お湯は本物、熱さも本物、宮崎のあつ湯王 - コスモス温泉

コスモス温泉
コスモス温泉。宮崎県小林市にある、熱いお湯で知られる温泉だ。宮崎の温泉をネットで調べるとちょいちょい名前が出てくるし、口コミを見る限り絶賛の言葉が並んでおり、自分はぬる湯派であるにもかかわらず、なんだか気になって体験したくなってしまった。

ちょうど北霧島エリアを湯めぐりする計画だったからコスモス温泉を組み込んだ。それにしてもいったいどれだけ熱いのか。コスモス(宇宙)というくらいだからビッグバンに喩えられるほど熱いのか。ドキドキしてきた。※実際は花のコスモスから取った名前のようだ。

…うん、熱いっす。素人はすっこんでろレベルの熱さ。とはいえまったく太刀打ちできないわけではないし、水風呂との交互浴はやみつきになる。それにお湯のクオリティは高い。

コスモス温泉へのアクセス

近くには「出の山淡水魚水族館」あり

旅の初日、まず高原町にて湯之元温泉のぬるい超アワアワ炭酸泉を楽しんだ後、午後になって小林市へ移動した。みやまきりしまロードという広域農道経由で車20分。それだと前の温泉~次の温泉のクールダウン間隔が短すぎて身体にもよろしくないだろうと思い、先に近くの「出の山淡水魚水族館」へ行くことにした。

この水族館は出の山池を囲む出の山公園の中にある(“の”が多くてわかりにくい文になってしまった)。すぐ隣には宮崎県水産試験場内水面支場があるから、そちらの活動と連携しているのかもしれない。※水産試験場は関係者以外立入禁止。

これが出の山池だ。水族館内で売ってた鯉のえさを撒いた直後だから鯉がいっぱい集まってきてる。
出の山池
また駐車場から水族館までの通り道にはチョウザメの泳ぐ水槽がいくつもあった。どうやら宮崎県内で初めてチョウザメの養殖に成功したところらしいね。チョウザメといえば高級珍味キャビア。食ってみてえー、経済的に無理だけど。
チョウザメの養殖

温泉施設の見きわめにちょっと迷う

水族館内の写真はありません。撮影可かどうかよくわからなかったので。中央の円形水槽にはピラルクー、アロワナ、レッドテールキャットといった巨大な魚がゆら~っと泳いでいる。別の水槽にチョウザメがいるし、オオサンショウウオや一世を風靡したウーパールーパーなんかの水槽あり。他に金魚・熱帯魚系も。
出の山淡水魚水族館
中はそんなに広くないが入館料200円だから気軽に立ち寄りやすい。

見学後に満を持してコスモス温泉へ。車だと5分の距離。コスモス温泉の看板が出ているところを曲がると、デイサービス等いくつかの施設があったり各所に駐車スペースがあったりして、どこがコスモス温泉でどこに車を止めてよいのかわかりにくい。冒頭写真の建物が正解だ。


熱いだけじゃない、コスモス温泉の実力

素朴な雰囲気に濃ゆそうな泉質

では入館。遠方からもたくさん温泉ファンが訪れるんだろうけど、あくまでも地元の方が通う素朴な温泉の雰囲気だ。廊下の足元には直売野菜が置いてあったりする。廊下の先の券売機で入浴券を買う。400円。

脱衣所の中か外か忘れたが、100円リターン式のロッカーあり。掲示されている分析書には「マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉、低張性、中性、高温泉」とあった。字面を見ただけでなんだかすごそうに思えてくる。マグネシウムはそうそう見かけないし、炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物の三役揃い踏みってのがまたオールスター的な。加水・消毒あり、循環・加温はない模様。

中温風呂でも十分に熱い

浴室は手前に1名サイズの水風呂があり、中央にデーンと、まるで主役のような顔をした2つのベンチが置かれている。そして6名分の洗い場。肝心の浴槽は2つ。右が中温風呂で左が噂の高温風呂だ。

まずは様子見で中温風呂へ。広さは5名サイズといったところか。中温といっても平均的な適温よりは熱い。
湯口はなく、隣の高温風呂からお湯が流れ込んでくる仕掛けになっている。あと蛇口がついていて水が投入されていたような。

お湯は無色のささ濁りで、匂いを嗅ぐと金気臭があった。そして気のせいかもしれないが多少の泡付きがあったように記憶している。温度面の好みの違いはあれど、温泉としてのクオリティはなかなかのものではないか。

加水禁止の熱々高温風呂へいざ突撃

ふむふむなるほどね。では噂の高温風呂へトライしてみますかね。こちらは4名サイズで加水禁止の張り紙がしてあった。湯口にはコップが置かれていて、あるおじさまがゴクゴク飲むシーンが見られたから飲泉可能なのかもしれない。

どれくらい熱いか不明なので用心して少しずつ浸かっていった。うっ熱い…こいつは熱い…にわか挑戦者を拒むかのようにヒリヒリと容赦ない刺激で攻め立ててくる。だが自分だって、2年前の角間温泉のあつ湯を体験してきた者だ。面構えが違う。

途中でギブアップせずに浸かり切ることができた。温泉成分のおかげだろうか、ただ熱いだけではない何かを感じる。体を動かさず、お湯とぶつかり合わないようにじっとしていれば、それなりに入っていられる。5分も10分もは無理だけどね。

水風呂との組み合わせで世界が変わる

熱さでこりゃたまらんという状態になったら無理せずあがりましょう。ここからが味付けのしどころだ。ベンチで休むも良し、水風呂へ直行するも良し。

自分は水風呂へ直行。うっ冷たい…逆に超冷たい…すさまじいギャップに身体がびっくりしているぞ。時間をかけてどうにかこうにか胸元まで水面下に沈めた。肩までは無理だった。数分後、すっかり冷え切ったところで再び高温風呂へ戻ると、アツクナーイ! これですよこれ、冷温交互浴の快感ってやつだ。

そしてまた熱さでゆでダコ状態になったら水風呂へ行く。このセットを何度か繰り返した。もちろん同じような行動を取る客はいて、1名用の水風呂をめぐる妙なあうんの呼吸で互いのタイミングを調整するのであった。

時にはベンチで休んだり中温風呂へ浮気したりしつつ、熱い⇔冷たいの繰り返しですっかり仕上がっちゃいましたよ。交感神経と副交感神経が~とか、そのへんの講釈はよくわかんないけど気分がシャキッとなって、大げさにいうならば新しく生まれ変わったみたいな。まさにビッグバン。

 * * *

ぬるい温泉が好きだから湯めぐりを計画する時は熱い温泉を避ける傾向にあった。しかしコスモス温泉はなぜか引かれるものがあり、実際行ってみて良かったと思う。熱いことばかりを強調されるが、お湯そのもののクオリティは高いし、オーバーフローする量がすごくて床が洪水のようになっている光景も見どころだ。

それにしてもネットで見かけた情報だけでコスモス温泉に引かれたのはなぜだろう。あつ湯なのに。やっぱり万有引力がはたらいたんですかね。コスモスだけに。