最南端の波照間島へ再び:消えた南十字星

波照間島 日本最南端の碑
有人島としては日本最南端となる波照間島へ初めて行ったのが2年前。自分にとってはレアキャラに遭遇するみたいなもので、生涯一度きりのイベントだよなーと思ってたら、なんと二度目があった。人生何が起こるかわかりません。

夜空に雲がかかって見られなかった南十字星を今度こそは見よう、と意気込んで乗り込んだものの、やっぱり雲に遮られて見えなかった。これはもう自然が相手だからどうにもならない。結局野望を果たせず、他には前回と同じスポットを見学しただけで新機軸がないし、温泉も登場しないんだけど、気にせず「南の島でのんびりしました」レポートを書いてみる。

また来ました、波照間島

今回も泊まりはホテル・オーシャンズ

波照間島へは石垣島から船で移動するのが普通というか、一般人にはそれしかない。旅の初日は石垣島に前泊し、翌日の前半を石垣島の観光にあてて、午後の船便で波照間島へ向かった。この時に乗ったのが「ぱいじま2」という双胴船だった。
ぱいじま2
具志堅用高の像に見送られて、いってきまーす。
具志堅用高像
2年前の帰りの便で船酔いしかけた(加えて1ヶ月前の伊豆諸島への船でも酔いそうになった)思い出に学んで、あらかじめ酔い止めを飲んでいたのが功を奏したか、怪しい気分に陥ることなく100分ほどで波照間島へ無事到着。すでに夕刻だ。さっそく島で唯一のホテル・オーシャンズにチェックイン。
ホテル・オーシャンズ
自分ともう1名が泊まった部屋は2階の8畳和室。トイレ・洗面台・ユニットバスの3点セットあり。金庫なし、空の冷蔵庫あり。たしかWiFiあり。布団はセルフでお願いします。
オーシャンズの8畳客室
オーシャンズは夕食なしだが朝食は提供される。2泊したうちの最初の食事内容は撮影を忘れていて、次の朝食メニューはこんな感じだった。朝としては十分でしょう。コーヒーもあるよ。
オーシャンズの朝食

夕食は居酒屋「ぶどぅまれー」で

温泉宿紹介の記事ではないからこのへんにしておこう。さて、ホテル入りして一息ついた我々は夕食を求めて近所の居酒屋「ぶどぅまれー」へ繰り出した。ビールで乾杯しつつ、おでんをつつく。豚足がうめえ。
ぶどぅまれーのおでん
いよいよ気分が乗って調子が出てきたぞ。ビールの後は泡盛でしょう。せっかくだから波照間島で製造されてる泡波という銘柄をいただこう。前夜の石垣島で泡盛をロックで飲んで記憶を失うというヘマをやらかしたから、用心して水割りをちびちび飲むおじさん。
波照間島の泡盛「泡波」

はたして南十字星は見えたのか?

食後は、星を眺めるのにどうぞと開放されているホテルの屋上へ行ってみた。真上はよく見えたけど南の方角があきまへん。あらためて22時から屋外に出て、南へ向かって歩き出した。

集落を抜けて畑ばかりの地区になると街灯がなくなってほとんど真っ暗闇。時おりスマホのライトで照らさないと道がわからなくなる。数秒おきに灯台の明かりがチカッチカッっていうのはありますがね。

15分ほど歩いたものの南の空は雲に覆われている様子でいまいち。よりによって南十字星の現れる低高度が全然だめ。うあー、だめかー。波照間島に2泊したうちの最初の夜がこんなで、次の夜はもっと雲が厚くて余計にだめだった。今回も南十字星を見ることは叶わなかった。


半日でできる島内観光めぐり

旧跡からのスタート

島の滞在2日目が本格的に観光する日。2年前のコースをなぞるような感じで、レンタカーで各スポットを見て回る。最初がコート盛という旧藩時代の火番所。海上監視などを行っていた。
コート盛
上に登ることができて、方角によっては海がちょこっと見える。
コート盛から見える景色
お次はシムスケーという古井戸。すぐ隣に現代的な大規模ため池があるから今は使われてないでしょう。島全体について言えることだが、蝶がやたらたくさん飛んでたぞ。
シムスケー
お次は風力発電施設。当時は羽根が止まっていた。台風の進路に入りやすい地域だから、強風で被害を受けないように、倒すことができる仕組みになっている(可倒式)。
可倒式風力発電

空港から最南端岬へ

お次は波照間空港でございます。はて、波照間島への航空便はなかったはずだが? と思ったら、かつてそのような事業計画があり、しかし航空会社が別の島で起こした事故をきっかけに延期されたままだとか。
波照間空港
ヘリによる遊覧飛行で空港を使うことがあるみたい。施設は閉鎖されてなくて入ることができた。車で少し走ると滑走路を見学するのにちょうどいい場所がある。滑走路はいつでも飛べるように整備されている風であった。
波照間空港の滑走路
お次は星空観測タワー。老朽化により現在は閉館してしまった。残念。タワーの南側はこの後に訪れる高那崎と同様の断崖絶壁が広がっており、そっちを少し散策してみた。崖側からタワーを写したのがこちら。
星空観測タワー(閉館)
星空観測タワー近くの高那崎は日本最南端の岬。断崖絶壁を形成する琉球石灰岩がゴツゴツ尖っていて歩きにくい。気軽にビーチサンダルなんかで来たらかなり苦労しそう。
高那崎
順路も手すりも柵もない。崖の散策は自己責任でどうぞ。

島にはヤギがいっぱい

次のペムチ浜へ行く途中に多くのヤギを放牧しているところがあった。島のあちこちでヤギを見かけるといっても、たいがい1~2頭で、ここは特別に多い。スマホじゃ全部写りきらん。
ヤギの放牧
ちなみに滞在3日目かつ別の場所になるが、道路の歩道部まで進出してきてるヤギ親子もいた。親をつないでるロープが切れちゃったのかな。※子ヤギはつながれていないのが普通。どうせ親のそばを離れず逃げる心配がないからだろうか。
脱走ヤギ?
さてこちらがペムチ浜になります。白い砂浜が印象的だ。そしてほぼ誰もいない。一人で海を眺めるシチュエーションを実現できる確率が高い隠れ家的なスポットだ。
ペムチ浜
いったんホテルへ戻って小休止の後、島の中央部にある波照間島灯台へ。南十字星を求めて歩いた前夜の暗闇でチカチカ光ってたあいつだ。さとうきび畑の中に立ってるのがいかにも波照間島らしい。
波照間島灯台
お次は底名溜池展望台。コート盛をひと回り大きくしたような姿。
底名溜池展望台
すでに高那崎を訪れていたせいか、本来の見どころであろう海の景色よりも逆側の溜池の方が印象に残っているな。
底名溜池

これぞまさしくサンゴの浜

お次はナリサ浜とかウラピナとも呼ばれるサンゴの浜。とくに案内標識があるわけではないので、うまく見つけてほしい。小さいがゆえに自分だけのプライベートビーチ感あり。
サンゴの浜(ナリサ浜、ウラピナ)
他の観光客とかち合わなければ、とても素敵な景色を独り占め、って感じで満足度高い。また足元はサンゴのかけらが分厚い層を作っている。叩くと甲高いコーンという澄んだ音を立てる。

お次は浜シタン群落。竹富町指定天然記念物だそうだ。
浜シタン群落
この場所はペー浜という砂浜に続いている。有名なニシ浜のすぐ隣なんだけど数えるほどしか人がいない。海のエメラルドブルー具合なんかはニシ浜とよく似ているから、静かにゆっくりのんびりしたい人にとっては穴場といえる。
ペー浜

おじさん、エメラルドブルーの海で泳ぐ

かの美しきニシ浜にて

以上の見学を終えて、まだ12時過ぎ。半日程度で島一周して見どころをあらかた回ってしまった。波照間島は詰め込み型の周遊よりも島時間でのんびり過ごしたり、海で泳ぐ・シュノーケリングなどに重点を置くとよいだろう。

というわけで最後に有名なニシ浜へやって来た。白い砂とエメラルドブルーの海がファンタスティックでござる。
ニシ浜
ここで泳ぐチームと別行動チームに分かれた。自分は泳ぐチーム。前回は泳ぐのに抵抗があって浜辺で荷物番してたが今回は挑戦する気持ちになっていて、チームメンバーと交代で海に入ることにした。さあいくぞニシ浜の海よ。

最初だけ水がちょっと冷たく感じるもののすぐに慣れる。もう何十年ぶりかの海ではまともに泳げるわけがなく、底に足を着いてる時間の方が長いくらい。ナトリウム-塩化物泉のぬる湯巨大露天風呂に浸かっているようなものだった。でもかなり満足した。

シュノーケリング装備で臨んだメンバーは、波打ち際からたいして離れてない浅瀬にもかかわらず、魚やウミガメを見つけたそうだ。すごい。

自分にしてはレアな体験だった

13時半には別行動チームと合流。あとは集落を散歩したりホテルでビールを飲んだりしてダラダラ過ごし、夕食時間にバンブーという居酒屋へ(ホテルまで車で迎えに来てくれた)。なんかいろいろ食べたり泡波を飲んだりしましたよ。
居酒屋バンブーの料理
食後の星見は前述の通り天気に恵まれず断念、翌朝は昼までのんびりして午後の船で石垣島、あとは那覇→羽田と移動して帰宅した。天文に詳しいメンバーを誘って実行したこの旅行で、狙ってた南十字星を見られなかったのは残念だが、欲を言えばキリがない。波照間島へまた来ただけでもすごい経験だと思っている。

(参考)2021年・波照間島 初訪問記 前編後編