月山と鳥海山を望む、お茶のような温泉 - 長沼温泉 ぽっぽの湯

長沼温泉 ぽっぽの湯
世間的には夢のゴールデンウィークに何も遊ばず、時には仕事に勤しみ、その代わりと言っちゃあ何だがGW後に休みを取って温泉旅行に出た。向かった先は今までほとんど縁のなかった庄内地方。ご飯がおいしそうなイメージがあるんで、期待しよう。

旅の1湯目は空港からほど近い長沼温泉ぽっぽの湯。特徴を一語で表現するなら「デュアル」かな。2種類の源泉、内湯と露天風呂、それぞれに熱めとぬるめの浴槽、洋風風呂と和風風呂、眺望は鳥海山と月山…見事なまでの双対構造だ(?)。

お湯は本格的なクオリティーで、近くへお越しの際は立ち寄ってみる価値あり。

ぽっぽの湯へのアクセスと館内の様子

ぽっぽの湯の最寄り駅は羽越本線・西袋あるいは藤島。鶴岡と酒田の間になる。しかし駅から1時間歩く覚悟が必要だ。調べると「長沼温泉口」なるバス停があるみたいだけど、そこからでも2km離れている。旅行者目線でいうと、たいがいレンタカーを頼るので大丈夫でしょう。自分もそうした。

てなわけで昼時に庄内空港に着いたおじさん。空港から車で10分ほど走ると、もうぽっぽの湯に着いてしまった。近い。田園地帯の中にある温泉で、北に鳥海山・南に月山がそれぞれ雪を頂いて、とても映える姿だったのが印象に残っている。

入館して自販機で入浴券を買って受付に渡す。450円。近くに当館のキャラクター・ゆぽっぽくんのポスターが貼ってあった。ぽっぽ=白鳩なのか…鳩でいいんだよね?
ゆぽっぽくん
地元向けの野菜や米を中心に観光客のお土産になるものも少し置いてる売店あり。
ぽっぽの湯 売店
さらに食堂あり。朝食抜きだったから入浴前に小腹を満たすことにした。旅館の夕食まで胃もたれを引きずらない控えめな量ということで選んだのがミニカレー(弱い)。お味は…うん、カレーですね。
ぽっぽの湯 食堂のミニカレー

これが長沼温泉ぽっぽの湯のデュアル構造だ

あちこちに温泉が使われてる

さすがにミニなら容易に完食できて、そんじゃあ風呂へレッツラゴー。浴場は和風と洋風があり、この日は和風=女湯/洋風=男湯だった。日ごとに入れ替わるみたい。脱衣所の鍵付きロッカーは100円リターン式で、それぞれに学校の行事や遊具や子どもの遊びを想起させる名前が付いていた。

掲示されてる分析書を確認すると「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉」と「単純温泉」の2種類があった。長沼2号源泉・3号源泉の表記も見える。分析書のそばに浴槽ごとの湯使いを記した説明板もあったが覚えきれん。いかんなあ、年だなあ。たしか基本は加水なし、加温・循環・消毒ありで、源泉浴槽のみ加水・加温・循環・消毒なし。

では浴室イン。当湯で注目すべきは、かけ湯・水風呂・カランにも温泉が使われていることだ。いずれも明らかに無色透明ではなく微かに茶色を呈しており、「こんなところにも温泉が?!」と目を引くのである。

ぽっぽから茶色のお湯が出てくるメイン内湯

天井の高い浴室は手前にかけ湯、左手に10名分の洗い場、サウナは関心外なのですっ飛ばして右奥に水風呂、正面奥に源泉浴槽、左奥に一般浴槽が並ぶ。

まず一般浴槽へ入ってみた。5名サイズで一方の端は寝湯スタイルができるくらいに浅い。湯口は2羽の鳩の形をしている。やはりぽっぽだけに鳩ですか…鳩だよね、これ。中央部がぼこぼこ泡立っているのは、バイブラ機能が付いているものと思われる。

お湯は麦茶じゃないかと思うような茶色。適温なので誰にとってもいい湯加減だろう(自分の好みを言えばもっとぬるい方が…まあいいです)。匂い・湯の花・泡付き・肌触りといった要素に特段目立つ個性を感じなかったが、お湯そのものはいい。

ぬるめで見た目の色が違う源泉浴槽

続いて、名前からして期待を持たせる源泉浴槽へ移動。こちらは4名サイズで、すでに4名が浸かっている場面がちょいちょいあったくらい、人が集中する時は集中する。そこそこ回転率はあるから先客が占有したままでノーチャンスってことはないかと。

お湯の見た目は緑茶。他の浴槽が麦茶なのに対してここだけ緑茶。さすが源泉浴槽だぜ。湯口に布をかぶせてあって不純物を濾してる風情にもかかわらず、お湯の中には黒っぽい海苔の欠片みたいな湯の花がゆらゆら漂っている。匂いもなんだか温泉臭って感じが強い。さすが源泉浴槽だぜ。

個人的にうれしかったのは、ややぬるかったことだ(とはいえ、ぬる湯ではない)。これなら源泉をじっくり楽しめる。いいぞいいぞ。

露天風呂も熱めとぬるめがある

しばらくして露天エリアへ出てみた。露天風呂は2つの区画に分かれていて、右側が4名サイズの屋根付き、左側が5名サイズの屋根なしで「ぬるめ」と書いてある。お湯はどちらも麦茶系。左側の浴槽は手を突っ込んでみて「ああ適温だ」と確認したのみ。露天風呂は左側の屋根なし・ぬるめに専念した。

印象としては内湯の一般浴槽をぬるくした感じですね。一部が浅くなっている点も一般浴槽に似ている。源泉風呂と同じか、もう少し低い温度で、長湯向き。結構なり。

洋風風呂=月山/和風風呂=鳥海山

すぐ隣には縁台のような休憩スペースがある。座っても寝転がってもいい。立ち上がると目隠しの塀を越えて外の景色を拝むことができる。おお、あれが謳い文句になってた月山か。※下の写真は当館の駐車場裏から撮ったもの。
月山
ちなみに当日女湯だった和風浴場の露天風呂からは鳥海山が見えるとのこと。※下の写真は当館の駐車場横から撮ったもの。
鳥海山
なんとまあ、お湯にも眺望にも恵まれているではないか。主に源泉風呂とぬるめの露天風呂を中心に楽しませてもらい、すっかり満足してぽっぽの湯を出た。いつまでもしわしわのままだった指先が温泉効果を物語っていた。


おまけ:最上川の舟下り

おすすめの季節に最上川を下る

ぽっぽの湯の後は新庄方面へ、国道47号をひた走る。当初の予定にはなかったのだが、戸沢村で「最上川舟下り」(最上峡芭蕉ライン)の看板を見たら気になってしまい、急遽立ち寄り。せっかくだから体験しておこうっと。
最上峡芭蕉ラインのりば
…なんと、その便の客は自分ひとりだけだった。意図せず貸し切り舟になってしまった。いやーすいませんねー。
最上川舟下りの舟
この日の最上川は濁った緑色。コースの最初の方に桜の木を植えたところがあり、葉桜とはいえまだ花が残っていて見栄えがした。
最上川沿いに咲く桜
朝ドラの、幼いおしんが舟に乗せられて親と別れてゆく有名なシーンはこのあたりで撮影されたそうだ。また船頭さんによると、観光客が一番多いのは秋の紅葉、次が冬の雪景色、でも個人的なおすすめは春の新緑だそうだ。日が長いため午後の便でも両岸が明るく照らされて輝くと。うん、確かに。
新緑の最上川

滝や急流の見どころあり

途中にこんな滝があったり、
舟下り中に見える滝
3か所ほど急流をぐわんぐわんと乗り越えていくアトラクションあり。
急流になっているところ
最後に白糸の滝なる名所を通るから満を持して撮影してみたものの、これじゃなんだかわかりませんな。
白糸の滝
乗船50分で終点に到着。帰りは路線バスで元の場所に戻ります。さらば最上川よ。
最上川舟下りの終点
五月雨をあつめて早し最上川。芭蕉気分を体験して今宵の宿へと向かったのであった。