源泉も眺めもいい感じなシーサイド・スパ - 勿来温泉 関の湯

太平洋健康センター 勿来温泉 関の湯
古い和歌にも詠まれた勿来の関。実際の場所は諸説あるようだが、現代の観点でいうと福島県いわき市勿来ってことになるだろう。冬の遠征でいわきまで来たので、かの有名な勿来にも立ち寄ることにした。ただし訪れたのは関所関連の施設や公園ではない。温泉おじさんなんだから温泉に決まっている。目を付けたのが「太平洋健康センター 勿来温泉 関の湯」だ。

結構な規模を持つ施設で宿泊もやっている。名前の通りに太平洋を望む絶好のロケーションにあり、内湯においても露天風呂においても広い海を意識しながらの入浴となるから、気分爽快要素マックス(当時は雨雲の下で灰色の海だったが…)。温泉じたいも源泉風呂を備えていてなかなかの本格派だった。

勿来温泉関の湯への道

その前に塩屋埼灯台へ行ってみよう

当湯の最寄り駅はJR常磐線・勿来。駅から1kmくらい離れているから徒歩15分ってとこか。途中に関所はないので自由に行き来できます、ご安心を。国道6号沿いに南下していくと左手(海側)に当館が現れる。

自分は電車を使わず車で移動した。朝、いわき湯本の「鮮の宿 柏」をチェックアウトしてまず向かったのが塩屋崎。全国で16しかない“のぼれる灯台”のひとつ・塩屋埼灯台があるのでね。行くしかないでしょう。

無料の駐車場から灯台のある小高い崖の上まで登るだけで疲れてしまった。リモートワーク生活ですっかり足腰が弱っておるな。さらに灯台内部のらせん階段も登らなきゃいけないんだよね…たしか100段以上あったはず。あれを登るのか。ふぅーーー。
塩屋埼灯台
しかし頑張ったかいがあった。お見事な海岸と水平線まで広がる海が目に飛び込んでくる。天気がいまいちで青い空と海でなかったのは、自然が相手だからしょうがない。こちらが北側。
塩屋埼灯台から北側を望む
そしてこちらが南側。
塩屋埼灯台から南側を望む

ヒット曲の舞台にもなった塩屋崎

塩屋埼灯台といえば映画の題名、あるいはヒット曲のタイトルとしてよく知られる「喜びも悲しみも幾歳月」。その記念碑がありました。
「喜びも悲しみも幾歳月」記念碑
もうひとつ、塩屋崎を題材にしたのが美空ひばりの歌う「みだれ髪」。駐車場近くの歌碑の方へ近づくと、同曲が大音量で流れていた。美空ひばりの声はさすがに力があるな、耳に残る。しぃぃぃぃーおやのみぃさぁきぃー…しばらく頭にこびりついて離れなかった。
美空ひばり「乱れ髪」歌碑

いわき震災伝承未来館にも行っておきたい

さて出発するか。うん? ちょっと待て。いわき震災伝承未来館というのが近くにあるみたいだぞ。ノーマークだったがこれを見逃してはなるまい。
いわき震災伝承未来館
館内は撮影可なれども、各位におかれましては現地で現物を見ていただきたく。あの津波はご当地にも大きな被害を与えていたことがわかる展示だった。奇跡のピアノ・中学校の黒板・針の止まった時計などが今も生々しい。そもそも塩屋崎付近の道路は新しく通し直した感じだし、高台に移転した様子の住宅群からも震災の爪痕を見て取れる。

そうそう、主題は関の湯でしたね。次に立ち寄った「アクアマリンふくしま」については簡潔に---到着したとたん雨が降ってきたが、客が立ち回る場所は基本的に屋根で覆われているから問題なし。メインは水族館で、やっぱりファミリー・カップル向けかな。ぼっちおじさんは“大きいお友達”への視線を覚悟で臨め。

じゃあ今度こそ関の湯へ。なんだよー雨かよー。海の絶景はどうなるのかと若干心配しつつ現地に着いたら14時近かった。塩屋崎とアクアマリンで思ったより時間を使ってた。


お風呂の種類がたくさん&景色が良い

各施設を揃えた大規模な温泉

では入館。下足箱の鍵をフロントに預けてタオル類+館内着の入った手提げと腕輪型のキーを受け取る。料金は2040円。ただしインターネットクーポンを印刷して提示すれば1430円になる。どうも割引利用が当たり前になってるみたいで、「なにか割引クーポンをお持ちですか」と訊かれて「ありません」と答えたら、想定外だったのか、処理にもたついていた。結果的にはJAF会員割引を使えることがわかり、めでたく1430円に。

フロント前にはちょっとしたお土産コーナーあり。
フロント前のお土産コーナー
大浴場のある3階へ上がると、ゲームコーナー・レストラン・1階のお土産コーナーより品揃え豊富な売店もあった。
大浴場前の売店

太平洋を望むメイン内湯

よし、じゃあ大浴場へゴー。通路手前が女湯で奥が男湯。入れ替えはないみたい。脱衣所では腕輪の番号に対応するロッカーを使う。このロッカーは細長タイプなので服なんかは問題ないが幅のある荷物は入らないかも。掲示されてる分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉」とあった。加水なし、加温・循環・消毒あり。鉄分を濾過している浴槽と濾過なしの浴槽があるようだ。

浴室は広い。洗い場が20名分あるほか、サウナ・水風呂を除く内湯浴槽が6種類もある。そのうちの一番右手前にあるやつは入らなかったし、どんな趣向の風呂かは把握できずに終わった。少なくとも残りの5種類は風呂の名前札に「(天然温泉)」と表記してあったから、沸かし湯ではなく、無色透明のお湯でも鉄分を濾過した温泉を使用しているはず。

右奥の浴槽は4名分のマッサージバス。立ち湯・歩行浴のような姿勢で入り、ボタンを押すと泡がボコボコ勢いよく出てくる。お湯は無色透明で温度はまあまあ中庸。

中央奥にはメインとなる8名サイズの浴槽があった。41℃って書いてあったかな。お湯は無色透明。一部はバイブラ的な泡ブクブク状態。浸かってみるとたしかに41℃なりの適温だ。他の浴槽よりは熱く感じた。塩素臭はとくになし。大きな窓から広い太平洋を望むことができるのはいいね。

隠れた主役の源泉風呂を含むサブ陣が豊富

メイン浴槽の向かいには3~4名サイズのイベント風呂・4名分の寝湯・水風呂が並ぶ。当時のイベント風呂は馬油風呂だった。馬油のせいか薄く色づいている。試しに入ってみるも違いは正直わからない。しっとり感があるといえばあるかな。寝湯の方はメイン浴槽のお湯をちょっとぬるくして寝湯スタイルにしたって感じ。なんの工夫もない表現ですいません。

寝湯の向かいにチェア2台が置いてあり、のぼせそうになったらそこに座って海を眺めつつ、クールダウンに努めるといいだろう。そして個人的な内湯の真打ちが左奥の源泉風呂だ。3名サイズで40℃と書いてある。鉄分を濾過していないのか、黄緑っぽい印象も受ける黄色のお湯で少々の濁りあり。

メイン浴槽に比べるとぬるくてゆっくり楽しみやすい。茶色系の細かい粒子が漂っているのは鉄成分からくる湯の花ではないかと思われる。色と粒子のあわせ技で見た目の温泉感を盛り上げてくれて大変結構なり。結果的に大半の時間をここと露天風呂で過ごすことになった。

露天風呂もよい出来だ

ロケーションからして露天風呂には期待できますな。では突撃。おほほ、海じゃ海じゃー。下の写真は入浴後にラウンジの窓にカメラを押し付けて撮影したもの。雨は上がったものの空にはどんよりした雲が残っていて海は灰色で残念。すっきりした青空だったらさぞかし絶景だったろう。
勿来の海岸と太平洋
肉眼だともっと視野を左右に大きく取れて、海を広がりをもっと感じられるし、ずっと右の方に茨城県境あたりの突き出た陸地が見えたりする(たぶん鵜ノ子岬)。

露天風呂は8名サイズの岩風呂に1名専用の打たせ湯がくっついている。ただし当時は故障中。お湯は緑っぽさのない黄色。温度は40℃って書いてあった気がする。ここも内湯の源泉風呂と同様の浴感で満足度は高い。

お湯に浸かっていると目線の関係で海が見えないので、時々岩風呂を出て見学タイムとするも、さすがに冬の屋外は寒い。速攻でクールダウンしちゃう。空冷式水風呂とでも言おうか。季節はもうちょっと暖かい時期がベストかもしれんね。

こうして1時間の入浴を終えて今宵の宿へ向かった。本当は館内着を着てレストランやラウンジで休憩しつつ、また風呂へ行ったりと、1日滞在して楽しまないともったいない施設である。