうか。
ふとんが最初から敷いてあって、部屋はすでにエアコンで暖まっていた。ウォシュレット付きではないもののトイレに洗面もあるし金庫もあるしで完璧。空の冷蔵庫の上に液晶テレビを置いたレイアウトが少しお茶目なだけだ。
館内WiFiが整備されていて3階でもしっかり使えた。
内湯だけの浴室はそんなに広いわけじゃない。洗い場が3つ、浴槽は3人同時だと手狭感がある。小規模の宿だからうまく独占タイムを狙いましょう。
レイアウトが少し変わっている。浴室の奥が手前の床から少し持ち上がった高さになっており、そこに石造り風の浴槽が幅いっぱいに据え付けられ、端の方から掛け流しの源泉がオーバーフローしていた。
硫黄泉ときいて白濁・タマゴ臭のイメージを持っていたが、実際はごく薄い緑色でほとんど無色透明に近いし、タマゴ臭は感じなかった。
散策の道中や館内でたまにふとタマゴが匂うことがあったから、源泉を集めた湯船の中でタマゴを感じないのがいささか不思議であったけれども、それだけ湯が新鮮な証拠だと考えられなくもない。
とはいえ、やはり長くはつかっていられない。長く粘るにしても、2~3分入って5分休憩、のような繰り返しになるだろう。硫黄の効果かアルカリか、入った後はお肌がツルスベになった気がする。おっさんの肌でもだ。さすが源泉の宿。
注意すべきは15時~翌8時までの入浴時間。朝の終わりが早いから気をつけよう。
猫はこちらと目が合うと、にゃあと一声鳴いて、大きく伸びをした。かわいいじゃないの。慣れているのか、ガラスに近寄っても逃げない。いやーなごむねー。しばらく猫と一緒にほのぼの入浴を楽しんだ。
後に女将さんに聞いたところでは、この猫が毎日のようにやって来るそうである(この日は夕方の入浴時にはいたが夜と翌朝はいなかった)。猫駅長ならぬ猫湯長だ。
夕食はヤナギガレイ、あん肝、寿司など海のものが中心。刺身盛りもついたんだっけかな。一品一品は少なめに見えるかもしれないが、トータルで量が多い。結構お腹が膨れるのである。
上の写真に加えて、オプションで頼んだ「館主渾身の銀ダラ煮つけ」が出てきた。柔らかくて甘くて脂が乗っていてとても美味しかった。これも大きな銀ダラの切り身だからボリュームがある。もうやばいくらいに満腹パンパン。
このとき日本酒を注文したら出てきた「又兵衛」がまた飲みやすく料理に合うのだ。なんでも釣りバカ日誌の撮影で訪れた三国連太郎が飲んで気に入った銘柄らしい。又兵衛といえば後藤しか出てこない自分だったが一つ賢くなった。
朝食の時は自分の他に客がもう1人いた。しまった。他に客がいないと決めつけて朝風呂を長い時間独占してしまった。もし遠慮して朝の入浴タイムを棒に振ってしまったのなら申し訳なかったな。8時で終わりなのだから。
ああそうそう。食事処ではBGMがかかる。こういう曲、なんていうんだっけ…ええと…フラだ。フラが流れます。ハワイアンな気分でどうぞ。
いわき湯本の女将たちが「フラの街宣言」をぶち上げて街の活性化を図ろうと頑張っている。その一環がおみやげとして売り出した「フラ女将カレー」だ。
まず名前のインパクトがすごい。包装箱が女将たちの写真という見かけもすごい。レトルトだから日持ちするし、かさばらずに持ち運べて配りやすい。味も多分すごいはず。これよさそう。すごい欲しい。
ああ、フロントで難なく買えたのに、脳内で悪魔のささやきが…「たしか湯本駅でも売ってたな。そっちで買おう」。しかしそれは記憶違い。湯本駅で売っていたのはもっと普通っぽい「フラガールカレー」だった。
話のネタとしては絶対にフラガールよりフラ女将だろうに。なにやってんだ>自分。宿へ買いに戻れないチキン野郎はただ涙をのむばかりだった…。
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豊富な湯量に支えられて多くの旅館がひしめき合い、大規模ホテルも少なくない中、今回は小ぢんまりした源泉宿「湯の宿 美笹」に一人旅で泊まってみた。
湯の宿 美笹の新しくてきれいで明るい部屋
このときの旅は、自分で勝手に「常磐ゴールデンルート」と呼ぶ、北茨城・湯の網温泉(鉄)~五浦温泉(アブラ)~いわき湯本温泉(硫黄)の個性を楽しむ湯めぐりコース。その最後を飾る「湯の宿 美笹」までは湯本駅から徒歩5分かそこらで着いてしまう。メインストリートを外れた路地裏で多少迷ったとしても10分はかからない。
美笹の外観は温泉旅館ぽくない。どの町にもある小さい駅前ホテル風の全8室。美笹のホームページによればいわき湯本で一番小さい宿だそうだが3階建てだ。2階が喫煙可で3階が禁煙。
予約したのは3階の部屋。一人旅にはぜいたくな8畳+ミニ広縁。新しくて明るくてきれいなのが印象的だ。温泉一人旅を始めてから泊まった中では最高に新しくて明るくてきれい。自分のような者が泊まっちゃっていいんでしょうか。
ふとんが最初から敷いてあって、部屋はすでにエアコンで暖まっていた。ウォシュレット付きではないもののトイレに洗面もあるし金庫もあるしで完璧。空の冷蔵庫の上に液晶テレビを置いたレイアウトが少しお茶目なだけだ。
館内WiFiが整備されていて3階でもしっかり使えた。
猫とまったりできる硫黄泉
小さいが源泉掛け流しの新しい浴室
美笹の浴場は1階のフロントを過ぎた奥にある。全体に新しくてきれい。震災の影響で直すついでに改装したのかも。脱衣所の分析書には「含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉、低張性、弱アルカリ」とあった。内湯だけの浴室はそんなに広いわけじゃない。洗い場が3つ、浴槽は3人同時だと手狭感がある。小規模の宿だからうまく独占タイムを狙いましょう。
レイアウトが少し変わっている。浴室の奥が手前の床から少し持ち上がった高さになっており、そこに石造り風の浴槽が幅いっぱいに据え付けられ、端の方から掛け流しの源泉がオーバーフローしていた。
薄緑の湯、タマゴ臭なし
浴槽のフチを「よいしょ」とまたいでお湯に入る。ぎりぎり目一杯たまっていたお湯がザバーっと一気にあふれ出るのを見るのは気分がいい。硫黄泉ときいて白濁・タマゴ臭のイメージを持っていたが、実際はごく薄い緑色でほとんど無色透明に近いし、タマゴ臭は感じなかった。
散策の道中や館内でたまにふとタマゴが匂うことがあったから、源泉を集めた湯船の中でタマゴを感じないのがいささか不思議であったけれども、それだけ湯が新鮮な証拠だと考えられなくもない。
熱めの男湯でお肌スベスベ
温度は旅館の案内に「女湯はぬるめ、男湯は熱めに調整してあります」と書かれてあった通り、男湯はやや熱め。でも熱いのは入る瞬間だけで、すぐに慣れていい具合に感じる。とはいえ、やはり長くはつかっていられない。長く粘るにしても、2~3分入って5分休憩、のような繰り返しになるだろう。硫黄の効果かアルカリか、入った後はお肌がツルスベになった気がする。おっさんの肌でもだ。さすが源泉の宿。
注意すべきは15時~翌8時までの入浴時間。朝の終わりが早いから気をつけよう。
猫湯長がいるぞォ!
浴室の奥の面はガラス張りだがその向こうは塀になっていて眺望はない。そのガラスと塀の間に…なんとまあ…三毛猫が丸くなっていた。暖気をあてにして昼寝しに来ているようだ。猫はこちらと目が合うと、にゃあと一声鳴いて、大きく伸びをした。かわいいじゃないの。慣れているのか、ガラスに近寄っても逃げない。いやーなごむねー。しばらく猫と一緒にほのぼの入浴を楽しんだ。
後に女将さんに聞いたところでは、この猫が毎日のようにやって来るそうである(この日は夕方の入浴時にはいたが夜と翌朝はいなかった)。猫駅長ならぬ猫湯長だ。
海の幸でお腹いっぱいになる美笹の食事
館主の気合いがこもる銀ダラ煮つけ
美笹での食事は朝夕とも1階の食事処となる。夕食時は…自分ひとりだけだった。なので、この日の泊まりは自分だけだと思って、風呂を気兼ねなく独占できるぜと判断したのだが、後に間違いだったと気づく。夕食はヤナギガレイ、あん肝、寿司など海のものが中心。刺身盛りもついたんだっけかな。一品一品は少なめに見えるかもしれないが、トータルで量が多い。結構お腹が膨れるのである。
上の写真に加えて、オプションで頼んだ「館主渾身の銀ダラ煮つけ」が出てきた。柔らかくて甘くて脂が乗っていてとても美味しかった。これも大きな銀ダラの切り身だからボリュームがある。もうやばいくらいに満腹パンパン。
このとき日本酒を注文したら出てきた「又兵衛」がまた飲みやすく料理に合うのだ。なんでも釣りバカ日誌の撮影で訪れた三国連太郎が飲んで気に入った銘柄らしい。又兵衛といえば後藤しか出てこない自分だったが一つ賢くなった。
ハワイアンなBGM
朝のメニューは普通な感じ。朝食の時は自分の他に客がもう1人いた。しまった。他に客がいないと決めつけて朝風呂を長い時間独占してしまった。もし遠慮して朝の入浴タイムを棒に振ってしまったのなら申し訳なかったな。8時で終わりなのだから。
ああそうそう。食事処ではBGMがかかる。こういう曲、なんていうんだっけ…ええと…フラだ。フラが流れます。ハワイアンな気分でどうぞ。
小さいが実力ある宿・美笹
フラガールの上をいく…
美笹での心残りが一つある。いわき湯本の女将たちが「フラの街宣言」をぶち上げて街の活性化を図ろうと頑張っている。その一環がおみやげとして売り出した「フラ女将カレー」だ。
まず名前のインパクトがすごい。包装箱が女将たちの写真という見かけもすごい。レトルトだから日持ちするし、かさばらずに持ち運べて配りやすい。味も多分すごいはず。これよさそう。すごい欲しい。
ああ、フロントで難なく買えたのに、脳内で悪魔のささやきが…「たしか湯本駅でも売ってたな。そっちで買おう」。しかしそれは記憶違い。湯本駅で売っていたのはもっと普通っぽい「フラガールカレー」だった。
話のネタとしては絶対にフラガールよりフラ女将だろうに。なにやってんだ>自分。宿へ買いに戻れないチキン野郎はただ涙をのむばかりだった…。
いつかまた
猫湯長に会うためとフラ女将カレーのためにもう一度訪れてもいいかな。というと失礼にあたるでしょうか。もちろんお湯・食事もよかったし、女将さんのてきぱきとした仕事のおかげで気持ちよく過ごせたし、実はホームページにあるウニづくしの迫力満点の写真も気になっている。
フラ女将カレーを逃したのは残念だったが、宿題を残しておけば再訪のきっかけになるかもしれないしね。まあいいんじゃないかな。山椒は小粒でもぴりりと辛い的な美笹であった。
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