夢の最南端ロマンを求めて:波照間島 観光その1

日本最南端の碑
近年は温泉が絡まない旅行なんてほとんどないし、あっても旅行記を書くつもりはないけど、本シリーズは例外としたい。なぜなら無人島を除いて日本最南端に位置する波照間島が行き先だったから。人生で一度は行ってみたい類いの地だ。過去に同島を訪れている経験者が参加してくれる安心感も実行の決め手となった。

南の島と聞くと思い浮かべるイメージが、青い海・珊瑚の浜・夜の星空・ゆったりと流れる時間…実際その通り。煩わしい日常を忘れてのんびりさせてもらった。

というのは半分だけ本当で、わりと忙しくあちこちを見て回る精力的な面もあった。せっかく来たんだから当然といえば当然。めったにない貴重な機会の思い出をここにまとめてみる。

波照間島へのアクセス

波照間島は石垣島や西表島などと同じ八重山諸島に属する。沖縄本島よりも台湾の方がずっと近い。そんな波照間島へ首都圏から向かうには、まず羽田から直行なり那覇経由なりで新石垣空港へ飛ぶ。空港から船の港まではレンタカーで30分。バスだと45分。

船にはフェリーと高速船があり、一般的には高速船を選ぶだろう。我々は石垣島に前泊して翌日の高速船第一便に乗った。帰りも第一便で石垣へ戻った。第一便は「ぱいじま2」という定員200名級の大型船だったが、聞いた話だと第二便は小型船のため相対的に揺れやすく欠航しやすいらしい。そのかわり所要時間は小型船60分に対して大型船は90分。
波照間島への大型高速船
揺れについての体験談。行きはさほどでもなかった。船酔いの心配は全然ないじゃんって感じ。しかし第二便が欠航となる程度に海が荒れた帰りは、さしもの大型船でも結構揺れた。自分はとくに船酔いする方ではないと思うが、揺れを意識しないように別のことを考えて気を紛らわせる必要があった。ねんのために用意していた酔い止め薬を使うかどうか迷って使わずにすんだレベル。

さて、島内の移動手段は一般にレンタサイクル・レンタルバイク・レンタカーのいずれかとなる。ただ走るだけなら自転車でも半日で一周できるくらいの広さだけど、海岸から集落のある島中央部まではそれなりの上り坂になっているので、グループで行動するなら我々のようにレンタカーを借りる手もある。ただし道路はたいがい狭いし、枝道は未舗装のダートになってるパターンが少なくない。


波照間島の北から東へ

360度見渡せるコート盛

レンタカーだと1日あれば主だった観光スポットを余裕でクリアできてしまう。今回は島内で2泊したので、日を変えて同じ場所へ行ったりした。なので以下のエピソードや写真は複数回の体験・撮影から適当にチョイスして組み合わせたものであることをお断りしておく。

まず波照間島に着いてからレンタカーを借りてホテルオーシャンズへ。民宿やゲストハウスが多い波照間島では珍しいホテルタイプの施設だ(プチホテルと言った方がいいかも)。宿とレンタカーが同じ運営だったおかげで午前中からチェックインさせてもらえた。これは便利。

最小限の荷物だけを持ってさっそく島内めぐりへゴー。最初はホテルに近いコート盛(火番盛)。旧藩時代の海上監視施設だそうな。見るだけじゃなく実際に上ってみることもできる。
コート盛
てっぺんからは全方位360度を遠くまで見渡せた。一例として北方向がこちら。肉眼だと海部分の面積はもっと広い。海の向こうにうっすら見える島影は西表島。
コート盛から北を見る

下田原城跡からブドゥマリ浜

お次は島の北端近くを目指して下田原城跡(ぶりぶち公園)へ。一帯はうっそうとした草木が生い茂り、城跡なのかどうかもよくわからなくなっている。わからないままに奥まで進むと北の視界が開けた場所があった。
下田原城跡の丘から下田原貝塚方向
海の手前の草原ぽいあたりは下田原貝塚という遺跡らしいのだが、とくに案内板もないし、近くまで行ってもただの草原が広がるだけだった。その奥の海岸はブドゥマリ浜という。何箇所か見てきた浜の中でもここは漂着物がやたらと多い。そして干潟が目立つ。
ブドゥマリ浜

シムスケーと倒れる風車

以降は時計回りに進んでみようということになり、島内を一周する幹線道路から枝道へ入って着いたのがシムスケー。離島では貴重な水源であった古井戸だ。
シムスケー
現在は島のあちこちに溜池が作られている。溜池の数は本当に多い。シムスケーのすぐそばにもあった。

シムスケーからよく見える大きな風車のすぐ近くまで行ってみた。説明によれば可倒式といって意図的に倒すことができる。暴風雨の時などにポキリといってしまう事故をあらかじめ回避するための仕組み。南の島だけど太陽光発電より風力発電の方が有効なのかな。
可倒式風力発電設備

未使用の波照間空港

続いては波照間空港。施設はあるものの残念ながら営業していない。なかなか新しくてきれいめの建物だけにもったいないと思ってしまう。採算面とかいろいろ難しそうではあるが。
波照間空港
滑走路もちゃんとできてるんだけどね。路面や草刈りの具合を見るに、いつでも飛ばせるように手入れはされている模様。
波照間空港の滑走路
海が荒れていても飛行機が問題なく飛べる気象状況は十分にありそうだから、定期便が就航すれば島外との交通手段は相当安定すると思われる。

お昼ごはんは八重山そば

ここらでお昼ごはんにしましょう。こんなご時世のせいか、観光ガイドに出てくるような飲食店へ行ってみると臨時休業でフラれる確率が結構高かった…到着当日は波照間港旅客ターミナル内にある「めっしー」さんを頼った。メニューは八重山そばの並か大盛のみ。
めっしーの八重山そば
でかいソーキ肉が3つも入ってる。あと沖縄かまぼこ。並でも麺の量は多め。とはいえ味付けは良く、あっさり完食できた。

ちなみに翌日の昼はホテル近くの「ぶどぅまれー」さんの八重山そば。こちらはお揚げが入ってる。
ぶどぅまれーの八重山そば
やっぱり並でもボリューミー。他のメンバーが注文した大盛はかなりの麺の量だった。2玉入ってるんじゃないかと思ってしまうほど。よくぞ完食しましたねー。


来ちゃったよ日本最南端

星空観測タワーは閉鎖中

エナジー満タンになった後は波照間島灯台を見学しつつ、
波照間島灯台
星空観測タワーの前まで来た。夜には星空観察会が行われる場所。
星空観測タワー
しかし残念なことに訪れた時には老朽化のため閉鎖されていて入ることができず。駐車場そばの「日本最南端の公衆トイレ」も使えません。※2021年春時点。

トゲトゲの地面と最南端の碑

星空観測タワーの近くには冒頭写真に示したような日本最南端の碑があって、とうとう南の端まで来たんだなあ、と感慨深い気分にさせられる。このあたりは高那崎という断崖絶壁の岬で、碑の立つ場所からさらに先へ歩いていける。
高那崎
崖の端っこへ近づくにつれ、地面がゴツゴツ尖った岩(サンゴ?)に変わって、ものすごく歩きにくい。下手をすると足をひねったり、転んで尖った地面にざっくりやられてしまいかねない。かなりの用心が必要。この歩きにくさは昨秋の秋田旅行の帰りに立ち寄った岩手山焼走り熔岩流を連想させた。
ゴツゴツした地面
しかもただでさえバランスを崩しやすいのに、崖の端には手すりも柵もなく、海へ転落しそうな怖さがある。でも多少は近寄らないと崖下の海が見えないし…細心の注意を払って一歩一歩を確実に。
高那崎の断崖絶壁
場所によっては「青の洞窟を上からのぞき込む」風の地形もある。写真だと海のエメラルド色がうまく出ないけどこんな感じで。
青の洞窟をのぞき込む
こうして島の北から南へ、時計回りにおおよそ半周しつつ観光スポットを見学した。ここまで昼休憩込みで3時間半。残り半周は次の記事で→To Be Continued。