日本最南端の有人島である波照間島。島内を時計回りに一周する観光めぐりのうち、前半の半周についてを前の記事で紹介した。そちらのハイライトは日本最南端の碑がある高那崎ということになるだろう。ゴツゴツした岩とスリル満点の断崖絶壁、そして最南端へ来たという満足感。
一方、この記事は後半の半周について。こちらの観光スポットは浜が多く、ハイライトは絵に描いたようなエメラルドグリーンの海が印象的なニシ浜。「ニシ」は沖縄の方言で北を意味する。そしてニシ浜の南にあるのがペー浜であり、麻雀用語から北を連想する「ペー」は南を表す。ああややこしい。
波照間島は緯度の関係で南十字星が見えることでも知られる。我々も期待していたんだけど、見えそうな方角に雲がかかっていて見つけられなかった。でも別の方角は怖いくらいにたくさんの星が見えた。さすがですな。
波照間島の南から西へ
ヤギさんがいっぱい
あらかじめお断りしておく。この旅では波照間島で2泊する間に再度足を運んだスポットもある。レンタカーがあれば、主だったところは1日かからずに回れてしまうのだ。以下のエピソードや写真には複数回の体験・撮影から適当にチョイスして組み合わせたパートも含まれる。
…日本最南端の碑まで来て“端っこフラグ”を立てた満足感で一杯の面々(自分だけ?)が次に向かったのはペムチ浜。島を一周する幹線道路を走っていると、耕作地の中にたくさんのヤギさんが目についた。以前からヤギの姿をちょくちょく見かけてはいたものの、1~2頭がポツリポツリという感じだったのに対して、ここは見通しが利くこともあって数が多い。
その中に珍しく黒ヤギさんがいた。お手紙読まずに食べちゃったやつ。
黒い方はまだ子ヤギのようで、母らしき白ヤギの背後に隠れるようにぴったりとくっついて行動している。かわいいね。おかげで2頭の全身が写るアングルとタイミングが非常に難しい。
もちろん観光牧場じゃないんで、ヤギにちょっかいを出すなどという一線を越えた行動は慎んで、離れて見るだけよ~。しばし時を忘れてまったりと過ごした。
人の少ない穴場・ペムチ浜
あらためて車を走らせて到着したペムチ浜は道路から木の生い茂る小径を抜けていった先に開けている。何百メートルも続く直線的な砂浜だ。ただし遊泳禁止だったかな。まあこんな干潟状態だし。
海に入るのが目的じゃなく白い砂浜でボーッとしていたいならちょうどいい穴場。なにしろこのご時世もあってか全然人がいない。広大な海と浜を独占し放題。プライベートビーチかよ。
迷わず行けよ、底名溜池展望台
次に向かった底名溜池展望台はちょっと道がわかりにくい。幹線道路からダートの枝道へ入っていくのだが、どこを曲がっていけばいいのか迷う。枝道を走る距離を最短にする場所で曲がると行き止まりだった。しかもUターンするスペースもなく、ダートをバックで戻らなければならなかった。
正解は(時計回りで進んでいる場合)少し手前の白いガードレールが長く続いてる枝道へ入り、突きあたりを右折、また突きあたりを左折、ダートから舗装道に変わった次の分岐を右折(海岸まで行ききらないこと)、その突きあたりがようやく目的地。前半で見たコート盛をひと回り大きくした印象だ。
上まで登ると名前の通りに溜池がすぐ近くに見える。波照間島にはこのような溜池が各所にある。
反対側は海。海を正面に見据えると雲が多くて暗ぼったい写真しか撮れなかったので青空のある方角を向いてみた。ペムチ浜と似た感じの砂浜がずーっと続いていた。吹き抜ける風は爽やかで気持ち良い。
サンゴに埋め尽くされたナリサ浜
続いては島の西へ行ってナリサ浜。他のスポットと同様に看板が立っているわけでもなく、むしろ「悪路注意」の札だけが立っていて、正解ルートは別にあるのかと迷ってしまった。思い切って奥へ進んで藪のトンネルを抜けると…おおこれは!
プチ・プライベートビーチのような小粋な空間、そして手前のジャリジャリした白い小石のようなものは、全部サンゴだった! 波に打ち上げられてうず高く積み上がったのだろう。細長い小枝のような形をしたのが多い。
たぶん人生で初めてサンゴを手にとってみた。大きさに対して軽い。サンゴ同士を叩き合わせると、コップや鉄琴のようなキーンという甲高い音を立てる。へー、これがサンゴか。カップルがいて早々に退散しなきゃ悪いなと思っちゃう時もあるけど、誰もいなければ秘密の花園的な気分に浸れる場所だ。
浜シタン群落とペー浜
ナリサ浜の近くにあるのが浜シタン群落。ここも藪のトンネルを抜けていく。植物のことはよく知らないのだけど、これですかね。
この場所から続く砂浜がペー浜と呼ばれる一帯。遊泳禁止のためか、やって来る人は少ない。当時は本当に誰もいなかった。「このきれいな海の景色を独り占めしたい」「静かにまったりしたい」「夕日を見たい」ならいいかもね。
ニシ浜で南国の海を満喫する
鮮やかな色が何ともいえず
さあいよいよニシ浜です。到着当日の午後に行った時は曇りがちでこんな感じ。手持ちの写真を見比べると、直射日光がギラギラ照りつけない方が海の色がわかりやすいかもしれんな。アングルや波の影響もありそうだが。
翌朝は日差しが戻った。混みだす前に堪能しておこうとニシ浜へ行ってみると、心なしか色に陽気さが加わったような気がする。
有名スポットかつ遊泳可だからさすがに人が来ているとはいえ、2~3グループのみ。全体で10名をはるかに下回る。過去に来島経験のあるメンバーも「これほどのプライベートビーチに近い状態は見たことがない」という。ある意味いい時に来ちゃいましたね~。
他のメンバーはせっかくだからと1時間ほど泳いでいた。遠くへは行かず波打ち際から大して離れなかったのに魚を何種類も何匹も見たんだそうだ。経験を積んで勘所がわかってくるとウミガメに出あうこともあるとか。すげーな。
泳がなくても十分に楽しい(負け惜しみではない)
海はナトリウム-塩化物泉の超ぬる湯の超巨大露天風呂みたいなものだ。しかし自分は一般のお風呂以外の湯水に入ると確実に溺れる自信がある。他のメンバーが泳いでる間、おとなしく浜でまったりのんびり過ごすことにした。この景色を見ているだけでも十分に満喫できて充実した時間だった。
やがて船が入港してきた。ニシ浜は港のすぐ隣なのだ。それでいてこの環境だからおそろしい。しばらくすると船に乗っていた客だろうか、徐々に人が増え始めた。絶対数はまだまだ全然少ないけども。
まあ1時間も泳いだし、もうそろそろあがりましょうかということで、さらばニシ浜。
ニシ浜の近くにはシュノーケリングや海水浴グッズのレンタル店があるから、店の利用者はそこで砂を落としたりシャワーを使わせてくれるかもしれない。自前で水着を用意してきた場合、ニシ浜にあるのは簡素なあずまやとトイレとトイレ脇に水道の蛇口があるのみ。シャワーや着替え所や海の家なんかはないからそのつもりで。
泡盛と星の夜
「たおや」の帰り道で星空観測
波照間島まで来たら夜は泡盛で一杯やりたいところ。土曜や日曜に休むお店もあるし、このご時世だと臨時休業も多かった。ノーアポは危ないかも。2泊したうちの最初の夜に行ったお店は「たおや」さん。ビールの後はご当地銘柄「泡波」を。
泡盛って風味や香りがもっとキツいのかと思っていたら、そんなことはなくてむしろすいすい飲めてしまう。こいつは危ないっすね。つまみは沖縄ぽいのもあるけど串盛りや焼きそばみたいな一般的なやつも多い。
帰りはホテルオーシャンズまで徒歩15分。街灯のないところは真っ暗で本当に星がよく見える。期待した南十字星は南の地平線ぎりぎりの高さにあるとのことで、残念ながらそっちは雲しかなかった。しかし頭上は星をばらまいたような状態。これはすごい、とスマホで撮ってみたものの、単なる真っ黒画像になってしまった。
星を見る手段としては他にホテルの屋上(ただし周囲の灯りを目に入れないようにする工夫が必要)・星空観測タワーでの観測会に参加する(老朽化により現在閉鎖中)など。同行メンバーは夜明け直前に起きて屋上へ見に行ったそうだ。
人気店「ぶどぅまれー」のおでん
2日目の夜はホテル近くの「ぶどぅまれー」さん。お酒はやっぱり泡波で。名物のおでんの肉にはてびちが使われている。
あとオオタニワタリ炒めという聞き慣れないメニューをいただいた。シダ類の葉っぱがシャッキリした食感で、沖縄でおなじみスパムとの合わせ技がかなり良い。
お客さんが出た後にまた別のお客さんが入るといった感じだし、別の店で飲み食いした後に立ち寄った系も見受けられ、人気店なのがわかる。さもありなん。
(参考)2023年・波照間島 再訪記
【この旅行に関する他の記事】